初 湯 1    200句

作品
作者
掲載誌
掲載年月
初湯してしまりなきかな土下踏 山田禮子 きらら 199400
初風呂や手足を伸ばす素かんぴん 宇都宮滴水 京鹿子 199901
世紀末の初湯瞑目あるのみに 大橋敦子 雨月 199903
初湯して右脳左脳の響き合ふ 小澤克己 遠嶺 199904
利かぬ腕浸し初湯を溢れしむ 吉原一暁 199904
雀等の声の明るき初湯かな 玉川悠 遠嶺 199904
ふたつあればしつかりせよと初湯かな 小林喜一郎 199904
初湯して明日への扉全開す 小澤克己 遠嶺 199905
風熄んで初湯の音は妻の音 小澤克己 遠嶺 199905
初風呂に旭ひの出てかもめ白くなり 丸山海道 海道全句集 199910
うつせみを初湯は絹のごとつつむ 丸山海道 海道全句集 199910
痩身にして初湯をあふれさす 能村登四郎 芒種 199911
去年よりも肥えたるここち初湯出て 能村登四郎 芒種 199911
身に余る丈よホテルの初湯槽 品川鈴子 ぐろっけ 200001
初湯賜ぶ老にはすこし荒湯にて 能村登四郎 200001
ニューイヤーコンサート聴き初風呂へ 稲畑廣太郎 ホトトギス 200001
ブローニュの森の香の湯を初湯とす 田中藤穂 水瓶座 200002
花のやうな石鹸つかふ初湯かな 田中藤穂 水瓶座 200002
玉の緒をたまとあたためゐる初湯 大橋敦子 雨月 200003
初風呂に赤子やさしき息づかひ 仲尾弥栄子 雲の峰 200003
初湯へと妻誘へば風の音 小澤克己 遠嶺 200004
初風呂の一人の時間我が儘に 小野寺節子 風土 200004
初湯浴ぶお市ゆかりの温泉とこそ 菅谷弘子 雨月 200004
つぶやきのわが詩となる初湯かな 善積ひろし 遠嶺 200004
真白な下着のそろう初湯かな 佐伯のぶこ 船団 200007
初湯より嬰をまるまる包み出す 塩路隆子 精鋭選集 200008
小わつぱの臀肉美しき初湯かな 沼田巴字 京鹿子 200101
節穴の洩れ日も喜々と初湯かな 松崎鉄之介 200101
初湯せり卒寿嫗と傘寿われ 後藤房枝 200101
透析の腕の傷撫で初湯かな 若月瑞峰 春耕 200103
初風呂に入りに来よと子のメール 前阪洋子 俳句通信 200103
初湯ともなれば肩湯のながながと 桑垣信子 いろり 200104
文武両道ともにすぐれず初湯かな 鷲見明子 風土 200104
初風呂は家族倍増夜更けまで 高橋大三 ぐろっけ 200104
てのひらのうすももいろに初湯かな 高橋さえ子 200104
ケータイのまた鳴っている初湯かな 須山つとむ 船団 200105
初風呂へタオル石けん新しく 池田かよ ぐろっけ 200105
初湯して身のあからむもたのもしき 能村登四郎 200108
初湯出てすこし身軽き立ち居かも 能村登四郎 羽化 200110
浸りゐて初湯と思ひなほ沈む 能村登四郎 羽化 200110
初湯して新湯の沁みに耐へてをり 能村登四郎 羽化 200110
初風呂やすこいもったいなき思ひ 能村登四郎 羽化 200110
初湯殿母のしづかな音洩れ来 西村梛子 馬醉木 200203
初湯とは脱皮するにも似たりけり 松島不二夫 200203
終ひ湯を初湯と云ふか去年今年 保坂さよ いろり 200203
平凡な余生に奢る初湯かな 玉川悠 遠嶺 200204
卒寿翁いざなひ入りし初湯かな 岸本林立 雨月 200204
初湯浴父にさしたる病なく 土田栄 200204
初湯出て耳掻の鈴聞いてゐる 松本欣子 百鳥 200204
初湯出てしばらく壮気曝しけり 泉田秋硯 200204
初湯して看取りの日日を去年とする 田中藤穂 あを 200302
薬草の大きな袋浮く初湯 高木昌子 築港 200303
一人居のひとりのための初湯かな 柳沢典子 酸漿 200303
友の来て足湯巡りの初湯かな 武田美雪 六花 200303
初湯して今年の女になりにけり 中坂和子 帆船 200303
初風呂や太くて長き生命線 水原春郎 馬醉木 200303
山宿の日矢一条の初湯かな 川端実 遠嶺 200304
初湯してしきりに昔思はるる 石川英利 百鳥 200304
初湯せり富士の霊水なめらかに 太田昌子 馬醉木 200304
八十の手足伸ばして初湯かな 野川義宣 円虹 200304
沖合の釣り場見下ろす初湯かな 滝本香世 百鳥 200304
うたかたの成りあはさざる子と初湯 佐藤喜孝 青寫眞 200304
初湯して赤子の五指のそつとひらく 今瀬一博 200307
夫在りしごとく初湯の加減見て 堀恭子 ホトトギス 200308
しばらくは初湯あがりの香籠りに 岡本眸 200402
人体に不要物なし初湯殿 小林朱夏 200403
初風呂は母と入ると駄々をこね 井上綾 ぐろっけ 200404
島の湯は海の薫りの初湯かな 二階堂妙子 河鹿 200404
永らへて嫁御が後の初湯かな 高畠陽子 河鹿 200404
初風呂を出てごくごくと水を飲む 石川英利 百鳥 200404
浴槽に老いの鼻唄初湯かな 沼口蓬風 河鹿 200404
初湯かなマイナスイオンの湯が沸くと 岸本林立 雨月 200404
初風呂の大きな窓にあかね富士 本山卓日子 京鹿子 200404
中年が里の初湯を称へけり 二瓶洋子 六花 200404
みどりごの爪ほろほろと初湯かな 野中ちよこ 馬醉木 200404
つややかや初湯の槽の黒御影 浅井青二 雨月 200405
背中から近づいて行く初湯かな 山田六甲 六花 200502
湯畑の源泉の湯に初湯して 村越化石 200503
初風呂や臍下丹田ひきしめて 築城百々平 馬醉木 200503
初湯出し濡身秤に乗りゐたり 河本美智雄 築港 200503
目つむりて無欲の初湯あふれさす 徳植よう子 200503
初風呂や老斑までも父に似て 小池とみを 雲の峰 200503
語り合ふ病歴ながし初湯殿 土生逸麿 河鹿 200504
初湯槽骨の髄までしみとほる 細川知子 ぐろっけ 200504
存ふるための創痕初湯かな 戸田和子 200504
初湯の乳児掌は「パー」おちょぼ口 鈴木愛子 ぐろっけ 200504
初風呂や全裸構はず挨拶す 松井洋子 ぐろっけ 200505
初湯出て琴の音かすか湯の宿は 平山勝子 河鹿 200505
満天の星我がものに初湯かな 丸田安子 酸漿 200506
初湯にて赤子うら返されてをり 酒本八重 里着 200506
さくらんぼ初湯は使わないままに 片岡静子 200509
向き合つてまだ一語なき初湯父子 遠藤真砂明 波太渡し 200510
初湯かな数ふるうちに増えて星 山田六甲 六花 200601
すぐに泣く嬰と初湯を楽しまむ 小澤克己 遠嶺 200601
これよりの計を初湯に寿 水原春郎 馬醉木 200603
雪焼の男一人の初湯かな 西川五郎 馬醉木 200603
これやこの初湯の蓋をまだとらず 久保田万太郎 春燈 200603
初風呂や金婚のはや遠からず 舛田初恵 酸漿 200603
初風呂にしばしめつぶりゐたりけり 松崎鉄之介 200603
初湯して献体の身のかるさかな 佐保朱夏 200603
思ひ切り傘寿の初湯溢れしめ 椋本一子 雨月 200604
初湯出て当直の医の顔となる 辻雅子 ぐろっけ 200604
団塊と呼ばれてひとり初湯殿 石橋亀次郎 遠嶺 200604
子の尻のいよよやはらか初湯殿 苑実耶 200605
ヴィーナスに非じ初湯の娘でありし 大橋麻沙子 雨月 200612
初湯とて正座五分を続けけり 稲畑汀子 ホトトギス 200701
初風呂に容れヒマラヤの電気石 品川鈴子 ぐろっけ 200701
体調をととのふことも初湯かな 稲畑汀子 ホトトギス 200701
しまひ湯でありし初湯でありにけり 稲畑汀子 ホトトギス 200701
電気石トルマリン檜の初湯煌かす 品川鈴子 ぐろっけ 200701
ややぬるき初湯が好みなりしこと 稲畑汀子 ホトトギス 200701
溢れしむ命の量の初湯かな 久保田雪枝 雨月 200703
初湯浴び赤海老のごと身のほてる 河原一夫 200703
山の湯を初湯に米寿迎へけり 小田知人 ぐろっけ 200703
大島を脱いで初湯にしみじみと 高木智 京鹿子 200704
大玻璃に千曲川横たふ初湯かな 山中宏子 200704
「沸きました」モニターのこゑ初湯かな 渡辺安酔 200704
初湯して届きし友の新句集 岩淵彰 遠嶺 200704
初湯して日本人とぞ思ひける 向井芳子 春燈 200704
熱めなる初湯一息に沈みをり 坂本知子 酸漿 200704
こともなく日のあるうちの初湯かな 伊勢きみこ 火星 200704
帰国してつくづく初湯あふれしめ 千原叡子 ホトトギス 200705
瑠璃玉のかんざし抜いて初湯かな ことり 六花 200801
約束を忘るる為の初湯かな ことり 六花 200801
初湯かな父へと泳ぎゆく音も 山田六甲 六花 200801
くちずさむ恋歌響く初湯かな ことり 六花 200801
初湯出づ吾子のま白き足の裏 柳生千枝子 火星 200803
みちのくの初湯に荒く抱かれたり 布川直幸 200803
ささやかな贅や初湯を溢れさせ 小城綾子 200803
今にしてうたふ歌ある初湯かな 青山丈 200803
銭湯の煙突高き初湯かな 北島和奘 風土 200804
初湯して身の烟りをり月日また 峰幸子 200804
初風呂の指になじみて手術痕 村上沙央 200804
ざぶと身を沈め初湯を溢れしむ 稲岡長 ホトトギス 200805
初風呂に羽ばたく嬰の手足かな KOKIA 六花 200805
ゆるゆると生きると決めて初湯かな 青木朋子 200807
胎内で足蹴つてゐる初湯かな 坂本緑 幸せのかたち 200808
手術痕いよいよ古ぶ初湯かな 立石萌木 雨月 200809
常の如正座五分の初湯かな 稲畑汀子 ホトトギス 200901
初湯して喜寿の温もりしみじみと 塩路五郎 200903
入れ墨を初湯で見せし消防士 浜田南風 200904
タイル絵の富士を枕にして初湯 柴田良二 雨月 200904
光陰を惜しみて長き初湯かな 岡田弘子 遠嶺 200904
初湯して長く生きしと思ひけり 高倉恵美子 200905
艶冶なる詩口遊む初湯かな 大谷茂 遠嶺 200905
有るだけのおもちや浮かべて初湯かな 立村霜衣 ホトトギス 200906
一番の下足札なる初湯かな 山田六甲 六花 201001
誰よりも長き初湯となりにけり 稲畑汀子 ホトトギス 201001
初湯とて烏の行水にて済ます 田中貞雄 ろんど 201001
たわたわと初湯を揺らしをりにけり ことり 六花 201001
揃ひたる家族のあとの初湯かな 稲畑汀子 ホトトギス 201001
次郎めに鼻いらはるる初湯かな 深澤鱶 火星 201003
たつぷりと初湯の風呂を沸しけり 橋本貞二 酸漿 201003
伊豆の湯を初湯に絆あたためむ 岡野ひろ子 201003
白寿なる母の軽さや初湯殿 石井勇 末黒野 201004
腕より銀の泡立つ初湯かな 永田二三子 酸漿 201004
手の甲を磨いてをりし初湯殿 小林正史 201004
思はざる初湯は東二病棟 岡野ひろ子 201004
浮び来しホ句を初湯に掬びけり 竹下陶子 ホトトギス 201006
初湯出で湯気立つ目方測りけり 市村健夫 馬醉木 201012
生命線ゆたかに伸びて初湯かな 水原春郎 馬醉木 201102
古希までを生きて初湯を溢れさす 大木清美子 201103
初湯して肌に元気な泡無数 松本圭司 201103
嬰はまるで因幡のうさぎ初湯かな 中村ふく子 201103
ひとり居の初湯自在にひとりごと 築城百々平 馬醉木 201103
ゆるやかに初湯へ煙のぼりたる 岩下芳子 201104
死を覚悟せし身永らへ初湯かな 寺岡ひろし 雨月 201104
初風呂やまろき石鹸泡立てて 大橋弘子 末黒野 201104
初湯して茹で蛸鏡に写しをり 久津見風牛 201104
快方のわが身に優し初湯かな 桂敦子 201104
惜しみなし初風呂の湯を溢れしめ 杉山弥生 末黒野 201104
馬齢また加へ独りの初湯殿 野沢しの武 風土 201106
ケロリンの文字鮮やかに初湯かな 稲畑廣太郎 ホトトギス 201201
ホスピスの友に初湯のありにけり 河本由紀子 春燈 201202
山見つつぬるきに浸る初湯かな 柳田皓一 かさね 201203
初風呂や身の嵩の湯をあふれしめ 岡崎伸 遠眼鏡 201203
初湯まづ「道後の温泉」の香口開く 木村茂登子 あを 201203
初湯殿すこし削げたるふくらはぎ 上原重一 201203
赤松の幹に日の差す初湯かな 田中佐知子 風土 201204
初風呂の夫のナツメロ厨まで 先山実子 ぐろっけ 201204
予後の良き夫の背ながす初湯かな 小山直子 末黒野 201204
初湯してさらに男と女かな 秋津令 201204
追焚きの釦を押して出る初湯 永田万年青 六花 201204
もも色に雲染まりゆく初湯かな 本杉千保子 万象選集 201205
有り体の己を浮かべ初湯かな 川南隆 ろんど 201205
初湯出て母ももいろに笑ひけり 柴田佐知子 201205
みどり児の菩薩の微笑初湯にて 和田郁子 粥の味 201209
出世には遠きひと世を初風呂に 酒井秀郎 返り花 201211
抱かるる赤児初湯を蹴る勢ひ 横山昭子 雨月 201301
初湯に束子軽石欠かせざり 品川鈴子 ぐろっけ 201301
縮緬で肌をごしごし初湯かな 山田六甲 六花 201301
湖の照りを反せり初湯桶 山尾玉藻 火星 201302
湯槽にて交はす挨拶初湯かな 伊庭玲子 201303
稚の香の湯舟に満つる初湯かな 横山昭子 雨月 201304
今を生くる米寿楽しき初湯かな 増田菖波 春燈 201304
独り居に慣れてハミング初湯殿 古井公代 ぐろっけ 201304
初湯殿檜の桶のひびき合ふ 小林和子 風土 201304
初湯殿八十路の鼓動つつがなく 新海英二 春燈 201304
「おやすみ」と別るる初湯道後にて 増本明子 ぐろっけ 201304
やはらかき一人の時間初湯殿 師岡洋子 ぐろっけ 201304
初湯 →2

 

2023年1月8日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。