薄 暑 8   153句

電子辞書軽し重しと薄暑かな   斧田綾子

作品
作者
掲載誌
掲載年月
前書他
豆腐屋のラッパ近づく夕薄暑 水原春郎 馬醉木 201607  
仇敵も共に祀られ寺薄暑 窪田粧子 馬醉木 201607  
老舗みなビルに吸はれて街薄暑 峰崎成規 201607  
唐破風の風呂屋に母娘夕薄暑 大森道生 春燈 201607  
ひと日終へ帰る巷の薄暑かな 大湊栄子 春燈 201607  
若冲を観る列長き薄暑かな 山本喜朗 雨月 201607  
鉤の手に抜ける茶屋街薄暑かな 鈴鹿呂仁 京鹿子 201607  
足し算好きの朝市女能登薄暑 鈴鹿呂仁 京鹿子 201607  
里帰り気分のままの夕薄暑 赤座典子 あを 201607  
薄暑かな代筆で出す問診票 青谷小枝 やぶれ傘 201608  
品書きの墨書いちまい夕薄暑 江澤弘子 201608  
木場堀の照り身に浴ぶる薄暑かな 萩庭一幹 馬醉木 201608  
馬車道の「ソーラン踊り」街薄暑 林紀夫 春燈 201608 横浜
二人乗るリフトの軋み薄暑光 吉村さよ子 春燈 201608  
見上ぐるや威風薄暑の街正す 河本由紀子 春燈 201608 横浜正金銀行
人を待つ空港デッキ夕薄暑 問島あきら 風土 201608  
孟宗竹の山路散歩や薄暑光 安永圭子 風土 201608  
繰り返す電光ニュース夕薄暑 内藤静 風土 201608  
虚子年尾立子愛子の墓薄暑 松本三千夫 末黒野 201608  
おばしまの擬宝珠金色薄暑光 橋場美篶 末黒野 201608  
下校子と言葉交はして街薄暑 佐々木永子 末黒野 201608  
馬塞(ませ)ごとに馬が顔出す薄暑かな 原田しずえ 万象 201608  
カステラ切る小さき緊張薄暑なる 大内佐奈枝 万象 201608  
持て余しゐたりし薄暑志にて 窪田佳津子 雨月 201608  
高層街縦に清しき薄暑かな 浅井青二 雨月 201608  
半僧坊へ堂塔の径薄暑かな 多方清子 雨月 201608  
夜の薄暑ラー油に小さき匙浸し 林昭太郎 201608  
糠床のうつぷんの熱抜く薄暑 吉田政江 201608  
薄暑かな息かけて拭くピアノ椅子 荒井千佐代 201608  
トンネルの丸く切り抜く薄暑光 田所節子 201608  
蕎麦粉碾く水車の音も薄暑光 山口ひろよ 201609  
ゆび薄暑チョコやわらかくしどけなく 松井季湖 201609  
ハードルを越ゆるたてがみ薄暑光 黒滝志麻子 末黒野 201609  
一幕の天井桟敷出て薄暑 菅野日出子 末黒野 201609  
高鳴りのからくり時計街薄暑 坂口郁子 末黒野 201609  
香煙の絶えぬ浅草夕薄暑 坂口郁子 末黒野 201609  
街薄暑流して通る竿竹売り 福嶋正一 京鹿子 201609  
自転車を鳩の先導街薄暑 中西厚子 201609  
こつてりと南京町の薄暑かな 山下美典 ホトトギス 201610  
今日もよく働きました夕薄暑 山田閏子 ホトトギス 201610  
浜風に運ぶ白波夕薄暑 谷島弘康 末黒野 201610  
異国語の溢るる街の薄暑かな 石川叔子 201610  
手水鉢に竹の葉うかぶ夕薄暑 秋山信行 やぶれ傘 201610  
老虚子の殊に薄暑を好まれし 木村享史 ホトトギス 201611  
ヘラクレスのような羅漢や堂薄暑 篠田純子 201612  
点滴の急ぐ気配のなき薄暑 亀井福恵 京鹿子 201701  
北大に草喰む羊夕薄暑 赤堀洋子 万象 201701  
碁盤目のあみだ歩きの京薄暑 村田あを衣 京鹿子 201702  
パン焼くる匂ひほのかや衝薄暑 大川暉美 末黒野 201704  
旅薄暑阿波に別れて蝦夷に会ひ 稲畑廣太郎 ホトトギス 201705  
空路来て陸路を帰る旅薄暑 稲畑廣太郎 ホトトギス 201705  
齟齬も又薄暑の旅の楽しみに 稲畑廣太郎 ホトトギス 201705  
蝦夷の冷えより帰り来て江戸薄暑 稲畑廣太郎 ホトトギス 201705  
朝の問の薄暑に猫の見え隠れ 稲畑廣太郎 ホトトギス 201705  
朝の雨上り薄暑の午後となる 稲畑汀子 ホトトギス 201705  
滞在の長くなりたる薄暑かな 稲畑汀子 ホトトギス 201705  
家々へ土橋のかかる薄暑かな 中川句寿夫 ここのもん 201705  
町薄暑提灯張り替致します 中川句寿夫 ここのもん 201705  
のそつと来きりんの口舌園薄暑 鈴鹿呂仁 京鹿子 201706  
街薄暑世の商ひの変りやう 沼田巴字 京鹿子 201706  
教会にちよと寄り芦屋川薄暑 稲畑廣太郎 ホトトギス 201706  
絡繰りの信号疎し街薄暑 鈴鹿呂仁 京鹿子 201707  
手翳しの薄暑の湖へ白帆かな 鈴鹿呂仁 京鹿子 201707  
街薄暑水の匂ひを流す花舗 藤岡紫水 京鹿子 201707  
浅廂薄暑の堀の蔵町家 鈴鹿呂仁 京鹿子 201707  
天領の風の阿る堀薄暑 鈴鹿呂仁 京鹿子 201707  
金泥の瓔珞昏し堂薄暑 亀井福恵 京鹿子 201707  
手水舎の水壺青し薄暑光 能村研三 201707  
松羽目の寂とがらんと杜薄暑 安藤しおん 201707 靖國神社
夕薄暑盛塩踏まぬやうに入る 中江月鈴子 201707  
若き等の肌の輝き薄暑かな 川崎雅子 春燈 201707  
貸し馬の吐息をほのと夕薄暑 宮坂恒子 201708  
一生の走行距離を知る薄暑 秋葉雅治 201708  
所在なく回転椅子にゐる薄暑 七田文子 201708  
さんざめく歩行者天国薄暑かな 川田好子 風土 201708  
病状を筆圧で知る薄暑かな 有松洋子 201708 友入院
宴果ての疲れひきずる街薄暑 中山皓雪 201708  
水餃子雲呑中華街薄暑 野中亮介 馬醉木 201708  
路地薄暑豚腿肉を吊るし売る 野中亮介 馬醉木 201708  
人形焼買ふ列長き街薄暑 伊川玉子 万象 201708  
仮縫の針打たれゐる薄暑かな 笹村政子 六花 201708  
薄暑光丘の墓苑に鳥の影 柴崎富子 春燈 201708  
胸中に思ひ出たむる薄暑かな 諸戸せつ子 春燈 201708  
浮世絵の一重瞼や夕薄暑 永井惠子 春燈 201708  
立ち直る途中のひとに薄暑光 波戸辺のばら 201709  
女子寮薄暑とびら五つを開け自室 篠田純子 あを 201708  
神戸旧居留地清楚夕薄暑 大島寛治 雨月 201708  
夜の薄暑記憶たどれば遠去かる 北川孝子 京鹿子 201709  
街薄暑ふとのつぺらぼうの私 井上菜摘子 京鹿子 201709  
禰宜が沓砂利を鳴らせり京薄暑 辻本俊子 京鹿子 201709  
薄暑かな蕺とふ字辞書に見て 土井三乙 風土 201709  
街薄暑糊のききたるシャツ眩し 岡尚 風土 201709  
草揺らし川風のくる薄暑かな 白石正躬 やぶれ傘 201708  
ボサノバのけだるき楽や夜の薄暑 川合弘子 馬醉木 201709  
大寺の厚き軒反る薄暑かな 黒滝志麻子 末黒野 201709  
なかなかに開かぬ踏切夕薄暑 上月智子 末黒野 201709  
汐の香を総身に纏ふ薄暑かな 山崎稔子 末黒野 201709  
電子音に返事して立つ夕薄暑 岩藤礼子 やぶれ傘 201709  
去年立てし御柱観る薄暑かな 大野芳久 やぶれ傘 201709  
大いなる板木のゑぐれ薄暑来る 大沢美智子 201710 雲洞庵
去り難き母の握手や夕薄暑 岡崎郁子 馬醉木 201710  
街明かり夜半の薄暑を喘ぐかに 中谷未知 末黒野 201710  
やは肌の少女のまぶし薄暑かな 西村滋子 京鹿子 201801  
ボタンかがりの糸のからまる薄暑かな 西住三恵子 201712  
浮世絵の一重瞼や夕薄暑 永井惠子 春燈 201803  
風心地よきとき薄暑なりしかな 稲畑汀子 ホトトギス 201805  
恪勤な時間に忘れゐる薄暑 稲畑汀子 ホトトギス 201805  
パリ土産すぐに着てみる薄暑かな 稲畑汀子 ホトトギス 201805  
朝の雨上り薄暑の旅心 稲畑汀子 ホトトギス 201805  
街薄暑小さきパン屋の人だかり 中居由美 船団 201805  
合歓の葉のはや眠り初む夕薄暑 上谷昌憲 201807  
垂直の街に垂直薄暑光 森村江風 201807  
研修中てふバスに乗る薄暑かな 中西恒弘 201807  
ハンドルに足かけて寝てゐる薄暑 きくちきみえ やぶれ傘 201807  
上野駅公園口を出て薄暑 丑久保勲 やぶれ傘 201807  
薄暑光射しこむ画家のアトリエヘ 安藤久美子 やぶれ傘 201807  
淀みたる日本橋川街薄暑 安藤久美子 やぶれ傘 201807  
油壺の蓋開いてをる薄暑かな 竹内悦子 201808  
いもばうの暖簾古りたる薄暑かな 鳥居三枝 馬醉木 201808  
案内図にたどる街筋薄暑光 篠原幸子 春燈 201808  
退勤の巫女のサンダル夕薄暑 懸林喜代次 春燈 201808  
袖まくり袖また戻す夕薄暑 稗田寿明 201808  
街薄暑若者いとも軽装に 浅井青二 雨月 201808  
元町のパン焼く匂ひ街薄暑 今村千年 末黒野 201808  
幼子はすぐに腕白薄暑光 今村千年 末黒野 201808  
木漏れ日の箱根古道の薄暑かな 及川照子 末黒野 201808  
航跡の白は薄暑を引き離し 涌羅由美 ホトトギス 201809  
千体の観音の眼や堂薄暑 下田奉枝 雨月 201809  
街角のジャズに聞き入る薄暑かな 橋本順子 201809  
太鼓橋反り身に渡る薄暑かな 中江はるみ 馬醉木 201809  
烏丸通り薄暑の迂回お東さん 鈴鹿呂仁 京鹿子 201809  
この先は御仏の道薄暑光 亀井福恵 京鹿子 201809  
ランナー等皇居一周薄暑光 平佐和子 京鹿子 201809  
あごひげの伸びる早さや夕薄暑 戸栗末廣 201809  
遮断機の長き点滅街薄暑 土江比露 春燈 201809  
川の辺に反古焼く煙夕薄暑 土江比露 春燈 201809  
眠る人ゐてコインランドリー薄暑 おーたえつこ 201809  
薄暑光お探しですかお墓など たかはしすなお 201809  
ハーブティー飲む指先に薄暑光 たかはしすなお 201809  
物干しに産着加はる薄暑光 はしもと風里 201809  
女将の声耳に残って夕薄暑 笹村恵美子 201809  
薄暑かな亀に甲羅の憂きことも 辻美奈子 201810  
薄暑光永久に鮮らか先師句碑 吉田万喜子 雨月 201810  
二百戸のひしめく浦の薄暑かな 土江比露 春燈 201810  
死語となる言葉尊とぶ夜の薄暑 日置游魚 201902  
館薄暑模型の勝鬨橋開く 植木やす子 201902  
移転間近の市場錆色薄暑なる 篠田純子 201902  
元町のパン焼く匂ひ街薄暑 今村千年 末黒野 201905  
川幅を広げ薄暑の芦屋川 稲畑廣太郎 ホトトギス 201905  
句碑の文字薄暑弾いてをりにけり 稲畑廣太郎 ホトトギス 201905  
風の歌聴く名園の薄暑かな 稲畑廣太郎 ホトトギス 201905  
園薄暑タワーの歪み正されて 稲畑廣太郎 ホトトギス 201905  
降り出して薄暑の消えてゐたる雨 稲畑汀子 ホトトギス 201905 薄暑→9

 

2020年5月22日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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