春を待つ 4  100句

春を待つこころに鳥がゐてうごく   八田木枯   俳句

作品
作者
掲載誌
掲載年月
山河いま薄墨色に春を待つ 宮内とし子 201404
眼差しの似たる仏や春を待つ 樋口みのぶ 201405
春を待つ母にべージュの靴を買ふ 林陽子 万象 201405
春を待つ十戸の谿の平家村 石谷淳子 雨月 201405
加齢てふ病あるらし春を待つ 畑佳与 京鹿子 201405
春を待つ脈搏音のゆらぐ夜 河村啓花 ろんど 201406
春を待つ少女の鞄鈴鳴つて 島谷征良 風土 201406
しあはせは本を読むこと春を待つ 岩岡中正 ホトトギス 201407
再発はケセラケセラと春を待つ 山本無蓋 201405
祝ぎの会待ち春を待つ心かな 稲畑汀子 ホトトギス 201501
客を待つやう病む母と春を待つ 岡部名保子 馬醉木 201503
多年草死んだふりして春を待つ 時澤藍 201503
春を待つ勾玉のやうなる胎児 佐藤弘香 ろんど 201504
春を待つ村の要の楠大樹 浅田光代 風土 201504
山裾の風重ねつつ春を待つ 伊東和子 201504
大玻璃戸磨きて春を待ちにけり 菊池洋子 やぶれ傘 201504
春を待つ四花菱に卓布替へ 原田しずえ 万象 201504
春を待つほんのり甘き和三盆 川崎良平 雨月 201504
紙雛の小箱びっしり春を待つ 武生喜玖乃 雨月 201504
やや痩せしこともめでたく春を待つ 今井千鶴子 ホトトギス 201505
はらからは皆逝き春を待つばかり 相沢有理子 風土 201505
母に会ふことはもうなし春を待つ 高倉和子 201505
春を待つ卵の殻を土に混ぜ 松尾龍之介 201505
シュトラウスのワルツ流して春を待つ 尾崎みつ子 雨月 201505
春を待つ木曽の檜の俎も 松田泰子 末黒野 201506
春を待つ卵の殻を土に混ぜ 松尾龍之介 201506
おにぎりの味噌香ばしく春を待つ 篠藤千佳子 201510
春を待つ新幹線の発車ベル 稲畑廣太郎 ホトトギス 201601
地震語り年尾語りて春を待つ 稲畑廣太郎 ホトトギス 201601
亜米利加の対岸に立ち春を待つ 稲畑廣太郎 ホトトギス 201601
春を待つビルの谷間といふ死角 稲畑廣太郎 ホトトギス 201601
春を待つ人を吐き出す山手線 稲畑廣太郎 ホトトギス 201601
猫の耳ぴくと動きて春を待つ 稲畑廣太郎 ホトトギス 201601

 大浦郁子句集『奈良団扇』

耳成の裾廻の風や春を待つ

能村研三 201603
献上の酒や醤油や春を待つ つじあきこ 201603
絶筆のさくらのピンク春を待つ はしもと風里 201603
家庭内にそれぞれ巣穴春を待つ 篠田純子 あを 201603
走り根のぬめりと光り春を待つ 篠田純子 あを 201603
婚姻の日取り決まりて春を待つ 宮崎靖夫 201604
病床にさなぎとなりて春を待つ 有松洋子 201604
春を待つ海目の前に雨情館 森高武 風土 201604
ゴム長の動物園長春を待つ 宮崎高根 201604
あやとりの橋を崩して春を待つ 池田光子 風土 201605
煤けたる梁の艶春を待つ 後藤眞由美 春燈 201605
閻王に背筋正して春を待つ 吉村幸子 雨月 201605
わが十指たつきの水の春を待つ 山口順子 馬醉木 201606
春を待つ実朝舞ひし神楽殿 稲畑廣太郎 ホトトギス 201701
富士を見て富士に見られて春を待つ 稲畑廣太郎 ホトトギス 201701

 祝大倉源次郎氏観世寿夫賞受賞

伝統を未来へ繋ぎ春を待つ

稲畑廣太郎 ホトトギス 201701
春を待つ身の暗流にポタージユを 片山煕子 京鹿子 201701

 栗原公子句集『銀の笛』

横笛に銀の響きや春を待つ

能村研三 201703
春を待つ赤き目盛の哺乳瓶 林昭太郎 201703
春を待つ畑の隅に小石積み 天野美登里 やぶれ傘 201703
春を待つ幼ばかりの英語塾 甲州千草 201704
ハチ公とだまつて春を待ちにけり 宮崎洋 春燈 201704
つつがなく八十路を越えて春を待つ 山形悦子 万象 201704
春を待つ歩道工事の掲示板 長崎桂子 あを 201704
おしのぎと云ひ豆菓子に春を待つ 生澤瑛子 ホトトギス 201705
春を待つ夜毎に白き月仰ぎ 飛高隆夫 万象 201705
鳴声のこもる牛舎や春を待つ 石黒興平 末黒野 201705
魁の草花活けて春を待つ 竹内喜代子 雨月 201706
山会を世に示さばや春を待つ 稲畑汀子 ホトトギス 201712
春を待つ枯木に艶の見え隠れ 大日向幸江 あを 201801
待つ逸り鎮めのリバーシブル 能村研三 201802
晴れ渡り木々は動きて春を待つ 大坪景章 万象 201803
春を待つ枝の先より暮れ初むる 森なほ子 あを 201804
庭の花活けて我が家の春を待つ 亀岡睦子 やぶれ傘 201804
ネイリストの柔らかな指春を待つ 山浦紀子 春燈 201804
春を待つ背中合せの寺社 小川流子 201804
広辞苑七版書架に春を待つ 安立公彦 春燈 201804
春を待つキッコーマンの醤油差 定梶じょう あを 201804
月食の始終見届け春を待つ 安斎久英 末黒野 201805
春を待つ老の心を老いて知る 後藤比奈夫 ホトトギス 201808
春を待つ維新を知らぬ龍馬の目 稲畑廣太郎 ホトトギス 201901
新聞に切り抜き穴や春を待つ 能村研三 201903
春を待つ遅延電車を待つやうに 川崎真樹子 春燈 201904
春を待つボトルシップは海知らず 塙誠一郎 201904
春を待つ心も身をも宥めつつ 岩月優美子 201904
底深く鯉ひつそりと春を待つ 佐津のぼる 六花 201904
残りたるいのち大事に春を待つ 佐津のぼる 六花 201905
春を待つ付箋の色を空色に 森川淑子 201905
身をよせて春を待ちをる小鳩かな 柴田靖子 201905
本復を実感しつつ春を待つ 三村純也 ホトトギス 201906
病み抜けし夢より目覚め春を待つ 和田華凛 ホトトギス 201906
春を待ちゐたる遺影の語る声 和田華凛 ホトトギス 201906
倶に病み語りて春を待ちゐしに 安原葉 ホトトギス 201906
人に謝し運命に謝して春を待つ 千原叡子 ホトトギス 201906
もう一度庭歩きたし春を待つ 安原葉 ホトトギス 201906
免罪の門改装し春を待つ 中山未奈藻 201907
山の黙海の騒きに春を待つ 稲畑廣太郎 ホトトギス 202001
たゆたうて貸切りボート春を待つ 池田光子 風土 202001
象の鼻麒麟の首も春を待つ 稲畑廣太郎 ホトトギス 202001
遺された言葉は誠実春を待つ 後藤晴美 202003
気持ちはいつも涙に遅れ春を待つ 谷口一献 六花 202003
コーヒーとパンを仏に春を待つ 三上程子 風聴くや 202003
黒胡椒カリリカリリと春を待つ 石井美智子 風土 202004
春を待つ →5

 

 

2022年2月17日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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