抱 卵     92句

抱卵の気の澄み地動ゆるやかに   長谷部朝子

抱卵  卵抱く

作品
作者
掲載誌
掲載年月
抱卵の鳥仰ぎたる胸からつぽ 浜口高子 火星 199808
抱卵の尾長の頭ありベレー帽 守屋井蛙 酸漿 199908
おくれ毛にほどのよき風抱卵期 丸山佳子 京鹿子 199908
抱卵の鳩を見上げて松手入れ 清水明子 遠嶺 199912
抱卵期聖母子画像壁に古り 田中藤穂 水瓶座 200002
白鳥抱卵水のゆくてに蝶のとび 渡邊牢晴 雨月 200009
みづかきをどう分け振るや抱卵期 中原道夫 銀化 200103
わらしべの椎に吹かるる抱卵期 深澤鱶 火星 200108
常よりもはずむ瀬音や抱卵中 丸山佳子 京鹿子 200108
木もれ日や抱卵のごと妻を抱く 阿部吉友 海程 200108
抱卵期回送列車をはべらせる 伊藤翠 船団 200109
秋の雨雉鳩抱卵しつづける 森理和 あを 200111
原爆忌抱卵の眼の険しかり 甲斐よしあき 百鳥 200111
かはたれに睡気もよほす抱卵期 八條凛子 銀化 200205
「P」」奥に一時あづかり抱卵中 丸山佳子 京鹿子 200205
抱卵の鶏に落花の二三片 鈴木恭子 200206
交錯の枝の張りづめ抱卵期 加瀬美代子 200206
黒潮の島へ島へと抱卵期 中村智恵子 200206
水脈曳きて舟帰り来る抱卵期 湯浅夏以 遠嶺 200208
雨の中抱卵の軽鴨身じろがず 上原カツミ 帆船 200209
稜線のふくらんで来る抱卵期 志立佐知子 200304
七福の一神在し抱卵中 丸山佳子 京鹿子 200305
樹の影をふんで気付きし抱卵中 丸山佳子 京鹿子 200306
抱卵の鴨の眼尖る双眼鏡 大沢美智子 200309
細腰に帯の撓りや抱卵期 佐々木国広 築港 200406
春雨や抱卵の鶏身じろがず 望月知恵子 万象 200407
青葦の青立ち騒ぐ抱卵期 大野里詩 帆船 200407
遠き海を見つめつづける鵜の抱卵 辻恵美子 栴檀 200407
かすかなる水音森に抱卵期 生方ふよう 200408
松落葉抱卵の鳩嘴あけて 竪ヤエ子 京鹿子 200409
抱卵の雉子に気付かず通りけり 長田秋男 酸漿 200507
抱卵のあひるや桜舞うてをり 中里とも子 百鳥 200507
抱卵の雉子目をつむる夕月夜 須永トシ 栴檀 200508
盛り砂に城の白鳥抱卵中 丸山佳子 京鹿子 200508
対岸の雨にけぶれる抱卵期 中村智恵子 200601
柚子回る湯に抱卵の鶏ごこち 安藤しおん 200602
遠くから盗み撮りされ抱卵中 丸山佳子 京鹿子 200605
抱卵のうすもも色に春の海 栗栖恵通子 200605
抱卵の雌に距る雄の拠枝 品川鈴子 ぐろっけ 200606
抱卵期の鳧羽立てて襲ひ来る 石垣幸子 雨月 200606
夕さりの空青々と抱卵期 高橋澄子 200706
森は音洩らさぬやうに抱卵期 北川英子 200707
抱卵の木立を抜けて忌を修す 千田百里 200707
ことごとく波光茫と抱卵期 高橋さえ子 200708
花見船眺め白鳥抱卵期 宮川秀穂 200708
あの山の答えは一つ抱卵中 丸山佳子 京鹿子 200805
抱卵の木のあり雛まつりかな 天野きく江 200805
春の夢鳩サブレーの抱卵す 森岡正作 200806
抱卵期昨夜の残り湯捨つるなり 風間史子 200807
漸くに抱卵気配燕の巣 駒井のぶ 200808
抱卵の鳩の目きびし袋掛け 林和子 200809
抱卵の白鳥かがむ杜鵑花垣 鍋島広子 万象 200810
膝の上のそぼろ弁当抱卵期 山尾玉藻 火星 200904
神様にかしは手控えめ抱卵中 丸山佳子 京鹿子 200905
朝靄の森のひそひそ抱卵期 北川英子 200906
陰陽の五色のサラダ抱卵期 卜部黎子 春燈 200906
抱卵期座蒲団を敷く力石 甲州千草 201006
抱卵の胸毛吹かるる金峰山 雨村敏子 201007
抱卵の飛花にも聡きフラミンゴ 足立典子 雨月 201007
抱卵の雉子の瞼を日の跨ぐ 梶浦玲良子 六花 201103
抱卵の小鳥目瞑る夕朧 中島静子 酸漿 201106
王道は読み書きそろばん抱卵期 木戸渥子 京鹿子 201107
牽制の声けたたまし抱卵期 中村ふく子 201108
木の上に鷺の吹かるる抱卵期 竹内弘子 あを 201108
抱卵の鳩に見らるる私生活 石川笙児 馬込百坂 201206
抱卵の山鳩の眼に夕日満つ 須賀充子 パミール越え 201206
抱卵の鶏のまばたき涅槃西風 久保東海司 201208
巣の鳰の耳利き目ききして抱卵 和田照海 京鹿子 201210
抱卵の鳰と目の合ふ雨上り 宮地静雄 末黒野 201210
阿吽の息に抱卵代はる浮巣鳰 横山昭子 雨月 201210
薫風に抱卵の鳩声もらす 酒井秀郎 返り花 201211
抱卵のやうに村抱く初日差 布川直幸 201301
抱卵の髭の鋭声や古墳みち 窪田粧子 馬醉木 201307
黒南風や抱卵の鶏瞼閉ぢ 柿本麗子 千の祈り 201307
抱卵期花粉を抱きし杉桧 塩貝朱千 京鹿子 201406
ダーウィンの髭ふくよかや抱卵期 江澤弘子 201408
抱卵期防犯カメラ増ゆるなり 甲州千草 201505
藪に入り抱卵の雉子おどろかす 木下慈子 馬醉木 201506
冠羽立て朱鷺の夫婦の抱卵季 山口ひろよ 201508
島裏に抱卵の海猫ひしめけり 上谷昌憲 201510
抱卵の紅のほんのり干鰈 佐津のぼる 六花 201706
またたきて星座さだまる抱卵期 岡部玄治 201707
抱卵の雉身動がぬ草の中 石橋邦子 春燈 201707
重すぎる固定装具や抱卵期 甲州千草 201805
葛飾の森は大きな抱卵器 福島茂 201806
嘴かはし抱卵かはる鳰 大橋淳一 雨月 201809
抱卵の気の澄みわたり御代うつる 能村研三 201906
風の名のあまたありけり抱卵期 栗原公子 202005
建礼門しんと御苑の抱卵期 浅田光代 風土 202006
瑠璃色の缶のクッキー抱卵期 平松うさぎ 202107
沖の小島の四月や海猫の抱卵期 浜福惠 風土 202107
青葉冷抱卵の鳥眼をつむり 木暮陶句郎 ホトトギス 202201
軒下のしづまつてゐる抱卵季 秋津令 202211

 

2023年5月4日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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