八 月 3      218句

白むくげ白無垢八月十五日   川崎展宏   玄

作品
作者
掲載誌
掲載年月
八月や不沈戦艦海底に 竹貫示虹 京鹿子 201108
戦中のサイレン長かりし八月 井上信子 201109
八月のてつぺんを行く乳母車 神蔵器 風土 201109
孤高なる雲や八月十五日 布川直幸 201109
反骨の厄捨て場所となる八月 鴨下昭 201109
八月の箱を二つに分けてゆく 堀内一郎 あを 201109
浦上の八月の空眩しかり 山口キミコ 201110
八月や眼にくっきりときのこ雲 伊藤憲子 201110
八月や貝にはなれぬ雀つこ 神蔵器 風土 201110
八月や昭和は未だ焦げ臭し 高村令子 風土 201110
八月の七つボタンは獣めく 鴨下昭 201110
八月や馴染みの友を迎へをり 仁平則子 201110
厄介なわが八月を送りたる 井上信子 201110
八月六日赤き半月低くあり 楠原幹子 201110
八月や荒縄で吊る軍鶏の足 あさなが捷 201110
戦船水漬くモノクロ八月の 水野恒彦 201110
須田町の八月九月のぜんざい屋 岡野イネ子 春燈 201110
八月の草ばうばうの庭眺む 安部里子 あを 201110
八月の寝場所さがして猫の居る 安部里子 あを 201110
八月の空青き日に想ふこと 早崎泰江 あを 201110
八月広島路傍の碑にも香ゆらぎ 川村欽子 雨月 201110
八月を待たず秋風脛に吹く 中山純子 万象 201110
八月の雨の夕べや下駄の音 増田一代 201111
八月や火照りの余る川あかり 吉村さよ子 春燈 201111
まんべんなく晴れ八月の物干台 石田康明 春燈 201111
人工衛星飛び交ふ八月十五日 宮井知英 201111
八月の田圃に農夫動かざり 加藤峰子 201111
どんこ舟みづき八月十五日 和田照海 京鹿子 201111
防空頭巾脱がず母子の八月忌 和田照海 京鹿子 201111
八月六日空いつぱいに鳩の発つ 北村香朗 京鹿子 201111
寝返りの痛さやゝ減り八月果つ 山田をがたま 京鹿子 201111
残照のまとも八月ほてり月 あかさか鷹乃 ろんど 201111
夕かげりして八月の峠の樹 蘭定かず子 火星 201111
朝のラジオ語る八月十五日 笠置早苗 火星 201111
八月のうたかた流るる五十鈴川 岩木茂 風土 201111
八月の梶木の痩せの見えにけり 四方由紀子 風土 201111
八月や魁夷の道の立ち上がる 工藤はるみ 風土 201111
八月は雲の墓標が立ち並ぶ 松田都青 京鹿子 201112
八月や卒塔婆を走る僧の筆 百瀬真山 末黒野 201112
俄か農婦にはか八月大名ぞ 山本久江 201112
江戸切子罅見付けをり八月尽 福島松子 ぐろっけ 201112
八月を蹤きおほせたる盆のくぼ 佐藤喜孝 あを 201112
八月ノ空ヨ学問ヨススメ 中原幸子 船団 201201
八月の空は健康優良児 志方章子 蟋蟀 201203
八月の端を歩きてとしよりは 佐藤喜孝 あを 201207
母語る八月十五日の昼 稲畑廣太郎 ホトトギス 201208
八月や煮返す湯気の透き通る 布川直幸 201208
八月や自動販賣機の眞水 佐藤喜孝 あを 201209
八月のあしたは油炒めかな 佐藤喜孝 あを 201209
戦後史の傷は癒えずに八月尽 中島玉五郎 201209
八月やスイッチオンオフ難しく 赤座典子 あを 201210
八月や多くの記憶蘇る 早崎泰江 あを 201210
八月の田の真ん中にけいじの忌 神蔵器 風土 201210
列島を浮かべ八月色の海 鈴木セツ 201210
原爆も原発もいらぬ八月尽 向江醇子 ぐろっけ 201210
八月や忘れてならぬことばかり 中嶋昌子 春燈 201210
人悼み星のつぶやく八月来 佐橋敏子 春燈 201210
庭咲きの供花ほめ八月十五日 渕上千津 201210
八月や羅漢は何に拳上ぐ 千田百里 201210
八月の皮の張ったる水いち枚 佐藤喜孝 あを 201211
八月の空駆け昇る飛行雲 上家弘子 ろんど 201211
八月大名徹す養生家籠り 大西よしき ろんど 201211
八月や涙する日の多かりき 近藤ともひろ ろんど 201211
八月十五日大佛殿の朝ぐもり 城孝子 火星 201211
浅沓の音の八月十五日 坂口夫佐子 火星 201211
街路樹に埃八月永きこと 師岡洋子 ぐろっけ 201211
遠ざかる記憶をたぐる八月来 鴨下昭 201211
八月の空てらてらと飛蚊症 高野春子 京鹿子 201211
征きし兄未だ還らぬ八月忌 和田照海 京鹿子 201211
八月や待つ人のゐる旅鞄 浅木ノヱ 春燈 201211
客ひとりふたり三人八月尽 坂本依誌子 春燈 201211
日記帳の余白八月十五日 川崎真樹子 春燈 201211
八月や六日九日十五日 谷岡尚美 201211
八月の荒神橋の真中かな 竹内悦子 201211
日々無為の老いに八月長きかな 小倉正穂 末黒野 201211
橋高く架かり八月来たりけり 根岸善行 風土 201211
八月の真つ只中を梓川 根岸善行 風土 201211
八月を見送る風と思ひをり 浅田光代 風土 201211
八月の夢二の墓に女佇つ 柴田久子 風土 201211
八月や朱肉の芯のくぼみがち 柴田久子 風土 201211
貨車の音乾ききつたる八月尽 市村明代 馬醉木 201211
川音の高き八月夢千代碑 片岡久美子 201211
八月尽満月の二度巡り来て 平居澪子 六花 201212
八月の轍の趾やヘツセの忌 河内桜人 京鹿子 201212
事多き重き八月やつと過ぎ 北村香朗 京鹿子 201212
八月を捜すごとくに子守唄 布川直幸 201212
八月尽喜寿手にとどく歯科通い 磯田せい子 ぐろっけ 201212
駅ビルの足場外され八月尽 福島松子 ぐろっけ 201212
新聞を出す日八月十五日 きくちきみえ やぶれ傘 201212
八月の駱駝客待つ長まつげ 梶浦玲良子 六花 201301
木下闇といへど八月十五日は暑い 吉弘恭子 あを 201310
八月十五日ほつとなで肩いかり肩 吉弘恭子 あを 201310
八月の稲穂やさしく揺れてゐる 須賀敏子 あを 201310
八月や背を正し聞く癌宣告 斉藤裕子 あを 201310
仏ごと多き八月父の忌も 荒木治代 ぐろっけ 201310
八月の空の青さの潔し 辰巳あした 雨月 201310
八月の気怠く垂るる柿暖簾 林範昭 火星 201310
八月や高い所が大好きで 安居正浩 201310
八月やキリンレモンに泡しきり 辻美奈子 201310
八月や句碑を洗ひて水濁す 岩木茂 風土 201310
蝉一声八月一日待つてたか 原田たづゑ 春燈 201310
混沌と八月の槙が一本 本多俊子 201310
戦時の書読みて八月空青き 西岡裕子 201310
八月や熟寝の子の頬真つ赤赤 吉弘恭子 あを 201311
帽を脱ぎ八月六日黙祷す 小原登志春 雨月 201311
八月六日まづ黙祷のあしたかな 高木典子 雨月 201311
踵つけて立てり八月十五日 あかさか鷹乃 ろんど 201311
八月や六日九日十五日 近藤ともひろ ろんど 201311
想ふこといつぱい八月十五日 松木清川 ぐろっけ 201311
鶏に餌を撒きしこと八月十五日 荒木甫 201311
八月や歩いても黙つてゐても 齋藤厚子 201311
地球儀の地軸かたぶき八月へ 来海雅子 201311
水底に尺八をきく八月忌 本多俊子 201311
八月の白ばかりなる曼陀羅華 竹内悦子 201311
香煙の裡に八月送りけり 坂口夫佐子 火星 201311
八月や馬のふぐりのかがやける 城孝子 火星 201311
八月の瓶のラベルが剥がれない 鴨下昭 201311
八月や羅漢のうしろ里訛 鴨下昭 201311
忌と熱に満ちし八月終はりけり 藤丸誠旨 春燈 201311
八月や俳友施設に入居せり 小野寺節子 風土 201311
八月十五日傳ふべきこともどかしく 居内真澄 ぐろっけ 201311
過疎の村タイの嫁きて八月大名 佐藤喜仙 かさね 201311
八月は昭和のにほふ忌日かな 和田照海 京鹿子 201311
八月の海紺碧に夕爾の忌 泉本浩子 馬醉木 201311
八月や時の流れもやや疲れ 瀧春一 花石榴 201312
八月の鏡に映る誕生日 安藤久美子 やぶれ傘 201312
八月の田のあをあをと法隆寺 渡邉孝彦 やぶれ傘 201312
八月の疲れがどつと脳溶かす 村田岳洋 ろんど 201312
八月の石を積みたる忠魂碑 鴨下昭 201312
八月の湖の白波ひた奔る 辻知代子 201312
八月や平和の文字を手に確と 松本アイ ぐろっけ 201401
八月の海女笑っては唄っては 津田このみ 船団 201401
八月やジンベエザメを下から見て 遠山陽子 201401
死語としてならぬ八月十五日 今村征一 ホトトギス 201401
八月の何時とはなしの赤い月 こうのこうき ろんど 201402
茣蓙敷かれある八月の河原かな 山本耀子 絵襖 201404
轟音や八月六日の蝉の声 中島玉五郎 201409

 白潮先生七回忌

八月をひとしく老いて集りぬ

井上信子 201409
八月や輪ゴムで打ちしカレンダー 吉弘恭子 あを 201409
八月や万物生まる海の色 鈴木セツ 201409
八月に向けて一羽の鶴を折る 須賀敏子 あを 201409
ことしまた八月十五日らしく晴 佐藤喜孝 あを 201409
滝の水八月空は曇りかな 筒井八重子 六花 201410
水盤に八月の葉を浮かべけり 長崎桂子 あを 201410
忌を集め八月灼くる天・地・人 渕上千津 201410
乾きたる布巾の歪み八月来 川崎真樹子 春燈 201410
八月の机の角がとろけてる 小林正史 201410
明けやらぬ八月六日の大雷雨 貞吉直子 馬醉木 201410
八月や爆音長靴耳底に 吉弘恭子 あを 201410
八月の繕ふ針はのろまです 長崎桂子 あを 201410
バスの旅八月六日黙祷す 須賀敏子 あを 201410
寿陵掃き生きて八月十五日 宮地静雄 末黒野 201411
汚染土に煩悩ひとつ八月来 鴨下昭 201411
八月の杞憂とは何「海ゆかば」 鴨下昭 201411
記帳の背まるし八月十五日 坂口夫佐子 火星 201411
茫茫と八月尽の己が影 岩月優美子 201411
八月のここにまた会ふ空の青 雨村敏子 201411
八月や六日・九日・十五日 竪山道助 風土 201411
身の内の軋む八月六日かな 平野みち代 201411
八月やがんじがらめに心電図 神蔵器 風土 201411
八月の山川ホテル五千尺 根岸善行 風土 201411
八月や大きな楽器背ナに負ひ 堀井英子 雨月 201411
起き臥しの二人まちまち八月尽 山口ひろよ 201412
桃の芯充血八月十五日 堀内一郎 堀内一郎集 201412
八月の八十路は一人ぼつちなり 鴨下昭 201412
八月のかなしき雨に濡れてをり 神山節子 201501
鶏肉のごとく目覚めて八月よ 原ゆき 船団 201502
朝の猫の見ている八月十五日 東英幸 船団 201502
八月尽夢二の縁復活す 稲畑廣太郎 ホトトギス 201508
八月の机上反故の鎭もれり 井上信子 201509
八月やわが家には無し長廊下 井上信子 201509
一途にも生きし少女期八月来 渡部良子 馬醉木 201510
八月の腕に食ひ込む旅鞄 宮川みね子 風土 201510
八月の海や機影のくぢらめく 千田百里 201510
日本の傷痕重き八月来 久染康子 201510
十二音階膨らみきらず八月尽 瀬川公馨 201510
生きるため生まれてきたの八月よ 須賀敏子 あを 201510
正坐してこくり八月十五日 原田達夫 箱火鉢 201511
八月や海見て酒と茹で卵 深川敏子 春燈 201510
八月や書店に並ぶ戦本 廣瀬克子 春燈 201510
秒針のひねもすひびく八月来 鴨下昭 201510
何時までも来ない夕暮れ八月十五日 塩千恵子 201510
新聞を出す日八月十五日 きくちえみこ 港の鴉 201510
仏と水わかち八月十五日 橋添やよひ 風土 201511
八月や規制厳しきフレスコ展 安永圭子 風土 201511
起きしなに水飲む八月十五日 平田紀美子 風土 201511
八月尽吼ゆる淡海の夜明けかな 寺田すず江 201511
海の景動から静へ八月尽 岩月優美子 201511
シーサーに八月十五日の雨 青谷小枝 やぶれ傘 201511
八月の渦巻く一樹鋼めく 高橋道子 201511
八月や先手先手と水を飲み 田村園子 201511
祝日の無き八月よ喪の月よ 田村園子 201511
ざははざはは今日八月十五日 平野みち代 201511
八月や花と見紛ふ葉の萎えて 長崎桂子 あを 201511
海鳴りのはるか八月十五日 佐久間由子 201511
喪に服す国にて八月十五日 岡真紗子 201511
銀杏の枝にたわわや八月尽 松村光典 やぶれ傘 201512
八月の真白き道をまつすぐに 今井春生 201512
金魚鉢の水かきわけて八月 佐藤喜孝 あを 201512
蒙古斑いまだ消さずに八月過ぐ 佐藤恭子 あを 201512
八月のワイングラスや雨漏りす 佐藤恭子 あを 201512
八月は嫌ひと言ひつすこし好き 志方章子 六花 201512
桂郎の生れし八月六日かな 神蔵器 風土 201512
八月の月釣っている女なり 津波古江津 船団 201602
八月の女は強いピーマンも 坪内稔典 船団 201602
兄っぽい谺だおーい八月だ 中原幸子 船団 201602
八月や昭和の記憶溢れ出す 都築繁子 201603
身の一つおろし八月終わりけり 吉宇田麻衣 201603
八月→4      

 

2016年8月25日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。

 
17/08/25 2017年8月25日 2017年8月25日