冷 奴 1      200句

冷奴隣に灯先んじて   石田波郷

作品
作者
掲載誌
掲載年月
夕景の中に身を置き冷奴
村越化石
199908
焦るほど上手く挟めぬ冷奴
伊藤一歩
いろり
199908
先のこと煩ら愚か冷奴
久保田一豊
いろり
199908
他人の呆け身にしむ齢冷奴
大平保子
いろり
199908
閑日の強気弱気や冷奴
藤木竹志
馬醉木
199909
兄弟の老いて親しき冷奴
中沢三省
風土
199909
いつまでが豆腐いつより冷奴
朝妻力
俳句通信
199909
冷奴使はず仕舞ひの蔵の鍵
保坂加津夫
いろり
199909
冷奴無病患災とも言へず
水原春郎
馬醉木
199910
愛想良くなれるがくやし冷奴
深澤鱶
火星
199910
冷奴ひとりの夕餉すぐ終る
柳生千枝子
火星
199910
冷奴われ八十の会津つぽ
坂井まさき
六花
199911
冷奴箸が崩してゆきにけり
稲畑廣太郎
廣太郎句集
199912
喇叭吹くほど怒ったあとの冷奴
三宅やよい
玩具帳
200004
京に来て竹一節の冷奴
神蔵器
風土
200007
冷奴となり座敷の泣く声は
保坂さよ
いろり
200007
知己の名をうかと忘るる冷奴
安田登志子
ぐろっけ
200009
梅雨明の雷讃ふべし冷奴
永峰久此古
馬醉木
200010
プレスリーの腰しばらくは冷奴
荒井ふみ
海程
200010
お隣は増築中や冷奴
松本康司
銀化
200010
ふりちんのじゅうぶんに冷奴
本村弘一
船団
200011
俄かには言へぬ人数冷奴
稲畑汀子
ホトトギス
200107
しばらくは貞淑でゐる冷奴
菊池和子
京鹿子
200107
ベートーヴェンにコーダ冷奴におかか
佐藤喜孝
あを
200107
冷奴天井高き山家かな
長戸幸江
百鳥
200108
冷奴孫も好きだと云ってゐる
大平保子
いろり
200108
真つ先に夫の箸ゆく冷奴
芳賀雅子
航跡
200108
冷奴好きで根っから洋酒党
塩路隆子
200109
皿に盛る角きっちりと冷奴
斉藤陽子
雨月
200109
久し逢ふ孫の酒量と冷奴
大平保子
いろり
200109
魁皇が好きと言ふ母冷奴
鎌倉喜久恵
あを
200109
夕風を先づ以て褒め冷奴
村越化石
200110
蒼天を流るるアリア冷奴
高橋将夫
200110
冷奴父にむかしの胡坐あり
辻美奈子
200110
外つ国の緊張とけて冷奴
浦川澄江
雨月
200111
冷奴大ぶりにして独りの夜
貝森光大
六花
200111
娑婆めくや病院食に冷奴
渡辺純
京鹿子
200112
不器用のやもめ暮しの冷奴
鵜飼紫生
雨月
200201
冷奴あと二三回歯の治療
皆吉司
船団
200201
議論などするも楽しみ冷奴
稲畑汀子
ホトトギス
200207
冷奴言葉足らずと思ひつつ
鎮田紅絲
200208
娘よりEメールあり冷奴
保田英太郎
風土
200208
大山詣追分口の冷奴
松本文一郎
六花
200208
冷奴庭石すずろ夕づきぬ
渡邉友七
あを
200208
冷奴無気力といふ気力あり
塩川雄三
築港
200209
役終り妻と落着く冷奴
中島一管
築港
200209
余生とは言へど忙し冷奴
高橋作之助
雲の峰
200209
相槌をうつだけでよし冷奴
石山惠子
遠嶺
200209
冷奴初めて使ふパスポート
早坂トミ子
帆船
200209
価値観の似た者同士冷奴
横山迪子
六花
200209
晩酌も無口の齢冷奴
鎌田篤
雨月
200210
贔屓球団異にす夫婦冷奴
村生翠
雨月
200210
薬売り容れて昼餉の冷奴
根本孝子
春耕
200210
冷奴けふ過不足のなかりけり
長谷川守可
百鳥
200211
箸とめて思ふことあり冷奴
長谷川守可
百鳥
200211
夢一字書きて猊下の冷奴
近藤幸三郎
風土
200211
もしかして吾は良妻冷奴
二瓶洋子
六花
200211
添へてある病院食の冷奴
高橋としを
酸漿
200306
好き嫌ひ言はずにおいて冷奴
塩川雄三
築港
200307
わだかまり解けし夕餉の冷奴
加賀富美江
遠嶺
200309
青空の見えて夕餉の冷奴
伊藤春生
帆船
200309
繰り言は聞き流されて冷奴
瀬口ゆみ子
ぐろっけ
200309
小ぎれいに独りで暮らし冷奴
秋岡朝子
200310
安直な己やしなひ冷奴
溝内健乃
雨月
200310
冷奴一と日の枷を解くいとま
溝内健乃
雨月
200310
冷奴独り暮しの梅酒酌む
岩瀬発
帆船
200310
透き通る忍野の水の冷奴
市川十二代
ぐろっけ
200310
水といふ味のあるもの冷奴
粟津松彩子
ホトトギス
200311
一病を守りて今日あり冷奴
内藤三男
ぐろっけ
200311
一腑なくして恙なし冷奴
江原輝陽子
帆船
200406
冷奴より箸下ろす一人の餉
稲畑汀子
ホトトギス
200407
お節介ぐせがなほらず冷奴
田中藤穂
あを
200407
真空のゆらぎの中の冷奴
高橋将夫
200408
山の気に溺れし夜なり冷奴
浜福恵
風土
200408
からうじて父の座たもつ冷奴
丸山敏幸
200408
持ち古りし夫婦の箸や冷奴
久保田万太郎
春燈
200409
冷奴くづしてつつがなき一日
菅原健一
200409
花かつを生姜添へたる冷奴
二村蘭秋
雨月
200409
頭を支ふ首疲るるよ冷奴
田中藤穂
あを
200409
冷奴薬味刻むは夫の役
年森恭子
ぐろっけ
200409
冷奴しばし無言の父と子と
貝森光大
六花
200410
冷奴するりと思ひかはさるる
彦坂範子
ぐろっけ
200410
わが戸籍ひとりとなりて冷奴
水谷芳子
雨月
200411
絹が好き木綿が良いと冷奴
中島英子
八千草
200411
薬味かえ殖やす一品冷奴
中島英子
八千草
200411
湯上りの薬味ききたる冷奴
吉田眞弓
雨月
200412
冷奴夫の帰りと鉢合せ
小池津や子
帆船
200501
妻といふをんな身近に冷奴
淵脇護
河鹿
200508
冷奴もとより嵯峨の森嘉かな
鈴木榮子
春燈
200508
吸ふよりは吐くが大事や冷奴
高橋将夫
200508
どちらかと言へば木綿の冷奴
大島翠木
200508
サイの目を頑固に守り冷奴
中村みち子
ぐろっけ
200508
思はざる夫の帰宅に冷奴
小川晃枝
馬醉木
200509
あばれ樫剪り透かし来て冷奴
太田具隆
春燈
200509
料理とは言はじ独りの冷奴
木村みかん
200509
好き嫌ひなき家族たり冷奴
吉川ハマ子
築港
200509
小さき謡ひ母と楽しむ冷奴
高千夏子
200509
箸使ひ碧眼細め冷奴
山崎辰見
ぐろっけ
200510
冷奴貴船の床に僧ふたり
山崎辰見
ぐろっけ
200510
上下なき立場となりて冷奴
山崎辰見
ぐろっけ
200510
よく冷えるための直角冷奴
後藤立夫
ホトトギス
200511
花がつを花と散らして冷奴
山口速
200511
冷奴一人住ひに馴れにけり
木田秀子
200511
冷奴の角断ち落す銀の匙
本城布沙女
雨月
200511
一人居にいつか慣れをり冷奴
福澤乙
酸漿
200608
ひとつとやひとりやもめの冷奴
堀内一郎
あを
200608
聞き洩らすことの互ひに冷奴
緑川啓子
馬醉木
200609
照れ隠すための強がり冷奴
倉持梨恵
200609
晩節を汚すでもなし冷奴
生方義紹
春燈
200610
ふるさとの木綿はよろし冷奴
上谷昌憲
200610
共白髪口数減りて冷奴
奥田弦鬼
風土
200610
兄弟の酒量ことにす冷奴
合川月林子
ぐろっけ
200610
箸割つて話切り出す冷奴
木場田秀俊
200611
額縁のなかの笑顔か冷奴
増田整歩
遠嶺
200611
冷奴薬味を変へて昼の膳
池崎るり子
六花
200704
川風の一品として冷奴
豊田都峰
京鹿子
200707
冷奴人生途中の箸をおく
池田光子
200708
当り前のあいさつのごと冷奴
森一枝
八千草
200708
冷奴くづして腹をさぐり合ふ
木場田秀俊
200710
冷奴十年変らぬ距離にをり
林いづみ
風土
200710
買うてみる男前てふ冷奴
野澤あき
火星
200710
老の日は無風に似たり冷奴
田中藤穂
あを
200807
手招けば弾みたる声冷奴
鴨下昭
200808
夫婦して昭和ひとけた冷奴
吉田かずや
春燈
200808
冷奴ぽろりと本音洩らしけり
府川昭子
春燈
200809
脳検査忘れゆつくり冷奴
三角和夫
炎環
200809
テレビでは野茂が引退冷奴
佐藤喜孝
あを
200809
鄙ぶりの薬味大盛り冷奴
山本雅子
馬醉木
200810
くくり猿の五つの赤や冷奴
竹内悦子
200810
新しき箸のひと味冷奴
大木清美子
200810
冷奴長屋住まひをなつかしみ
中原敏雄
雨月
200810
取り寄せの夫の一品冷奴
猪爪皆子
200810
ゆるやかに生きて遊びて冷奴
岩淵彰
遠嶺
200811
酒徒の夫へ一の馳走の冷奴
玉置かよ子
雨月
200811
世に疎きままに老いけり冷奴
高村令子
風土
200811
姉妹とてほどよき距離を冷奴
宮村フトミ
ぐろっけ
200812
冷奴をととひは早や忘じけり
中山純子
万象
200909
昼酒のまはりの早し冷奴
金子隆吉
200909
冷奴ひとりの夕餉すぐ終る
柳生千枝子
火星
200909
冷奴吉野杉箸かをりけり
樋口英子
200909
長命と長寿は異なり冷奴
窪田粧子
馬醉木
200910
受け入るる事と決めたり冷奴
西澤ひで子
遠嶺
200910
めつきりと減りし口数冷奴
大原絹子
遠嶺
200910
冷奴ドイツの旅の締めくくり
遠藤逍遙子
風土
200910
稲荷道抜けてかつ節冷奴
中島陽華
200910
冷奴風縦横の座敷かな
山口まつを
雨月
200910
冷奴有名無名どれも良し
竹下昌子
200910
冷奴風吹きとほる家の中
平野千江
200910
手のひらにたてたてよこと冷奴
河合とき
末黒野
200911
真ん中に臍もつてゐる冷奴
吉村摂護
200911
箸置の鯰大口冷奴
森下康子
201007
冷奴大吟醸を友として
稲畑廣太郎
ホトトギス
201007
冷奴旅も果なる国東に
田中藤穂
あを
201008
喉鳴らし下戸のかつこむ冷奴
上原重一
201008
諍へば吾に分はなし冷奴
塩路五郎
201009
唐突に歳訊かれをり冷奴
阪本哲弘
201009
人呼んで年金酒場冷奴
相良牧人
201009
冷奴ホークとナイフのマナーとか
遠藤実
あを
201010
冷奴くづし気ままな一人酒
有本勝
ぐろっけ
201010
冷奴仲よしけんかといふ処世
岩永充三
201010
冷奴くたくた生きて無失点
松田都青
京鹿子
201010
夕食の時間まちまち冷奴
高田令子
201010
大峰山の名の豆腐屋の冷奴
安部和子
雨月
201011
お品書太き仮名字や冷奴
木下忠雄
酸奬
201011
冷奴酒あつくしてみたくなり
島谷征良
風土
201011
酔ふほどに戦の話冷奴
小川玉泉
末黒野
201011
借老や薬味各々冷奴
辻井ミナミ
末黒野
201011
政局を難じ冷奴を崩す
木場田秀俊
201012
冷奴大山詣の杖を置き
松本文一郎
六花
201012
留守宅用お控といふ冷奴 井上信子 201109
夕飯の一翼担ふ冷奴 濱上こういち 201109
冷奴象牙の箸の重たかり 清海信子 末黒野 201109
創業は文政とあり冷奴 西村雪園 風土 201109
粋に生き七の倍数冷奴 角谷美恵子 ぐろっけ 201109
老境に入り角のなき冷奴 塩路五郎 201110
二人住に薬味あふるる冷奴 山崎里美 201110
冷奴隣人は戸を閉めてをり 吉田希望 201110
子に語るほどの幸せ冷奴 藤井彰二 馬醉木 201110
かにかくに衆議一決冷奴 北郷和顔 末黒野 201110
常連が座せばすぐにも冷奴 年森恭子 ぐろっけ 201110
善人でゐる危ふさの冷奴 松田都青 京鹿子 201112
歯触りは木綿がよろし冷奴 塩路五郎 201207
情熱はさめることなし冷奴 高橋将夫 201208
冷奴の機嫌をさがす箸の先 黒澤登美枝 201208
時折は褒められもして冷奴 黒澤登美枝 201208
あるものは暇だけなのよ冷奴 森下康子 201209
冷奴些事のうれひは切捨てに 鈴木まゆ 馬醉木 201209
さりながら男心と冷奴 高橋将夫 201209
「死に体」のやうないち日冷奴 安藤しおん 201209
冷奴肴に父を恋う話 岡田満喜子 ぐろっけ 201209
好物は冷奴なり平和あり 牧野慶 ろんど 201209
夕風やわさび利かせて冷奴 能勢栄子 201210
ひとりゐに風ふき抜くる冷奴 栗原公子 201210
運不運言わぬ仲間と冷奴 藤岡紫水 京鹿子 201210
終電車昨日も今日も冷奴 吉井潤 ぐろっけ 201210
一夕の四角に食ぶ冷奴 風間史子 201210
冷奴なまけることをこころざし 齋藤厚子 201210
冷奴初めはたつたふたりから 直江裕子 京鹿子 201211
冷奴ありて傘寿の余生なる 笹倉さえみ 雨月 201211
冷奴 →2      

 

2021年7月25日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。