遍 路 5 (他季を含む)     192句

お遍路を日にくるむとや布團干す    木村嘉男

作品
作者
掲載誌
掲載年月
海鳴りへ少し傾け遍路笠 遠藤真砂明 201006
独り行くをんな遍路の笠目深 北尾章郎 201007
遍路行く田植の済みし畦の道 坂根宏子 201007
金色の眠りに落つる遍路かな 近藤喜子 201007
湧くやうに遍路着峯を越えて来る 久染康子 201007
お遍路に一日付添ひ甘茶腹 田中貞雄 ろんど 201007
遅れてはならじと遍路みな急ぐ 泉田秋硯 201007
一切合切背にしたりけり秋遍路 冨山俊雄 山居抄 201008
歩道橋渡る遍路や秋の暮 冨山俊雄 山居抄 201008
身の内の刺の融けゆく遍路かな 前田美恵子 201008
白衣着け心定まる遍路杖 奥村真人 雨月 201008
ゆふやくる箪笥の中に遍路衣 浜口高子 火星 201010
秋遍路世の外の日を背に負ひ 安立公彦 春燈 201011
落日の海を見てゐる秋遍路 石本秋翠 馬醉木 201012
常備薬余分に持つて秋遍路 豊谷ゆき江 春燈 201012
伐られたる杉山匂ふ秋遍路 柴田志津子 201012
猪の子のころころよぎる遍路みち 柴田志津子 201012
遍路バス着く頃合の水を打つ 筒井圭子朗 ぐろっけ 201012
遍路衣の似合ひし先師夕花野 藤原照子 201101
朝月を袖だたみして秋遍路 荒川美邦 京鹿子 201101
秋遍路めき一石に一木に 辻口八重子 ホトトギス 201102
頬かむり犬にもさせてゆく遍路 福田かよ子 ぐろっけ 201102
お遍路のどつと入り来し甘茶寺 山尾玉藻 火星 201104
徒遍路道草をしてもんじゃ焼き 中島玉五郎 201105
ありつたけの枕干したる遍路宿 小林朱夏 201106
遍路行く川面に鈴の音を伝へ 城台洋子 馬醉木 201107
その後の消息知らず遍路傘 岩永充三 201107
早立ちの遍路うち振る佗びの鈴 丹生をだまき 京鹿子 201107
皆笑顔遍路接待してされて 丹生をだまき 京鹿子 201107
四国の土つけしまま置く遍路杖 丹生をだまき 京鹿子 201107
虫食ひの葉物を販ぐ遍路径 池田華甲 201108
山の子は会へば手を振り遍路みち 安武晨子 201110
お忘れもの札所にさがる遍路笠 長憲一 201110
峠より一人下り来る夏遍路 松井洋子 ぐろっけ 201110
秋遍路満願の衣を陰干しに 菅谷たけし 201112
をとこひとりをんなふたりの秋遍路 谷渡末枝 万象 201112
秋遍路山のまろさに入りゆけり 杉原ツタ子 201201
寄せて引く波のごとくに遍路出む 長谷川鮎 ぐろっけ 201201
蜘蛛の囲を払ふ行く先秋遍路 根本ひろ子 火星 201201
秋遍路もてなす蕎麦湯香りけり 城台洋子 馬醉木 201202
雨激し善根宿へ秋遍路 福田かよ子 ぐろっけ 201202
湖はれて石山寺の秋遍路 大橋伊佐子 末黒野 201202
遍路ゆく仏の里の小春日を 尾崎みつ子 雨月 201203
雲辺の寺へ遍路の鈴二つ 岡崎伸 遠眼鏡 201203
遍路笠二つ並んで遠ざかる 久永つう 瀬戸の海 201203
暁光の浜辺を父子の徒遍路 河口仁志 201204
島遍路ひしほの路地を犇き来 寺岡ひろし 雨月 201205
島遍路海の入日に掌を合はせ 寺岡ひろし 雨月 201205
疾走の単車荷台に遍路杖 寺岡ひろし 雨月 201205
子遍路の笠を滴る俄雨 寺田健 万象選集 201205
じゃこ天の熱々を買ふ遍路かな 山田六甲 六花 201205
遍路寺小さく動く母の口 苑実耶 201206
面差しの異国びとなる遍路かな 安立公彦 春燈 201206
一切を杖に込めたる遍路かな 岩下芳子 201206
逆を打つ人と行き交ふ遍路道 岩下芳子 201206
古稀迎えお礼参りに花遍路 次郎 万華鏡 201206
洗ひ納めて結願の遍路杖 滝澤千枝 春燈 201207
ふたり行くひとつは影か遍路道 梶浦玲良子 六花 201207
心経を書くため四角遍路杖 後藤比奈夫 ホトトギス 201208
遍路杖の鈴の音ひびく鶴林寺 西川春子 春燈 201208
逆打ちの遍路に遠き岬かな 福島せいぎ 万象 201208
死は遠きもの近きもの遍路打つ 上崎暮潮 ホトトギス 201210
不意の雨肩寄せ合うて秋遍路 コ田千鶴子 馬醉木 201210
雁塔の影を踏みゆく秋遍路 田中文治 火星 201212
秋遍路深き祈りは声もたず 樋口英子 201301
宿さがす秋の遍路の赤い靴 細川知子 ぐろっけ 201301
伊予路の秋唯句遍路となりてゆく 栗山恵子 雨月 201301
胡麻豆腐遍路が買へば皆が買ふ 福島吉美 万象 201302
女は火男は水よ秋遍路 高橋将夫 201302
かはらけを投げて立ち去る冬遍路 福島せいぎ 万象 201303
夕遍路ひとりは赤子負うてをり 宮井知英 201304
夏遍路らしく省略されてをり 稲畑廣太郎 ホトトギス 201305
人は皆祈りの日々や夏遍路 稲畑廣太郎 ホトトギス 201305
瑞雲生る婚約成りて遍路へと 水野範子 ぐろっけ 201305
脇差のごとく置きたる遍路杖 小林朱夏 201305
母と子に遣らずの雨の遍路杖 戸田春月 火星 201306
峰おろしロープウェーの夕遍路 西川春子 春燈 201307
お遍路は祈り雀は交るなり 岩田公次 ホトトギス 201311
お接待の遍路に渡す青みかん 島玲子 風土 201312
遍路笠一列に坂登り来る 長憲一 201312
いきいきと老婆童女の遍路かな 瀧春一 花石榴 201312
その辺の事情明かさず秋遍路 湯川雅 ホトトギス 201401
己が影長く引き摺り秋遍路 渡部節郎 201401
秋遍路御廟の裏に礼交し 松山直美 火星 201401
御手洗の杓あたらしき秋遍路 根本ひろ子 火星 201401
秋遍路木偶を覗きてゆきしかな 福島せいぎ 万象 201401
秋遍路昭和一桁同士なる 大久保白村 ホトトギス 201402
秋遍路中のひとりの笠深く 原友子 201402
浅瀬に手すすぎて秋の遍路かな 天谷翔子 201402
遍路杖納めし山の眠りけり 柴田志津子 201403
お遍路の冬あたたかきことを言ふ 岩岡中正 ホトトギス 201404
颯爽といそいそと夏遍路かな 稲畑廣太郎 ホトトギス 201405
山の水飲んで遍路の透きとほる 有松洋子 201406
万蕾の風分けてゆく遍路杖 城孝子 火星 201406
風凪いで潮目を望む遍路道 久保東海司 201408
お遍路の杖を支へに眠るかな 奥名房子 201410
野の花へ片手拝みの遍路かな 有松洋子 緑光 201411
徒歩遍路濕布藥は大師かな 中島陽華 201503
川音の終始まつはる遍路杖 伊藤白潮 201503
遍路宿素生問はざる一会あり 加藤千春 春燈 201505
遍路宿灯して畳む輪袈裟かな 鶴岡紀代 春燈 201505
逆打ちの遍路 考妣 とすれ違ふ 高橋将夫 201505
夕凍や遍路の杖のおぼつかな 播磨武子 雨月 201505
参道を遍路にゆづる芸子かな 木内徴子 万象 201506
風に鳴る鈴や遍路の忘れ杖 仙頭宗峰 万象 201506
列なして白き手甲の遍路かな 中山静枝 201506
足早に過ぎゆく彼方花遍路 秋川泉 あを 201506
川越えて来し逆光の遍路杖 天谷翔子 201506
遍路杖撫でて米寿と申さるる 宮平静子 雨月 201507
老遍路杖突いて鈴歩して鈴 湯川雅 ホトトギス 201508
徒遍路夜はもてなしの菖蒲風呂 綿谷ただ志 馬醉木 201508
木食の空腹いかに歩き遍路 岡田桃子 201508
遍路鈴奥の院まで続きけり 和田華凛 ホトトギス 201510
腰弁に雨しとしとと秋遍路 高橋泰子 201511
岬端の大き夕一日に秋遍路 白井友梨 馬醉木 201512
秋遍路黒髪束ねをりにける 中島昌子 201512
落日に歩を早め行く秋遍路 笹倉さえみ 雨月 201512
枯色の海に迫りぬ遍路みち 雨村敏子 201601
今日ひと日海見て歩く冬遍路 島玲子 風土 201602
会釈して上り下りの秋遍路 亀井紀子 201602
仁王より押出されし秋遍路 吉田葎 201602
母の手を曳きし遍路を追ひ越さず 伊藤通明 201603
同行の靴へ手をやる遍路かな 井上石動 あを 201604
凝らし見て表裏に遍路回遊魚 安藤しおん 201605
遍路笠あらばこの潮渡らんか 山田六甲 六花 201605
ほろ苦きものへ箸ゆく遍路宿 坂本徹 201606
形から入る生き方遍路道 江島照美 201607
白衣着て遍路の顔となりにけり 田代貞香 201607
遍路道固まりて来る鈴の音 田代貞香 201607
遍路杖夫の御魂と歩きけり 田代貞香 201607
遍路宿身の上話聞かさるる 田代貞香 201607
夏遍路太平洋を右に見て 永淵惠子 201611
浜風や峰寺目指す秋遍路 水田壽子 雨月 201701
雲はいまかたち変へをり秋遍路 森俊人 201612
秋遍路草のもつれに躓けり 遠山のり子 201612
唱へては風の中へと秋遍路 岡本秀子 201701
唱へては風の中へと秋遍路 岡本秀子 201701
水吹いて草鞋きりりと冬遍路 西住三恵子 201702
床の間に杖を寝かせる遍路宿 江見巌 六花 201705
仏恩の朱印の梵字遍路寺 佐藤貞子 雨月 201706
潮の香や黙一列の遍路笠 堀田順子 馬醉木 201707
失ひしものを求めて遍路杖 吉永すみれ 風土 201708
形から入る生き方遍路道 江島照美 201708
遍路道逸れ来て子規の遺髪塚 稲岡みち子 雨月 201708
秋遍路夕日すとんと山の端へ 稲畑廣太郎 ホトトギス 201709
秋遍路逸れて訪ぬる祖谷の渓 宮崎他異雅 末黒野 201802
安政と書かれし杖も遍路宿 稲畑廣太郎 ホトトギス 201804
鳥語聴く人語聞かざる遍路かな 稲畑廣太郎 ホトトギス 201804
拾ひたる一枝を杖に秋遍路 原友子 201803
お遍路の寺へ地球を百歩かな 田中臥石 末黒野 201805
搭乗へ動く歩道を遍路笠 大島寛治 雨月 201806
旗の下の集ふ遍路やスニーカー 松橋輝子 末黒野 201806
歩むほど空の近づく遍路かな あさなが捷 201806
濡縁に湯呑み伏せある遍路宿 あさなが捷 201806
沖を見る遍路杖にて岩押さえ 柴田佐知子 201807
欄干の鴉と見合ひ遍路道 竹内文夫 やぶれ傘 201808
整列し遍路は読経六角堂 神田惣介 京鹿子 201810
常世への海がかがやく秋遍路 夏生一暁 馬醉木 201811
朝粥をすすり早出の秋遍路 佐藤貞子 雨月 201811
鬼柚子を採つて貰ひし遍路道 能村研三 201901
炎天を憑かれしごとく遍路来る 岩田公次 ホトトギス 201901
小走りに坂下りゆく秋遍路 笹村政子 六花 201902
空港の遍路に道を問はれけり 池上昌子 春燈 201905
春の雲寺内に四国遍路道 田中藤穂 201907
すぐ尽きる遍路道なり善養寺 篠田純子 201907
虚と実の折り合ひつけし遍路かな 平野多聞 201908
荘洋の海を友とし秋遍路 碇天牛 雨月 201911
お遍路に答へて冬の花わらび 浜福惠 風土 202001
おのづから語る身の上秋遍路 古旗みさき 京鹿子 202002
秋遍路日のぬくもりの石に座す 橋本順子 202002
お遍路を待つ接待所冬近し 吉田幸恵 やぶれ傘 202002
前をゆく蝶よ雀よ島遍路 増成栗人 202005
矢印に列曲がりゆく遍路かな あさなが捷 202006
綿雲や遍路の通ふ棚田道 小倉征子 202006
大岩を廻るや怒濤遍路杖 有松洋子 202007
遍路道色とりどりのスニーカー 懸林喜代次 春燈 202007
逆打ちの四国遍路やいごつそう 宮岡弘 202007
矢印に列曲がりゆく遍路かな あさなが捷 202007
紫陽花の杖の音のみ遍路道 江口九星 202009
秋遍路風が撫でゆくふくらはぎ 有松洋子 202011
千草八千草一人つきりの島遍路 増成栗人 202101
休みたる石に黙礼秋遍路 上辻蒼人 風土 202102
秋遍路足をのばせる道後の湯 草場つくし 六花 202102
仁王より背中押さるる夕遍路 吉田葎 202107
初蝉や皆無言なる遍路道 野村昌代 202109
秋遍路自分の歩幅で今生きる 田中美恵子 202112
花紫苑揺れて秩父は遍路道 須賀敏子 あを 202112
逆打ちの女人ひとりや秋遍路 渡辺美智子 末黒野 202201
遍路 →1

 

2022年4月16日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。