火取虫       112句

火取蟲井戸よりあがり來るもあり    佐藤念腹

火取虫  灯取虫

作品
作者
掲載誌
掲載年月
戸締りの要らぬ峡宿火取虫 稲畑汀子 ホトトギス 199907
火取虫掃き寄せてある庫裡の隅 皆川盤水 春耕 199908
火取蟲賣文紙の重さのみ 中原道夫 銀化 199909
火取虫温泉浴衣一夜限り 阿部寒林 「夢」 200010
火取虫にも親しみて夜を更かす 稲畑汀子 ホトトギス 200106
火取虫男の夢は瞑るまで 能村登四郎 200108
火取虫影を大きく回しけり 稲畑廣太郎 ホトトギス 200111
六甲の夜を鎮めて火取虫 稲畑廣太郎 ホトトギス 200111
恩師逝く訃は突然に火取虫 中西道子 百鳥 200111
九階のベランダにまで火取虫 大久保白村 ホトトギス 200201
火取虫赤提灯を好むらし 宮原みさを 花月亭 200208
パソコンに嵌りてよりの火取虫 関薫子 百鳥 200208
ルームキー句帳の上に火取虫 佐藤よしい 風土 200209
どんな灯も見逃さず来る火取虫 塩川雄三 築港 200209
青春は戦火の匂ひ火取虫 湯橋喜美 200209
スリラーの佳境なりしが火取虫 小松誠一 200209
火取虫僻村塾にまぎれ込む 大塚邑紅 200211
沛然と沖より雨や火取虫 鹿野佳子 200211
どの窓も閉めて置きしに火取虫 稲畑汀子 ホトトギス 200306
火より人恋ひ山中の火取虫 鷹羽狩行 200308
御簾三重の奥の本尊火取虫 藤田さち子 対岸 200309
火取虫柱時計の鳴つてをり 木下野生 200309
火取虫母郷の闇を深めゐる 豊田都峰 京鹿子 200310
火取虫その生涯を火に憑かれ 奥村鷹尾 京鹿子 200311
火取虫ポストが抱く闇ごころ 禰寝瓶史 京鹿子 200311
火取虫老いても論は譲られず 渡辺昭 200311
団欒へ乱入したる火取虫 有山八洲彦 200312
火取虫異口同音になつかしむ 高木智 京鹿子 200312
火取虫夜明の荘に果てにけり 稲畑汀子 ホトトギス 200406
旅の宿出会ひ頭に火取虫 栢森定男 「風よ」 200407
長雨の玻璃戸をたたく火取虫 高野清風 雲の峰 200408
川原湯に誰ぞゐるらし火取虫 竹川せつ子 草の花 200410
山見ゆる窓よりしきり火取虫 芝川百合子 京鹿子 200410
火取虫手術前夜の爪を切る 淵脇護 河鹿 200410
火取虫夜汽車を恋うてゐたりける 里中章子 200410
音たてて通夜の灯に舞ふ火取虫 金子知代 万象 200501
岳麓の荘に馴染みて火取虫 稲畑汀子 ホトトギス 200506
荘の灯のつきて喜ぶ火取虫 水田清子 200507
火取虫飛びくる独り書を読めり 宮越千代子 築港 200509
重篤の看取り虚しや火取虫 高橋照子 雨月 200509
地球儀の半分暗し火取虫 影山わこ 百鳥 200510
自爆後の朝の骸(むくろ)や火取り虫 沼口蓬風 河鹿 200510
彼岸より舞うてきたりし火取虫 近藤きくえ 200510
もう戻る人なき門の火取虫 山田弘子 ホトトギス 200511
一途なる平家贔屓や火取虫 藤原繁子 春燈 200607
灯の下に水張る器火取虫 柳生千枝子 火星 200608
軍港の街の盛り場火取虫 木場田秀俊 200611
山荘のまどゐ今なく火取虫 稲畑汀子 ホトトギス 200706
くるくると猫に遊ばれ火取虫 加藤克 200709
火取虫になりたき闇のありしこと 都留嘉男 八千草 200712
火取虫孤独紛らす深夜族 田中時子 八千草 200801
火取虫寄せて江戸より続く宿 稲畑廣太郎 ホトトギス 200806
昼夜を違へて泣く子火取虫 木田益穂 風土 200810
火の消えてとまどつてゐる火取虫 高橋将夫 200810
出漁の声のとびかふ火取虫 粕谷澄 馬醉木 200810
火取虫ひと夜限りを狂ひけり 北川とも子 ぐろっけ 200811
山荘の玻璃戸は火取虫のもの 稲畑汀子 ホトトギス 200906
山荘の火取虫には名残あり 稲畑汀子 ホトトギス 200906
瓦斯燈に当たりては飛ぶ火取虫 山田六甲 六花 200907
火取虫もはや詩嚢の空ならむ 小澤克己 遠嶺 200908
自動ドアにてまだ若き火取虫 井上信子 200908
火取虫めくや台場の夜を巡り 千田百里 200909
夜毎なる火取虫来し羽音かな 柴田靖子 200909
燈を打ちて翅ぼろぼろの火取虫 久保田由布 ぐろっけ 200911
ことわれぬ原稿依頼火取虫 稲畑汀子 ホトトギス 201006
どこか閉め忘れし荘の火取虫 稲畑汀子 ホトトギス 201006
火取虫にも迎へられをりし荘 稲畑汀子 ホトトギス 201006
返信を書きそびれゐし火取虫 稲畑汀子 ホトトギス 201006
やうやくに家居の心火取虫 稲畑汀子 ホトトギス 201006
行末はとまれ人恋ふ火取虫 都丸美陽子 春燈 201012
韃靼の踊り佳境に火取虫 杉本光 201101
湖の色まとふ玻璃戸の火取虫 稻畑汀子 ホトトギス 201206
新聞をひらけば火取虫もくる だいじみどり 201210
山影の優しく伸びて火取虫 成田美代 201210
板の間に胡坐の宴会火取虫 米田文彦 かさね 201211
新宿のビルの灯高し火取虫 須藤常央 ホトトギス 201312
大按司(うふあじ)の長き名乗へ火取虫 當間シズ 万象 201402
晩年の淋しさ告げよ火取虫 稲畑汀子 ホトトギス 201406
火取虫よりやや離れ綿あめ屋 大崎紀夫 やぶれ傘 201408
火取虫朝毎敷居掃き出しぬ 大内幸子 六花 201410
山荘に住む人のなし火取虫 稲畑汀子 ホトトギス 201506
火取虫一途に狂ふ時もあり 小林陽子 201509
火取虫引き止めるもの誰もなし 高橋将夫 201510
火の渦に巻き込まれゆく火取虫 寺田すず江 201510
ざざ降りや湯宿の玻璃の火取虫 安斎久英 末黒野 201510
外灯に即かず離れず火取虫 佐藤哲 万象 201511
金粉を網戸に残し火取虫 今井妙子 雨月 201608
学習塾にひたに張り付く火取虫 山本久江 201609
その中のいと美しき火取虫 谷村祐治 雨月 201609
山荘の乙夜すぎたる火取虫 谷村祐治 雨月 201609
いつまでも灯点す本屋火取虫 樺山翠 雨月 201609
喪の家の門燈一つ火取虫 堀井英子 雨月 201609
火取虫一途さ故の物狂ひ 稲岡みち子 雨月 201609
看護師は吾子の教へ子火取虫 安斎久英 末黒野 201612
灯を取りに来て灯に捕らはるる火取虫 落合由季女 雨月 201705
山荘の火取虫には名残あり 稲畑汀子 ホトトギス 201806
我も恋ふ部屋の明るさ火取虫 稲畑汀子 ホトトギス 201806
一文を草し終へたる火取虫 稲畑汀子 ホトトギス 201806
拭き上げし玻璃戸に当る火取虫 稲畑汀子 ホトトギス 201806
入口も出口も失せて火取虫 稲畑汀子 ホトトギス 201806
スタンドのアームを上げて火取虫 宮川みね子 風土 201808
山荘の火取虫とてなつかしく 稲畑汀子 ホトトギス 201905
火取虫部屋のどこかが開いてをり 稲畑汀子 ホトトギス 201906
なにもとむ命をまとに火取虫 柴田靖子 201909
買ひ置きし虫籠に入る火取虫 延川笙子 六花 201909
火に溺れ翅失ひし火取虫 柴田佐知子 201912
母にも母ありて名をよぶ火取虫 三上程子 風聴くや 202003
火取虫男の夢は瞑るまで 能村登四郎 202007
山荘の生活なつかし火取虫 稲畑汀子 ホトトギス 202106
火取虫防犯カメラ動きだす 鈴鹿呂仁 京鹿子 202107
くたびれてもどるちちはは火取虫 善野行 六花 202109
死の宿の終の可惜夜火取虫 鈴鹿呂仁 京鹿子 202207

 

2023年5月29日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。

 
23/05/29 2023年5月29日 2023年5月29日