2      200句

顔剃らせゐて梟のことおもふ    橋間石

作品
作者
掲載誌
掲載年月
シンメトリー梟が中心にゐる 若林由子 銀化 200303
梟と耳の大きさ比べたり 延広禎一 200303
眠剤も酒も腹中梟啼く 林翔 200303
婆様のお伽噺と梟と 大塚まや 京鹿子 200303
首廻す梟星座早見盤 延広禎一 200304
国病めり梟も亦眼を病めり 坂井法 200304
梟の身を細くせしとき獲物 志鳥宏遠 ホトトギス 200305
梟のおおぶねに乗る書写泊り 禰寝瓶史 京鹿子 200305
半眼のまま梟になりすます 柴田朱美 京鹿子 200305
梟が鳴く帰らねば帰らねば 今井千鶴子 ホトトギス 200305
わが夢に梟の来て眠りけり 石川英利 百鳥 200305
梟に呼ばれてゐたり稿を措く 木船史舟 200306
梟の昼間も見えるてふ話題 稲畑汀子 ホトトギス 200312
梟を衣としたる寒九かな 岡井省二 省二全句集 200312
ほうほうとロシア梟鳴く白夜 堀田清江 雨月 200312
梟啼きこころもとなき旅夜かな 片山喜久子 雨月 200401
白梟今宵も同じ木を握り 天野きく江 200402
梟や線香半ばまで灰に 木下野生 200403
梟や子(ね)の刻を打つ柱時計 太田寛郎 200403
離れゐるらし梟の夫婦らし 井上信子 200403
梟に呼ばれて呼びて風邪心地 泉田秋硯 200403
梟やワインの栓に手古ずりし 吉田島江 火星 200403
夕餉あと梟の事ふと聞けり 村越化石 200404
梟や俎板に水ざぶざぶと 木下野生 200404
梟の前を何度も通りけり 谷口佳世子 200404
梟の視野に入りたる水の月 吉田明子 200404
梟や刃物眠らぬ夜の厨 野沢しの武 風土 200408
お土産に魔除けの梟買ひにけり 名取富子 帆船 200408
梟がみじかき着物きせくれし 八田木枯 夜さり 200409
梟や父の思ひ出呼び戻す 林敬子 酸漿 200409
梟の巣立ちて十日出会ひけり 野々村紫 百鳥 200410
いつの間に眠りしか覚め青葉梟 中山純子 万象 200410
梟の森の葉ずれの音と聞く 稲畑汀子 ホトトギス 200412
梟の鳴く森抜けて行く山路 稲畑汀子 ホトトギス 200412
梟は軒にままごとの子の二人 滝沢伊代次 万象 200412
半眼のまま梟になりすます 柴田朱美 京鹿子 200501
梟に大いなる気を貰ひたる 近藤きくえ 200501
梟の嘴なきまでにふくらめる 鷹羽狩行 200501
梟がふた声鳴きて寺の鐘 土肥屯蕪里 雲の峰 200501
白梟首で指図の懐手 東亜未 あを 200501
梟や眺めてゐたる多宝塔 植木戴子 200502
梟のはらわたの色朱とおもふ 戸栗末廣 火星 200502
梟やむかしの闇は手で押して 鈴掛穂 200502
黙想の梟森を知りつくす 安藤しおん 200502
梟やとしより行方不明とか 木下野生 200503
梟の啼きたる腓返りかな 杉浦典子 火星 200503
梟に噴火の灰の降る夜かな 溝口ゆき 百鳥 200503
梟や瞑りて目の無くなりぬ 中杉隆世 ホトトギス 200504
木の洞に梟の子が春を待つ 竹内弘子 あを 200504
眼閉ざす白梟の白昼夢 伊嶋淡々 200504
梟のゐさうな森へ入りにけり 渡辺素子 帆船 200504
梟の目をして本心打ち明ける 瀬下るか 200504
ひそめるを梟ふくろと騒ぎたて 大橋敦子 雨月 200504
逢ひたしよ梟に目をつぶらるも 大橋敦子 雨月 200504
森と湖守り梟敬へる 松田雄姿 百鳥 200505
梟に呼ばれて呼びて風邪心地 泉田秋硯 黄色い風 200505
梟や余計なものに腕時計 井上菜摘子 京鹿子 200506
梟へじねんじよ掘りの穴のこる 定梶じょう あを 200512
梟やもう夢の中でしか逢へず 竹内悦子 200601
梟に腕あれば腕組むならむ 広渡敬雄 200602
梟の首のぐるりと日本海 岩月優美子 200602
梟の夜は少年でゐたりけり 戸栗末廣 火星 200602
梟の声の波動に寝まり入る 岩月優美子 200602
梟に待たれて月の濃くなりし 渡邊千枝子 百鳥 200602
梟に湯殿の音をこぼさざる 山尾玉藻 火星 200602
呟きかはた溜息か梟よ 柳生千枝子 火星 200602
梟のもの言ひたげに無表情 中上馥子 春潮 200602
ミネルヴァの梟つばさ広げゐる 近藤喜子 200602
メール打つメール打たぬと梟は 岡崎桂子 対岸 200602
知らぬ貌して野鼠ねらふ梟よ 宇田喜美栄 200603
梟の誰しも老ゆと鳴いてをり 中田みなみ 200603
梟や柩の部屋に灯のあふれ 杉浦典子 火星 200603
梟のはらわたの色朱とおもふ 戸栗末廣 火星 200603
言ふなれば仏頭として縞梟 天野きく江 200603
店番の梟客に知らん振り 高尾豊子 火星 200603
梟の狩を夜つぴて覗きをり 吉田明子 200604
梟にびつくり箱を置いてくる 松原仲子 200604
腹呼吸で梟の声真似にけり 遠藤止観 200604
梟のゐて張りつめてゐる空気 高橋将夫 200604
梟の檻に哲学者の眼 大津立子 ホトトギス 200605
囚はれの身の梟に虚空のみ 大津立子 ホトトギス 200605
梟の淋しきときも目をひらく 直江裕子 京鹿子 200605
梟の大觀念の夜ばたらき 吉村たけを 海市蝶 200606
ユーカリの古木の梟ひ園薄暑 西村しげ子 雨月 200608
月草のいろ損はず梳黄梟 風間史子 200611
梟の鳴く夜は父の膝に居る 田中藤穂 あを 200701
梟の狩を夜つぴて覗きをり 吉田明子 200701
梟やオルガンの音にしたりたり 本多俊子 200702
梟の鳴く夜はこはし母の陰も 稲岡長 ホトトギス 200703
梟や母なき夜爪切つてをり 杉浦典子 火星 200703
梟やここに行きつき蝦夷住まひ 岸田爾子 200703
梟にアンモナイトの光かな 本多俊子 200703
梟や恋に狂ひし夜もあり 苑実耶 200705
梟や癖になりたる子の夜泣き 福場朋子 200711
梟の暗く森深く踏み入りぬ 稲畑汀子 ホトトギス 200712
梟の声のとどけり歳徳神 滝沢伊代次 万象 200801
梟や夫のこころに母のゐる 城孝子 火星 200802
梟の鳴く夜や心やすらげる 近藤きくえ 200803
梟に見えゐて真闇あたたかし 工藤義夫 馬醉木 200803
書き迷ひをれば梟短か啼き 風間史子 200803
梟の貌たひらなり雪が来る 城孝子 火星 200804
梟の鳴く夜を早寝急かされし 青山悠 200805
まづ片目より梟の眠くなる 山田弘子 ホトトギス 200805
梟や夫のこころに母のゐて 城孝子 飛火野 200808
梟や知り尽しゐて知らぬ顔 小泉貴弘 筑波の道 200811
梟や明日のために素読して 酒本八重 200812
梟の木の奥に在る闇おそろし 柳生千枝子 火星 200812
梟や文芸の血を搾りたく 水野恒彦 200902
梟よ右向けば灯が見えますか 井上信子 200902
梟はと見かう見せりたのしかろ 戸田和子 200902
梟と朱鷺生ひ立ちに大差あり 佐藤山人 200902
梟の棲んでゐさうな木のポスト 諸岡和子 200903
森で遇ふ男は梟かもしれず 山田暢子 風土 200903
梟の真紅の手毬よ飛んで来い 山崎彩 炎環 200904
梟を見てきしヒトの大きな目 貝森光洋 六花 200904
梟や森への祈り斧御神酒 近藤きくえ 200904
梟のほうと暮れゆく熊野の湯 川崎良平 雨月 200904
梟の心は毬のごとくなり 高橋将夫 200904
墨をする匂ひ梟ねむる頃 梶浦玲良子 六花 200904
月の夜に鳴く梟よ貌見せよ 佐藤弥生 炎環 200905
梟は一貫非戦主義者たり 佐藤山人 200905
思ひ寝をして梟の来てゐたり 齋藤厚子 200905
梟の首の回転陽の古木 伊藤希眸 京鹿子 200906
梟やいくとせ斧を入れぬ山 鷹羽狩行 200912
梟のうしろの正面やはり顔 北川英子 200912
梟の森をうしろに越天楽 山尾玉藻 火星 201001
大風の夜の梟を思ひをり 蘭定かず子 火星 201003
梟や大樹の虚に声宿し 和田満水 201003
梟や古墳の中の星宿図 木間春星 遠嶺 201003
梟は聞き上手なり眼閉ぢ 曷川克 遠嶺 201003
梟の洞にこもりて啼きつづく 阿部月山子 万象 201003
梟の声の間遠や風の夜 吉田晴子 201003
止り木に睡る梟師走来る 瀬戸悠 風土 201003
梟の鳴いて闇夜を深めゆく 松田明子 201004
梟の闇の深みへ寝落ちけり 森茉明 京鹿子 201004
梟がもつとも非戦訴へし 大牧広 201004
梟の常闇父に句集あり 水野恒彦 201005
梟のまつすぐな眼に見つめられ 川越寛子 201005
春満月影絵の梟三羽ゐて 西山美枝子 酸漿 201007
梟に森の妖精目覚めけり 稲畑廣太郎 ホトトギス 201012
梟に山家の生活覗かれて 稲畑廣太郎 ホトトギス 201012
梟や大樹の虚(うろ)は声宿し 和田満水 201101
夜までは梟覚めず石と化す 泉田秋硯 201103
遠き日のケルトの裔(えい)か縞梟 水野恒彦 201103
梟よ布団のすそに死神が 定梶じょう あを 201104
眠れない子と梟のうた聴かむ 辻美奈子 201104
梟の断りの声雨となる 白石不舎 201105
梟を肩に乗せたる少年期 水野恒彦 201105
梟の二十五時てふ目覚かな 稲畑廣太郎 ホトトギス 201112
梟の羽音に竦むバードショー 川崎利子 201201
梟や大聖歓喜自在天 竹内悦子 201202
梟の首の収まる微調整 相良牧人 201202
梟の言祝栞る槐歳時記 雨村敏子 201202
梟に声かけてやる「さみしいか」 塩路隆子 201202
梟と病ひとつを恃みとす 杉浦典子 火星 201202
梟は目玉に映る月を見る 續木文子 あを 201203
梟に和したくて吹く壜の口 井原美鳥 201203
裏庭の梟の声森静か 神田惣介 京鹿子 201203
梟や母はなかなか頷かぬ 奥田筆子 京鹿子 201203
図書館が閉館の森梟啼く 定梶じょう あを 201204
梟の目玉の中に夜潜む 貝森光洋 六花 201204
梟のこゑも納めし杣の棺 佐藤山人 201204
梟の闇のうしろにゐるふくろふ 井上菜摘子 京鹿子 201205
梟の巣籠り仰ぐ禰宜とをり 北崎展江 くりから 201209
聞きしことあり梟の女ごゑ 井上信子 201301
卒寿に賜ふ梟皿や冬帽子 南奉栄蓮 風土 201302
梟の目をまるくせり月に蝕 定梶じょう あを 201302
梟のこゑして杜の闇親し 佐津のぼる 六花 201302

祝近藤喜子様句集上梓

梟と遊びし森に太き槐

竹中一花 201302
梟や谷へだつ灯は如意輪寺 西村梛子 馬醉木 201303
梟は賢きまなこしてゐたり 酒本八重 201303
梟の瞳のしんと雪眠らせて 園部早智子 ろんど 201303
ミネルヴァの梟つばさ広げゐる 近藤喜子 ミネルヴァの梟 201303
梟のうしろに目あり蘭奢待 伊藤希眸 京鹿子 201304
楡の木の縞梟なりパンの耳 中島陽華 201306
目が馴れて縞梟に近くゐる 水野恒彦 夢寐 201306
乱世の梟雄の貌いなびかり 柳川晋 201312
梟の声の真上が月の道 瀧春一 花石榴 201312
鎌月をかかげて森に梟棲む 豊田都峰 京鹿子 201402
梟啼く通夜堤燈の灯りのみ 丸井巴水 京鹿子 201402
梟や夕餉楽しく始まりぬ 中貞子 201402
梟の棲む山の端に月出でし 杉浦典子 火星 201402
梟に母の朱の椀つかひをり 山尾玉藻 火星 201402
如意祝賀鯨梟馳せ来たる 岩下芳子 201402
梟やおとろへゐたる糸切り歯 山田美恵子 火星 201403
梟の一こゑ闇の深くなる 岩月優美子 201403
梟の好きな主治医を恃みとす 松井志津子 201403
梟や凡の月日は無音なり 水野恒彦 201404
梟や冷めてをりたる鍋のもの 蘭定かず子 火星 201405
梟が啼きむささびの飛ぶところ 中杉隆世 ホトトギス 201405
梟に一拍遅れの夏が来る 奥田筆子 京鹿子 201409
梟の夜や文鎮に紅の房 山尾玉藻 火星 201501
胸奥に梟の声受け止める 大川ゆかり 201502
梟や耳掻くときは目をつむり 甲州千草 201502
梟や眉の山より画き足せり 井上静子 201502
闇なれや梟赤き目を持ちて 竹内悦子 201503
縞梟終にコタンの木彫買ふ 土屋草子 ろんど 201504
見て通るのみ梟の巣のある木 大畑善昭 201505
梟の足踏み替ふるばかりなり 相良牧人 201505
梟鳴く森はみどりの煙立つ 伊藤希眸 京鹿子 201506
夜の梟雛を盗りたる少年に 大畑善昭 201506
梟→3      

 

2021年1月14日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。