蒲 団 3   200句

帰り来て蒲団の母に仰がれぬ  八田木枯  汗馬羅

作品
作者
掲載誌
掲載年月
行く秋や煎餅布団にだんご虫 菊谷潔 六花 201001
ほんのりと日向のぬくみ干蒲団 石川かおり 201002
布団干し今日の幸せふくらます 井口淳子 201002
ベビー蒲団の仕立上りを干しにけり 武田巨子 春燈 201002
干蒲団に日の匂ひあり母逝けり 加藤みき 201002
干蒲団ほつぺのやうにふくらみぬ 渡辺安酔 201002
碧天の日差しに妻の蒲団干す 渡辺安酔 201002
干し蒲団たつぷり賜ふ陽の恵み 岡野ひろ子 201002
晴天や今日は夫の布団干す 斉藤裕子 あを 201002
温もりを包んで畳む干布団 斉藤裕子 あを 201002
ビル影の合間を縫ふて布団干す 斉藤裕子 あを 201002
生きてゐる証の布団干されけり 藤原照子 201003
遠富士の裾まで雪や蒲団干す 小川玉泉 末黒野 201003
退院の夫への馳走干蒲団 曷川克 遠嶺 201003
吹き出しに書くならよいしよ蒲団干す 田村園子 201003
太陽光競うパネルと干蒲団 山本孝子 ろんど 201003
あつさりと死にたき蒲団干しにけり 高倉和子 201003
冬日和蒲団に苔を呉れてやる 吉村摂護 201003
太陽の恵みに謝して布団干す 能勢栄子 201004
青空は大きな布団山眠る 北川キヨ子 201004
布団干す家居といふを二日ほど 佐藤博美 201004
干蒲団の間を特急電車過ぐ 浜口高子 火星 201004
どの家も華やぐ蒲団干し日和 辻直美 201004
快晴や布団を干してホームレス 木田千女 201009
マンションのB面ならむ干布団 和田照子 201011
蒲団干す連山の間いとほしみ 間島あきら 風土 201011
蒲団干し陽の温もりを夜の床に 冨田ヒナ江 201101
階下より大声上がる布団干し 水野嘉子 201102
マンションの最上階の干蒲団 涼野海音 火星 201102
蒲団叩く埃てふもの終りなし 東亜未 あを 201102
蒲団より気合入れねば起きられず 桂敦子 201103
当りまえの出来る幸せ布団干す 田原陽子 201103
布団干す門前町の軒低し 笹村政子 六花 201103
天國へ昇るここちや羽根蒲団 阪本哲弘 201104
残る世を夢に託せり干蒲団 宮野照子 馬醉木 201104
穏やかな湖望みつつ蒲団干す 中川悦子 酸漿 201104
梟よ布団のすそに死神が 定梶じょう あを 201104
取込みし布団にをりし冬の蜂 伊藤公子 酸漿 201105
朝陽照る庭に乾したき厚布団 水上貞子 ぐろっけ 201106
客人に干した布団と囀と 瀬川公馨 201107
積み上げし蒲団の嵩や木の芽風 大場ひろみ 馬醉木 201110
長旅を終へ昨日今日干蒲団 嶋田摩耶子 ホトトギス 201111
雷鳴や木魚の布団新調す 中條今日子 万象 201111
怪獣のもぐつてゐたり羽蒲団 甲州千草 201112
母郷とは身にふはふはの羽根布団 鷹崎由未子 花野 201112
蒲団から富士眺めをり温温と 赤座典子 あを 201112
手渡しに蒲団干しゐる消防署 成宮紀代子 201202
秋の陽を包みて布団仕舞ひけり 松木清川 ぐろっけ 201202
羽根布団重し重しと言ふ夫と 中下澄江 201203
干布団叩く無心の音を高めつつ 成田美代 201203
干蒲団深夜のラジオ悦に入る 大西よしき ろんど 201203
幸せの数向ひ家の干蒲団 清海信子 末黒野 201203
尾根の小屋潰れむばかり蒲団干す 藤井久仁子 ぐろっけ 201203
客蒲団干す妻の修羅ひもすがら 山本喜朗 雨月 201203
青空の端を使ひて蒲団干す 高倉和子 夜のプール 201203
とりどりの布団ふくらむ団地かな 浅井吉雄慈 夕端居 201203
梅の香を布団と共に取り込めり 山崎稔子 末黒野句集 201203
ベランダのジュリエット今日蒲団干し 山本孝子 ろんど 201204
亡き父の蒲団に仄か煙草の香 紅谷芙美江 万象 201204
首縮め丸まる猫に貸す蒲団 三橋早苗 ぐろっけ 201205
三月や布団干す窓いたるとこ 佐々木薫 かさね 201206
寄せにけり雛流しし夜の布団 城孝子 火星 201206
孫たちの来る日の布団干しにけり 國保八江 やぶれ傘 201206
銅婚も常と同じや布団干し 宮田香 故郷 201207
花の夜の覚めて重たき掛布団 大山文子 火星 201207
寝返りの蒲団に黴の重さかな 大湾宗弘 万象 201208
富士晴れと言ふ日賜り布団干す 北崎展江 くりから 201209
伊予絣の蒲団並べて一男四女 品川鈴子 ぐろっけ 201212
引つ越しの布団は薄し風邪薬 森田子月 ぐろっけ 201212
仕合せは膨らむものや蒲団干す 齊藤實 201301
干布団仏顔して夢の中 塩千恵子 201301
夜白らみ体すくむる布団かな 柳出晧一 かさね 201302
大空を覆ひつくして布団干す 長節子 201302
その軽さ嫌ひしをとこ羽蒲団 甲州千草 201302
いづかたの山も老いけり干蒲団 蘭定かず子 火星 201302
寝入る母に読みつぎせがむ布団の児 中本吉信 201303
布団干す夫の匂ひに顔埋め 川上恵子 雨月 201303
羽毛布団もう孵化せねば孵化せねば すずき巴里 ろんど 201303
厚布団この世に何枚足らぬか 森田子月 ぐろっけ 201303
空に鳶地上に蒲団叩く音 福島茂 201303
木枯や羽毛蒲団に鳥何羽 柴田佐知子 201303
朝の茶を淹るる音聞く蒲団かな 吉村摂護 201303
ベランダの白反射して客蒲団 新倉ゆき江 末黒野 201304
旅戻りやはり我家の蒲団かな 河野美奇 ホトトギス 201305
羽蒲団ひよこのごとく抱かれたる 布川直幸 201311
太陽の恵みたらふく干蒲団 布川直幸 201311
突き上ぐる布団太鼓や鳥渡る 笹村政子 六花 201401
退院の間近き母の蒲団干す 小林朱夏 201401
退院の間近き母の蒲団干す 小林朱夏 201402
干蒲団を赤子のごとく抱へたり 中貞子 201402
布団には児の温もりが残りけり 土井久美子 201402
じんわりと夫の優しさ干し布団 斉藤裕子 あを 201402
喪帰りやひと日費やす布団干 仁平則子 201402
相応の時の重さの蒲団干す 成田美代 201402
お揃ひは女系家族の肩布団 能村研三 201402
しようもなき事のみ脳に蒲団干す 来海雅子 201403
軽きより重き蒲団に安堵する 四條進 201403
光みな受けよと屋根の干蒲団 青木朋子 201403
布団干す竿にやんはり棲む冬日 大松一枝 201403
ふるさとの陽をたつぷりと干蒲団 増田甚平 末黒野 201404
また匂ふ迦陵頻伽のゐる蒲団 庄司久美子 201404
干蒲団たたく音して暮れにけり 久世孝雄 やぶれ傘 201404
久々の子を待つてゐる干蒲団 林徹也 201404
布団干せば遠山かけて飛行雲 定梶じょう あを 201405
干布団急ぐ太陽折り畳む 高村令子 風土 201405
歯に衣を着せぬ娘や布団干す 荒川美邦 京鹿子 201408
蒲団干しあり蜂蜜が垂るるやう 織田高暢 201408
干し終へて次の約束客布団 田部井幸枝 201405
布団とは行雲の舟夢の舟 大畑善昭 201412
蒲団干し小さき幸の綴ぢゑくぼ 諸岡孝子 春燈 201501
母の蒲団敷いて畳んで海の音 柴田佐知子 201501
一人には余る蒲団を干して父 高倉和子 201501
深々と落ちゆく眠り干布団 鈴木セツ 201501
蒲団干すその先にある賎ヶ岳 佐々木良玄 春燈 201502
良き夢を見むとて叩く干蒲団 久米憲子 春燈 201502
母遺愛の大島紬肩蒲団 廣瀬克子 春燈 201502
職退きて朝のこよなき羽蒲団 市村明代 馬醉木 201502
まさをなる空を見上げて布団干す 廣瀬雅男 やぶれ傘 201503
しりとりの豚で笑ふ子冬布団 高尾寛美 京鹿子 201503
蒲団干し子の来しことを言はれけり 阪本哲弘 201503
羽蒲団夢にも時の流れをり 岩木茂 風土 201504
夫と競ひ子猫呼び込む掛布団 斉藤裕子 あを 201504
母の亡き孫に求めし羽蒲団 竹下陶子 ホトトギス 201505
痩せし身に子より贈らる羽根蒲団 波多野孝枝 末黒野 201505
フェリーから見えて大きな干し布団 中林明美 船団 201508
干し蒲団一枚のせて猫車 大崎紀夫 虻の昼 201510
母許や麻布団こそ懐かしく 熊岡俊子 雨月 201510
布団敷き布団を畳むすいつちよん 高野春子 京鹿子 201601
男子寮屋根をはみ出し蒲団干す 小林朱夏 201601
松茸に檜葉のせんべい蒲団かな 原友子 201601
芥に出す嫁入り布団の重みかな 山崎刀水 春燈 201602
蒲団縫ふ母と四隅を引き合ひて 井浦美佐子 201602
卵酒布団の中で読む句集 斉藤裕子 あを 201602
たかが介護されど介護の蒲団干す 福島茂 201603
雪嶺の空の続きや蒲団干す 大沢美智子 201603
布団干す日差し満ちたる海に向け 森礼子 雨月 201603
誂へし蒲団と共に嫁ぎけり 松田明子 201603
じやれてくる犬の布団を干しにけり 中谷富子 201603
雲にのる夢を見るため布団干す 中島昌子 201603
藁布団置くリマ移民史料館 竪山道助 風土 201603
干されたる布団に猫の深眠り 生田作 風土 201603
屋根いつぱい母を迎ふる蒲団干す 林徹也 201604
春なれや布団は夢を結ぶ船 大畑善昭 201605
空仰ぎこぞりて蒲団干し日和 北川孝子 京鹿子 201605
もう誰も泊まらぬ蒲団干しにけり 横田敬子 201605
母が泊りに来る夏布団つくろひし 安住敦 春燈 201606
快眠にいざなはれゆく夏蒲団 稲畑汀子 ホトトギス 201607
夏蒲団ぐらゐは蹴つてゐて元気 稲畑汀子 ホトトギス 201607
夏蒲団たよりなきかな夢も見ず 谷島弘康 末黒野 201610
ふんはりと干さるる蒲団や柿日和 横山さくら 春燈 201610
ぽかぽかの匂ひほのかや干し布団 時澤藍 201612
蒲団から続くトンネル月曜日 小枝恵美子 船団 201612
良い夢を見られさうなり干蒲団 犬塚李里子 201701
鳥影は空のまばたき干蒲団 望月晴美 201701
秋深し布団袋にある布団 早瀬淳一 船団 201701
川の字の蒲団を嬰の行き来せり 西村将昭 201702
青空の鳶の高音や布団干す 福田禎子 末黒野 201702
良き時代を生きて蒲団で大往生 高橋将夫 201703
亡命のやう客布団引つかぶり 奥田筆子 京鹿子 201703
目覚めゐて布団のなかに小半時 安藤久美子 やぶれ傘 201703
帰り来る子らの蒲団を干しにけり 森美佐子 やぶれ傘 201703
黄泉までは届かぬものか羽根布団 田原陽子 201703
往生を遂げたき蒲団干しにけり 高倉和子 201703
淋しさに蒲団の羽毛片寄れり 原友子 201703
ふるさとの山を一望蒲団干す 曽根富久恵 201703
逝く人の絹の布団の寝嵩かな 吉田葎 201704
布団干す漢のうしろ通りけり 中川句寿夫 ここのもん 201705
布団干しだれにも会ひたくない日なり 中川句寿夫 ここのもん 201705
鰯雲布団干したる後の用 中川句寿夫 ここのもん 201705
後悔のにじむ布団を干しにけり 小山田子鬼 201707
兄妹飽きず飛込む夏布団 赤座典子 あを 201707
長持の布団も見せて雛道具 松田明子 201707
夜もすがら軽さ馴染まぬ夏布団 伴秋草 末黒野 201709
布団干す大惑星の日向借り 高村令子 風土 201712
家傾ぐほど布団干す店子かな 山田健太 風土 201801
小庇のすずめの会話干蒲団 井原美鳥 201802
束の間の日差し大事に蒲団干す 豊谷ゆき江 春燈 201802
這松に小屋の蒲団の干されあり 渡会昌広 馬醉木 201802
どの窓も布団干したるホームかな 廣瀬雅男 やぶれ傘 201803
蒲団干す青き地球の一隅に 林昭太郎 201803
ふかふかに賢くなりし干布団 細川洋子 201803
六畳に布団敷きつめ子沢山 岡田正義 雨月 201803
客蒲団干しぬ去年より重たかり 升田ヤス子 六花 201803
座布団に無名庵の名山茶花咲く 石川純子 万象 201803
日の温み存分に受け干蒲団 大川暉美 末黒野 201803
蒲団干す二タ家族みな泊まるとふ 岡村彩里 雨月 201803
遺されて生くる月日の蒲団干す 柴崎英子 201803
かくれんぼ干布団より足のぞき 大島寛治 雨月 201803
朝までの余白をうづめ羽布団 辻美奈子 201803
眠れない虚実皮膜を羽布団 火箱ひろ 201803
白きことあへなし尼の干布団 定梶じょう あを 201804
ピアニストよろしく猫は蒲団揉む 卯木尭子 春燈 201804
遅く来る子に敷きておく干蒲団 下田奉枝 雨月 201804
羽根蒲団掛くれば手足伸びにけり 田中とし江 201806
青天へ展ぐ家族図干蒲団 大沢美智子 旬日 201808
蒲団干す母の匂ひをそつと嗅ぎ 小林朱夏 201812
蒲団干す窓にまぶしき直射光 佐津のぼる 六花 201902
あの山の向かふは大和蒲団干す 中田禎子 201902
母の愛明るき色の羽蒲団 市ヶ谷洋子 馬醉木 201902
川の字に寝てくれし日も蒲団干す コ田千鶴子 馬醉木 201902
蒲団 →4

 

2021年2月4日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。