初 鴨 1    200句

初鴨の七羽のままに昏れてゆく    本橋仁

作品
作者
掲載誌
掲載年月
初鴨の紋を大きく水の上 鷹羽狩行 199901
初鴨や星空になほつづく声 千代田葛彦 馬醉木 199901
初鴨の小ぶりの貌を目のあたり 別府優 199901
初鴨の胸ふつくらと沼景色 環順子 遠嶺 199902
初鴨や池のさざ波耀へり 萩野谷三和 遠嶺 199902
初鴨のきて城濠の落ちつかず 柴田良二 雨月 199902
初鴨のすぐ隠れたる中洲かな 森重夫 春耕 199902
初鴨や着水の水均らしをり 木村真魚奈 京鹿子 199903
初鴨の夢に外れたる白羽の矢 丸山海道 海道全句集 199910
初鴨をしばし遠巻き通し鴨 渡邉英子 馬醉木 200001
初鴨や蘆間隠れのこゑ嗄れて 岩崎きゑ子 馬醉木 200002
三内丸山遺跡見たりと初鴨が 田中藤穂 水瓶座 200002
遥けさの初鴨の声聞きとむる 皆川盤水 春耕 200003
初鴨の着きし川面を雨が打つ 佐野美智 200011
初鴨の群を翔たせて舟洗ふ 皆川盤水 春耕 200011
初鴨の飛んで昼月毀れけり 鷹羽狩行 200012
北空の晴れて初鴨来たりけり 宮津昭彦 200101
初鴨の噴湯に暫し羽繕ふ 村瀬初実 春耕 200101
初鴨の胸より覚めて湖のあを 環順子 遠嶺 200101
初鴨の水輪大きく光りけり 矢嶋英子 遠嶺 200102
初鴨のすでに群れなす隠れ沼 前川みどり 春耕 200102
初鴨を待つてゐるらし池の面 能村登四郎 羽化 200110
初鴨の声の戻りし沼の水 斎藤珠子 遠嶺 200111
初鴨の群の遥けき羽音かな 皆川盤水 春耕 200111
初鴨の水のでこぼこしてゐたり 山尾玉藻 火星 200112
初鴨に気づきし朝の沼の輝り 柳沢杏 酸漿 200201
初鴨に月光やすき大葭田 長沼冨久子 馬醉木 200201
着水の初鴨高く上ぐ飛沫 海老澤映草 春耕 200201
初鴨と同じ日向にゐて睡し 高橋愛子 200202
着水の初鴨に羽根浮きゐたり 浜口高子 火星 200202
ややありて馴染む初鴨通し鴨 高橋ちよ 200202
前のめりして初鴨の着水す 新開一哉 円虹 200203
初鴨の来て斐伊川の水ひかる 玉置かよ子 雨月 200203
初鴨に水面ととのふ日暮かな 辻田明 200212
初鴨に湖北の空の引きしまる 森ふみ子 遠嶺 200212
初鴨や池に浮かびし藻刈舟 三澤福泉 雲の峰 200212
初鴨の来て神の池鴨の池 小林美恵子 築港 200301
初鴨の三羽なりける川の幅 加古みちよ 冬菜畑 200301
初鴨の着きし湖水の喝采音 小澤克己 遠嶺 200310
朝日射す初鴨の水脈輝けり 荻原トシ子 対岸 200311
初鴨の七羽つぎつぎ鳴きにけり 荻原トシ子 対岸 200311
初鴨に迂回大きく渡舟(わたし)着く 館容子 200312
初鴨のこゑして暮るること迅し 青山丈 200401
初鴨を迎へて水のやはらかし 栗原梅子 対岸 200401
初鴨が地に新しき影運ぶ 三関浩舟 栴檀 200406
初鴨のよそよそしくも池の芯 橘澄男 「山景」 200408
初鴨を濡らす江津湖の雨の糸 笠間圭子 京鹿子 200501
初鴨や管弦楽の鳴る池に 辻恵美子 栴檀 200501
初鴨をいとしと思ふ水の距離 笠間圭子 京鹿子 200501
初鴨に湖いちまいの水ごころ 藤岡紫水 京鹿子 200502
初鴨に応へてとびし鯉の水輪 三関浩舟 栴檀 200502
初鴨の五六羽浮かぶ龍田川 山口耕堂 万象 200504
初鴨の水の辺に座を正しけり 山尾玉藻 火星 200511
初鴨に明け渡したる余呉の水 稲畑廣太郎 ホトトギス 200511
待つてゐるうちは初鴨来ざるなり 高橋将夫 200512
初鴨の風みちそれて現はるる 松本桂子 200512
傘さして見る初鴨の数少な 宮津昭彦 200512
にびいろの初鴨の群川昏るる 原田しずえ 万象 200601
長旅を来し初鴨の水輪かな 大畠政子 雨月 200601
初鴨や置き物まがひに憩ひをり 増田大 春燈 200601
初鴨や強き風くる橋の上 飯高あい 対岸 200601
初鴨の岸にならびて羽つくろふ 小山梧雨 200601
初鴨の浮寝むさぼる葦の陰 岡村葉子 栴檀 200602
初鴨のすぐになじめり鳰 竹内弘子 あを 200602
初鴨や平家の里のかくれ池 小山漂葉 酸漿 200602
初鴨や琵琶湖に水尾を描きつつ 家塚洋子 酸漿 200602
初鴨の飛来してをり弥勒沼 道給一恵 遠嶺 200602
初鴨のパン屑鯉にとられたり 山本敦子 万象 200602
初鴨の真下を海に誘はるる 高田令子 200602
人を見る眼が初鴨でありにけり 木村享史 ホトトギス 200605
短信に初鴨のこと雨のこと 出来由子 200611
初鴨のこゑなく渡る河口かな 中村恭子 200611
初鴨や八〇一号校正す 杉浦典子 火星 200612
初鴨の人遠ざけてゐたる距離 山田天 雨月 200612
初鴨の着水下手をあげつらふ 伊藤白潮 200612
遠く浮くもの初鴨となつてきし 青山丈 200612
初鴨を向かうにまはし発声す 伊藤早苗 200701
初鴨の声と聞きけり頭上ゆく 名取すみ子 酸漿 200701
レンズ絞れば初鴨の甲走る 吉田明子 200701
着水の初鴨つんのめるやうに 風間史子 200702
初鴨の一声あげて列正す 町田洋子 200702
初鴨の知れたる数の浮寝かな 青山丈 200702
飛んで来て初鴨として浮いてをり 青山丈 200702
初鴨の五羽の水面の揺れであり 西畑敦子 火星 200711
初鴨に劇場の灯の及びたる 杉浦典子 火星 200711
初鴨の胸にとどきし舟の波 西畑敦子 火星 200711
初鴨に水上バスの煽りかな 高橋さえ子 200712
初鴨や夜は限りなく波の声 益本三知子 馬醉木 200712
初鴨の流されつつも啄ばめる 加瀬美代子 200712
来るころを初鴨の来る千住かな 青山丈 200712
水脈引いてばかり初鴨落着かず 宮津昭彦 200801
初鴨の一羽につづき飛びたてり 永井米子 酸漿 200801
扉を開けて初鴨待てり浮御堂 三好千衣子 200801
初鴨の沼面の雲をすべり行く 寺島とし重 万象 200802
棒立ちの初鴨水をとばしあふ 大坪景章 万象 200803
初鴨の声や式台踏みしとき 山尾玉藻 火星 200810
鯉沈む渦へ初鴨急ぎけり 山田六甲 六花 200811
初鴨に野川の水もきらめけり 中島静子 酸漿 200812
初鴨や母の忌近き切符買ふ 杉浦典子 火星 200812
初鴨やシナモン入りの京の菓子 大西洵子 遠嶺 200901
初鴨のはなばなしかる水しぶき 根橋宏次 やぶれ傘 200902
初鴨に水辺躍つてをりにけり 稲畑廣太郎 ホトトギス 200909
じゆんさい池どれが初鴨通し鴨 渡部節郎 転舵の渦 200911
初鴨や水あぢはうて味はうて 深澤鱶 火星 200912
初鴨の運河に遊ぶ日和かな 竹内慶子 春燈 200912
初鴨や肩の触れ合ふほどの仲 城孝子 火星 201001
初鴨や管理棟より煙立ち 小林成子 火星 201001
初鴨にはやくもハレムらしきもの 寺村年明 春燈 201001
初鴨と思へば少し痩せてみゆ 野口光江 遠嶺 201001
初鴨に沼の景色の生れけり 清海信子 末黒野 201002
初鴨の小さき布陣矢作川 佐藤美恵子 201002
初鴨のはや人馴れて岸に寄る 田所洋子 雨月 201002
初鴨として大琵琶をほしいまま 稲畑汀子 ホトトギス 201006
初鴨のはるかなるまま暮れはじむ 鷹羽狩行 201011
初鴨を橋ゆく声に近江びと 桂樟蹊子 201012
初鴨の水に疲れのありにけり 大山文子 火星 201012
初鴨を待つや鴨場の幾引堀 清水美子 春燈 201101
初鴨や池の浄土に着地せり 浅田光代 風土 201101
初鴨とおぼしき数の浮く湖心 清海信子 末黒野 201101
初鴨や風切羽の青ちらり 大石誠 201102
初鴨の少し愛する間合なり 小林正史 201102
初鴨の湖に幾羽や波を置き 池部久子 酸漿 201102
初鴨に平らな流れありにけり 山下美典 ホトトギス 201103
初鴨や近つ淡海を斜交ひに 稲畑廣太郎 ホトトギス 201106
初鴨を待つて居るやう通し鴨 緒方佳子 火星 201112
初鴨の気に入る栖処定まらず 竹内悦子 201112
初鴨の滑りて池の広さかな 黒滝志麻子 末黒野 201112
初鴨のおもちやのやうに畏まる 相良牧人 201201
遠眼鏡百ほどそろふ初鴨に 岡崎伸 遠眼鏡 201203
初鴨を待ち兼ねてゐる水の色 稲畑廣太郎 ホトトギス 201210
固まつてかたまつて初鴨の黙 稲畑廣太郎 ホトトギス 201211
初鴨の着水に湖目覚めゆく 稲畑廣太郎 ホトトギス 201211
初鴨に湖の鼓動の始まれり 稲畑廣太郎 ホトトギス 201211
初鴨や潮入川をさわがせて 杉浦典子 火星 201212
初鴨をすこしく散らし浮御堂 南うみを 風土 201301
初鴨のそれぞれの水尾引きゐたる 森岡恵子 万象 201301
漣に初鴨奔り影はしり 橋場美篶 末黒野 201301
初鴨の水輪大きく繋がれり 小林正史 201302
初鴨に陸の草ぐさねんごろな 深澤鱶 火星 201302
初鴨の小さきはばたき着水す 小澤菜美 201312
初鴨やしぐれの黙の沼豊か 宮内とし子 201401
初鴨を待つ名園の水面かな 橋本くに彦 ホトトギス 201402
初鴨の陣とはならず林泉の池 加藤静江 末黒野 201402
初鴨の靄より気配ありにけり 河野美奇 ホトトギス 201403
初鴨の円を描いて着水す 湖東紀子 ホトトギス 201403
初鴨や叡山の忌を知りしかに 稲畑廣太郎 ホトトギス 201410
初鴨に水面緩んでをりにけり 稲畑廣太郎 ホトトギス 201410
初鴨に空母のやうな余呉湖かな 稲畑廣太郎 ホトトギス 201410
初鴨やわが町の川ゆるやかに 西岡啓子 春燈 201412
初鴨や寡婦として日々はじまるか 那須礼子 春燈 201412
初鴨か二羽湖に着水す 大橋晄 雨月 201501
初鴨の短き水尾を引きにけり 塩野谷慎吾 201501
初鴨やいつものやうに川へ来て 根橋宏次 やぶれ傘 201501
初鴨の嗽ぐのみ神の池 相良牧人 201502
初鴨や迫りくる目のおそろしき 小林愛子 万象 201503
初鴨に江戸の庭園引き締る 稲畑廣太郎 ホトトギス 201510
初鴨の水尾の長さにある主張 稲畑廣太郎 ホトトギス 201511
古都の空初鴨に引つ張られゆく 稲畑廣太郎 ホトトギス 201511
初鴨に古都の空ほほゑんでゐる 稲畑廣太郎 ホトトギス 201511
一羽二羽三羽初鴨小名木川 小張志げ 春燈 201512
初鴨の暮れゆく声をつなぎあふ 柴田久子 風土 201512
初鴨のひと打賀茂川(かも)の波立てる 前田美恵子 201601
初鴨に水は硬さを解きゆく 稲畑廣太郎 ホトトギス 201611
初鴨に人工池といふ気品 稲畑廣太郎 ホトトギス 201611
初鴨に水微笑んでをりにけり 稲畑廣太郎 ホトトギス 201611
初鴨の眩しき水輪放ちけり 多田ユリ子 201612
初鴨の万里飛び来し声を吐く 山田六甲 六花 201612
初鴨や夕日こぼるる沼の奥 江見悦子 万象 201701
潮入の池に初鴨着きにけり 山田春生 万象 201702
初鴨の消息も聞き忌を修す 稲畑汀子 ホトトギス 201710
初鴨の来し消息の中にをり 稲畑汀子 ホトトギス 201710
ミサイルや初鴨ゆるき陣がまへ 石田きよし 201712
初鴨のしだいに混んできたりけり 根橋宏次 やぶれ傘 201711
十羽ほど初鴨がゐてまた小雨 大島英昭 やぶれ傘 201711
白川の速きに乗れり初鴨は 升田ヤス子 六花 201801
初鴨の陣かまへたる浜離宮 山田春生 万象 201801
初鴨の離宮の池に水尾を引く 飛高隆夫 万象 201802
夕されや初鴨の陣ととのはぬ 上岡佳子 万象 201802
初鴨のひとつひとつと日に消ゆる 南うみを 風土 201802
広やかな池なりし初鴨四五羽 後藤比奈夫 ホトトギス 201806
初鴨を淋しがらせることならじ 後藤比奈夫 ホトトギス 201806
初鴨を待ちし艇庫を真開きに 和田照海 京鹿子 201812
初鴨の声王陵の杜明くる 大石喜美子 雨月 201901
初鴨に流れ勢へり町の川 中根美保 風土 201901
初鴨や遊覧船の水しぶき 大森三保子 馬醉木 202001
初鴨や夕日掻きよせ陣をなす 山本雅子 馬醉木 202001
初鴨や着水の美を競ひあひ 平居澪子 六花 202002
水古き堀に初鴨混み合へる 戸栗末廣 202005
初鴨のこゑに濁りのありにけり 戸栗末廣 202006
初鴨の川の流れに未だ乗れず 稲畑廣太郎 ホトトギス 202011
初鴨や棚田に響くコンバイン 浜福惠 風土 202011
初鴨や満ち来る潮に揺さぶられ 浜福惠 風土 202011
初鴨やはやつがひにて道の端 善野行 六花 202101
初鴨やさ揺らぐ池の舫ひ舟 岡野里子 末黒野 202102
初鴨の群れて池面の波の綾 高木邦雄 末黒野 202102
あかつきの空の一角初鴨来 大西乃子 202105
初鴨の漣といふ褥かな 稲畑廣太郎 ホトトギス 202111
水尾歪むより初鴨となりゆけり 稲畑廣太郎 ホトトギス 202111
羽ばたいて初鴨水に立ち上がる 森なほ子 あを 202111
初鴨の四五羽に広し林泉の池 岡野里子 末黒野 202112
初鴨 →2

 

2023年10月1日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。