半夏生 (半夏) 4    200句

ホルマリン漬けの皓さの半夏かな   高島茂   点線

作品
作者
掲載誌
掲載年月
夕さりの化粧すがしき半夏生 多田容子 酸漿 201010
半夏生父の好物さがしけり 土屋喜美代 酸漿 201010
やうやくに西の空透く半夏生 藤井圀彦 201011
赤き実を啄む鳥や半夏生 都丸美陽子 春燈 201012
もう紛れなき半夏生なりしかな 稲畑汀子 ホトトギス 201107
繰りごとは病ひのひとつ半夏生 堀内一郎 あを 201107
半夏生のいつもの窓辺猫老ゆる 岡佳代子 201108
逝く兄の声きく庭の半夏生 黒澤登美枝 201108
掘割に藻の嫋々と半夏生 細川洋子 201108
山襞に残る雨雲半夏生 高倉和子 201109
糠床の糠ひんやりと半夏生 林昭太郎 201109
散鮨を取り分けてをり半夏生 加藤みき 201109
半夏生黄河は色を持ちゐたり 石脇みはる 201109
尊氏の墓そば近し半夏生 鈴木阿久 201109
野良猫か池の水飲む半夏生 中山静枝 201109
雨後の靄遠嶺を上(のぼ)る半夏かな 中島霞 ぐろっけ 201109
川舟の纜ゆるき半夏生 秋葉貞子 やぶれ傘 201109
解体の重機の音や半夏生 苑実耶 201110
半夏生龍の目にある五寸釘 前田美恵子 201110
見る人に山が近づく半夏生 松田都青 京鹿子 201111
居酒屋を出でて明るし半夏生 岡崎伸 遠眼鏡 201203
里山へしばししるべの半夏生 豊田都峰 水の唄 201203
番犬が鎖咬みをり半夏生 小林朱夏 201204
半夏生一服の茶に癒さるる 中村喜美子 春燈 201208
吾が顔の写る塗盆半夏生 小西和子 201209
山城の遺す石積み半夏生 コ田千鶴子 馬醉木 201209
半夏生靴の片方さがしをり 熊川暁子 201209
半夏生死者は生者の中に生き 三宅文子 春燈 201209
ひたひたと猫が水飲む半夏生 辻美奈子 201209
半夏生李朝白瓷の轆轤跡 岡本尚子 風土 201209
虚子庵に句会あるらし半夏生 赤座典子 あを 201209
胆嚢が在り処を叫ぶ半夏生 斉藤裕子 あを 201209
脈拍が水枕打つ半夏生 斉藤裕子 あを 201209
薬液の膨らみて落つ半夏生 斉藤裕子 あを 201209
五分粥を咀嚼してをり半夏生 斉藤裕子 あを 201209
渓流の瀬音に白き半夏生 菊地崇之 かさね 201210
掻き均す矮鶏の蹴爪や半夏生 岡井しげ女 春燈 201210
良き事を見つけて生きる半夏生 丹後みゆき ぐろっけ 201210
山菜の灰汁ぬく厨半夏かな 井上あい 風土 201210
半夏生回向柱に五色揺れ 布施まさ子 風土 201210
水中の日輪にじむ半夏生 中村恭子 201210
夕闇の明るきところ半夏生 加古みちよ 火星 201210
魚を煮る匂ひ立ち込め半夏生 荒井千佐代 201210
霊泉を一口ふふむ半夏かな 舩坂輝美子 万象 201211
平熱の体温計や半夏生 高橋均 やぶれ傘 201301
板の間に足跡残す半夏生 武田紀久 やぶれ傘 201301
竹藪の中掃かれある半夏かな 水野恒彦 夢寐 201306
隻眼の暮し危ふき半夏生 山本孝夫 201310
半眼はしつかり見えて半夏生 竹内悦子 201310
半夏生魚屋の蛸売り切れり 村上禮三 201310
半夏生森の昼餉の海老ピラフ 岡井マスミ 末黒野 201310
半夏生姉にもらひしクリスタル 松井洋子 ぐろっけ 201310
白き鳥群れたるやうに半夏生 吉田光子 ぐろっけ 201310
魚屋を蛸這ひ出づる半夏生 林徹也 201310
国道に猪出るはなし半夏生 生田作 風土 201401
靴音の重くなりたる半夏生 稲畑廣太郎 ホトトギス 201407
足裏を砂の流るる半夏生 河崎尚子 火星 201408
風にまだ耐へる柴折戸半夏生 湯橋喜美 201408
昼食はいつもの店や半夏生 鈴木阿久 201409
聖堂に三筋の光半夏生 田中信行 201409
生あらばけふ米寿の賀半夏生 長田曄子 火星 201409
諍ひの種撒く国や半夏生 北尾章郎 201409
パイパンの見事揃うて半夏生 中島陽華 201409
押入れといふ闇ありぬ半夏生 小田里己 201409
禅寺の粥の白さよ半夏生 江島照美 201410
魚梆の腹は空つぽ半夏生 田伏博子 ろんど 201410
眼科医におとがひあづけ半夏生 升田ヤス子 六花 201410
女人講開かれてゐし半夏生 森田尚宏 201410
裏庭に明るさくれて半夏生 戸田澄子 末黒野 201410
癒え切らぬ膝もどかしき半夏生 玉置かよ子 雨月 201410
半夏生畳廊下をすり足に 杉浦典子 火星 201410
半夏生屋根の烏のよく鳴く日 中田禎子 201410
井戸水に井戸の匂ひや半夏生 林昭太郎 201410
傘置きに傘のあふれて半夏生 菊池ひろ子 やぶれ傘 201410
ふくらめる夕日のにじむ半夏生 田邊豊子 201410
雨意の風来て白ふゆる半夏生 中原吟子 雨月 201410
吊ることもなき蚊帳展げ半夏生 根本公子 末黒野 201411
田植まだ終らぬ喪家半夏生 野沢しの武 風土 201411
半夏生雨意といふもの離れざる 湖東紀子 ホトトギス 201412
半夏生風を手招きしてをりぬ 稲畑廣太郎 ホトトギス 201507
躓きし石を蹴りをり半夏生 松嶋一洋 201508
二言三言交わす付き合ひ半夏生 篠田純子 あを 201508
常念岳に雨意の雲湧く半夏生 徳田千鶴子 馬醉木 201509
半夏半夏六根清浄酢蛸なり 柳川晋 201509
闇は吾がこころに在りと半夏生 寺田すず江 201509
母の忌や半夏生の根の太き 中貞子 201509
樹の匂ひ風の匂ひや半夏雨 犬塚李里子 201509
野鼠の逃げ足速し半夏生 大木清美子 201509
裏木戸の錠錆びてをり半夏生 黒澤登美枝 201509
手折りたる草の乳噴く半夏生 成宮紀代子 201509
塩辛の一膳で足る半夏生 森岡正作 201509
カフェのドア開いて雨音半夏生 丑久保勲 やぶれ傘 201509
別れ難き本もありけり半夏雨 加藤良子 春燈 201509
半夏生咲き夜通しの雨となり 川崎真樹子 春燈 201509
白杖を案内す魚屋の半夏生 田尻勝子 六花 201509
福さがす半夏生草揺るる辺に 高橋道子 201509
水差して茹で湯鎮まる半夏生 山本無蓋 201509
半夏生風をまぶしくしてをりぬ 山田天 雨月 201509
縮むごと眠る母なり半夏生 小林朱夏 201510
半夏生農事日誌の月日かな 川田好子 風土 201510
伊豆下田お吉の悲話や半夏生 舘泰生 風土 201510
ぎつしりと小ぶりの文字や半夏生 雨宮桂子 風土 201510
半夏雨今月も載る追悼句 福島照子 京鹿子 201510
影向の松や半夏の能舞台 柳橋繁子 201510
生も死も一つなりけり半夏生 安野眞澄 201510
半夏生研ぎて音よき花鋏 犬塚李里子 201510
古民家の床の間に挿す半夏生草 加藤静江 末黒野 201510
二百字詰二枚の仕事半夏雨 山崎靖子 201510
かにかくに祇園白川半夏雨 井田幸子 雨月 201510
半夏かな彼岸此岸の投げキッス 中島陽華 201511
口紅をすこし足してる半夏生 中林明美 船団 201602
半夏生転びたること母隠す 升田ヤス子 玫瑰 201604
半夏生ふり返る日々ありにけり 稲畑汀子 ホトトギス 201607
遠ざかる日々の早さよ半夏生 稲畑汀子 ホトトギス 201607
牛舎より鴉追ひ出す半夏生 小林朱夏 201607
カラカラと笑ふ女ら半夏生 秋川泉 あを 201608
せせらぎの音の澄み来る半夏生 伊藤よし江 201608
甘噛みをおぼゆる猫や半夏雨 小倉陶女 春燈 201609
田植ゑまだ終わらぬ喪家半夏生 野沢しの武 風土 201609
御料地の池の小径や半夏生 山田春生 万象 201609
ひややかな猫の足裏や半夏生 荒井千佐代 201609
半夏生小舟を舫ふ池の端 加藤タミ 末黒野 201609
灯台の中の暗さや半夏生 高倉和子 201609
ひややかな猫の足裏や半夏生 荒井千佐代 201609
半夏生あとから気づくことばかり 松尾龍之介 201609
土蔵のみ残る生家や半夏生 野畑さゆり 201609
指先の白き包帯半夏生 柳橋繁子 201609
老犬の浅き眠りや半夏雨 森俊人 201610
法華寺の紅さすほとけ半夏雨 桐山甫 201610
スコッチの甘き苦味や半夏生 荻布貢 201610
父祖の地に母の忌修す半夏かな 竹内慶子 春燈 201610
かはたれの急に浮き出づ半夏生 齋藤晴夫 春燈 201610
半夏生昼を灯してひとり住む 土江比露 春燈 201610
半夏生草古りし社に紙垂の揺れ 有賀昌子 やぶれ傘 201610
半夏生休みては読む放浪記 阪上多恵子 雨月 201610
月光に映ゆる水辺の半夏生 塩見治郎 雨月 201610
水音に生けてありたる半夏生 延川五十昭 六花 201610
湿りたる風白がちに半夏生 住田千代子 六花 201610
読んでまた蔵ふ文なり半夏雨 山崎靖子 201610
半夏生寂しい時に出る微笑 藤兼静子 201610
半夏生朝日分け行く舟の音 赤松鈴江 京鹿子 201611
半夏生好む従兄と話し込む 伊吹之博 京鹿子 201611
小流れのにごり水増し半夏生 片桐帆一 万象 201611
半夏雨バッグの中の万華鏡 浦川哲子 201612
鰐口の綱新しき半夏生 滝沢いみ子 末黒野 201704
広縁に帯解きをりぬ半夏生 荒井千佐代 201707
川底を擦つて舟たつ半夏生 中野あぐり 春燈 201708
薔薇ジャムをぽつてり掬う半夏生 たかはしすなお 201709
雨粒の輪となる水面半夏生 宮野了子 201709
小坊主の鉢割れ頭半夏生 瀬川公馨 201709
復元の土器見つめをり半夏雨 阪倉孝子 201709
半夏生遺跡めきたる登り窯 青谷小枝 やぶれ傘 201708
採血のてのひら開く半夏生 楠原幹子 201709
裏山の獣の匂ひ半夏雨 猿賀郁子 馬醉木 201709
裏山の獣の匂ひ半夏雨 猿賀郁子 馬醉木 201709
本棚の前の立読み半夏生 安齋正蔵 やぶれ傘 201709
半夏生→5      

 

2021年7月30日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。