端 居 4   200句

 

作品
作者
掲載誌
掲載年月
端居して間なしに風の来たるかな 根橋宏次 やぶれ傘 200911
ありのままわれを語りて夕端居 淺井青陽子 ホトトギス 200911
だんだんと遠のく海や夕端居 橋本良子 遠嶺 200911
それぞれに一つ空見つ夕端居 松下信子 万象 200911
夕端居日本全土が射程内 栗田武三 ぐろっけ 200911
独り居の一人合点や夕端居 福島しげ子 ろんど 200911
今さらに抛つもののなき端居 土居通子 ろんど 200911
一人なり何処へ坐しても端居なり 田中貞雄 ろんど 200911
碁敵も酒友もなくて端居かな 彦根伊波穂 200912
言葉などいらぬ金婚夕端居 佐瀬晶子 ろんど 200912
きほひ立つ思ひはむかし夕端居 浅井青陽子 ホトトギス 200912
庭仕事次を思案の夕端居 高橋光民 末黒野 200912
旅はもう無理かと思ふ端居して 芝尚子 あを 201005
夕端居たましひ抜けてゆきにけり 稲畑廣太郎 ホトトギス 201007
日蝕を見るてふ端居心かな 稲畑廣太郎 ホトトギス 201007
端居してふと口遊む子守唄 コ田千鶴子 馬醉木 201008
待つといふことにも馴れて夕端居 松本圭司 201008
端居して孫が大きく見えにけり 高橋将夫 201009
端居してこんこん叩く茹で卵 天野美登里 やぶれ傘 201009
行く宛も話し相手もなく端居 上田明子 雨月 201009
球場の明かりの届く端居かな 生田高子 春燈 201009
夕端居積み残されてゐる如く 落合晃 201009
夕端居積み残されてゐる如し 落合晃 201009
将棋する男ら陽気夕端居 宮田香 201009
一瞥で猫に無視され夕端居 葦原葭切 春燈 201009
端居して反故となりたる句を拾ふ 西村純太 201010
端居して海の入り日の虜かな 佐々木よし子 201010
端居してふるさとに聞く稽古笛 柴田良二 雨月 201010
兄弟の教育談義端居して 鎌田篤 雨月 201010
浄土の父母夫も来ませよ夕端居 東野鈴子 雨月 201010
からつぽの頭にしたき端居かな 能村研三 201010
夕端居娘の逝きし事肯へず 高橋照子 雨月 201010
夕端居一時帰宅の夫と酌む 小林成子 201010
夕端居おはぐろも来て羽たたむ 小山ナオ子 酸漿 201010
暫くは横に猫ゐる夕端居 内藤玲二 201010
佳き声の胸に残れり夕端居 藤原若菜 春燈 201010
さながらに猫は端居の専門家 森下賢一 春燈 201010
先師の薫陶至福と申し端居せる 東野鈴子 雨月 201010
暗証番号妻に託すか夕端居 大西よしき ろんど 201010
端居して仰ぐ大樹の名を知らず 福間節子 201011
夕端居積木のお家そのままに 藤田裕子 万象 201011
誰かれを呼び込んでゐる夕端居 あさなが捷 201012
大過去と小過去ならぶ端居かな 小堀寛 京鹿子 201012
米寿とは重たくもなし夕端居 羽生きよみ ぐろっけ 201012
端居とは椅子一つ縁に移ることか 鈴木榮子 繭玉 201105
端居めく世界遺産の軒下に 稲畑廣太郎 ホトトギス 201107
端居して又読返す入選句 長崎桂子 あを 201108
一番星妣にひとこと端居かな 鈴鹿仁 京鹿子 201108
切株の北アルプスの端居かな 足立良雄 201109
夕端居風を求めて移りけり 鎌倉喜久恵 あを 201109
目覚めては一と日端居のごとき父 柴田佐知子 201109
かたはらに祖父の座いまもある端居 豊田都峰 京鹿子 201109
灯を星を数へて里の端居とす 豊田都峰 京鹿子 201109
雨垂れの落つる百態夕端居 石田きよし 201109
弔ひのこころのままに夕端居 浅沼久男 201110
郷の家開けて端居のものがたり 藤井節女 京鹿子 201110
夕端居漬物石の積まれある 中田禎子 201110
満月の端居の人を照らしゐる 大島翠木 201110
電燈の紐垂れてゐる端居かな 定梶じよう あを 201110
検診の事なきを得て夕端居 久保東海司 201110
大八洲板子一枚端居かな 小堀寛 京鹿子 201110
端居には端居の語りありにけり 相良牧人 201111
夕端居諸々端折りゐたりけり 数長藤代 201111
庭仕事終へて端居に黙す夫 年森恭子 ぐろっけ 201111
生きてゆく支点をずらし端居かな 土居通子 ろんど 201112
孫の名を考へてゐる端居かな 志方章子 蟋蟀 201203
弱りきし父を見てゐる端居かな 志方章子 蟋蟀 201203
夕端居百まで生くるつもりにて 浅井吉雄慈 夕端居 201203
嬰児の声に耳かす端居かな 志方章子 蟋蟀 201203
折り折りの風の恵みや夕端居 嵐弥生 末黒野 201204
夕端居いつしかペンだこは失せて 小林朱夏 201204
端居人おのづと風にむきかはる 佐藤喜孝 あを 201207
己の死たまさか思ふ夕端居 木島茶筅子 かさね 201208
端居して心自在に飛び回る 高橋将夫 201208
発想の枯れ尽くしたる端居かな 能村研三 201208
端居してをれば激励容赦なく 神蔵器 風土 201209
大会を終へひとときの端居かな 大橋晄 雨月 201209
石庭に波音探る端居かな 千田百里 201209
山の端にちぎれ雲ある夕端居 鈴木一広 201209
叱りたる犬抱きよせて夕端居 石川かおり 201209
よく揺るる枝を見てゐる端居かな 杉浦典子 火星 201209
端居して留置場の事軍鶏の事 大湾宗弘 万象 201210
端居して鉢植に水やつてをり 加古みちよ 火星 201210
端居して足裏に触るる犬の舌 長田曄子 火星 201210
端居して三代の貌並びをり 根本ひろ子 火星 201210
端居して季の移ろひや風一陣 小林久子 201210
端居して懐にある夕明り コ田千鶴子 馬醉木 201210
端居してなつメロを聞く夕べかな 米田文彦 かさね 201210
駒指せば眼裏に父夕端居 安田一郎 京鹿子 201210
世の中と一線画す端居せる 辻直美 201210
今生を見遣りて父の夕端居 柴田佐知子 201210
老母にまだまねぶ事あり夕端居 斉藤裕子 あを 201210
夕端居祖母の夕星さそひけり 安田一郎 京鹿子 201210
盲導犬端居の人に添ひゐたり 西畑敦子 火星 201210
髪膚佳し湯の香さらりと夕端居 岡井しげ女 春燈 201210
端居して家内の灯の淋しさう 笠置早苗 火星 201210
端居して酒尠なきを口に出づ 田中臥石 末黒野 201210
築五十年婚六十年の夕端居 酒井秀郎 返り花 201211
端居して原生林によりかかる 細川知子 ぐろっけ 201211
節電の居間の暗きに端居する 津田霧笛 ぐろっけ 201211
夕端居恙の証爪に出て 酒井秀郎 返り花 201211
夕端居帰らぬ人と知りつつも 森谷達三 春燈 201211
夕さびし端居のおとも金平糖 小菅礼子 春燈 201211
風筋に足遊ばする端居かな 橋本順子 201211
歳重ね泣くを忘れし端居かな 森谷達三 春燈 201211
庭仕事今日ここまでと夕端居 浅岡麻實 末黒野 201211
端居して我と我が身に質すこと 川端俊雄 火星 201211
安産の曾孫待つふたり夕端居 酒井秀郎 返り花 201211
耳だけは少しも端居してをらず 河野美奇 ホトトギス 201212
東山暮れ切るまでの端居かな 河野美奇 ホトトギス 201212
端居して時刻表みる旅の宿 武田紀久 やぶれ傘 201301
亡き妻とをりし端居となつてゐし 嶋田一歩 ホトトギス 201301
おしんの名未だ語りて端居かな 卯辰美苗 万象 201306
夕端居何時もの猫を侍らせて 稲畑廣太郎 ホトトギス 201307
子の未来親の来し方夕端居 稲畑廣太郎 ホトトギス 201307
似て来しと言はるる姑と端居かな 柿本麗子 千の祈り 201307
雲湧くを呑みつつ見遣り夕端居 井上石動 あを 201308
夕風の庭木見でゐる端居かな 佐津のぼる 六花 201309
祭礼の提灯ともる端居かな 根橋宏次 やぶれ傘 201309
端居して目鼻忘じてをりにけり 浅田光代 風土 201310
端居してお薄一服頂戴す 有賀昌子 やぶれ傘 201310
新参の小鳥のこゑの端居かな 金子つとむ ろんど 201310
あと暫し灯さずゐたし夕端居 西村操 雨月 201310
手に付かぬ事ばかりなり夕端居 森理和 あを 201310
けふに先れ明日を覗く端居かな 川崎真樹子 春燈 201310
みな旅人と思へば安し夕端居 松田都青 京鹿子 201310
己が声素直に聞いてゐる端居 湯川雅 ホトトギス 201311
端居して風呂敷肩に髪カット 居内真澄 ぐろっけ 201311
星の数声出しかぞへ夕端居 山中蕃 末黒野 201311
風に乗る音頭の太鼓夕端居 坂口郁子 末黒野 201311
一雨の過ぎたる後や夕端居 長田厚子 末黒野 201311
夕端居ひとりをよしとすることも 苑実耶 201312
椅子に身を沈めて端居ごころかな 瀧春一 花石榴 201312
胸うちに一事ありたる夕端居 中野池好子 201401
夕星を夫とし見つむ端居かな 久保久子 湖心 201402
人も木も遠き隔たり夕端居 中野あぐり 春燈 201407
捨つるもの数へてをりし端居かな コ田千鶴子 馬醉木 201408
端居して見ゆる世のあり人のあり 千田敬 201408
どちらから折れるともなく夕端居 大谷昌子 馬醉木 201409
寄る辺なき猫の声あり夕端居 須賀敏子 あを 201409
いもうとのやはらかな肩夕端居 小田里己 201409
かうべ垂れ端居の前を通りけり だいじみどり 201409
ひとりにはとうに慣れたり夕端居 あさなが捷 201410
端居してメールの返事待ちゐたり 磯野しをり 雨月 201410
端居してものも思はずゐたりけり 大橋敦子 雨月 201410
原人のさまに並びて夕端居 塩路五郎 201410
ことさらに端居と言はず端居かな 山本孝子 ろんど 201410
泰然と昭和一桁夕端居 大島みよし 201410
泣き言を母に叱られ夕端居 斉藤裕子 あを 201410
木の股に日のとどまれる夕端居 坂口夫佐子 火星 201410
満州のはなし昭和の夕端居 西郷慶子 201410
訪ひて端居の端を借り申す 千田百里 201410
老ゆること老いつつ学ぶ端居かな 志方章子 六花 201410
母をふときれいと思ふ夕端居 太田慶子 春燈 201410
父ありてこそのこの身や夕端居 大橋敦子 雨月 201410
子の家の煮炊きのにほふ夕端居 山田美恵子 火星 201410
今日の日は今日の力で端居かな 小菅澄重 春燈 201410
うなづきに思ひをこむる端居かな 吉武千束 太古のこゑ 201411
にぎやかに苦労ばなしや夕端居 斉藤マキ子 末黒野 201411
端居して話の中を占めたがる 金子正道 京鹿子 201411
一生を悔いてせんなき端居かな 久保田万太郎 春燈 201502
端居して濁世を嘆く思ひあり 水原春郎 馬醉木 201508
端居して借景ばかりほめらるる 白神知恵子 女坂 201508
電燈の紐に目を遣る端居かな 根橋宏次 やぶれ傘 201509
螢雪の功と縁なき端居かな 吉村摂護 201510
反抗期めいて端居の夫の背 甲州千草 201510
揺り椅子にちちの手擦れや夕端居 近藤鉦子 201510
端の端定位置にして端居かな 能村研一 201510
特攻と呼ばれし父よ夕端居 須賀敏子 あを 201510
端居して俳句生まるる時を待つ 岡山敦子 京鹿子 201511
藤棚の木漏れ日の下端居かな 濱谷和代 万象 201511
夕端居心の奥に夫のゐて 大橋伊佐子 末黒野 201511
端居する背に漂ふ静寂かな 東小薗美千代 末黒野 201511
端居して槙の青さの今更に 志方章子 六花 201511
旅ごころいつしか端居心かな 河野美奇 ホトトギス 201512
端居して駒音ぴしと王手飛車 元橋孝之 京鹿子 201512
夕映えに詩心つのる端居かな 森清堯 末黒野 201512
遠汽笛ふと旅心沸く端居 稲畑廣太郎 ホトトギス 201607
四阿に端居の心育ちゆく 稲畑廣太郎 ホトトギス 201607
端居して子供時代を褒めらるる あさなが捷 201607
目を遠くやりてばかりの夕端居 矢野百合子 201607
風音を波音と聴く夕端居 中山皓雪 201608
端居する我に声かけ男行く 細川コマヱ 雨月 201608
ひとり言呟きつつの端居かな 細川コマヱ 雨月 201608

 宗左近先生を偲びて

江戸川の残照に佇ち端居めく

千田百里 201608
団扇手にとほき端居の父憶ふ 安立公彦 春燈 201609
何事もうべなふ母の端居かな あさなが捷 201609
子も友もだんだん遠し夕端居 山内碧 201609
夕端居風に有涯をゆだねけり 今井弘雄 春燈 201610
尺八の音のずれ来る夕端居 天野美登里 やぶれ傘 201610
憂き事を忘れて居りぬ端居して 高橋照子 雨月 201610
遠星を引き寄せゐたる端居人 佐々木秀子 201610
端居して愚痴聞く側にまはりけり 野村鞆枝 京鹿子 201612
端居して頃合ひと言ふおつきあひ 磯部時枝 京鹿子 201701
娘を諭す妻の声あり夕端居 石田きよし 201708
意に適ふ返信を待つ端居かな 田村園子 201709
舌頭に一句をのせて端居かな 遠藤逍遙子 風土 201709
厨より妻の呼ぶ声夕端居 石井秀一 風土 201709
あやとりの橋が箒に夕端居 有賀昌子 やぶれ傘 201709
老姉妹昔語りの夕端居 服部珠子 雨月 201710
端居 →5

 

2021年7月30日 -> 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。