八月 1    222句

聲に出て確める遺書八月來る    高島茂  暖流

作品
作者
掲載誌
掲載年月
八月十五日食卓のソースと醤油
城孝子
火星
199809
新車来てまづ八月の風を切る
小澤克己
遠嶺
199810
八月の時をとどむる大葎
山尾玉藻
火星
199810
目つむりゐて八月の風の吹く
神蔵器
風土
199810
八月の磧にて火をつくりをる
岡井省二
199810
八月やすでに夜長の木々のいろ
岡本眸
199812
八月や黒くて遠く幹立てり
木内憲子
199812
八月のマジシャンいえいえ下駄やさん
須山つとむ
船団
199812
八月の猫だけが知る風の道
津田このみ
船団
199812
銀器磨く八月は七十のしずけさ
廣嶋美惠子
船団
199902
八月はそれほどつらいことである
武馬久仁裕
船団
199902
八月ははつらつ書類の束を焼く
武馬久仁裕
船団
199902
八月の背後に回る査察官
武馬久仁裕
船団
199902
八月の午後の点滴裏の家
武馬久仁裕
船団
199902
八月に帰化する旨を述べ終わる
武馬久仁裕
船団
199902
八月のこぼれた涙もりあがる
松本恭子
船団
199903
八月が割れて滴りせぬものか
深澤鱶
ヒッポ千番地
199905
日光月光(ぐわつこう)八月の円柱エンタシス
岡井省二
199908
八月の海人(あま)の塩焼く煙かな
岡井省二
199908
八月を流るる毬の行方かな
竹貫示虹
京鹿子
199908
越後路の八月すすき真白なり
阿部ひろし
酸漿
199909
八月のナガサキアゲハ尾行せよ
坪内稔典
船団
199909
八月の暑さ記憶の十五日
小黒カヅ
酸漿
199910
八月の初産の姪輝けり
高野美佐子
俳句通信
199910
八月十五日母の炒めし藷の蔓
宇利丞示
俳句通信
199910
八月のジーンズだぶつく診察日
安井よしこ
ヒッポ千番地
199910
八月の根元なりける嶽かな
小形さとる
199911
八月尽手足つめたく起き出づる
能村登四郎
199911
鉄路の石あかき八月十五日
櫨木優子
199912
八月六日背開きの魚並べおり
安西篤
海程
199912
八月のジーンズ脱げば流砂なる
榎本祐子
海程
199912
ふりかえる頭に高し八月は
大内冨美子
海程
199912
八月の少年梨の香りせり
小黒カツ
酸漿
199912
八月から笑いつづけるあんぶれら
南村健治
船団
199912
八月十五日午前のポプラがしゅうしゅう立つ
加川憲一
海程
200001
八月を音楽室に置き忘れ
塩見恵介
虹の種
200005
あとかたもなし八月の風が吹く
塩見恵介
虹の種
200005
八月のきれいな葛の吹かれをり
山尾玉藻
火星
200007
八月なり和布の根まで潜水す
岡井省二
200008
八月の重箱運ぶ男かな
あざ蓉子
船団
200008
八月の音ぶちまける輪転機
曽根久順
200009
通帳の赤字で終る八月尽
保坂加津夫
いろり
200009
八月のある日遮断機斜め上
松山律子
六花
200009
八月の森深めたる水の音
丹羽啓子
馬醉木
200010
八月の鯨は妹にいもうとに
兼近久子
海程
200010
八月や遠くの山の名前聞く
中原幸子
遠くの山
200010
八月のまひる音なく刻過ぎて
保坂加津夫
いろり
200010
八月十四日右手第四指脱臼
水原春郎
馬醉木
200011
火を熾す八月何も考へず
杉浦典子
火星
200011
百畳に丸寝八月十五日
吉田島江
火星
200011
八月の川深くあり浅くあり
加古みちよ
火星
200011
高階に住みて八月大名かな
中村洋子
風土
200011
八月の鏡に写る雲の形
荒川優子
春耕
200011
八月やひそと爪切る長生きす
永井徹寒
海程
200012
煮炊き跡磧にあまた八月尽
岩永節子
春耕
200012
八月の叫びつゞけしムンクの絵
笹村政子
六花
200012
八月尽パンダは人に目もくれず
須賀悦子
ぐろっけ
200012
八月の紙人形の髪かたち
あざ蓉子
船団
200101
八月のてぶらの手を垂れ歩道橋
佐々木峻
船団
200102
ははといふ闇八月の花が咲く
鳥居真里子
船団
200102
熱燗にするか八月十五日の酒は
前原勝郎
船団
200102
特攻の軍服小さき八月よ
水上博子
船団
200102
南に海八月の稲を刈る
岡井省二
200104
八月やいよよ決する一大事
稲畑廣太郎
ホトトギス
200108
球場へ八月といふ風ありぬ
稲畑廣太郎
ホトトギス
200108
八月の予定やうやく半ばなる
稲畑汀子
ホトトギス
200108
帆のごとく男まぎれず八月野
能村登四郎
200108
八月を火種のように抱いている
油津雨休
海程
200108
八月のCAFE・TERASSEの女かな
須山つとむ
船団
200108
八月のにぎり固めるくず石鹸
田村みどり
京鹿子
200109
八月や山にちらばる蟇
岡井省二
200109
八月の海へ海へと雪崩れ込む
石山正子
銀化
200109
日本の消へて仕舞った八月十五日
保坂加津夫
いろり
200109
八月十五日青酸加里を頒けしこと
堀内一郎
あを
200109
獅子独活や八月の富士くろがねに
渡邊千枝子
馬醉木
200110
黒々と能勢の山並八月尽
高野清風
俳句通信
200110
かばかりのことに時かけ八月尽
小野寺和子
200111
縁側に坐りて八月十五日
武井美代子
風土
200111
星飛沫して八月の祭来る
小澤克己
遠嶺
200111
八月の霞ケ浦を見てゐたり
伊藤和枝
百鳥
200111
八月や心機一転するつもり
中村昭義
百鳥
200111
八月十五日洗顔に胸ぬらしたり
山城孝子
火星
200111
八月の村あきらかに汐濁り
岡井省二
200111
八月や真空のなかの死者生者
水野恒彦
200111
八月の空白象の親子かな
岩月優美子
200111
嬰児泣く声の勢う八月六日かな
五十嵐研三
海程
200112
大観覧車八月の宙いのり充ち
澁谷道
海程
200112
八月十五日来る日も来る日も猫車
大口元通
海程
200112
うしろより目隠し八月十五日
向井由利子
200112
露草の花の色して八月は
やのかよこ
船団
200112
ただ暑し八月十五日の天地
安原葉
ホトトギス
200201
日光月光八月の円柱
岡井省二
200201
海山に遠く八月十五日
内田美紗
船団
200201
八月の空の涙が胸に落つ
濱口宏子
船団
200202
草深く棲む八月のおもひとは
柴田いさを
船団
200202
まっすぐな花瓶の欲しい八月末
寺田良治
船団
200202
キャンバスに八月の山ねむらせる
梶浦玲良子
波小舟
200205
八月の広島駅に刻合はす
田中武彦
六花句集
200205
八月の庭の疲れてをりしかな
稲畑汀子
ホトトギス
200208
八月といへば阿波への旅のこと
稲畑汀子
ホトトギス
200208
燃える塵燃えない塵や八月果つ
宮原みさを
花月亭
200208
窓開けて聞く八月の夜雨かな
朝妻力
雲の峰
200209
八月や山彦ひとつ甲斐を出づ
神蔵器
風土
200210
八月の首に吊るす三角巾
栗栖恵通子
200210
眠り得ぬフィルム八月十五日
大嶋康弘
銀化
200210
八月のもつとも睡い芒を抱く
川名将義
銀化
200210
八月は誰も居ぬから墓へ行く
田村はじめ
銀化
200210
八月の河老いてゆく乾電池
水木沙羅
銀化
200210
八月の日射しちらして野の水車
新福ふく
春耕
200210
八月のトークの日とて独り言
石岡祐子
200211
激辛カレー食べて八月十五日
有田蟻太
200211
たましひも尿も琥珀の八月や
田村みどり
京鹿子
200211
八月の空ヘリオスの駆けぬける
祐森彌香
遠嶺
200211
八月や「願」の一字の葉書来る
大曽根育代
遠嶺
200211
刻止めて八月六日酷暑かな
井口ふみ緒
風土
200211
八月のお麩屋黄いろの灯をともし
杉浦典子
火星
200211
あをあをと八月終る烏瓜
松原ふみ子
200211
平和像過ぐ八月の黒鞄
佐藤佐代子
200211
鋸を引く大工あなどる八月蚊
小野寺節子
風土
200212
八月の暦アリナミンが匂ふ
木山杏理
京鹿子
200212
8月のなかごろはまた暑かりし
佐藤喜孝
青寫眞
200304
血は鉄の味す八月十五日
須佐薫子
帆船
200305
八月の雨の蝦夷地へ着陸す
稲畑汀子
ホトトギス
200308
八月の蝦夷ははじめて雨に訪ふ
稲畑汀子
ホトトギス
200308
開放す座敷八月大名かな
須佐薫子
帆船
200308
軍鶏丼喰ふや八月十五日
須佐薫子
帆船
200309
夫の座に夫あり八月十五日
田中忠子
帆船
200309
八月三十一日なんとなく淋しき日
楠原幹子
200310
八月や鉄路に降りし大鴉
木野本加寿江
火星
200310
蒼穹の半旗八月十五日
山田天
雨月
200310
端切れ屋に蚊帳のはぎれも八月尽
阿波谷和子
雲の峰
200310
八月や抱き疲れの歓喜天
高千夏子
200310
終日雨音をきく八月十五日
早崎泰江
あを
200310
八月の初蝉なりし遙かなり
伊藤白潮
200310
白御飯立てり八月十五日
神蔵器
風土
200310
八月十五日階段の滑り止
関位安代
帆船
200310
八月の馬身より濃き山のいろ
水野恒彦
200311
風やんでしまひ八月六日なり
木下野生
200311
八月の現像室の匂ひかな
高橋とも子
百鳥
200311
八月は泣く人多し散槐
三嶋隆英
馬醉木
200311
被爆のこと語らず逝きし八月尽
平居澪子
六花
200311
うかららに八月の海なまぐさし
吉田島江
火星
200311
八月一日病院のお赤飯
杉浦典子
火星
200311
八月の山を連ねし灘五郷
堀博子
火星
200311
八月や重たき月の昇り出づ
山下青坡
200312
八月の火口に眠る鳥獣と
佐藤喜孝
あを
200312
八月や続いて通る雲の影
北嶋美都里
西の峰
200401
八月六日駅弁の紐まっ赤
須佐薫子
帆船
200408
妻恋ふに峠ありけり八月へ
伊藤白潮
200409
雨音に覚むる八月十五日
伊藤白潮
200409
八月尽うすく砂置く岩の上
岡本眸
200409
八月の大濤なりし撫でられし
天野きく江
200410
香盒の内のくれなゐ八月来
奥田節子
火星
200410
八月のシャンツェ影置く白馬かな
杉江茂義
雲の峰
200410
八月や日課のやうに子を叱り
鈴木美江
雲の峰
200410
八月やドボルザークの新世界
安部里子
あを
200410
八月の氷河渡りし日も遠く
大磯幸子
河鹿
200411
八月は祷りの月と思ひけり
藤井明子
馬醉木
200411
峻嶺の果て八月の海光る
小澤克己
遠嶺
200411
八月の広島に来て川の道
岩渕彰
遠嶺
200411
八月のバンザイ岬雲飛べり
岩渕彰
遠嶺
200411
八月の逝く蝋涙を長くして
高木嘉久
200411
八月の記憶たしかに不たしかに
飯塚ゑ子
火星
200411
八月十五日わが贅肉を削りたし
野澤あき
火星
200411
祈る日を重ねて八月半ばかな
堀正男
春燈
200411
アルバムの丸き眼鏡や八月忌
遠山みち子
200411
八月の雨指先の吾のにほひ
伊藤早苗
200411
月二回の満月に会ふ八月尽
横林誠一
200411
築港で八月大名雑魚釣れり
託正夫
200411
無防備に老いたり八月十五日
吉田順子
帆船
200411
八月や悼みの日々の空の色
吉田 孤愁
百鳥
200411
八月の神田に水引いてをる
石脇みはる
200411
鹿苑の闇の匂ふて八月尽
栗栖恵通子
200411
八月のひよんの実川は波立てる
大山里
200411
八月の松松松やすつぽん来
黒田咲子
200411
目つむりて一分八月の祈りかな
施まさ子
風土
200411
八月の油断してゐし朝鏡
近藤貞子
六花
200411
駅弁の日付八月十五日
須佐薫子
帆船
200412
八月や鳩のかたちの雲うかび
武友朋子
200412
八月や晴着のいらぬ成人式
藤原りくを
八千草
200502
児に還りしディズニーランドや八月尽
真木早苗
八千草
200503
男根に陰あり八月十五日
原田達夫
虫合せ
200506
八月の旅の近づく花さびた
稲畑汀子
ホトトギス
200508
八月の蝦夷は季節を急ぎをり
稲畑汀子
ホトトギス
200508
八月の星空仰ぐ誘ひかな
稲畑汀子
ホトトギス
200508
八月や水晶体に流れ弾
吉弘恭子
あを
200508
八月や雲を吐きゐる山ひとつ
高倉和子
200509
八月の生簀を廻る魚の群
中田みなみ
200509
八月のいろは匂へど曼陀羅華
竹内悦子
200510
天上大風八月のエンタシス
大島翠木
200510
八月の木樺が雨を恋ふしきり
久永淳子
春燈
200510
八月の冥さあつまる枕かな
外川玲子
風土
200510
文芸を論じ八月十五日
坂ようこ
200510
八月や外地そだちの一つ違ひ
竹内弘子
あを
200510
八月や四畳半におく盥
吉弘恭子
あを
200510
八月や心はいつもラムネ色
刈米育子
200511
八月や熱砂つかみし十五日
木田千女
200511
とぐろ巻くホース八月十五日
齋藤厚子
200511
八月の天地つなぐ滝の音
浜口高子
火星
200511
八月の欅優しき影を置く
与川やよい
遠嶺
200511
日程表びつしりの八月を消す
大畑善昭
200511
雑踏に紛れ八月十五日
五十嵐暢子
対岸
200511
八月の平和行進曇りけり
浜崎芙美子
対岸
200511
八月や古都くろがねの駅に立つ
池田加代子
風土
200511
トーストにサラダ八月十五日
三遊亭金遊
百鳥
200511
八月の空広くあり深くあり
河合大拙
百鳥
200511
八月や里に豊かな用水路
高倉恵美子
200511
あの父の八月十五日の最敬礼
直江裕子
京鹿子
200511
隣室のおそろしき闇八月
直江裕子
京鹿子
200511
八月や自宅勤務といふ勤務
二瓶洋子
六花
200511
八月尽く赤い夕日のしづみゆく
福盛悦子
雨月
200511
八月や移転せし墓地馴染み得ず
落合絹代
雨月
200511
耳順過ぐ八月はやつぱり暑い
吉弘恭子
あを
200511
八月や焼棒杭の根元まで
吉弘恭子
あを
200511
賞味期限切れいくつも残し八月盡
木村茂登子
あを
200511
退院となりて八月終りけり
川島道子
200512
広島に生き八月の便り来る
岩垣子鹿
ホトトギス
200601
八月を笹子の鳴ける原生林
辻恵美子
栴檀
200601
八月や光陰のかべ朱のはしる
安田優子
京鹿子
200601
高原八月花圃は歓喜の朱と金と
瀧春一
瓦礫
200606
八月の喇叭の金ンは錆びにけり
吉村たけを
海市蝶
200606
干し軍手バリバリ八月十五日
栗栖恵通子
200606
八月や軍靴の跫音近づき來
竹貫示虹
京鹿子
200608
八月 2→      

 

2021年8月16日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。