春深し 1    233句

作品
作者
掲載誌
掲載年月
前書他
春深くあちこち蝶に触れられる 田中空音 海程 199808  
抽斗に直哉の手擦れ春深む 朝妻力 俳句通信 199906  
春深し田舎芝居の絵看板 志水芳秀 俳句通信 199906  
春深し雀がくれに靴すべり 大場燈児 風土 199907  
春深し聖観音の目を仰ぐ 金國久子 遠嶺 199907  
筆硯に春深みたり蜂蜜酒 福井啓子 199907  
春深し喪心のわが小天地 舩越美喜 京鹿子 199907  
春深し陸に呼ばれて舟戻り 野路斉子 199907  
舟虫の動かぬことの春深し 松岡隆子 199907  
スランプを褒められてゐて春深し 長山あや 円虹 199908  
豆の葉に絵を描く虫や春深き 中田ゑみこ 馬醉木 199912  
み仏のみ手に蹼春深し 田中藤穂 水瓶座 200002  
春深し携帯電話は二枚舌 三宅やよい 玩具帳 200004  
春深し遣る昭和に身を置けば 岡本眸 200006  
春深しはばたくように母笑えば 宮崎斗士 海程 200007  
春深し暗きへ川の砂流れ 高橋さえ子 200008  
春深し頬杖とけぬ乙女像 牛田修嗣 200010  
春深む胸に剥がれる音のあり 吉川真実 海程 200101  
人声に似たるチェロの音春深し 能村研三 200104  
春深し俘虜の月日を訥々と 白鳥武子 酸漿 200106  
嘆くものおるがんその他春深し 中塚龍之介 銀化 200106  
絵馬堂の絵馬の剥落春深し 川井政子 風土 200107  
線香の尉に浮く文字春深む 岡本明美 俳句通信 200107  
春深し樹冠つながる並木道 岡本明美 俳句通信 200107  
聞こえくる出世太鼓や春深し 小澤克己 遠嶺 200107  
春深しポピーの産毛濡れてをり 神山喜美代 遠嶺 200107  
春深し一樹に風の詩を聴く 祐森弥香 遠嶺 200108  
春深し迷ひなき眼の磔刑絵 市橋章子 ぐろっけ 200108  
春深し親しき人の訃もありて 稲畑廣太郎 ホトトギス 200204  
思ひ出の尽きざる人や春深し 稲畑廣太郎 ホトトギス 200204  
稲城野の自然は優し春深し 稲畑廣太郎 ホトトギス 200204  
目の高さそれぞれにある春深し 朱間繭生 銀化 200204  
商館の壁に浮世絵春深し 大串章 百鳥 200205  
春ふかし眼鏡に適ふ景を置き 中原道夫 銀化 200205  
探幽ら御用絵師とも春深し 林日圓 京鹿子 200206  
春深しもの言ひさうな髭兜 笠間圭子 京鹿子 200206  
なきがらに添へし絵筆や春深し 山田禮子 遠嶺 200206  
にぎり墨匂ひて奈良の春深し 成重佐伊子 雲の峰 200206  
拝殿に阿吽の蛙春深し 中御門あや 雲の峰 200206  
大屋根に阿吽の亀や春深む 大柳篤子 雲の峰 200206  
春深し子の住む国の時刻見る 小池洋子 雲の峰 200206  
春深し戦の跡へ母連れて 川野喜代子 雲の峰 200206  
浅草に香煙掬ひ春深し 及川澄江 風土 200206  
春深む卵の内に動きあり 近藤喜子 200206  
絡繰人形起ち居音なく春ふかむ 柳沢杏 酸漿 200206  
赤松に赤松の影春深む 鹿野佳子 200206  
文豪の遺愛のキセル春深し 田島勝彦 遠嶺 200207  
画材屋の絵の具の匂ひ春深し 平田倫子 百鳥 200207  
言霊の宿りし巖春深し 長山あや 円虹 200207  
といふ間に机辺の堆書春深し 熊岡俊子 円虹 200207  
てのひらに甘橘の香や春深し 冨田正吉 200207  
息かけて銀器を磨く春深し 師岡洋子 ぐろっけ 200207  
春深し愁ひを探る聴診器 高橋たか子 馬醉木 200208  
静けさの戻るみよし野春深し 安原葉 ホトトギス 200209  
春深しゴツホの自画像吾を見る 近藤きくえ 200209  
春深し十年日記余し逝き 佐野布娑 雨月 200209  
雨降つて止み降つて止み春深し 稲畑汀子 ホトトギス 200304  
春深しおのれ嗤ふに口ひらき 岡本眸 200304  
春深む笑みし遺影に向き合うて 山口マサエ 雲の峰 200305  
春ふかき夕日滴る行澄にはたづみ 林翔 200305  
貝の舌気ままに延びて春深し 樋口英子 200305  
石の相水の相春深きかな 山田弘子 草の蝉 200305  
春深む血圧計の上りつめ 大森美恵 風土 200306  
万感こもごもと文閉づ春深し 山田弘子 円虹 200306  
春深し長寿幸せとも言へず 山口たけし 雲の峯 200306  
白粉の稚児の鼻筋春深し 平野静 京鹿子 200307  
春深し海へ帰つてゆきし船 出原博明 円虹 200307
春深き路上に針金細工売る 三遊亭金遊 百鳥 200307  
膝ついて拭く濡縁も春深し 梅森スミ子 200307  
ほろと身の離れし魚や春深し 里中章子 200403  
うたた寝の顔に鳥影春深み 岡本眸 200403  
筆跡に瓢雨偲びて春深し 稲畑廣太郎 ホトトギス 200404  
春深し丸の内色濃くなりぬ 稲畑廣太郎 ホトトギス 200404  
回廊の埋木細工や春深し 安田美恵子 帆船 200405  
酒蔵の梁黒ぐろと春深し 志水千代子 雲の峰 200405  
磯海苔にかがみし匂ひ春深む 野崎ゆり香 馬醉木 200406  
高曇る丹後半島春深し 前阪洋子 雲の峰 200406  
春深し微笑み見ゆる技芸天 渡辺玄子 酸漿 200407  
春深し入院中の友一人 土田祈久男 200407  
横須賀に動かぬ三笠春深む 田中重子 雲の峰 200407  
竪穴に吊られし火棚春深し 伊藤月江 雲の峰 200407 吉野ヶ里
ゴンドラの揺るるたび春深まりし 城尾たか子 火星 200408  
春ふかし背ナヘ着物を落しぬぐ 八田木枯 夜さり 200409  
春ふかし粉ナ屋の裏は粉ナまみれ 八田木枯 夜さり 200409  
路地を詠み詠みし君亡く春深む 林翔 200505 菖蒲あや逝く
春深し一刀彫の観世音 市川玲子 春燈 200506  
春深し愛称で呼ぶ誘眠剤 井上信子 200507  
春深しねねの身丈に階の丈 山路紀子 風土 200507  
春深し舞ふからくりの三番叟 森山のりこ あを 200507  
念入りに淹れる珈排春深し 三輪慶子 ぐろっけ 200508  
中洲とは寂しきところ春深し 清水裕子 200508  
沈黙と推敲重ね春深し 瀧青佳 ホトトギス 200512  
手ぬぐひの吉原つなぎ春深む 三宅文子 春燈 200605  
春深し薬の匂ふ古き町 水田清子 200605  
春深し町角に買ふ貼り薬 水田清子 200605  
教へ子の死をいくつ聞き春深む 淵脇護 河鹿 200606  
叱られて静かな犬や春深し 平山風鳥 河鹿 200606  
君一歩吾一歩春深みかな 青野沙人 ホトトギス 200606  
春深しうすきみどりのメロンパン 柴田久子 風土 200607  
春深む砂むらさきの時計かな 林いづみ 風土 200607  
宇治川を小舟に搖られ春ふかし 田中藤穂 あを 200608  
黒木御所址いまたかんなの春深む 有働亨 馬醉木 200609  
春深きコーヒーの香の仕事部屋 中嶋陽子 風土 200612  
春深し心のついて行けぬほど 稲畑汀子 ホトトギス 200704  
あともどり又あともどり春深し 稲畑汀子 ホトトギス 200704  
滞在の雨も落着く春深し 稲畑汀子 ホトトギス 200704  
見詰めあふ吾と弟よ春深き 堀内一郎 あを 200704  
当選後すぐ急死とや春深き 堀内一郎 あを 200705  
ゆつくりと降りる終点春ふかし 竹内弘子 あを 200706  
病室に「愛の讃歌」や春深し 杉本綾 200707  
春深し異国に使ふ銀の箸 中山皓雪 200707  
ヘルメットヘ入れる御祝儀春深し 富沢敏子 200707  
鐘撞いて山寺の春深うせり 青山悠 200707  
篠笛の流れて里の春深し 小山徳夫 遠嶺 200708  
百歳の絶筆富士の春深し 原島ふじ子 遠嶺 200708  
巌抱く柵の走り根春深む 小林輝子 風土 200708  
朽ち蔵の赤壁ほろろ春深む 山元志津香 八千草 200709  
春深き満天の星夢が飛ぶ もりもとのぎく 遠嶺 200806  
春深し皮の聖書にうす埃り 神蔵器 風土 200806  
仙高フ○と□よ春深し 本多俊子 200806  
流れゆく早き雲あり春深し 関戸文子 酸漿 200806  
古民家のエコ体験や春深き 吉波喜久恵 200807  
現し身を水面に映し春深き 谷沢秀子 200807  
言霊に仕へつつゐて春深し 水野恒彦 200807  
春深し蒅引き締む四本綱 石田野武男 万象 200807  
櫂の音水の先ゆく春深し 宮川みね子 風土 200807  
日月の菩薩とともに春深む 柿沼盟子 風土 200807  
春深し薩摩のジュース黒酢入り 唐鎌光太郎 ぐろっけ 200807  
背やはき月光菩薩春ふかし 田中藤穂 あを 200807  
ジュテームと花鉢にあり春深む 安藤久美子 やぶれ傘 200807  
春深し韋駄天尊の草履古り 石井邦子 酸漿 200808  
春深し汀女随筆読み終へて 瀬島洒望 やぶれ傘 200808  
春深し土手のベンチにまどろみて 白石正躬 やぶれ傘 200809  
春深し外されてゐる万国旗 西川火尖 炎環 200905  
春深し困った顔のフラメンコ 篠田純子 あを 200905  
たつぷりとバジルバジリコ春深む 荒井千佐代 200905  
味噌樽の箍締め著き春深む 能村研三 200906  
春深し等身大の位牌の座 望月晴美 200906  
春深し金鵄勲章残し逝く 芝宮須磨子 あを 200906  
たつぷりとバシルバジリコ春深む 荒井千佐代 200906  
デパートに猫の衣裳や春深し 筏愛子 200907  
城門の南京錠や春ふかし 高橋秋子 炎環 200907  
家郷なる雲の流れよ春深し 割田容子 春燈 200907  
明六ツの鐘川靄の春深し 三橋泥太 遠嶺 200907  
いろいろな鳥の羽摶き春深し 笠置早苗 火星 200907  
春深し最後まで友米紳士 伊吹之博 京鹿子 200907  
蕉風を継ぐや鵜平碑春深し 林かよ 200907  
我が影は死ぬまで伴侶春深し 松田都青 京鹿子 200908  
鼠捕り扉をあけて待つ春深し 定梶じょう あを柳 200909  
春深し柳行李に琴の爪 荒井千佐代 201006  
春深し男嫌ひの猫とゐる 大草由美子 春燈 201006  
春深きロダン像めく夜汽車人 山本孝夫 201007  
餌をねだる鹿の鼻先春深し 和田森早苗 201007  
息災に共に生かされ春深し 村上絢子 馬醉木 201007  
キャリーケースの赤が追ひ抜き春深し 高木嘉久 201007  
春深し宙ひと粒に遅筆堂 鶴見遊太 201007  
春深しギリシャ出土の香油壷 刈米育子 201007  
音読のやがて黙読春深む 竹下昌子 201007  
春深き土生より沼島へと船出 武田ともこ ぐろっけ 201007  
春深し池に居着きし渡来亀 竹内弘子 あを 201007  
春ふかし囲みとかれて棺出づ 竹内弘子 あを 201007  
春深し釈迦堂裏の蒸留器 吉村摂護 201008  
何ひとつ音なき午後の春深し 加藤克 201008  
見えねどもやとの水音春深し 松本文一郎 六花 201008  
酒蔵の白壁に翳春深し 松本文一郎 六花 201008  
春深む竿竹売りの声のして 天野美登里 やぶれ傘 201008  
口ずさむ「故郷の廃家」春ふかし 原田たづゑ 春燈 201105  
春深し夜中の水の甘きこと 高倉和子 201105  
鳥籠を軒に吊りたる春深し 鈴木榮子 繭玉 201105  
春深し足とめて聞く鐘の音 長憲一 201106  
春深し門柱に乗る隣りの猫 井上信子 201106  
春深しカヴァレリア・ルスチカーナが好き 菊地瑩子 春燈 201106  
春深しゲートボールの音ひびき 和田郁子 201107  
春深し山の形に山暮るる 大谷昌子 馬醉木 201107  
水差しの水は七色春深し 成田美代 201107  
春深し洋間に残る葉巻の香 水原春郎 馬醉木 201204  
春深し男も倦まぬ長ばなし 小林清之介 風土 201205  
山陽道西へ行くほど春深き 山口キミコ 201206  
春深し傘寿の祝忘れをり 加藤みき 201206  
鍵盤に歳月の染み春深し 瀬戸悠 風土 201206  
ひととせを悼み祈りぬ春深き 川村亘子 末黒野 201206  
春深し戦艦大和生みし街 井口淳子 201207  
細き目の千手観音春深き 飯田美千子 201207 法性寺
ヒマラヤ杉の陰は色濃く春深し 松田利秋 かさね 201207  
ブロンズの少女うつむく春深し 高田令子 201207  
「たとへば君」の相聞歌重し春深し 近藤紀子 201207  
伐り口に滲む樹液や春深む 黒滝志麻子 末黒野 201208  
百鳥の格天井や春深し 前川美智子 末黒野 201208  
曇りぐせつきし手鏡春深し 師岡洋子 ぐろっけ 201208  
春深し百寿の母のひとり言 和田郁子 粥の味 201209  
煮魚の小骨を舐り春深し 竹内弘子 201212  
春深く配給二合三勺に 高橋龍 201212  
春深むひさし遺愛のハーモニカ 荒井千瑳子 201301  
辛口の天声人語春深し 三川美代子 201306  
畦行けば道祖神あり春深む 三川美代子 201306  
春深しハーモニカ吹く男の背 鶴岡紀代 春燈 201306  
鳥籠に鳥のブランコ春深し 林昭太郎 201306  
春深し湯気のにほへるアスファルト 上原悦子 火星 201306  
磐座に樫の天蓋春深し 田伏博子 ろんど 201306  
春深き煙ひと筋幾星霜 井口淳子 201307  
春深し力のもどる母のこゑ 西岡啓子 春燈 201307  
春深しついては借銭でけへんか 定梶じょう あを 201307  
生国は淡海のほとり春深し 久保久子 湖心 201402  
春深し賢治遺愛のバイオリン 井口淳子 201405  
春深し若者らしき人体図 大日向幸江 あを 201406  
玉砂利の袋を積みぬ春深し 井上信子 201406  
唐衣行きつ戻りつ春深む 鈴木初音 201407  
春深しエスプレッソの泡舐めて 菊地葉子 やぶれ傘 201407  
春深しメタセコイアは色に出て 森田尚宏 201407  
春深し数多の亀の甲羅干し 久世孝雄 やぶれ傘 201407  
春深し大和すわりの乙女像 遠山みち子 201407  
春深し電線の影踏み歩き 小林愛子 万象 201407  
春深む空は膨張して軽し 有松洋子 201407  
春深し昼の憩ひのラジオ聴く 大西よしき ろんど 201408  
師の今も遺墨に生きて春深し 岡安仁義 ホトトギス 201410  
春深し牛の瞳眠りの国の中 貝森光洋 六花 201505  
春深し風の意のまま風見鶏 中山静枝 201506  
十二打つボンボン時計春深し 村上倫子 201506  
雨後林の水音響き春深し 牛込悦子 201506  
白雲を何にたとへむ春深し 中嶋昌子 春燈 201506  
春深し抱き合うてくる山と川 井上信子 201506  
放生の鯉ゆつたりと春深し 和田慈子 末黒野 201507  
春深し桜前線津軽まで 金森信子 雨月 201507  
頬杖のはづれてゴリラ春深し 原田達夫 箱火鉢 201511  
切株に噴きだすいのち春深し 布川直幸 201603  
なまぬるき風の呼ぶ雨春深し 秋山蔦 春燈 201607  
裏山の蓬々として春深し 秋山蔦 春燈 201607  
綿雲の離ればなれに春深し 藤井美晴 やぶれ傘 201607  
春深し猫のつそりと朝帰り 東小薗美千代 末黒野 201607  
穏やかに暮るる里曲や春深き 東小薗美千代 末黒野 201607  
千体仏の千の仏心春深し 小泉貴弘 春燈 201608  
春深しお堀の見ゆるレストラン 野中圭子 京鹿子 201608  
春深き村には独り者多し 中杉隆世 ホトトギス 201609 春深し→ 2

 

 

2020年4月17日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。