花 野 4     99句

放たれてまだ乳たらし花野牛    中村若沙

作品
作者
掲載誌
掲載年月
花野道乾ききつたる靴の音 稲畑廣太郎 ホトトギス 200308
来し方の広がるばかり花野かな 鷹羽狩行 200309
風になる人蝶になる花野人 稲畑廣太郎 ホトトギス 200309
分け入れば花野大花野と拓け 稲畑廣太郎 ホトトギス 200309
花野なる色なき色を置きてこそ 稲畑廣太郎 ホトトギス 200309
迷ひたる心も花野なればこそ 稲畑廣太郎 ホトトギス 200309
寝転べば我も花野の一部分 稲畑廣太郎 ホトトギス 200309
その中に孤高の一花大花野 稲畑廣太郎 ホトトギス 200309
踏み入りし花野の道のなきところ 稲畑汀子 ホトトギス 200309
これよりは花野に沈む道となる 稲畑汀子 ホトトギス 200309
大方は盗人萩の花野かな 稲畑汀子 ホトトギス 200309
大山の花野へ旅路ととのへり 稲畑汀子 ホトトギス 200309
今何が咲いてゐるかと問ふ花野 稲畑汀子 ホトトギス 200309
花野行く男の影は澄みしかな 能村研三 200309
踏み入りて花野の起伏厭はずに 能村研三 200309
風ありて風も花なる花野かな 鷹羽狩行 200310
母と見し景色に花野明りかな 小澤克己 遠嶺 200310
背の高き人を花野に待たせたる 山尾玉藻 火星 200310
大花野に眠る長蔵小屋主 神原操 雨月 200310
薄志弱行さながらに花野なか 伊藤白潮 200310
君と来し反魂草の花野なり 伊藤白潮 200310
花野にて愛国心を問はれをり 伊藤白潮 200311
花野来て宮殿見学億劫な 戸田和子 200311
橋仰ぐあたり深くて大花野 今瀬剛一 対岸 200310
花野来て夫に教へることあつて 山辺多賀子 築港 200311
大砂嘴の竜宮街道花野なす 石田章子 200311
アトリエへ矢印の立つ花野かな 佐野益子 百鳥 200311
馬柵埋めて牧は花野にかへりたる 渡辺立男 馬醉木 200311
雲表の花野につづくわが登路 小林碧郎 馬醉木 200311
雲表の旅の泊りの夕花野 小林碧郎 馬醉木 200311
浮雲の流れのはやき花野かな 高橋あゆみ 200311
父の声子より弾みぬ花野道 岡米二 200311
花野風まとひ解けゆくわだかまり 近藤敏子 200311
花野すぎなほ我が胸の花野なる 豊田都峰 京鹿子 200311
信濃路の落暉入れたる大花野 木村てる代 雲の峰 200311
吐血後の夢は花野をさまよへる 指尾直子 雨月 200311
蒼天と花野の他は見ず戻る 指尾直子 雨月 200311
城砦の濡れのこりたる大花野 中田みなみ 200311
リヤドロの少女が風となる花野 山下佳子 200312
登りたる分だけ下りて大花野 今瀬剛一 対岸 200311
ぽつぽつと家の散らばり花野行く 田中千枝子 対岸 200311
花野来てわが身わが魂わが宇宙 小澤克己 遠嶺 200311
強めあふ師弟の絆大花野 小澤克己 遠嶺 200311
亡き母を探してゐたり夕花野 平井あい子 馬醉木 200312
晩年も滾つ血たしか花野駈け 渕上千津 200312
父祖よりの最上段の花野墓地 小沢きく子 200312
二の腕をさすり花野の冷えをいふ 小林信江 200312
花野原孤独の穴がありにけり 加賀富美江 遠嶺 200312
色深きものより暮るる花野かな 金山千鳥 酸漿 200312
花野トレインローズマリーの香に巡る 石田章子 200312
むずがゆくなりたる脚や花野みち 小林正史 200312
花野道足をあぐれば鈴が鳴る 小林正史 200312
夕花野濡れて不肖の膝がしら 山崎靖子 200312
馬の瞳の先のあなたの花野かな 密門令子 雨月 200312
大花野百の恋文もらひけり 松たかし 火星 200312
花野なか呼び合つて子の聲優る 岡本眸 200311
花野行隈なく濡るる太郎杉 藤田輝枝 対岸 200312
安達太良や花野の中の小学校 栗原梅子 対岸 200312
雲中へ人ら消えゆく花野かな 浜明史 風土 200312
ちちははの齢の見えて花野みち 浜福恵 風土 200312
吟行の一団去りし花野かな 柴田久子 風土 200312
よくわかる花野の道の案内図 高橋将夫 200401
ほつこりと寝壷ありたる大花野 延広禎一 200401
山へ退く花野の霧に牛の貌 大島翠木 200401
神学校バザー花野の辺に開く 有働亨 馬醉木 200401
鞍とれて花野の馬となりゆけり 久保田哲子 百鳥 200312
また一つ終点の延び夕花野 高柳かつを 百鳥 200312
手を拡げ飛行機となる花野の子 山本三樹夫 百鳥 200401
新駅を出づればすぐに花野なる 竹内旦 百鳥 200401
花野来て御巣鷹山に掌を合はす 渕脇登女 200401
ポケットに手を入れる癖大花野 森下康子 200401
峡の葬花野の中に駐車場 笠嶋陽子 築港 200401
それぞれに帰る家あり夕花野 伊藤佳代 対岸 200401
一片の雲の白さよ大花野 鈴木とき子 対岸 200401
善光寺さまの護符貼り花野バス 木田千女 200401
それぞれの雲が影置く花野かな 堀本祐子 遠嶺 200401
母となる子と訪れし花野かな 徳田正樹 河鹿 200401
小石蹴り花野の沖へ出でんかな 上薗櫨夫 河鹿 200401
父のあと母の入りゆく花野かな 大東由美子 火星 200401
朝ミサへ露の花野を急ぎけり 大西まりゑ 酸漿 200401
点々と牛は花野に腹這へる 鈴木多枝子 あを 200401
現世の子であり母であり花野 小林朱夏 200312
忘れじの一句反芻花野道 宮川秀穂 200402
石橋の架かる花野に茶を点つる 山元海郎 河鹿 200402
厩舎より始まる花野夕日差す 松山正江 河鹿 200402
花野来し故の饒舌かも知れず 長沼三津夫 200401
しろがねの日射の匂ふ大花野 飯塚雅子 200401
お薄一服ふかぶか花野の息を吸ふ 渡邉友七 あを 200402
それぞれに咲きて花野をなせりけり 高橋としを 酸漿 200402
それぞれに羽音沈めて大花野 稲畑廣太郎 ホトトギス 200403
名も知らぬ花野のはなを生く壷中 荻野千枝 京鹿子 200403
彼岸まで迷ひてゆきし大花野 高倉恵美子 200404
大花野風を平らにしてをりぬ 稲畑廣太郎 ホトトギス 200408
又一人木道逸れて花野人 稲畑廣太郎 ホトトギス 200408
夢二めく人ゆらゆらと花野道 稲畑廣太郎 ホトトギス 200408
牛馬去り牧は花野になるヒース 中里カヨ 酸漿 200409

 野口韶子さんを悼みて

もう声のとどかぬまでに花野びと

鷹羽狩行 200410
花野なかかがむ援軍待つやうに 伊藤白潮 200410
大花野風のロンドとなりにけり 矢崎すみ子 200410
花野 5      

 

2021年9月10日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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