花 冷 3     98句

花冷えや履歴書に押す磨滅印    福永耕二

作品
作者
掲載誌
掲載年月
花冷の礎石にこもる山の音 木村仁美 馬醉木 200307
花冷にこゑなき声や踏まれ邪気 長沼冨久子 馬醉木 200307
花冷えや看取りに方程式なくて 白髭美佐子 200307
花冷の蝋涙を溜む岩屋堂 柴田近江 200307
生きてゐるこれも証か花の冷え 山口速 200307
花冷えの指もて指を揉みほぐす 八染藍子 200307
身に合はぬ学生服や花の冷え 西宮舞 200307
花冷えや浅く腰掛け城の椅子 桑島啓司 200307
花冷えや引越の荷をまだそのまま 渡辺真奈美 200307
花冷えや亡き子を詠みし句を残す 八牧美喜子 200307
花冷や幾日咳にこもりゐる 稲次登美子 雨月 200307
花冷えの遺影かぎりなく笑ふ 山崎靖子 200307
花冷えの王朝広場チマチョゴリ 富沢敏子 200307
花冷の病室退りつつ罷る 田村園子 200307
膝疼く花冷えとなり通夜あかり 西村咲子 六花 200307
花冷や毎日変わる服選び 馬場美智子 六花 200307
粗彫りのままの石仏花の冷え 高柳かつを 百鳥 200307
花冷えやかばんの中の仔犬泣く 泰江安仁 百鳥 200307
花冷や小さな街の星条旗 江坂衣代 百鳥 200307
猩々の面をつけし花の冷え 高橋将夫 200307
空缶に乗りたる亀や花の冷 植木戴子 200307
カレンダーはぐ音あたり花冷す 木野本加寿江 火星 200307
花冷えの法経五番講義室 内藤三男 ぐろっけ 200307
言ひ訳の通らぬ二人花の冷 石積知恵子 ぐろっけ 200307
花冷えの文学館への石畳 四葉允子 ぐろっけ 200307
花冷えや激しき修羅の舞稽古 松木清川 ぐろっけ 200307
花冷えや謡にありし冠着山 ふじの茜 200308
花冷えや人のまばらな絵画展 三間菜々絵 遠嶺 200308
花冷や掌に亨け大樋の飴釉 小林和子 風土 200308
花冷えの月の峠に過去がある 森津三郎 京鹿子 200308
花冷の身寄り少なき葬かな 下平しづ子 雨月 200308
花冷の面虚を見るか実見るか 密門令子 雨月 200308
花冷や絵島の恋の是非言はず 密門令子 雨月 200308
花冷や担架降ろさる草の上 江坂衣代 百鳥 200308
花冷えの見返り仏は網の内 谷泰子 ぐろっけ 200308
花冷えや二死満塁に沸くドーム 中島英子 八千草 200310
二の腕をさすり花野の冷えをいふ 小林信江 200312
花冷のあてにしてをる池ひとつ 岡井省二 省二全句集 200312
神殿の一燈昏し花の冷 小山徳夫 小春の山河 200401
花冷えや牛小屋牛の顔揃ふ 久保知音 対岸 200402
花冷の少しありつつ雨上る 稲畑汀子 ホトトギス 200403
花冷と言ひつつ宿の庭へ出る 稲畑汀子 ホトトギス 200404
吊革の手に齢見え花の冷え 橘沙希 月の雫 200404
嬰がじつと見て花冷えの聴診器 福井隆子 つぎつぎと 200405
花冷や身辺の書を片づけて 山田六甲 六花 200405
花冷の熱きおしぼりよかりけり 遠藤とく 200406
花冷の手帳一行おきに埋め 田村園子 200406
蛸の脚いつぽん買ひし花の冷 山尾玉藻 火星 200406
盃に金粉残る花の冷 田中英子 火星 200406
花冷ゆる風竜穴のあたりより 内山芳子 雨月 200406
花冷や若き日の悔いふと過り 久保田雪枝 雨月 200406
花辛夷思ひもよらず冷えにけり 金川眞里子 百鳥 200406
花冷や白根一帯雪と云ふ 村越化石 200406
花冷に帰り支度をしてゐたり 塩川雄三 築港 200406
花冷に旅の仕度も迷ひけり 大森玲子 築港 200406
花冷や死しても並ぶ兵の墓 築城百々平 馬醉木 200406
ひとり居のもの食む音も花の冷 千手和子 馬醉木 200406
花冷の夕さりは御饌も冷えにけり 阿波岐滋 草の花 200406
花冷えや隔離病舎の無窓ドア 丸井巴水 京鹿子 200406
花冷やねまる家鴨の珠となり 藤井明子 馬醉木 200407
弔辞読む友の絶句や花の冷 岡久枝 酸漿 200407
コーヒーに砂糖多めや花の冷え 高倉恵美子 200407
碑を叩くたんぽの音に花冷えぬ 本多佑子 200407
花冷えに疲労困憊ジャズ喫茶 西塚成代 六花 200407
前列の空席目立つ花の冷え 池崎るり子 六花 200407
薄茶点つ釜の湯けむり花の冷 中島寿美 万象 200407
花冷や連歌所の戸のやや軋み 三由規童 雨月 200407
膀胱に内視鏡入れ花の冷え 沼田蓬風 河鹿 200407
頻尿に落ちつかぬ日や花の冷え 沼田蓬風 河鹿 200407
花冷えの豊後の辻に迷ひけり 有島夛美 河鹿 200407
花冷や飛天は笛を吹いてをり 鈴木智子 草の花 200407
花冷えの海の瑠璃色ハーブティー 若泉真樹 瑠璃 200407
花冷えや涙腺ゆるむテレビ前 藤田宣子 ぐろっけ 200407
花冷えや廊下の壁に化学式 原紀 対岸 200407
狛犬に冷笑されて帰り花 丸山佳子 京鹿子 200408
喪の家に言葉なくゐて花冷ゆる 片山喜久子 雨月 200408
一枝だに揺れず花冷つのる闇 安原葉 ホトトギス 200408
花冷の墓前に人の絶え間なく 山田閏子 ホトトギス 200408
花冷をつのらせてゐる月明り 浅利恵子 ホトトギス 200409
み吉野の奥千本の花の冷 竹下陶子 ホトトギス 200412

 妻離別

花冷のこの手取ることもうあらず

野中亮介 馬醉木 200503
雨雫受け花冷の走りけり 稲畑汀子 ホトトギス 200504
花冷の吉野元温泉の朝の湯に 稲畑汀子 ホトトギス 200504
投句してより花冷の温泉に誘ふ 稲畑汀子 ホトトギス 200504
花冷や照度を落す水彩画 能村研三 200505
花冷の墨たつぷりと古代文字 加藤はま子 200505
花冷や砂糖たつぷりミルクテイー 鏡山千恵子 帆船 200505
花冷や通りすがりの喫茶店 鏡山千恵子 帆船 200505
花冷や予報は予報旅に発つ 杉山喜代子 帆船 200505
靴下げる人のつづける花の冷 山尾玉藻 火星 200505
花冷や無為の一日それもよし 木村茂登子 あを 200505
花冷えや敦盛を舞ふ足拍子 原田竜子 河鹿 200506
花冷や一段高きお成の間 伊藤以玖子 対岸 200506
花冷の海豚見て喰ふ握り飯 戸栗末廣 火星 200506
花冷の手を取り温み伝へけり 松本圭司 200506
復元の戦艦大和花の冷 豊田麗水 築港 200506
花冷や訃報の入りし旅帰り 中村好子 築港 200506
花の冷ことに猫背のわが背中 長谷川紀美子 築港 200506
人影の絶えし庭園花の冷 樋口美津子 築港 200506
花冷4→      

2021年4月6日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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