蛍 袋 1      200句

高階に無聊の螢袋かな   斎藤嘉久   獐

作品
作者
掲載誌
掲載年月
蛍袋何に触れむと指入れし 能村登四郎 長嘯 199200
蛍袋のぞいて蛍など見えず 能村登四郎 199807
ははがりや螢袋のぞくぞくと 水野恒彦 199810
ひとりきてほたるぶくろを綴りゐる 内田美紗 船団 199811
山蟻の揺籃ほたるぶくろかな 大島雄作 199901
若者らほたるぶくろの言葉喋る 若森京子 船団 199903
螢袋の内の雀斑こぼれさう 夏秋秋子 ヒッポ千番地 199905
ひそむもの蛍袋の影となす 山田弘子 円虹 199908
螢袋に隠れ間もなく忘らるる 小川真理子 銀化 199909
母の忌の明けたるほたる袋かな 武井美代子 風土 199910
蛍袋うなだれ咲きの雨を呼ぶ 能村登四郎 芒種 199911
傷付けし蛍袋を悲しめり 曽根久順 200007
満室と螢袋の点りける 利根川博 銀化 200007
妻死後の白花ほたるぶくろかな 神蔵器 風土 200008
杉林の入口ほたる袋咲く 勝又寿ゞ子 200008
有刺鉄線の中のほたるぶくろかな 島田和子 風土 200009
寝まりけり螢袋に螢入れ 茂里正治 200009
螢袋のうしろに立ちし女かな 西田美智子 200010
思はせぶりな蛍袋のからつぽ 坂本敏子 京鹿子 200011
灯を入れて螢袋に案内さす 中原道夫 銀化 200107
言質こそ螢袋に仕舞はれよ 松本康司 銀化 200107
俯きしほたるぶくろと雨を聴く 入船亭扇橋 馬酔木 200108
ほたるぶくろ咲いて蕪村の母の里 神蔵器 風土 200108
螢袋に指入れて人悼みけり 能村登四郎 200108
螢袋仰向けにして埒もなし 能村登四郎 200108
螢袋何に触れむと指入れし 能村登四郎 200108
ほたるぶくろが呑んでしまつた安定剤 柴田朱美 京鹿子 200108
螢袋の数ほどに花の愁ひかな 大曽根育代 遠嶺 200109
蛍袋指したる背のはや歩む 西山美枝子 酸漿 200109
咲いてすぐ日暮れを抱けりほたるぶくろ 田村みどり 京鹿子 200109
愛されし螢袋を供華となす 渕上千津 200109
俳磚に傾く蛍袋白 中島真沙 円虹 200109
蝶が来て蛍袋の夢覗く 中島真沙 円虹 200109
すぐに出て行かれしほたるぶくろかな 亀丸公俊 銀化 200109
恋文はほたるぶくろの中にあり 三崎由紀子 遠嶺 200110
鬱の字を螢袋にしまひけり 田中芙美 遠嶺 200110
螢袋われを呼びゐる夫の声 木野本加寿江 火星 200110
ほたるぶくろ高倉健の大き耳 綾部あや 海程 200110
すこし揺れ螢袋のなか羽音 岡部玄治 200110
羨しさや螢袋に虫かくれ 能村登四郎 羽化 200110
螢袋のぞいて螢など見えず 能村登四郎 羽化 200110
横丁の蛍袋は歌右ヱ門 木山杏理 京鹿子 200111
螢袋ゆふべの月の死に籠る 山崎未可 銀化 200207
おもかげをしまひしほたるぶくろかな 鈴木庸子 風土 200208
蛍袋師悼む花となりにけり 廣島泰三 200208
一切を納めて螢袋かな 高橋将夫 200208
蛍袋はびこり余生人見知り 品川鈴子 ぐろっけ 200208
夜も白き螢袋へ耳澄ます 中島あきら 200209
蛍袋の栖となれる更地かな 田中呑舟 火星 200209
供華なにもなしとてほたる袋摘む 熊岡俊子 雨月 200209
負ひし荷のほたる袋となりしかな 島貫アキ子 銀化 200209
わが句碑に蛍袋の咲き添へる 阿部ひろし 酸漿 200209
支へられ蛍袋は溢れ咲く 小林れい 酸漿 200209
一茎に螢袋の多きこと 芝尚子 あを 200209
花白きほたるぶくろは昼の花 長沼紫紅 200209
ダムとほくほたるぶくろはまだ咲かず 長沼紫紅 200209
雨落ちてほたるぶくろを濡らしけり 長沼紫紅 200209
まだ濡れてゐるほたるぶくろを切る 長沼紫紅 200209
昼は昼の灯をともしほたるぶくろかな 長沼紫紅 200209
登つて下る螢袋は霧に堪へ 堀内一郎 あを 200209
三日ほど螢袋にひそまむか 小澤克己 遠嶺 200210
夕星を螢袋に一つ入れ 上田繁 遠嶺 200211
白檜曾や螢袋の色の濃し 芝尚子 あを 200211
いつぽんの蛍袋の雨催 吉田康子 青山椒 200303
夜の隅をあえかに螢袋かな 若生まりあ 遠嶺 200306
切岸の蛍袋も刈られけり 阿部たみ 酸漿 200307
小糠雨蛍袋を包み降る 村越化石 200308
葬のあとほたるぶくろを揺らす風 福井隆子 対岸 200308
母の日の螢袋を見てゐたり 小野さとし 対岸 200308
しろばなほたるぶくろ悲のいろ灯しをり 宮川みね子 風土 200309
不動尊へしるべのほたるぶくろかな 林裕子 風土 200309
わたつみの翳りし螢袋かな 水野恒彦 200309
石臼の音ある蛍袋かな 伊藤多恵子 火星 200309
われに向くほたるぶくろの花一つ 岡本眸 200309
何秘めしほたるぶくろの花の数 岡本眸 200309
咲きのぼるほたるぶくろの花淡く 岡本眸 200309
何の愁ひもなくてほたるぶくろかな 岡本眸 200309
ほの赤きほたるぶくろの花が好き 岡本眸 200309
灯がもれるいつむななやほたる袋 奥田筆子 京鹿子 200310
禅林の風栖むほたるぶくろかな 木村仁美 馬醉木 200408
まなざしの螢袋にありにけり 雨村敏子 200408
生も死も白花ほたるぶくろかな 神蔵器 風土 200408
蛍袋よそよそしくて愛されて 福嶋紀子 築港 200408
父の忌のほたる袋の白きかな 芝尚子 あを 200408
鄙の出の吾妹にほたるぶくろかな 北崎珍漢 草の花 200409
父恋へりほたる袋のうつむく日 淵脇護 河鹿 200409
病室のみたりに蛍袋かな 椿和枝 200409
にはか雨螢袋が見つからぬ 湯浅夏以 遠嶺 200410
卓上のほたる袋はすまし顔 霜嵜恵美子 六花 200410
てのひらの螢袋の中光る 西澤ひで子 遠嶺 200411
夕星の仮眠にほたるぶくろ貸そ 工藤進 200501
一切を納めて蛍袋かな 高橋将夫 星の渦 200507
蛍袋一つはそつぽむいてをり 塩川雄三 築港 200508
太宰忌の近づくほたるぶくろかな 神蔵器 風土 200508
披講百句蛍袋の耳澄ます 鈴木とおる 風土 200509
離山房の白花ほたるぶくろかな 林裕子 風土 200509
?旧道に灯りて螢袋かな 小野さとし 対岸 200509
懐古園ほたるぶくろが花ともす 阿部ひろし 酸漿 200509
病める吾は蛍袋の中にゐる 堀弓子 築港 200509
どの花も日に透き蛍袋かな 長沼紫紅 200509
ははの世の螢袋を覗きこむ 水野恒彦 200510
螢袋抜きゐて虚空蔵菩薩 竹内悦子 200510
目覚めとはほたるぶくろを出る思ひ 門脇なづな 対岸 200510
蛍袋しんと山気の集まれり 塩谷康子 百鳥 200510
螢袋の袋の小さし伊吹山 辻恵美子 栴檀 200510
卓上の螢袋は触るるもの 渡辺輝子 200510
目藥に蛍袋のひとしづく 木山杏理 京鹿子 200511
聞いてやる螢袋のひとりごと 尾堂Y 河鹿 200512
田をすこし離れてほたるぶくろかな 阿部ひろし 酸漿 200607
ほたるぶくろ覗き優しき眼となりぬ 鈴木恭子 200608
語部のそばかす螢袋にも 吉田明子 200608
ほたるぶくろ仄々白し梅雨の島 阿部ひろし 酸漿 200608
師の忌来る蛍袋がもう咲くか 三嶋隆英 馬醉木 200609
足許に蛍袋や仏道 福澤乙 酸漿 200609
過ぐる日や蛍袋の雨に破れ 坪井洋子 200609
唇や螢袋や濃むらさき 黒田咲子 200610
ほたるぶくろ白きが島に誘へり 井口初江 酸漿 200610
雨が打つ蛍袋の白きこと ことり 六花 200707
蛍袋の花壺ひしゃぐ何とせむ 大橋敦子 雨月 200707
山螢袋へ老いの目を寄する 伊藤白潮 200708
桂郎と黙契ほたるぶくろかな 神蔵器 風土 200708
窯出しをきのふに蛍袋かな 神蔵器 風土 200708
句ともがらの縁や蛍袋の白 樺山翠 雨月 200708
蜂入れて螢袋の一とゆらぎ 大坪景章 万象 200709
袖口に来てをる螢袋かな 竹内悦子 200709
蛍袋震はせて過ぐ谷戸の雨 塩田博久 風土 200709
耳うちに白花ほたるぶくろかな 柿沼盟子 風土 200709
螢袋詠みてかなしき花とせり 宮津昭彦 200709
雨いろの蛍袋の潰えけり 加瀬美代子 200709
蛍袋に朝の日差しのやはらかし 長沼紫紅 200709
疲れ来てほたるぶくろの中に入る 佐々木秀子 200710
俄か雨ほたる袋が見つからぬ 湯浅夏以 遠嶺 200806
蛍袋水琴窟に耳総し 阿部悦子 酸漿 200807
ほたる袋濃淡咲いて師の忌日 久染康子 200808
ほたるぶくろ傾くかたに佐渡の海 阿部ひろし 酸漿 200808
図書館と螢袋の昼点る 宮津昭彦 200808
下刈りののこせる螢袋かな 定梶じょう あを 200808
貧しさはほたるぶくろの白さほど 岡本眸 200808
わりなさは螢袋にあづけおく 森佳子 遠嶺 200809
この先は樹海の深みほたるぶくろ 北川英子 200809
一葉へしろばなほたるぶくろかな 宮川みね子 風土 200809
空部屋アリ絵びら螢袋かな 瀬川公馨 200810
螢袋雨の匂ひの中にをり 榎本慶子 炎環 200810
悔いひとつほたるぶくろに入れしまま 三輪初子 炎環 200811
立子には白花ほたるぶくろかな 神蔵器 風土 200907
ほたるぶくろ咲く含羞の命なり 外川怜子 風土 200907
白昼夢螢袋の揺れてゐる 冨松寛子 200908
蛍袋島の裏にも表にも 川島澄子 酸漿 200908
蛍袋草刈人に賜はれり 石川元子 酸漿 200908
賜はりし蛍袋を供花とせり 石川元子 酸漿 200908
ほたるぶくろにほたるの泊まる話など 浜福惠 風土 200908
蛍袋虻の唸りにふくらみぬ 早崎泰江 あを 200908
妣のこゑ螢袋が呼んでをり 土居通子 ろんど 200909
杖の人蛍袋に語りかけ 吉田美智子 末黒野 200910
含み笑ひしてゐる螢袋かな 小山徳夫 遠嶺 200910
ちひろの絵ほたるぶくろの水にほひ 太田昌子 馬醉木 200911
波音やほたるぶくろの咲きゆるる 大内恵 酸漿 201001
鬱心隠せとほたるぶくろかな 和田政子 201007
登四郎忌ほたるぶくろの中濡れず 菅谷たけし 201008
旅二日螢袋に家あづけ 池元道雄 馬醉木 201009
螢袋祈るに灯す次の間に 大島翠木 201009
ほたるぶくろ今も少女にある背伸び 田部井幸枝 201009
嘘ひとつ入れたる蛍袋かな 小幡喜世子 ろんど 201009
身の上を蛍袋に語る風 伊東和子 201010
蛍袋孕み山湖を渡る風 西川みほ 末黒野 201010
蛍袋薬草園の道しるべ 竹下昭子 ぐろっけ 201010
柳生越え群れ咲く螢袋かな 渡辺数子 火星 201011
夕風に蛍袋の傾ぎけり 白石正躬 やぶれ傘 201012
螢袋残されし日もかく暮れて 竹貫示虹 京鹿子 201106
水音に聴き入るほたる袋かな 松井志津子 201108
螢袋やはらかき時ためてをり 村上絢子 馬醉木 201109
ほたるぶくろ今年は涙袋かな 門伝史会 風土 201109
蛍袋夢をこぼしてしまひさう 安居正浩 201109
叱られて蛍袋の雨しづく 大石誠 201109
門口に螢袋の白ばかり 根橋宏次 やぶれ傘 201109
水滴の傍へ螢袋かな 雨村敏子 201110
二つ三つ並びて蛍袋かな 上辻蒼人 風土 201201
蛍袋四神白虎の声宿る 土居通子 万華鏡 201206
風吹けば蛍袋の灯が揺るる 西村敏子 201208
蛍袋から恥じらいの零れそう 山本孝子 ろんど 201208
立話ほたるぶくろに聞かれゐる 田中藤穂 あを 201208
蛍袋ひかりの湧いてゐる羽田 篠田純子 あを 201208
地震あらば螢袋に逃げ込まむ 千田敬 201209
万葉道螢袋の案内かな 池端英子 ろんど 201209
花園の蛍袋のやすらぎに 松本周一 かさね 201210
螢袋右の窓よりよく見ゆる 竹内悦子 201210
豆腐屋に蛍袋の下がりけり 根橋宏次 やぶれ傘 201309
蛍袋路傍の墓に手向けたる 瀬戸悠 風土 201310
ほたるぶくろ積木の町を灯しゆく 山中志津子 京鹿子 201310
夕凪のきてゐる蛍袋かな 白石正躬 やぶれ傘 201310
夕風に蛍袋のかしぐこと 白石正躬 やぶれ傘 201407
懐紙もて蛍袋を折りくれぬ 山田六甲 六花 201407
蛍袋に寝起きの水を分かちけり 鈴木直充 春燈 201409
虚も実も閉じ込め蛍袋かな 寺田すず江 201409
すき間よりすっくと咲ける蛍袋 和田郁子 201409
休校日ほたる袋の傾ぐまま 白石正躬 やぶれ傘 201410
螢袋咲き町ごとの祭蔵 杉浦典子 火星 201410
瀬のしぶき受けつつほたるぶくろかな 藤井美晴 やぶれ傘 201410
おしやべりは螢袋に聞かせけり 相澤和子 ろんど 201410
蛍ぶくろ人の名忘れやすきかな 高橋あさの 201508
蛍袋→2      

 

2021年6月10日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。