風 鈴 1    199句

風鈴の空は荒星ばかりかな   芝不器男   不器男句集

作品
作者
掲載誌
掲載年月
だまし絵の中の風鈴鳴りにけり 小澤克己 遠嶺 199809
風鈴を売りにはるばる来しと云ふ 佐藤たか 199809
風鈴の舌とふ寂しきものに触れ 大島雄作 199901
踏切に待つ間風鈴売がゐて 小高布く子 199901
風鈴の奏でながらに吊られけり 野中亮介 馬醉木 199902
風鈴の送られてまた人むかふ 秋山深雪 船団 199902
軒下に山脈を入れ貝風鈴 鷹羽狩行 199905
鉄風鈴鳴りて夜明けを暗くする 倉本美代子 ヒッポ千番地 199905
風鈴を家内に吊るも川ほとり 長屋せい子 馬醉木 199907
五十二代明珍風鈴風を待つ 神蔵器 風土 199908
猫柄の縁起かつぎや江戸風鈴 桑垣信子 いろり 199908
風鈴の音に値をつけな蟄居生 中原道夫 銀化 199908
しのび音を洩らす風鈴叱るなり 中原道夫 銀化 199908
錫杖と軒の風鈴ひびき合ふ 品川鈴子 ぐろっけ 199908
風鈴売り朝風夜風分ちなし 木村風師 馬醉木 199909
風鈴をききゐる手術前夜かな 中沢三省 風土 199909
風鈴の音のもつるる昼下り 三浦みち子 199909
晩学や貝風鈴を聞いてをり 三浦みち子 199909
後朝や貝風鈴の糸縒れて 小川真理子 銀化 199909
郷愁は要らぬ風鈴を値切りたる 峯尾文世 銀化 199909
風鈴屋車で雨のなか来たり 熊谷みどり いろり 199909
風鈴の売声ききて飛出しぬ 熊谷みどり いろり 199909
風鈴の吊るされしばかりの音を聞く 川島ひとみ 船団 199909
吊り下げる手元をすでに風鈴は 加藤かな文 199910
風鈴の夕べの風に起さるる 中島徳子 酸漿 199910
友の店のおけさ風鈴すぐ売切れ 松崎鉄之介 199910
シカゴへ発つ子へ風鈴を持たせけり 山梨幸子 199910
月走り風鈴の音の千切れけり 岩田沙悟浄 円虹 199910
風鈴や一足先に風を呼ぶ 久保田一豊 いろり 199910
子の帰国待つや風鈴鳴りつづく 柳沢杏 酸漿 199911
風鈴を一つ吊るして世に処せり 西山胡鬼 京鹿子 199911
アパートの風鈴互ひに涼呼べり 木部老正盛 199911
見えぬ風捉へし軒の風鈴は 迫谷富子 いろり 199911
鬼平が平蔵なりし風鈴屋 坂井まさき 六花 199911
裏窓に補正下着と風鈴と 松永典子 船団 199912
明珍の火箸風鈴僧を待つ 田中佐知子 風土 200001
風鈴の悲しく笑う野分かな 尾上有紀子 わがまま 200002
風誘ふ江戸風鈴は紅の玉 谷泰子 ぐろっけ 200002
風鈴のよく鳴る二段ベッドかな 飯塚ゑ子 ヒッポ千番地 200006
風鈴や銀座界隈夜の帳 稲畑廣太郎 ホトトギス 200007
風現るる時風鈴屋立ち上がる 稲畑廣太郎 ホトトギス 200007
南部鉄風鈴といふ冷たさに 稲畑廣太郎 ホトトギス 200007
風鈴屋これより緩き歩みなし 藤田宏 200007
風鈴や仮寝に掛くるものを欲り 山仲英子 200008
風鈴のひびきがじかに水の上 福井啓子 200008
あさくさの甘味どころの錆風鈴 松村武雄 200008
ゐるすつかふに風鈴の鳴り過ぎし 田口武 銀化 200008
顔を蒸す床屋風鈴売とほる 井口光石 風土 200009
風鈴を吊し馬術部昼寝中 高村梢子 火星 200009
風鈴売り静かに煙草吐きにけり 岩崎皓子 俳句通信 200009
風鈴の吊られ暮しを同じうす 村越化石 200009
風鈴を標鈴とす杖の歩よ 村越化石 200009
風鈴の許すまじこの義理あれば 保坂加津夫 いろり 200009
風鈴やちがふ乳房を吸ひにゆく 保坂加津夫 いろり 200009
つぎつぎに売れ音減らず風鈴屋 藤原かかし 200010
膨らみて音を貰ひて江戸風鈴 横山智加子 200010
月蝕を待つ風鈴の音なりけり 小山森生 200010
産土は異星にありし貝風鈴 小澤克己 遠嶺 200010
風鈴や閨にて佇つと囁かる 小澤克己 遠嶺 200010
夕づつや書店の軒の江戸風鈴 宮倉浅子 遠嶺 200010
家庭訪問風鈴の音をまづほめて 島谷征良 風土 200010
風鈴の形とどめぬが鳴りにけり 飯島士朗 銀化 200010
風鈴の真下の音にをりにけり 鹿野佳子 200010
風鈴のテロとも鳴らぬ束ね髪 鬼頭桐葉 春蘭 200010
胸に隙間あり風鈴の一点打 岡田貞峰 馬醉木 200010
風鈴やむかしが近くなる夕べ 間宮陽夫 馬醉木 200010
隠れマンション風鈴を吊すのみ 品川鈴子 ぐろっけ 200010
風鈴の音に眠りて音に醒む 閑田梅月 馬醉木 200011
風鈴や志賀のささ波立ちにけり 足立浩一 200011
粗品とは思へぬ音色鉄風鈴 大川泉舟 200011
風鈴の激しく鳴りぬ遠爆風 永井徹寒 海程 200012
風鈴や風の上澄みのみ掬う 片岡秀樹 海程 200012
風鈴を鉄に戻して仕舞ひけり 板倉勉 六花 200101
風鈴の舌に乾きし風当たる 柴田奈美 銀化 200101
大空に風鈴吊してみたきかな 秋山深雪 船団 200102
風鈴の売れすぢ南部江戸織部 品川鈴子 船出 200104
貝風鈴島の香りを持ち帰る 石山惠子 遠嶺 200105
風鈴の音に昔がよみがえる 林田加杜子 いろり 200107
聞き漏らすほど風鈴のつぶやけり 桑垣信子 いろり 200107
にぎやかにゆつくりと来る風鈴売 半澤佐緒里 百鳥 200108
風鈴や赤子の声の醤油蔵 ロツキイ 六花 200108
京風鈴江戸風鈴となかせけり 梶浦玲良子 六花 200108
風鈴の音なつかしき夕ベかな 林田加杜子 いろり 200108
風鈴や隣家の孫の声高し 茂木とみ いろり 200108
風鈴を商ふ踵青山河 森谷彰 銀化 200108
風鈴をあまた吊して北の駅 芳賀雅子 航跡 200108
風鈴を吊して子規の文机 続木かよ子 馬酔木 200109
風鈴を地階に吊つて銀座混む 岬雪夫 200109
臥す母の隣の部屋に風鈴を 佐藤康子 遠嶺 200109
風鈴の音色軽やか新家庭 二宮桃代 雨月 200109
風鈴や今日は何の日何かの日 村越化石 200109
明珍の箸の風鈴聞きをりぬ 志水千代子 俳句通信 200109
たそがれに風鈴の音調へり 宮原秋生 俳句通信 200109
風鈴や家事をせぬ掌の裏おもて 石橋翠 いろり 200109
江戸風鈴ひと睡りして鳴り出だす 堀内一郎 あを 200109
この風鈴ニュージーランドの音で鳴る 島村耕作 200110
風鈴のよく鳴り日照りよく続く 加藤たかね 風土 200110
余すいのち見えかくれ夜の風鈴は 木村風師 馬醉木 200110
風鈴の珊瑚鳴るたび星ふえて 近藤暁代 馬醉木 200110
風鈴や和紙うつくしきお品書 岸のふ 馬醉木 200110
風鈴や微恙といへど死を恐れ 甲斐遊糸 百鳥 200110
売家札鉄風鈴の鈍き音 平野きらら 百鳥 200110
風鈴や尼僧にかはす遠会釈 小池槇女 火星 200110
風鈴の中の一つの響きかな 土屋酔月 火星 200110
喪ごころの風鈴の位置変へにけり 嵯峨根鈴子 火星 200110
風鈴買ひ風との絆深くせり 松田都青 京鹿子 200110
風鈴にいやがる風を送りけり 華明日香 銀化 200110
貝風鈴海暮れてより鳴りにけり 棚山波朗 春耕 200110
風鈴売風筋の路地ぬけにけり 飯田眞理子 春耕 200110
夫婦して風筋えらぶ風鈴の 久保東海司 200110
風鈴の音色は風が運びけり 相沢健造 いろり 200110
風鈴を吊りて生家を後にせり 浦川澄恵 雨月 200110
風鈴の音よし父母の健やかに 浦川澄恵 雨月 200110
風鈴や寝入ればゆるぶ農の口 宮脇ちづる 200111
病みてより風鈴胸に染みやすき 村重香霞 200111
風鈴の思ひ出したるごとく鳴り 波多江イツ子 200111
まつ白な肌着をたたみ軒風鈴 石田邦子 遠嶺 200111
風鈴や己消えゆくまで座禅 萩原行博 遠嶺 200111
風鈴の音風鈴を悦ばす 松本恭昂 火星 200111
ビードロの風鈴見てはしまいけり 木戸波留子 いろり 200111
甲冑師余技に風鈴つくりをり 佐藤輝子 200111
三味線を弾くに風鈴外しけり 上田茂 200111
末法の世に風鈴を吊るしけり 田中武彦 六花 200111
江戸風鈴音やはらかしきのふけふ 寺崎美江女 春耕 200111
風鈴や素直にありし閑ひと日 藤木竹志 馬醉木 200112
舌失せし風鈴風が見棄てけり 隅田享子 200112
風鈴の母には遠き音となり 秋山深雪 船団 200112
一せいに吹かれ風鈴地獄かな 稲見光 船団 200201
寝起き良き子に風鈴の奥座敷 古川利子 200202
風鈴の沈黙に似し夕べかな 濱口宏子 船団 200202
待ち合はす銀座風鈴売の前 稲畑廣太郎 ホトトギス 200207
風鈴の前は一天吊りてゐし 中原道夫 銀化 200207
ひとり居に風鈴十個吊しけり 須賀悦子 ぐろっけ 200207
貝風鈴かの三畳の芙美子の間 木田千女 200208
風鈴のここが生誕入鹿鍛冶 小野寺節子 風土 200208
風鈴や紀和は「ひ」の国入鹿鍛冶 小野寺節子 風土 200208
風鈴を吊せば囃す雀たち 村越化石 200208
風鈴の中の熟寝を拾ひをり 村上瑪論 銀化 200208
西向きの硝子風鈴ちちと鳴る 赤座典子 あを 200208
風鈴や袋小路に風集ふ 宮原みさを 花月亭 200208
風鈴の鉄・貝・ガラス・渚の音 宮原みさを 花月亭 200208
風鈴の一軒二軒三軒目 宮原みさを 花月亭 200208
貝風鈴遠潮騒に鳴り出せり 宮原みさを 花月亭 200208
風鈴の鉄とガラスが競ひ合ふ 宮原みさを 花月亭 200208
風鈴の風待ち顔でありにけり 宮原みさを 花月亭 200208
風鈴の風と音とが縺れ合ふ 宮原みさを 花月亭 200208
辻に来て風の惑ひの風鈴屋 林翔 200209
風鈴やひじきと揚げのおばんざい 望月木綿子 200209
風鈴の下ろしてありし畳かな 山尾玉藻 火星 200209
良きしらせあり風鈴の響きけり 松本恭昂 火星 200209
二つ目となりて風鈴つるしけり 大串章 百鳥 200209
風鈴や養生訓の貼られある 福地真紀 百鳥 200209
風鈴の鳴らぬ一日のありにけり 船山博之 百鳥 200209
風鈴や父母の残せし文の束 船山博之 百鳥 200209
風鈴の隣りの家に鳴りにけり 船山博之 百鳥 200209
行商の荷に風鈴のありにけり 長谷川守可 百鳥 200209
貝風鈴鳴るたび星のふえにけり 田口紅子 200209
風鈴や亡き夫に謝す四度の渡米 菅野イチ子 200209
雲脚に炭の風鈴仕舞ひけり 原茂美 雲の峰 200209
風鈴の短冊黄ばむ荒物屋 原茂美 雲の峰 200209
忘れたる頃に風鈴鳴きにけり 谷口佳世子 200209
言ひ出せずをれば風鈴鳴りやまず 華明日香 銀化 200209
相づちのごと叱るごと風鈴よ 八條凛子 銀化 200209
重たげに鳴る風鈴の舌濡れて 木内美保子 六花 200209
風鈴のなまけてゐたる午後三時 谷口千枝子 200210
貝風鈴からから自愛のひとり言 大村美知子 京鹿子 200210
風鈴の時に咎めるやうに鳴る 井村健一 百鳥 200210
よく笑ふ赤子風鈴鳴りにけり 菊地登紀子 百鳥 200210
戦なき空へ風鈴吊しけり 松内佳子 百鳥 200210
風鈴の釘を一本打ちにけり 長谷川守可 百鳥 200210
祭囃子去りて風鈴鳴りにけり 船山博之 百鳥 200210
風鈴の音の止みたる通り雨 長山野菊 雲の峰 200210
風鈴の音を残して列車過ぐ 長谷川通子 雲の峰 200210
訃報得し一と日風鈴鳴り止まず 長谷川通子 雲の峰 200210
風鈴や犬寝返れば吾もまた 大山文子 火星 200210
風鈴やすぐ横になる癖つきて 土屋酔月 火星 200210
風鈴の怠る大暑つづきけり 千坂美津恵 200211
くれなづむ南部風鈴銅鉄店 矢嶋みつ江 遠嶺 200211
風鈴の鳴るたび星の生まれけり 赤羽正行 遠嶺 200211
空港の書店風鈴鳴りにけり 望月周 百鳥 200211
早朝の地震が風鈴鳴らしたる 岩松八重 六花 200211
人遠き日や風鈴の下にゐて 松林順子 雨月 200211
家居とは昼の風鈴聴いてをり 川上昌子 200211
みちのくの旅終へ風鈴一つ増え 坂口三保子 ぐろっけ 200211
風鈴や畳に絵本伏せてあり 宮澤さくら 遠嶺 200212
瀬戸・南部見舞風鈴競ひ鳴る 大橋宵火 ホトトギス 200301
風鈴のとだへぬ皆既月蝕に 吉田康子 青山椒 200303
貝風鈴ひびく夕餉となりにけり 柴田佐知子 200308
風鈴に触るる吹く風のみならず 村越化石 200308
風鈴吊る今は形見となりしもの 杉丸君子 築港 200308
雨逢うて風鈴の音の聞え来る 川口弘子 築港 200308
風鈴に目を回したるけものかな 山田六甲 六花 200308
風鈴の寂びしが軒に芙美子遺居 塩谷はつ枝 馬醉木 200309
風鈴や十指に余る転居して 谷口みちる 200309
わだかまり解け風鈴のやさしかり 高橋邦夫 風土 200309
風鈴を弾きて鳴らす妻の留守 徳丸峻二 風土 200309
風鈴を吊す老舗のありにけり 村越化石 200309
風鈴のもつるる音に皆ふり向く 勝又寿ゞ子 200309
風鈴に力士の髷の触れて行く 鈴木綾子 百鳥 200309
風鈴→ 2      

 

2021年7月9日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。