花冷え 5       100句

一燈にみな花冷えの影法師    大野林火

作品
作者
掲載誌
掲載年月
星を見に出て花冷の歩を返す 稲畑汀子 ホトトギス 200804
花冷えの床膝行し金襴座主 品川鈴子 ぐろっけ 200804

 太田壽子さんを悼み

咲く前の奈良の花冷にはかなる

鷹羽狩行 200805
花冷えの待つふるさとへ旅支度 中島玉五郎 200805
花冷の雨にチェーホフ読み耽る 熊岡俊子 雨月 200805
花冷のひと来て覗く柩窓 冨岡夜詩彦 200806
花冷の書架にもどす書一礼す 渕上千津 200806
花冷や己はげます十指組む 渕上千津 200806
花冷や文字の掠るるファクシミリ 小林奈穂 200806
花冷えの心模様を詩想かな 鈴木セツ 200806
花冷や木偶十郎兵衛落し差し 内海良太 万象 200806
花冷の畑潰されて宅地となる 荒井正隆 200806
花冷えや今朝の挨拶咳ひとつ 須賀敏子 あを 200806
花冷えの体内時計針とばす 安部里子 あを 200806
花冷や石工が磨く黒御影石みかげ 中田みなみ 200806
花冷の風に眼の濡れきたる 小島みつ代 200806
花冷えの夜のくさめとなりにけり 大崎紀夫 やぶれ傘 200806
花冷えやもつの匂ひの広がりて 白石正躬 やぶれ傘 200806
花冷やいるかの首に輪投げの輪 齋藤朋子 やぶれ傘 200806
花冷や仲見世の灯に買ふ珍味 木下ふみ子 馬醉木 200807
花冷や土蔵の中の喫茶店 中村風信子 馬醉木 200807
外されてゐる花冷えの自在鉤 八染藍子 200807
花冷や崩れんばかり藍の華 大坪景章 万象 200807
花冷の空へとどろく火縄銃 猪鼻純枝 万象 200807
花冷や昔の事は忘れたく 小阪喜美子 遠嶺 200807
花冷や都心に小さき蝋燭屋 金子慶子 遠嶺 200807
花冷えの近江に逝きし人悼む 舩越美喜 京鹿子 200807
花冷やショパン弾く手の仄白く 宮島宏子 200807
花冷の堂に膝行不滅の灯 中原敏雄 雨月 200807
花冷の川に遊べる鴨のあり 家塚洋子 酸漿 200807
花冷に粥透きとほり少女病む 河村泰子 ぐろっけ 200807
花冷えや厚手薄手と日日まよう 中井光子 ぐろっけ 200807
薬売花冷置いて帰りけり 伊東恵美子 馬醉木 200808
花冷や一等の出ぬ露店くじ 小林寿美子 200808
花冷も灯ともしごろとなりにけり 島谷征良 風土 200808
花冷の藍屋敷より琵琶の音 山田春生 万象 200808
花冷や匂ひののこる薬瓶 石原光徳 酸漿 200808
花冷や熱き茶と合ふ菓子を買ふ 久永つう 六花 200808
花冷えにぶつかる足の小指かな 河西志帆 京鹿子 200809
花冷えや清姫の鐘鎮座して 陽山道子 船団 200809
花冷の中に旅路のあることを 稲畑汀子 ホトトギス 200903
花冷の手を花冷の君の手に 稲畑廣太郎 ホトトギス 200904
花冷や衣桁に帯のひと流れ 鷹羽狩行 200904
花冷えや十指結んだまま膝へ 山仲英子 200904
花冷や虚子の歯白きデスマスク 石寒太 炎環 200905
花冷えやブルーノートの半音階 北悠久 炎環 200905
花冷や点して眠る次の部屋 鷹羽狩行 200905
花冷や湖の中にも温泉の湧きて 澤田緑生 馬酔木 200905
花冷や発作なけれど心不全 澤田緑生 馬酔木 200905

 在りし日の敦先生

花冷の紫煙燻らす指の先

植田利一 春燈 200905
花冷がつづき桜の花期長し 大橋敦子 雨月 200905
花冷の晩鐘湖を渉りけり 塩路五郎 200906
花冷のヒール戞々やり過ごす 伊東和子 200906
花冷を我慢の薄着京をんな 竹内悦子 200906
花冷や雲水の声忽として 五十嵐勉 200906
花冷や熊立ち上がる鉄の檻 那須淳男 馬醉木 200906
硯海に花冷あつめ墨蒼し 西川織子 馬醉木 200906
花冷をしばし癒せり園の温室 渡会昌広 馬醉木 200906
花冷の床の間にある糸車 松井倫子 火星 200906
花冷の背広の入りし釣具店 飯塚ゑ子 火星 200906
花冷の寺に寒山拾得図 岡和絵 火星 200906
花冷や胸ポケットの特急券 吉田政江 200906
段つ家の花冷え地袋天ぶくろ 辻直美 200906
花冷ゆる喜怒哀楽の哀深め 森岡正作 200906
花冷や眉間づきづき振動す 山田庫夫 炎環 200906
花冷の路地より見ゆる八坂の塔 杉本薬王子 風土 200906
花冷や猪首の父に似し羅漢 竹生田勝次 風土 200906
花冷やいつよりか身の屈みぐせ 池園二三江 春燈 200906
花冷の古書肆の奥の灯かな 鈴木直充 春燈 200906
花冷や千の乳鋲の田安門 高橋和女 春燈 200906
花冷や濠にこぼるる女声 中村喜美子 春燈 200906
花冷や真砂女句集を卓の上 吉澤恵美子 春燈 200906
花冷えやひげ面映すバックミラー 嶋一洋 200906
花冷の城址ぞろぞろ巡りけり 久保田嘉郎 酸漿 200906
花冷えやつるりと光る牛の像 丑久保勲 やぶれ傘 200906
花冷や無痛の淵に沈みゆき 松岡和子 200907
花冷の座禅に隣る女かな 西川五郎 馬醉木 200907
花冷の酒は呉春よ池田郷 坂上香菜 200907
花冷の頬を埴輪の目に晒す 田村園子 200907
花冷やふわりと背なに掛るもの 水野嘉子 200907
花冷やとかく引つ込み思案にて 本田保 春燈 200907
満開の花冷え白き香と思ふ 大島翠木 200907
花冷や大地を焦がし焦がしける 瀬川公馨 200907
花冷や月に一度の泥酔日 西村純太 200907
花冷や駅の金魚の横顔も 戸栗末廣 火星 200907
花冷に無口となりし夕餉時 中原敏雄 雨月 200907
花冷に見舞ふ媼は九十六 木原今女 ぐろっけ 200907
花冷えや銘酒の開封また延ばし 中村是空 ろんど 200907
花冷えの膝に折り掛け小風呂敷 高橋ひろ 万象 200908
花冷や人づてに知る師の訃報 熊谷尚 200908
花冷えの鏡よ鏡百五才 火箱游歩 船団 200909
花冷の独りに淹るる紅茶かな 兼子栄子 酸漿 200909
花冷の吉野全山何か秘め 稲畑廣太郎 ホトトギス 201004
楽茶碗花冷の手に包みけり 山田六甲 六花 201004
花冷やひとり消えても気づかない 篠田純子 あを 201005
花冷や飛鳥大仏首かたげ 篠田純子 あを 201005
花冷や母の色なる御殿鞠 伊藤ふみ 馬醉木 201006
花冷に押せり会計監査印 伊東和子 201006
花冷の監視カメラにみつめらる 中尾杏子 201006
花冷や顔の大きな孔子像 頓所友枝 201006
花冷 →6      

2021年4月8日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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