春の闇 3     100句

をみなとはかゝるものかも春の闇  日野草城  昨日の花

作品
作者 掲載誌 掲載年月
茶畑にゆきわたりたる春の闇 山尾玉藻 火星 201104
香焚きてひとりも良けれ春の闇 川村亘子 末黒野 201104
旅途次の震災報や春の闇 能村研三 201104
詩仙の間吾が蒙昧の春の闇 伊東和子 201105
ぬけうらに猫の戯れ合ふ春の闇 小俣剛哉 春燈 201105
春の闇黒地に金の平蒔絵 林日圓 京鹿子 201105
本震余震ゆれは変らず春の闇 吉田政江 201105
電球の中は真空春の闇 吉田希望 201106
春の闇計画停電ある日夜 山口キミコ 201106
連絡のなき子を待つや春の闇 小野口正江 末黒野 201106
首落ちし石仏一つ春の闇 木内博一 春燈 201107
べらぼうの棒が倒れる春の闇 松田都青 京鹿子 201107
春の闇もろもろの鍵ポケツトに 上野民子 京鹿子 201107
春の闇この石橋を渡らねば 渡辺数子 火星 201107
春の闇ピアノの音の獣めく 本多俊子 201107
置唄や黒子の曳きし春の闇 熊川暁子 201107
原爆は父原子炉は母春の闇 小堀寛 京鹿子 201108
勝ち牛のもどつてゐたる春の闇 川端俊雄 火星 201108
磔像の右傾の愁ひ春の闇 塩路隆子 201205
水軍の番所跡なり春の闇 片岡久美子 201206
読唇術で探る呟き春の闇 平田恵美子 ぐろっけ 201207
未だ揺れてゐる東京の春の闇 稲畑廣太郎 ホトトギス 201204
春の闇より八つの目光りけり 稲畑廣太郎 ホトトギス 201204
春の闇より怨めしやうらめしや 稲畑廣太郎 ホトトギス 201204
強風に地震に遅れて春の闇 稲畑廣太郎 ホトトギス 201204
キャンディーズ一人逝きたる春の闇 稲畑廣太郎 ホトトギス 201204
春の闇聖土曜日が払ひゆく 稲畑廣太郎 ホトトギス 201204
東京駅コンコースてふ春の闇 稲畑廣太郎 ホトトギス 201204
魍魎の宴吉野の春の闇 稲畑廣太郎 ホトトギス 201204
水音の消えたるよりの春の闇 稻畑汀子 ホトトギス 201204
レコードの針落す音春の闇 涌羅由美 ホトトギス 201207
二の腕の庖瘡の痕春の闇 鳥居美智子 ろんど 201206
寝付かれぬ吾押しつつむ春の闇 加藤千津 ろんど 201207
長廊の手もと足もと春の闇 鎌田悟朗 ろんど 201207
水飲める猫の舌打ち春の闇 上谷昌憲 201207
春の闇押し出すやうに雨戸閉づ 荒井千瑳子 201301
ひとつづつ桶屋の桶の春の闇 浜口高子 火星 201206
回廊の先より声が春の闇 浜口高子 火星 201206
二重封筒の外側にある春の闇 鈴鹿けい子 京鹿子 201301
カーテンで仕切る病室春の闇 小林朱夏 201205
君とゐる時間はこはき春の闇 栗原京子 201205
背より入る回転扉春の闇 中村恭子 201205
原子炉に母乳したたる春の闇 鴨下昭 201205
削りゐる牛蒡の匂ふ春の闇 山田六甲 六花 201205
春の闇パズルを解いてをりにけり 中島陽華 201206
機械油こぼれてゐたる春の闇 竹内悦子 201206
春の闇は大きうつろかもしれぬ 水野恒彦 201207
悩みなど無しといへども春の闇 岩下芳子 201207
読唇術で探る呟き春の闇 平田恵美子 ぐろっけ 201207
寝付かれぬ吾押しつつむ春の闇 加藤千津 ろんど 201207
長廊の手もと足もと春の闇 鎌田悟朗 ろんど 201207
やうやくに山の端見えて春の闇 松本周一 かさね 201207
春の闇押し出すやうに雨戸閉づ 荒井千瑳子 201301
二重封筒の外側にある春の闇 鈴鹿けい子 京鹿子 201301
春の闇陸橋は逢ふために 井上信子 201304
水分に辰砂ありけり春の闇 中島陽華 201305
自画像の眼鋭し春の闇 荒井千佐代 201305
世界中の目が煙突に春の闇 吉田政江 201305
延々と夢延々と春の闇 安居正浩 201306
鋭き一声あとむあむあと春の闇 加藤みき 201306
星もなき春の闇より湧く気息 藤浦昭代 ホトトギス 201307
眠る間は心美し春の闇 常田希望 201404
春の闇もぞもぞ動く座敷犬 黒住康晴 201405

 腰椎圧迫骨折

一瞬の不覚の入院春の闇

市川玲子 春燈 201405
追ひ風につい小走りぬ春の闇 川村亘子 末黒野 201406
喪帰りの襟足白し春の闇 加藤峰子 201407
玉眼の見据ゑてをりぬ春の闇 前田美恵子 201407
春の闇鍾乳洞に古酒醸す 福島せいぎ 万象 201407
弁天と昆沙門在す春の闇 杉浦典子 火星 201407
けもの道春の闇へと続きをり 神戸やすを 201408
磔像の右傾の憂ひ春の闇 塩路隆子 璦別冊 201408
来し方の懺悔に深き春の闇 脇 康彦 璦別冊 201408
風なきに草木匂へり春の闇 中野久雄 末黒野 201408
釉薬は春の闇なり月の富士 有松洋子 緑光 201411
足元に猫が寄り来る春の闇 中江月鈴子 201405
坂昇るこの闇こそが春の闇 中江月鈴子 201405
わが知らぬライン飛び交ふ春の闇 渕上千津 201505
ひと跨ぎ大佛殿の春の闇 佐藤喜孝 あを 201505
春の闇雁字搦めの赤い糸 宮崎高根 201505
春の闇山を魔法で包みゆく 塩貝朱千 京鹿子 201505
山鳩の寄り来るにほひ春の闇 高野春子 京鹿子 201505
春の闇宇宙の旅は闇の旅 高橋将夫 201506
丸盆に乗せてゆきたる春の闇 雨村敏子 201506
退院の一歩にまとふ春の闇 大坪あきら 万象 201506
満天の星のさざめき春の闇 塩田杉郎 風土 201506
どこまでも続く細道春の闇 秋川泉 あを 201506
春の闇切れさう木屋の長包丁 奥井あき 201506
春の闇ポットに豆の太りゐて 太田昌子 馬醉木 201506
玄室の古鏡に映る春の闇 田中とし江 201506
春の闇阿修羅の眉間愁ひをる 前田美恵子 201507
春の闇ただひたすらに結跏趺坐 小嶋紘一 末黒野 201507
春の闇消せしテレビに己が顔 三木千代 201508
春の闇深しチリチリ猫の鈴 久保夢女 201604
島影と思へてきたる春の闇 山田六甲 六花 201604
まなうらのらんたん紅蓮春の闇 田川美根子 201605
漱石の大いなる闇春の闇 高橋道子 201605
竹箒束ねてありし春の闇 竹内悦子 201605
異次元はこんなところよ春の闇 高橋将夫 201606
白紙に朱筆のゆらぎ春の闇 雨村敏子 201606
春の闇けものの息の潜みたる 橋本順子 201606
春の闇 →4      

 

2021年3月6日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

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ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。