日向ぼこ 2   200句

日向ぼこ父の血母の血ここに睦め   中村草田男  時機

作品
作者
掲載誌
掲載年月
なまけならず骨養ふと日向ぼこ 大橋敦子 雨月 200404
世の常の小恙と言ひ日向ぼこ 三由規童 雨月 200404
木枯しのなぎて海鵜の日向ぼこ 山元海郎 河鹿 200404
てにをはを思ひあぐねて日向ぼこ 前迫寛子 河鹿 200404
日向ぼこ孫の爪切る音ひびく 高木勝子 帆船 200404
日向ぼこ眼鏡掛替え手紙読む 北島上已 酸漿 200404
日向ぼこ体ふはふはしてきたり 高倉恵美子 200404
日向ぼこして充電をしてゐたり 塩川雄三 築港 200404
巻貝のさみしさありぬ日向ぼこ 田村みどり 京鹿子 200405
祈事も悟りもなくて日向ぼこ 松田欽吾 雨月 200405
爪切りを取りに戻りし日向ぼこ 次井義泰 200405
花柄の杖もつ老母の日向ぼこ 四戸和彦 八千草 200405
草野球延長戦や日向ぼこ 中田寿子 ぐろっけ 200405
さまざまな別れに遇へり日向ぼこ 浜崎勇 河鹿 200406
猫にまで疎まれてをり日向ぼこ 淺場英彦 万象 200407
岩窟に居並ぶ羅漢日向ぼこ 橘澄男 山景 200408
日向ぼこ額をぽんとぶつけたる 内藤ゑつ ゑつ 200411
日向ぼこめきて蕉像瞑れり 稲畑廣太郎 ホトトギス 200412
そばにゐるだけの喜び日向ぼこ 須佐薫子 帆船 200412
われ老ゆるゆゑにわれあり日向ぼこ 伊藤白潮 200501
かの髪も霜おく頃や日向ぼこ 朝妻力 雲の峰 200501
自転車は将棋倒しに日向ぼこ 堀内一郎 あを 200501
鮭漁を待つとは日向ぼこに似し 今瀬剛一 対岸 200501
忙中の閑とは云へず日向ぼこ 渡辺繁 火星 200501
日向ぼこいつも話すは愚痴ばかり 安陪青人 雨月 200501
齢問はれ明治と答ふ日向ぼこ 安陪青人 雨月 200501
母の席あけてゐるなり日向ぼこ 小林朱夏 200502
耳鳴りをたしかめてゐる日向ぼこ 鎌倉喜久恵 あを 200502
老猫の日向ぼつこにより添ひぬ 鎌倉喜久恵 あを 200502
日向ぼこ何とはなしに掌をかざす 吉弘恭子 あを 200502
日向ぼこみんなで覗く乳母車 田中藤穂 あを 200502
おじいちゃん日向ぼこよりもう戻る 田中藤穂 あを 200502
日向ぼこ凭るるもののある如し 定梶じょう あを 200502
布衣われらに日向ぼつこの今の刻 定梶じょう あを 200502
日向ぼこ重たき猫は膝の上 芝尚子 あを 200502
日向ぼこ爺二人ゐて寡黙なり 須賀敏子 あを 200502
日向ぼこラジオのボリューム少しさげ 須賀敏子 あを 200502
日向ぼこ子に諭すごと猫に言ふ 長崎桂子 あを 200502
顔一つて欠けていつもの日向ぼこ 山荘慶子 あを 200502
各停のホームにしばし日向ぼこ 安部里子 あを 200502
役に立つ幸せもあり日向ぼこ 赤座典子 あを 200502
名をつけし野良猫の膝日向ぼこ 赤座典子 あを 200502
土手を背に田んぼを前の日向ぼこ 鈴木多枝子 あを 200502
出かけよと思ひながらの日向ぼこ 鈴木多枝子 あを 200502
哲学の道筆塚に日向ぼこ 森山のりこ あを 200502
日向ぼこ遠くにゆきてきたりけり 佐藤喜孝 あを 200502
戦前や押しくらまんじゆう日向ぼこ 竹内弘子 あを 200502
枝の雪日向ぼこりをしてをりぬ 佐藤喜孝 あを 200502
好き嫌ひわからなくなる日向ぼこ 竹内弘子 あを 200502
大家族墓でおちあふ日向ぼこ 寺門丈明 あを 200502
日向ぼこ聖天さんの加護受けて 塩川雄三 築港 200502
かの仏師さまとひととき日向ぼこ 大橋敦子 雨月 200502
日向ぼこ胸中自由自在なり 大橋敦子 雨月 200502
日向ぼこすぐ眠る人しやべる人 三浦如水 ぐろっけ 200502
骨太の十指見せ合ひ日向ぼこ 辻井桂子 雲の峰 200502
ふり向けば故人ひしめく日向ぼこ 宮崎すみ 対岸 200502
鳥の羽根われに両腕日向ぼこ 斉藤利枝子 対岸 200502
箍弛むごとく人老い日向ぼこ 長野純顕 対岸 200502
にはとりの声の近くに日向ぼこ 冨田正吉 200502
日向ぼこ後悔ばかりしてゐる日 石川英利 百鳥 200502
日向ぼこ時報に合す腕時計 山本かずみ 百鳥 200502
棟上の人の見えゐて日向ぼこ 山本かずみ 百鳥 200502
犬猿の仲とは見えず日向ぼこ 足立賢治 200502
影を濃く日向ぼこより離れけり 今瀬剛一 対岸 200503
程のよき待ち時間あり日向ぼこ 斧田綾子 対岸 200503
みどり子を抱きしやうな日向ぼこ 高倉和子 200503
癒えしかと問はれ首振る日向ぼこ 奧田恵美 200503
霊柩車以下がしづしづ日向ぼこ 定梶じょう あを 200503
日向ぼこ商ひのこと忘れけり 小野寺靖 百鳥 200503
吹く風に心あづけて日向ぼこ 石塚ゆみ子 遠嶺 200503
日向ぼこ生活に枷のなき齢 安藤ヒサ子 河鹿 200503
寄り添ひて犬と猫との日向ぼこ 森津三郎 京鹿子 200503
九つの薬飲み別け日向ぼこ 森津三郎 京鹿子 200503
憂きことのふつと離るる日向ぼこ 三浦永子 京鹿子 200503
旅恋ふる媼二人の日向ぼこ 半谷弘子 遠嶺 200503
眼鏡拭き日向ぼこりも一区切り 坪井洋子 200503
もう横に母の在らざる日向ぼこ 高野日佐子 200503
日向ぼこ慈母観音の視野のなか 西村しげ子 雨月 200504
一言に足る友とゐて日向ぼこ 足立典子 雨月 200504
日向ぼこ生駒の人を思ひつつ 鈴木白洋 雲の峰 200504
日向ぼこ人にうしろのありにけり 宮崎すみ 対岸 200504
日向ぼこ膝にこぼれし金平糖 奥田弦鬼 風土 200504
同齢と言へば親しき日向ぼこ 青山悠 200504
日向ぼこひとりが指に繃帯し 定梶じょう あを 200504
日向ぼこ鳩を友とすホームレス 鈴木多枝子 あを 200504
日向ぼこ杭より低く老の胡座 岡本眸 200504
己が影さへも親しき日向ぼこ 生方ふよう 200504
日向ぼこ膝も踵もさらけ出し 薮内輝子 対岸 200505
呼び合うて来て寄り合うて日向ぼこ 重見久子 火星 200505
単行本膝より落ちし日向ぼこ 廣戸次郎 200505
善人となつてしまひし日向ぼこ 柴田佐知子 200505
肩寄せて何かうれしき日向ぼこ あさなが捷 200505
訪ひの無きこと娯し日向ぼこ 浅井青陽子 ホトトギス 200506
反りの合わぬ猫と真向う日向ぼこ 森一枝 八千草 200506
日向ぼこ蜑それぞれに海を見て 土川照恵 栴檀 200509
全身を投げ出し猫の日向ぼこ 稲畑廣太郎 ホトトギス 200511
膝奪ひ合ふ猫二匹日向ぼこ 稲畑廣太郎 ホトトギス 200512
日向ぼこ地球の自転確かめて 稲畑廣太郎 ホトトギス 200512
日向ぼこ雲係りもなく西へ 稲畑廣太郎 ホトトギス 200512
両膝に幸せ集め日向ぼこ 村越化石 200512
馬追は猊下の御顔日向ぼこ 黒田咲子 200602
目瞑りて予後の甘えの日向ぼこ 大森慶子 母衣 200602
猫とゐて猫臭くなる日向ぼこ 下平しづ子 雨月 200602
銭洗弁天に来て日向ぼこ 松崎鉄之介 200602
母うらら日向ぼこしてもしなくても 柴田佐知子 200602
日向ぼこしつぽでしやべる猫とゐる 安部里子 あを 200602
背中から日向ぼこりの針仕事 東亜未 あを 200602
清貧を苦にせぬ一代日向ぼこ 泉田秋硯 200603
咆哮を忘れたる獅子日向ぼこ 北川キヨ子 200603
庭師らに序列のありて日向ぼこ 村上沙央 200603
辻褄の合はぬ話や日向ぼこ 積木道代 200603
日向ぼこ先祖の果てに吾ありぬ 渡辺鮎太 200603
野良猫と日向ぼこする喫煙所 大坪景章 万象 200603
日向ぼこ寡婦の話題は宝くじ 秋田直己 ぐろっけ 200603
屈葬のごと膝を抱き日向ぼこ 足利ロ子 ぐろっけ 200603
老夫婦何も語らぬ日向ぼこ 八田與四郎 酸漿 200603
ハイテクに取り残されて日向ぼこ 中田郁子 四葩 200603
時に己見つむることも日向ぼこ 石垣幸子 雨月 200603
日向ぼこともかくも終へ祝の会 小島みつ代 200603
病みし身を裏返しては日向ぼこ 岩井淳子 200603
呆ける前に死にたいネエと日向ぼこ 木村茂登子 あを 200603
死に支度そろそろせんか日向ぼこ 木村茂登子 あを 200603
等身大の影をつくりて日向ぼこ 早崎泰江 あを 200603
仲見世や日向ぼこするこちら側 赤座典子 あを 200603
夫あればこその居場所や日向ぼこ 鈴木照子 200604
日向ぼこ足りし鴨より池に入る 中島伊智子 酸漿 200604
田の神と日向ぼこする峡田かな 松元末則 酸漿 200604
極楽に父ゐるはずと日向ぼこ 島谷征良 風土 200604
お日様が何よりと母日向ぼこ 島谷征良 風土 200604
揺り籠に双児や父と日向ぼこ 野田博 200605
日向ぼこよき岩選び番鴨 桑田青虎 ホトトギス 200605
ひがみ癖少し直りて日向ぼこ 岩崎可代子 ぐろっけ 200605
日向ぼこ道を聞かれて立ち上る 重本文子 百鳥 200605
十年の知己また寄りて日向ぼこ 瀧春一 常念 200606
陽の温みははの温みや日向ぼこ 園田その子 河鹿 200606
死ぬ順の決まりてをらず日向ぼこ 渡辺徳治 200606
日向ぼこ友ゐて一人耳遠し 丸山冬鳳 京鹿子 200606
俳磚を眺めつ日向ぼこりかな 稲畑廣太郎 ホトトギス 200607
ちちははに今近く居り日向ぼこ 岡本眸 200612
後生楽顔ばかりなり日向ぼこ 鷹羽狩行 200701
日向ぼこ水琴窟に聞き惚れて 泉田秋硯 200702
戒名の相場耳にし日向ぼこ 伊藤白潮 200702
日向ぼこにんげん臭の抜けるまで 千田百里 200702
眼をつむり何処の老人日向ぼこ 村越化石 200702
鰰や孔子もすなる日向ぼこ 瀬川公馨 200702
お迎えの園バス待つ間日向ぼこ 井上綾 ぐろっけ 200702
教えぬにチワワは縁で日向ぼこ 武田貞子 ぐろっけ 200702
生死より死者ねんごろに日向ぼこ 神蔵器 風土 200702
安寿堂守りて婆の日向ぼこ 田中佐知子 風土 200702
たましひに充電の欲し日向ぼこ 東亜未 あを 200702
みどり兒を膝にあづかり日向ぼこ 木村茂登子 あを 200702
同じ話おんなじ笑顔日向ぼこ 芝尚子 あを 200702
日向ぼこ終の棲家の定りぬ 安部里子 あを 200702
何んでもない話大切日向ぼこ 野路斉子 200702
瀬戸内の光あまたや日向ぼこ 石田玲子 200703
猫老いてアリストテレス日向ぼこ 浅田光代 風土 200703
日向ぼこいつか亡き夫居る如し 佐藤俊子 200703
窯出しの心待ちなる日向ぼこ 馬越幸子 ぐろっけ 200703
日向ぼこ大きな雲の右手より 佐藤喜孝 あを 200703
年令を自慢してゐる日向ぼこ 斉藤裕子 あを 200703
失せ物は失せたるままに日向ぼこ 村上沙央 200704
深椅子に沈んでしまひ日向ぼこ 桑島啓司 200704
日向ぼこして自画像のやうになる 後藤立夫 ホトトギス 200704
点滴架ひきずりながら日向ぼこ 内藤呈念 ホトトギス 200704
傍らに孫の手ありし日向ぼこ 菅原末野 風土 200704
田浦より日向ぼこりの京急線 松崎鉄之介 200704
けつたいな年寄りふたり日向ぼこ 野澤あき 火星 200704
洋蘭を廊下に集め日向ぼこ 青木陽子 酸漿 200704
日向ぼこ一人であればさみしかり 高倉恵美子 200704
肩書はもう何もない日向ぼこ 木村茂登子 あを 200704
リハビリを嫌がる母と日向ぼこ 磯崎清 200705
這ひ寄りし児を膝上に日向ぼこ 荒木治代 ぐろっけ 200705
街頭芸一曲の間の日向ぼこ 市橋章子 ぐろっけ 200705
福耳に小声の届く日向ぼこ 小林朱夏 200705
亡き夫の自慢話や日向ぼこ 嶋木勝次郎 遠嶺 200705
日向ぼこ心貧しく居りにけり 瀧春一 200706
この里のみ冬は早き日向ぼこ 瀧春一 200706
猪追ふといふ柴犬も日向ぼこ 瀧春一 200706
閘門の渦かゞやけり日向ぼこ 瀧春一 200706
喪に寄りし縁者揃うて日向ぼこ 瀧春一 200706
鰭止めて魚もすなり日向ぼこ 品川鈴子 200708
日向ぼこしてゐる如き待ち合はせ 稲畑汀子 ホトトギス 200712
横顔に飽きてゐたりし日向ぼこ 高倉和子 200712
日向ぼこテトラポッドは猫の庭 稲畑廣太郎 ホトトギス 200801
石ころも松ぽつくりも日向ぼこ 村越化石 200801
日向ぼこのぬくみ六郎の絵画展 鈴木ひろ子 200801
老犬の時に尾をふる日向ぼこ 羽賀恭子 200802
彫り終へし仏とじつと日向ぼこ 四條進 200802
日向ぼこ父の遺愛の揺り椅子に 足立典子 雨月 200802
次もつぎも日向ぼこりの動物園 佐藤喜孝 あを 200802
思はざる齢を生きて日向ぼこ 小林碧郎 馬醉木 200803
今生も後生もなくて日向ぼこ 築城百々平 馬醉木 200803
花街のベンチに婆の日向ぼこ 亀田やす子 万象 200803
面差しの似てくる夫婦日向ぼこ 紅露恵子 万象 200803
松ぼくり一つを膝に日向ぼこ 村越化石 200803
ミント一滴日向ぼこりの枕かな 荒井和昭 200803
ひそひそと老迫りくる日向ぼこ 佐藤山人 200803
日向ぼこやをら浮かびぬ父母のこと 高尾幸子 遠嶺 200803
日向ぼこ母の隣にゐるごとし 高倉和子 200803
手に何も持たぬあをぞら日向ぼこ 冨田正吉 200803
日向ぼこ→ 3      

 

2020年12月21日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。