懐 手     215句

英霊車去りたる街に懐手   石田波郷   鶴の眼

作品
作者
掲載誌
掲載年月
山を見てをり三人のふところ手 木下野生 199903
自己主張賛否両論ふところ手 保坂加津夫 いろり 200202
ふところ手解いて会釈を返したり 保坂加津夫 いろり 200202
生き字引敗けず嫌ひのふところ手 神宮きよい 馬醉木 200203
ふところ手下手な嘘にだまされて 保坂加津夫 いろり 200203
子の意見受けて余裕のふところ手 神宮きよい 馬醉木 200302
黙するは言ふに優れりふところ手 神宮きよい 馬醉木 200402
申の貌して女だてらのふところ手 福谷三保子 帆船 200403
ふところ手して世の動きを知りたくて 芝生南天 河鹿 200604
更待やこけしもすなるふところ手 八染藍子 200901
ふところ手解く特攻の遺書の前 刈米育子 200903
ふところ手沈思黙考もたらする 大井彌雨 雨月 200904
取り敢へず端歩を突いてふところ手 久保東海司 201102
推敲のひとときとなるふところ手 久保東海司 201104
死ねといふ藩祖遺訓へ懐手 杉本忠男 青湖 199805
懐手糶の符丁の不可解な 山田夏子 雨月 199903
ひと言のまだ見つからぬ懐手 原山幸子 199905
振り出しに戻る賽の目懐手 水原春郎 馬醉木 200002
龍馬にも秘め事ありて懐手 中村一生 ぐろっけ 200002
思ひ出すふりの懐手となりぬ 水内慶太 銀化 200002
引き際をはかつてをりし懐手 酒井多加子 俳句通信 200002
懐手解けば高言吐きさうで 田中藤穂 水瓶座 200002
句ごころの湧きくるを待つ懐手 村越化石 200003
懐手海境けふはたしかなる 西田美智子 200003
山頭火の句碑に佇む懐手 安田繁子 200003
蘊蓄のひとり語りや懐手 細川知子 ぐろっけ 200003
反骨を通す八十路の懐手 斉木永久 馬醉木 200003
忘却とは忘れ去ること懐手 林翔 200003
待人の見えて解きたる懐手 岩田育左右 遠嶺 200003
懐手漁師舳先に沖めざす 藤武由美子 春耕 200003
三つ指のつかれてほどく懐手 山県總子 銀化 200004
懐手して見る沖のいつもさびし 長沼紫紅 200006
懐手抜いて椿の木に触れる 東莎逍 船団 200008
懐手まくらことばをおきかへて 林裕子 風土 200102
無沙汰とは朱に交はらぬ懐手 村上瑪論 銀化 200103
不機嫌なポーズ海向く懐手 泉田秋硯 月に逢ふ 200103
知恵といふもの浮ばざる懐手 吉永とほる 円虹 200103
転げ来しボール蹴返す懐手 足利徹 ぐろっけ 200103
切り札はまだ先のこと懐手 中村鬼灯 200104
さすらひの剣豪気分懐手 峰尾秀之 200104
懐手して押し売を追ひ払ふ 井上比呂夫 200104
酒断ちて身につく夫の懐手 岩村節子 200104
考へるとは祈ること懐手 井口ふみ緒 風土 200104
山持ちの本家あるじの懐手 鈴木とおる 風土 200104
なにもかも心得てゐる懐手 斉木永久 馬醉木 200105
児の喧嘩止めし一喝懐手 北原東洋男 200105
リモコンも離婚も手軽懐手 片岡秀樹 海程 200106
ぶらさがりたき子に父の懐手 川端和子 星月夜 200112
懐手なかの拳を人知らず 坂本俊子 200201
笑ひたるあとのむなしさ懐手 奥村啓子 200202
他人事の振りして夫の懐手 竹川美佐子 いろり 200202
幼児に真似されてをり懐手 杉沢とみを 百鳥 200203
がうがうと潮変はりけり懐手 木曽岳風子 六花 200203
同人になりそこねたる懐手 土井田晩聖 銀化 200203
教会に人の婚見る懐手 加藤暢一 200204
何もせぬ何も買わぬと懐手 中村みち子 ぐろっけ 200205
牛売れず嘆く牧夫の懐手 田中俊尾 馬醉木 200205
人赦すなすすべもなき懐手 西田もとつぐ 雲の峰 200212
懐の大きく見ゆる懐手 土井田晩聖 銀化 200301
捌かるる魚の眼をみる懐手 平田紀美子 風土 200302
奥の手は出さず仕舞の懐手 太田昌子 馬醉木 200302
世をすこし離れて老の懐手 小西明彦 200302
片方は懐手にて蕎麦すする 篠田純子 あを 200302
懐手の見てゆくフリーマーケット 谷口知子 火星 200303
酔つぱらひの言ひ訳を聞く懐手 長谷川守可 百鳥 200303
一物も二物もありし懐手 堀米洋江 風土 200303
あくまでもそしらぬ貌の懐手 赤羽正行 遠嶺 200304
女にも一策ありて懐手 隅田享子 200304
懐手裡なる鬼をいつくしむ 信崎和葉 六花 200304
根つからの野人となりし懐手 北川孝子 京鹿子 200305
身を鎧ふ技の一つや懐手 志鳥宏遠 ホトトギス 200305
懐手して未来図を修正す 中島たまな 200305
ふところが母のぬくもり懐手 村越化石 200401
銀の出る山買ふ話懐手 松田都青 京鹿子 200401
縛られて上海蟹の懐手 近藤幸三郎 風土 200401
懐手解きかけたる父恐し 篠田純子 あを 200401
憲法の前文唱ふ懐手 伊藤白潮 200401
魚捌く手ぎは見てをり懐手 淵脇護 河鹿 200402
秘めごとの二つや三つ懐手 三枝邦光 ぐろっけ 200403
懐手解体中のまぐろに眼 吉田島江 火星 200403
為ることのなくて為てゐる懐手 淵脇護 河鹿 200403
へぼ将棋見てうなづける懐手 中山勢都子 200403
懐手解かぬままなる別れかな 丸美砂子 ぐろっけ 200403
別るるをよしとしている懐手 丸美砂子 ぐろっけ 200403
心決めひそかにほどく懐手 淵脇護 河鹿 200403
檻越しに虎と向き合ひ懐手 館容子 200404
懐手心みぢんも見せまじく 植竹美代子 雨月 200404
懐手して核心に遠くをり 笹原三雄 百鳥 200404
懐手目無し達磨の前にゐる 竹内喜代子 雨月 200405
凶みくじ握りつぶして懐手 藤田かもめ ぐろっけ 200405
朝市の威声にひとり懐手 浜崎勇 河鹿 200406
知恵の湧くまで立ち尽くし懐手 細川知子 ぐろっけ 200411
懐手して蕉像は何処を見る 稲畑廣太郎 ホトトギス 200412
白梟首で指図の懐手 東亜未 あを 200501
「考える人」を見てゐる懐手 山本浪子 風土 200501
何食ふか考へてをり懐手 宮城白路 風土 200502
肩書をちよつと覗かす懐手 八田マサ子 馬醉木 200502
値の合はぬ客逃したる懐手 玉置かよ子 雨月 200503
懐手次の一手を秘めて待つ 五十嵐道夫 築港 200503
いっかな売れぬ河豚に主の懐手 玉置かよ子 雨月 200503
懐手解かぬままなる別れかな 丸美砂子 ぐろっけ 200503
水をさす言葉呑込む懐手 竹内太郎 200503
懐手金の茶室に立ちつくす 松山直美 火星 200503
古家を眺めて夫の懐手 西村しげ子 雨月 200503
懐手でダックスフント引き行けり 松崎鉄之介 200504
げんこつを心に仕舞ふ懐手 横松しげる 遠嶺 200505
目くばせの以心伝心懐手 泉田秋硯 黄色い風 200505
狛犬の日向さびしき懐手 木内憲子 200505
数多ある癖の一つに懐手 伊藤康子 ぐろっけ 200505
何もかも分つてをりし懐手 滝青佳 ホトトギス 200506
大半は聞き流しをり懐手 原田竜子 河鹿 200506
五十集いさば賑はふ網元の懐手 浜明史 風土 200509
実はなと話切りだす懐手 杉良介 200512
まん中に心臓のある懐手 細川洋子 200601
手品師をながめてゐたる懐手 滝沢伊代次 万象 200601
石蹴りをしてあそぶにも懐手 中山純子 万象 200601
改築の見積り眺む懐手 秋田直己 ぐろっけ 200603
手の内をのぞき見たしや懐手 石堂絹子 河鹿 200603
懐手二言三言して別れ 矢崎昌 200603
書架に並む蔵書ながむる懐手 岡淑子 雨月 200603
桂郎を知らぬ男の懐手 小野寺節子 風土 200603
朝市や客も売手も懐手 片山喜久子 雨月 200603
沈黙は金などと言ひ懐手 丹生をだまき 京鹿子 200603
凪待ちの海を見詰むる懐手 金子知代 万象 200604
奥の手を握つてゐたる懐手 高橋将夫 200604
うなづきも言葉のひとつ懐手 安田とし子 ぐろっけ 200604
身の前に山一つ置く懐手 村越化石 200701
禰宜道を禰宜懐手して去ぬる 萩谷幸子 雨月 200701
何ごとも忘れたきとき懐手 加藤志峰 200702
不忍池に佇ちて無頼の懐手 加瀬美代子 200702
人まばら骨董市の懐手 名和政代 万象 200702
懐手未だ解かざる父のをり 相良牧人 200703
雄渾の書に眼を凝らす懐手 足利徹 ぐろっけ 200703
懐手おもむろに解き納得す 三枝正子 万象 200703
懐手貧乏神もきつとする 定梶じょう あを 200703
陸橋の下の灯を見る懐手 中田みなみ 200703
織田作の碑に懐手解く漢 山本漾子 雨月 200703
長寿眉の夫の留守居に懐手 島村久枝 200703
これと言ふ悩みもあらず懐手 池田崇 200704
一領具足の裔を自認の懐手 北村桂石 春燈 200704
うとまれているとは知らず懐手 永井雪狼 200704
一瞥のあとの黙礼懐手 木場田秀俊 200705
知りたきは己がことなり懐手 篠藤千佳子 200705
神農祭はじまるまでの懐手 城孝子 火星 200802
弓神事見守る禰宜の懐手 金田美恵子 ぐろっけ 200802
沈黙の流れ星まつ懐手 四條進 200802
懐手してビル街の小商ひ 藤原はる美 200803
苦虫のポーズ決まりし懐手 泉田秋硯 200803
御祝儀の手締めの外の懐手 坂口夫佐子 火星 200803
伝承の技に解きたる懐手 平子公一 馬醉木 200803
ほどほどの思案にほどく懐手 間宮あや子 馬醉木 200804
太平洋望む龍馬の懐手 山中宏子 200804
的確に指図とばして懐手 世古幸久 200805
優勝力士のパレードを待つ懐手 渡邉紅華 酸漿 200805
懐手解いて論敵との握手 木村享史 ホトトギス 200806
通ぶつてマーラーを聴く懐手 勝原文夫 ペン皿 200811
万雷の拍手のなかの懐手 松田都青 京鹿子 200901
些事ひとつ明日へまはせり懐手 北岸邸子 春燈 200902
ふんだんに日差しのありて懐手 川田好子 風土 200903
子を叱る龍馬を真似し懐手 塩路隆子 200903
持ち駒を使ひ果して懐手 近藤幸三郎 風土 200903
懐手解くも切札なかりけり 山崎靖子 200903
着せられて男の子小さき懐手 遠山みち子 200903
結論は既に出しをり懐手 長谷英夫 馬醉木 200904
行く末の見えてきたりし懐手 高橋将夫 真髄 200907
荷解きはあなた任せや懐手 森下康子 201002
龍馬像太平洋の懐手 平尾圭太 ホトトギス 201002
懐手女もすなる楽屋うら 大内佐奈枝 万象 201003
ふらり来て仲をとりもつ懐手 千田敬 201003
動かせぬ腕おのづから懐手 水原春郎 馬醉木 201003
やりとりを見て見ぬふりの懐手 呂秀文 春燈 201004
事も無げに彼も逝きけり懐手 千田一路 201004
懐手ほどき子供を抱きしめる 岸上二條 201004
猜疑心懐手から深まりぬ 本島むつみ ろんど 201004
泰然とあごでしやくりし懐手 陳妹蓉 春燈 201004
清張の百年組める懐手 山田弘子 ホトトギス 201005
晩成で終はるのもよし懐手 布川直幸 201011
懐手解体新書腑分の史 清水美子 春燈 201102
本開きうなづいてゐる懐手 高橋照子 雨月 201103
懐手の座長と四方山話かな 小原登志春 雨月 201103
人生を達観したる懐手 村上悦子 雨月 201103
興乗りてきて懐手解きにけり 川崎良平 雨月 201103
懐手ほどかず自説押し通す 石井清一郎 馬醉木 201104
乾坤を入れし懐手なりけり 柳川晋 201108
元日の道に出てゐる懐手 山尾玉藻 火星 201201
懐手得体の知れぬ飛散かな 篠田純子 あを 201201
懐手解きて送らむVサイン 阪本哲弘 201202
懐手解かねばならぬ人が来る 大西よしき ろんど 201203
懐手解きておもかろ味見役 相良牧人 201203
懐手川風がまた尖り来ぬ 浅井吉雄慈 夕端居 201203
懐手梅の万蕾くぐりくる 山尾玉藻 火星 201203
待ち合はせ女もしたる懐手 野口喜久子 ぐろっけ 201203
懐手男の死角見てしまふ 杉井真由美 京鹿子 201204
懐手たぐり寄せてる記憶かな 杉井真由美 京鹿子 201204
懐手五指ソックスは末広に 有本惠美子 ろんど 201204
祖師堂に佇つ番僧の懐手 折橋綾子 201204
懐手して小走りの商店街 福島松子 ぐろっけ 201205
懐手に潮の目を読む漁師かな 北崎展江 くりから 201209
映画街の夕日の陰り懐手 和田政子 201301
懐手決りて拍子木響きたる 大日向幸江 あを 201301
大樹見上げ我は小さし懐手 安田一郎 京鹿子 201303
返答を待たれてゐたる懐手 林昭太郎 201303
二階まで何の用かと懐手 秋田直己 ぐろっけ 201305
床柱背に懐手髭の祖父 村田とくみ ぐろっけ 201305
コーヒーを飲みたいと言う懐手 上野かりん ろんど 201305
五十六億七千万後の懐手 水野恒彦 夢寐 201306
体温を抱へ込みをり懐手 中島玉五郎 201401
舞姫を読み終へてより懐手 常田創 201401
懐手ぬっくと解いて王手かな 堀田清江 雨月 201401
目をこらし探す星座や懐手 大内由紀 末黒野 201403
上棟をじっと見守る懐手 井口淳子 201403
懐手の庭師の見上ぐ宮の松 北岸邸子 春燈 201403
懐手して見る懐手の龍馬 岩岡中正 ホトトギス 201404
懐手にて蕉像は夜動く 稲畑廣太郎 ホトトギス 201501
我に似し龍馬の腹や懐手 稲畑廣太郎 ホトトギス 201501
懐手→ 2      

 

2021年1月14日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。