花 野 12     200句

 

作品
作者
掲載誌
掲載年月
近道の花野を抜ける楽しみも 稲畑汀子 ホトトギス 201709
目の慣れて来れば広ごる大花野 稲畑廣太郎 ホトトギス 201709
雄牛起ち雌牛草食む大花野 和田紀夫 201709
這ふものも飛ぶものもゐて花野かな 稲畑汀子 ホトトギス 201710
風少し冷たくなりし花野かな 生田高子 春燈 201710
遅れ歩のついに一人となる花野 河口仁志 201711
戻りなむ花野に捉へられぬやう 菊川俊朗 201711
この岩根曲つた辺り大花野 柳橋繁子 201711
切り崖に日の沈みたる花野かな 吉田順子 201711
先を行く友の健脚花野道 黒滝志麻子 末黒野 201711
時計台の鐘鳴り渡る花野道 黒滝志麻子 末黒野 201711
稚抱く広き胸板大花野 森清信子 末黒野 201711
太陽のひかりあまねき花野かな 山田春生 万象 201712
貝も草も花野も永遠のぐるぐる おーたえつこ 201712
さまざまに老いて踏みしむ花野かな はしもと風里 201712
大花野宇宙へゆく時のバッグ つじあきこ 201712
るんるんるん靴にからんでくる花野 火箱ひろ 201712
花野から花野へ行かうぴよんぴよんと 辻響子 201712
手まねきにゆるびゆく歩の花野かな 平沢恵子 春燈 201712
暮つ方慌ててゐたり大花野 加藤みき 201712
花野から大花野へと人の数 加藤みき 201712
星を摘む夢みん花野きたる夜は 近藤喜子 201712
花野来て人間らしさ取り戻す 岩月優美子 201712
大花野大型バイク結集す 岩田洋子 201712
今日までにすべては夢の花野かな 江島照美 201712
風通し良き人とゐる花野かな 高村令子 風土 201712
大花野まぶた擦れば御曹司 鈴鹿仁 京鹿子 201712
噴火口見えて花野の尽きにけり 平居澪子 六花 201801
花野駅にたどり着きたる月日かな 雨村敏子 201801
花野の子ひとり走れば皆はしり 佐藤保子 馬醉木 201801
園児散り花野の雲をはみ出せり 高村令子 風土 201801
迂闊にも君を花野に置いて来し 大塚文枝 京鹿子 201801
浮き灯台海鳴り止まぬ花野かな 松原智津子 万象 201801
白波を見下ろす島の花野かな 玉田瑞穂 万象 201801
放牛の道ふさぎたる花野かな 大内マキ子 万象 201801
バス酔の花野の酔となりにけり 升田ヤスヱ 六花 201712
踏切を越えて花野に着きにけり 赤羽陽子 春燈 201801
ある時は浄土より吹く花野風 和田華凛 ホトトギス 201802
花野ゆく幼や五指を日に翳し 安斎久英 末黒野 201802
ブランドに縁なき牛や大花野 石黒興平 末黒野 201802
立杭の壺の野ざらし花野みち 笹倉さえみ 雨月 201802
青空に吸ひ込まれ行く大花野 桜井知恵子 雨月 201802
入相の鐘の流るる大花野 上岡佳子 万象 201802
榛名富士坐る花野を折り敷いて 木村享史 ホトトギス 201803
山の神湖の女神と花野の夜 木村享史 ホトトギス 201803
指笛に牛立ち上がる花野かな 荒井ハルエ 春燈 201803
九十の母と見晴らす花野かな 今井康子 201802
わたくしのためありぬべし夕花野 天谷翔子 201802
ここは我が花野ぞ汝の名を告げよ 天谷翔子 201802
箱の蓋取れば花野の展がれる 天谷翔子 201802
別れたる花野にひとり戻り来し 天谷翔子 201802
行先未定花野発寝台車 天谷翔子 201802
遠くより呼ばるるやうな大花野 窪みち子 201802
空つぽとなるまで歩む大花野 柴田佐知子 201803
母の背の匂ひのやうな花野かな えとう樹里 201804
花野まで案内人は笛を吹く 林豊美 船団 201806
大花野に流るる生と死のロンド 藤田美耶子 201808
大花野馬の目うるみ弱りけり 都丸美陽子 春燈 201808
気がつけば花野に過ぎてゐし時間 稲畑汀子 ホトトギス 201809
幾度も来たる花野の新しく 稲畑汀子 ホトトギス 201809
迷路より迷路へ花野一部分 稲畑汀子 ホトトギス 201809
その中の青を要として花野 稲畑廣太郎 ホトトギス 201809
行き場なき怒りを捨てに大花野 大日向幸江 あを 201810
落伍することも楽しき花野かな 島玲子 風土 201811
花野ゆきゆきて不器男の句碑はあり 熊岡俊子 雨月 201811
少年のこころに歩く花野かな 須賀ゆかり 201811
遠方に一村けぶる花野かな 安立公彦 春燈 201812
大花野電気自動車の疾走 波戸辺のばら 201812
拠り所求め花野へ来てしまふ 岩月優美子 201812
花野中たましひ一つ落ちてゐる 有松洋子 201812
幼らの声を乗せくる花野風 加藤静江 末黒野 201812
花野行く母子夕日を背なに負ひ 安斎久英 末黒野 201812
すつぽりと花野の内や農具小屋 安斎久英 末黒野 201812
白髪の妻の紛れて夕花野 山口誠 馬醉木 201812
本籍を移せし便り花野より 村田あを衣 京鹿子 201812
ジーンズにポケット四つ大花野 卯木堯子 春燈 201812
また一人去つて一人となる花野 増成栗人 201901
火星など行きたくないよ大花野 火箱ひろ 201901
微笑んで花野の妣の跳んでくる 安田優歌 京鹿子 201901
花野過ぎしばらく揺れのおさまらず 南うみを 風土 201901
檻罠の中まで花野つづきをり 南うみを 風土 201901
足軽く花野の精となる老女 大畑善昭 201901
あてもなくただ歩きたし花野みち 笹倉さえみ 雨月 201901
飛ぶ鳥の影の映れる花野かな 遠山のり子 201902
夕花野空似の翳の後を追ふ 西村白杼 京鹿子 201902
どうしても逢ひたき人のゐて花野 井尻妙子 京鹿子 201902
寝転んで花野は巨きな柩 井上菜摘子 京鹿子 201902
何にでもなれるはずだつた花野 井上菜摘子 京鹿子 201902
着馴れたる紬のごとき花野かな 永尾春己 201902
花野より妣の花野へ発信す 井尻妙子 京鹿子 201903
花野とは氷河の痕と言はれても 竹下陶子 ホトトギス 201903
生かされて花野や未知の道を行く 小笠原妙子 201905
垂仁陵へ風が運べる大花野 城戸ひろみ 雨月 201905
炭住の跡は花野となつてをり 三井所美智子 201905
君追へば花野に溶けてゆきにけり 稲畑廣太郎 ホトトギス 201909
賑やかに来て穏やかに花野人 稲畑廣太郎 ホトトギス 201909
木道の一歩花野の風となる 稲畑廣太郎 ホトトギス 201909
花野には風強き日となりにけり 稲畑汀子 ホトトギス 201909
風が風つなぎてゆるる花野みち 北川孝子 京鹿子 201911
花野ゆくすこし裏ある京言葉 北川孝子 京鹿子 201911
つれづれに咲きて花野の火照りかな 北川孝子 京鹿子 201911
筋書のなき花野来て風あそび 鈴鹿仁 京鹿子 201911
発信は花野のポスト愛娘 鈴鹿呂仁 京鹿子 201911
いつ来ても母のふところ大花野 岩月優美子 201911
目つむれば花野なりけり破れ靴 岩田洋子 201911
花野へと独り佇むバスストップ 鈴鹿呂仁 京鹿子 201911
再会のまぶし花野の風の中 北川孝子 京鹿子 201911
湧く雲の流るる雲となる花野 成智いづみ 馬醉木 201911
口笛のやがて風音夕花野 高倉和子 201912
広すぎる花野に魂をとられけり 柴田佐知子 201912
血統書なくて花野の馬となる 柴田佐知子 201912
忘れもの探しに入る大花野 鳥羽夕摩 京鹿子 201912
夕暮れて彩の寂びゆく花野かな 西村白杼 2023年9月27日 >
花野出でなほ残像の万華鏡 村田あを衣 京鹿子 201912
二里と言ひふた駅と言ふ花野まで 千田百里 201912
癒さるるもの世に少な花野に来 南光翠峰 馬醉木 201912
花野行く母の声するところまで 荒井ハルエ 春燈 201912
ひんがしに向かふ道あり大花野 中田禎子 201912
遠花野まだゆれてゐる十七才 鷺山珀眉 京鹿子 201912
大津絵の鬼踏んづけて花野道 波戸辺のばら 202001
湯宿発花野行馬車日本晴 石黒興平 末黒野 202001
静かさや朝日置きたる遠花野 黒滝志麻子 末黒野 202001
花野道果つるそこより岬道 松本三千夫 末黒野 202001
大花野ときに己を見失ひ 栗原公子 202001
大花野過去は縮図のやうにかな 藤原明美 202001
新しき靴弾ませて大花野 中川幸恵 202001
吹かれては花野となりぬ戦跡 佐藤千恵 京鹿子 202001
花野ゆく白髪交りの同級生 小林紫乃 春燈 202001
飛行機雲の一直線や大花野 池上昌子 春燈 202001
ときをりは雲の影さす花野かな 佐藤信子 春燈 202001
夕星へ発つ風ありぬ大花野 有松洋子 202001
能面の奥は花野につづきけり 寺田すず江 202001
四人いて一瞬ひとりになる花野 火箱ひろ 202001
夜明け前花野に色を差してゆく 佐藤喜孝 あを 202002
馬の目の潤みて花野映しをり 石黒興平 末黒野 202002
ガタゴトとトラクターバス花野行く 本郷美代子 やぶれ傘 202002
一人ゆく花野の風に染まりつつ 今橋眞理子 ホトトギス 202002
生き方は十人十色大花野 安野眞澄 202002
遠く来て花野に下車をしたる女 熊川暁子 202002
振り返る妣のゐさうな大花野 西川麻規 馬醉木 202002
追慕しきり花野大きく傾けて 井尻妙子 京鹿子 202002
讃美歌の堂をもれくる花野かな 深川淑枝 202003
夜は人を引きずり込まむ大花野 柴田佐知子 202003
旅一と日花野に雲と遊びたる 木村享史 ホトトギス 202003
ゆつくりと花野の道を湖へ 今井千鶴子 ホトトギス 202003
天人になりたる思ひ大花野 後藤比奈夫 ホトトギス 202004
半分も知らぬ花の名花野径 小川龍雄 ホトトギス 202005
大輪のなきを花野の景として 小川龍雄 ホトトギス 202005
皆同じ眼差しで見る花野かな 小川龍雄 ホトトギス 202005
茅花野や風神の息降り掛かり 東正則 末黒野 202007
晩節の自由席なり大花野 阪倉孝子 202008
今も尚花野の記憶新しく 稲畑汀子 ホトトギス 202009
再びを訪ふことのなき花野かな 稲畑汀子 ホトトギス 202009
創世の色を秘めたる大花野 稲畑廣太郎 ホトトギス 202009
主張せぬことが彩り大花野 稲畑廣太郎 ホトトギス 202009
大花野忌日の色として楚々と 稲畑廣太郎 ホトトギス 202009
大花野青より蒼へ開けゆく 稲畑廣太郎 ホトトギス 202009
木道の尽きて花野に色生れ 稲畑廣太郎 ホトトギス 202009
黄に触れて花野の風の丸くなる 稲畑廣太郎 ホトトギス 202009
夕花野一番星を撥ね上げて 稲畑廣太郎 ホトトギス 202009
花野行く滅びの時は声なさず 北川孝子 京鹿子 202009
片減りの靴花野よりはきかへる 井上菜摘子 京鹿子 202010
馬のゐる片山影の大花野 能村研三 202010
人はみなひとりぼつちよ大花野 小野寿子 202011
荒潮にけぶる岬や大花野 木村あさ子 202011
天国はこの大花野かもしれぬ 荒川心星 202011
暮るるとはうすむらさきの大花野 美濃律子 202011
スカーレットオハラと歩く大花野 小林和子 202011
おとうとを花野に残し泣かせたる 兵藤惠 202011
二里と言ひふた駅と言ふ花野まで 千田百里 201911
望郷や花野の道の尽くるまで 長尾タイ 末黒野 202012
大花野誰かどこかで「おおい雲」 瀬尾千鶴枝 京鹿子 202101
牛に馬混じり水飲む花野かな 柴田佐知子 202101
少女らの羽化するところ夕花野 七田文子 202101
大阿蘇の花野に母を降しけり 笹村政子 六花 202101
カウベルの音のほかなき花野かな 笹村政子 六花 202101
常世へと続く花野の落し穴 平居澪子 六花 202101
花野への歩み速めてゐたりけり 山本久枝 やぶれ傘 202101
湖よりの風心地よき花野かな 安原葉 ホトトギス 202102
一本は故郷の方へ花野径 石黒興兵 末黒野 202102
花すべて風に従ふ花野かな 池乗恵美子 末黒野 202102
機銃座の址点々と大花野 林徹也 202102
大花野弁当よぎる雲の影 河原敬子 202104
廃校の跡へ花野の広がれり 山内碧 202104
約束の花野に来しが誰もゐず 天谷翔子 202104
一生の嘘を花野に埋めて来し 天谷翔子 202104
母と子の影を重ねて花野道 池乗恵美子 末黒野 202104
大花野真一文字の風の道 佐藤喬風 末黒野 202104
茅花野にやはらかき日の差しきたる 藤生不二男 六花 202106
遠く来て私雨にある花野 井上菜摘子 京鹿子 202108
雲と風遊びあそばせ花野かな 村田あを衣 京鹿子 202110
未来図へこの大花野画き足しぬ 村田あを衣 京鹿子 202110
やがてひとり花野の道の果てなるは 村田あを衣 京鹿子 202110
茅花野の果ての大池ちぢれ波 升田ヤス子 六花 202110
うす紙のやうな昼月大花野 栗原公子 202111
踏板をときにたわませゆく花野 根橋宏次 やぶれ傘 202111
旧道も新道もある大花野 安野眞澄 202111
大花野母に見せたき一花かな 中貞子 202111
大花野記憶の中の祖母の家 西本花音 春燈 202111
星空や地には瀬音と花野ある 楠本和弘 202112
花野 →13

 

2022年9月23日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。