薄 暑 3     100句

この街のたそがれながき薄暑かな    久保田万太郎

作品
作者
掲載誌
掲載年月
水音に近づいて行く薄暑かな 稲畑汀子 ホトトギス 200305
素通りの出来ぬ地下街町薄暑 稲畑汀子 ホトトギス 200305
軽々と薄暑の旅の荷ごしらへ 稲畑汀子 ホトトギス 200305
川見えて来て下町の薄暑かな 稲畑廣太郎 ホトトギス 200305
薄暑かな保護者となりて訪ふ母校 小林呼溪 200306
ほろ酔うて酒蔵めぐる薄暑かな 朝妻力 雲の峯 200306
大仏の蹼著し薄暑光 立脇操 雲の峯 200306
薄暑かな匂ひうすれし青畳 高倉和子 200306
五大堂薄暑の銅羅の打たれ艶 吉田政江 200307
人体図の四隅めくれし薄暑かな 高橋あゆみ 200307
源平のひとつばなしとなる薄暑 鈴鹿仁 京鹿子 200307
壇の浦扁も旁もなく薄暑 宇都宮滴水 京鹿子 200307
バーベキューの河原薄暑の肉焼く香 大橋敦子 雨月 200307
少年薄暑百済観音めくうなじ 篠田純子 あを 200307
牛の子に塩を舐めさす夕薄暑 渡辺政子 雲の峯 200307
足軽の行列を待つ薄暑光 川瀬さとゑ 雲の峯 200307
髪少しアツプにまとめ夕薄暑 黒崎よし江 雲の峯 200307
耳欠けし狛犬に照る薄暑光 祐森省造 雲の峯 200307
俎にのこる鱗や夕薄暑 石田阿畏子 馬醉木 200308
薄暑の夜また眠られぬかと怖る 泉田秋硯 200308
江ノ電の乗り降り切符薄暑かな 徳丸峻二 風土 200308
和賀江港の碑へ磯わたる薄暑かな 陣野今日子 風土 200308
曖昧な返事はきらひ薄暑かな 玉川梨恵 200308
骨のおと弾の音する薄暑かな 吉弘恭子 あを 200308
水煙の飛天の舞や薄暑光 村林久子 遠嶺 200309
川風に京の薄暑を解いてをり 本郷桂子 円虹 200309
ロンドンパブ昼賑はひし薄暑かな 遊橋恵美子 風土 200309
小さき子等動きづめなり園薄暑 斉藤陽子 雨月 200309
鳰の恋見せつけらるる薄暑かな 松下幸恵 六花 200309
かばん屋の軒の連なる町薄暑 中島瑞枝 百鳥 200309
印度綿片言に売る薄暑かな 磯海具子 帆船 200309
薄暑光喋りすぎとは嫌はるる 角直指 京鹿子 200309
減塩が膳に居坐り薄暑かな 鎌倉喜久恵 あを 200309
軽石のほろと割れたる夜の薄暑 坪井洋子 200309
駅弁の紐の絡まる薄暑かな 佐藤佐代子 200309
ワイシャツの男が佳けれ夕薄暑 中川君子 200309
絵タイルに列柱の影薄暑来ぬ 秋山ユキ子 200309
てのひらの小銭数ふる薄暑かな 中島霞 ぐろっけ 200309
薄暑光腰高の娘のハイヒール 武田ともこ ぐろっけ 200309
病み忘れをりし薄暑を覚えけり 河野美奇 ホトトギス 200310
声高に署名請はれて薄暑かな ふゆきゆふ 200311
学僧が下駄買つてをり町薄暑 池田光子 風土 200311
太陽の塔は番犬夕薄暑 木下栄子 築港 200311
躓きて平な道の薄暑かな 藤原りくを 八千草 200311
野の花の名のそれぞれの薄暑かな 山元志津香 西の峰 200401
雨降つて止んで薄暑の旅路あり 稲畑汀子 ホトトギス 200405
インタビュー受けて薄暑の家路かな 稲畑汀子 ホトトギス 200405
又すぐに出掛ける午後の薄暑かな 稲畑汀子 ホトトギス 200405
薄暑かなやつとほどけし紐やつれ 中田みなみ 200406
村薄暑戸を開けはなす駐在所 一ノ瀬千恵 築港 200407
支考句碑薄暑の地上に影落とす 梅村五月 栴檀 200407
行間を考へてゐる夕薄暑 朝妻力 雲の峰 200407
魚積みしリフト小走る薄暑かな 谷野由紀子 雲の峰 200407
水飲みに雀の降りる薄暑かな 藤田あけ烏 草の花 200407
貝採りの笊持ちてゐる薄暑かな 藤田あけ烏 草の花 200407
内子座の内木戸くぐる薄暑かな 能村研三 200407
薄暑光転び上手の一輪車 佐藤ナオ子 遠嶺 200408
城の堀埋め立てしてふ墓地薄暑 丹生をだまき 京鹿子 200408
心音の聞こえる子宮薄暑来る 鈴木えり子 百鳥 200408
観音に逢はむと湖北行く薄暑 水原春郎 馬醉木 200408
反抗期老にもありぬ夜の薄暑 西川五郎 馬醉木 200408
わつぱ煮の石焼く海女や島薄暑 佐藤雄二 万象 200408
薄暑かな町で出食はす投句箱 戸田春月 火星 200408
施主もまた癌を病みをり薄暑の灯 山田暢子 風土 200408
左手に道順のメモ街薄暑 堀一郎 雲の峰 200408
目刺しさげ神田古書街薄暑かな 藤原浩 栴檀 200408
こんにやくを閻魔に供へ街薄暑 山崎祐子 栴檀 200408
検札の去りゆく車輌薄暑なり 田村和彦 築港 200408
海までの袋道なる薄暑かな 石見実人 草の花 200408
釣舟の錨休める薄暑かな 岩田半寒 草の花 200408
貝殻の砂のこぼるる薄暑かな 酒井十八歩 草の花 200408
湯揉唄もれくる路地や夕薄暑 石井邦子 酸漿 200408
田まはりの日課を了へし薄暑かな 小山漂葉 酸漿 200408
遊び紙直筆の句に薄暑かな 市川伊團次 六花 200408
髪刈つて歩む街川夕薄暑 沼口蓬風 河鹿 200408
かろやかに熔岩吹く風や薄暑光 中元英雄 河鹿 200408
黒鳥の威嚇する声湖薄暑 石川一郎 対岸 200408
デパ地下てふ淋しき言葉街薄暑 星加克己 ぐろっけ 200408
薄暑より雨降り出して来りけり 粟津松彩子 ホトトギス 200409
子が来ればカレーライスや夕薄暑 村上勝正 春燈 200409
遁突どんつきの棟に薄暑の鍾馗像 梅村五月 栴檀 200409
大河内山荘薄暑竹の奥 清水喜造 帆船 200409
急用のコピー機詰まる薄暑かな 村上沙央 200409
粘りある生麩をちぎる薄暑かな 柳葉繁 200409
五十年過ぎし二人の庭薄暑 高橋瑛子 河鹿 200409
ヨン様を気取る髪形街薄暑 峰尾秀之 200410
潮の香に髪掻きあぐる夕薄暑 木村みかん 200410
伴寺の跡を探して古都薄暑 稲岡長 ホトトギス 200411
陰干しの帯の匂ひや夕薄暑 都留嘉男 八千草 200412
個展出て薄暑すがしき銀座裏 鷹羽狩行 200503
雨を得て日を得て今日は薄暑かな 吉原一暁 200503
旅薄暑別行動といふ自由 稲畑汀子 ホトトギス 200505
乾電池より液滲みゐる薄暑 細野恵久 ぐろっけ 200505
街薄暑あなや空似を振り返り 伊藤白潮 200506
着陸の尾翼が捉ふ薄暑光 能村研三 200506
水際の鳥の足跡夕薄暑 丸山照子 火星 200507
柴犬の大欠伸する薄暑かな 佐久間頒 帆船 200507
碑に残る銀座の歴史街薄暑 直井たつろ 風土 200507
鎌倉の御首塚の薄暑かな 直井たつろ 風土 200507
夕薄暑十指素直な女ゐて 木下栄子 築港 200507
薄暑 4      

 

2021年5月12日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。