春の闇 2    113句

春の闇甘納豆を踏んじゃった    谷山花猿

作品
作者 掲載誌 掲載年月
春の闇踏んで潰れし豆の音 今瀬剛一 対岸 200504
春の闇寂けき跫音近づき来 林翔 200505
春の闇けものの眼動きけり 石脇みはる 200505
春の闇振れば薬袋ひびきけり 村園子 200505
春の闇ゆるがせて鳴る大時計 田中藤穂 あを 200505
ゴスペルを聴く亡き妻と春の闇 金子輝 春燈 200506
耳の中のみに笛鳴る春の闇 林翔 200506
縄文の春の闇見し土偶の眼 内山照久 200506
持て余す気持ち吸ひ込む春の闇 三橋早苗 ぐろっけ 200506
混声のやうな浪音春の闇 関口みよ子 帆船 200506
春の闇といふ闇の香の庭にあり 阿部ひろし 酸漿 200506
更けてより雨気はらみけり春の闇 糸井芳子 200506
星あまた夜明け急がぬ春の闇 高橋将夫 200507
涙の訳ぽつりぽつりと春の闇 福島松子 ぐろっけ 200507
春の闇三斤の麻ありにけり 高橋将夫 星の渦 200507
神の山呑み込んでゆく春の闇 遠野萌 200507
春の闇プラットホーム蹲るる 大高芭瑠子 炎夏 200507
春の闇含み笑ひをしてゐたる 中杉隆世 ホトトギス 200508
床の間に白磁の浮かぶ春の闇 石川等 200508
黄泉の声聞く玄室の春の闇 立石萌木 雨月 200508
子宮からた走る宇宙春の闇 ことり 六花 200508
洩るる灯に鏡なまめく春の闇 田所節子 涼しき嵩 200511
一塊の濃き闇が過ぎ春の闇 鷹羽狩行 200604
達陀の勢ひ戛戛春の闇 能村研三 200604
護摩焚いて火ふぶきあがる春の闇 能村研三 200604
ふふふふと声してゐたり春の闇 前川明子 200605
歯がのうて歯茎つるつる春の闇 中島陽華 200605
指先にたまる力や春の闇 犬塚芳子 200605
竪穴の一家に一つ春の闇 今瀬剛一 対岸 200605
悪戯が涙ぐんでる春の闇 尾堂Y 河鹿 200606
抽斗の奥にも小さき春の闇 石川等 200606
声遠きムンクの「叫び」春の闇 佐渡谷秀一 春燈 200606
老足の小町出づべし春の闇 片山博介 春燈 200606
伊能図の正本烏有春の闇 林日圓 京鹿子 200606
身の裡に死の芽の育つ春の闇 荒井千佐代 200606
こちらさこ春の闇から呼ばれたる 高橋将夫 200606
天地の膨らむ音や春の闇 岩月優美子 200606
陰陽師と見しは黒猫春の闇 塩路隆子 200607
春の闇牛臨月の息を吐く 土生逸麿 河鹿 200607
積み上げし乱歩全集春の闇 金子輝 春燈 200607
声明の突き抜けてゆく春の闇 佐々木はな子 遠嶺 200607
先導の法螺の音響む春の闇 佐々木よし子 200610
焦れども眠らぬ脳や春の闇 伊藤稔代 200705
もろもろの動き初めたる春の闇 方近藤きくえ 200705
灯明の幽かも揺れず春の闇 中野さき江 春燈 200705
春の闇母の遣せる歌稿かな 大口憧遊 春燈 200705
地球とて星のひと粒春の闇 河口仁志 200705
春の闇二度光り浴ぶラムセス像 宇田紀代 200705
寝台列車にギザ迄揺らる春の闇 宇田紀代 200705
外科なべて仏心鬼手や春の闇 林日圓 京鹿子 200705
シグナルの変る夜道や春の闇 兼子栄子 酸漿 200705
灯を消せば明日へとつづく春の闇 戸田円三 200706
ドアノブの仄かな湿しとり春の闇 佐々木新 春燈 200706
四神の気配うきうきと春の闇 近藤喜子 200706
篝火を辿れば春の闇のあり 高柳ちゑ 遠嶺 200706
夕刊のなかなか来ない春の闇 鎌倉喜久恵 あを 200706
掌に沈む天金の書や春の闇 金子輝 春燈 200707
人逝けば花に飾られ春の闇 樋口みのぶ 200707
春の闇つなぎ回送列車かな 小嶋洋子 200801
瀧音のごときくちづけ春の闇 ことり 六花 200803
照明弾美しかりし春の闇 堀内一郎 あを 200803
緞帳が遮る向かう春の闇 能村研三 200804
石斧の音のこぼれる春の闇 坪内稔典 稔典句集 200804
恐竜のすわった跡か春の闇 坪内稔典 稔典句集 200804
網走の古き拘置所春の闇 長瀬恒子 遠嶺 200805
春の闇に羽根をひろげし大孔雀 加藤みき 200805
無住寺は猫のたまり場春の闇 笹倉さえみ 雨月 200805
春の闇湖面ただよふ鳥の群れ 早崎泰江 あを 200805
そばだてて又も空耳春の闇 渕上千津 200806
雨粒に我に返りし春の闇 中野京子 200806
犬を呼ぶ口笛らしき春の闇 早崎泰江 あを 200806
天の邪鬼踏まるる声や春の闇 中条さゆり 200806
若狭井へ香水走る春の闇 峯桜子 遠嶺 200807
擦れ違ふ人の残せし春の闇 木村真魚奈 京鹿子 200808
海を背の「沈黙」の碑や春の闇 勝原文夫 ペン皿 200811
気配して動くものなき春の闇 鷹羽狩行 200904
ガレの花器のみ灯に浮かび春の闇 杉良介 200904
いにしへの手燭が欲しや春の闇 杉良介 200904
春の闇すくって見たし時折は 鎌倉喜久恵 あを 200904
春の闇百の嚔を繰り返す 山本孝夫 200905
「ほ」の列のステッキ三本春の闇 大鋸颯人 炎環 200905
近道と思ひて迷ふ春の闇 木村茂登子 あを 200905
春の闇等身大の人体図 新関一杜 春燈 200905
指からめ誓ひて春の闇纏ふ 中野英伴 春燈 200905
春の闇バックライトの子を送る 和田郁子 200906
目つむれば身ぬちにもあり春の闇 高橋たか子 馬醉木 200906
ドロップの缶の内なる春の闇 加藤みき 200906
鍵穴の深部の鼓動春の闇 掛井広通 200906
曲馬団のタイツ金色春の闇 野崎タミ子 炎環 200906
指さして定刻発車春の闇 波田野雪女 炎環 200906
すれ違ふ煙草の匂ひ春の闇 松下千恵子 春燈 200906
たぷたぷと波の音のみ春の闇 大木清美子 200906
春の闇灯に動く口ありき 中島陽華 200907
金丸座の木戸くぐりけり春の闇 戸田春月 火星 200907
山火事のひろがりゐたる春の闇 木野本加寿江 火星 200907
春の闇二人の声の遠ざかる 有吉桜雲 200909
春の闇つなぎ回送列車かな 小嶋洋子 泡の音色 200912
みどり濃き非常口灯春の闇 森下康子 201005
春の闇手を差し入れて鍵探る 松林順子 雨月 201005
九十九島ひとつひとつに春の闇 大地真理 201005
爪立ちて母を見送る春の闇 吉弘恭子 あを 201005
全麻てふ未知の幻想春の闇 藤見佳楠子 201006
春の闇むかしの嘘の胸をつく 小山ミツ子 末黒野 201006
八本の桴の乱れや春の闇 竹内悦子 201006
大名獏が食べてしまひし春の闇 柳川晋 201006
携帯電話の明かりに句帳春の闇 堀川多恵子 風土 201006
大阪城を確と浮べて春の闇 赤座典子 あを 201006
異図すこし見え隠れする春の闇 吉弘恭子 あを 201006
春の闇火焔太鼓の鳴りにけり 中島陽華 201007
春の闇飛天のおはす堂の内 西岡啓子 春燈 201007
父さんと呼んではをるが春の闇 井田実代子 雨月 201007
春の闇分けゆく風のやはらかし 加藤克 201008
春の闇癌病棟にわれひとり 小澤克己 遠嶺 201008
春の闇→ 3      

 

2021年3月1日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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