薄 暑 1     100句

笋の皮の流るる薄暑かな    芥川龍之介

作品
作者
掲載誌
掲載年月
この週の予定加はる薄暑かな 稲畑汀子 ホトトギス 199805
薄暑かなからす団扇を軒に挿す 神蔵器 風土 199807
後れ毛をうつす薄暑の三面鏡 宮内とし子 199807
喜多院の宝物展の薄暑光 小澤克己 遠嶺 199808
拝謁のフロックコート着る薄暑 松尾白汀 円虹 199808
皿と匙音の触れ合ふ薄暑かな 浦山輝代 199808
閻王の胸ひろげゐる薄暑かな 柴田良二 雨月 199809
迂回せし案内板や街薄暑 廣渡絹代 船団 199811
通勤の流れの中の薄暑かな 中沢三省 風土 199901
木簡をとばしとばしに読む薄暑 長谷川翠 馬醉木 199902
駅薄暑モダンバレエを踊る君 宮嵜亀 船団 199902
日の差して雨意払ひたる薄暑かな 稲畑汀子 ホトトギス 199905
蝦夷の旅終へて薄暑の待つ家路 稲畑汀子 ホトトギス 199905
上りたる雨に薄暑の石畳 稲畑汀子 ホトトギス 199905
一稿を起せしよりの薄暑かな 稲畑汀子 ホトトギス 199905
書くために調べる時間書肆薄暑 稲畑汀子 ホトトギス 199905
縁側に巡査来てゐる薄暑かな 遠藤和彦 遠嶺 199905
夕薄暑母の足爪切りそんず 佐々木峻 ヒッポ千番地 199905
水尾白し白し薄暑をひき離す 海輪久子 円虹 199907
まどろむは妻に近づく薄暑かな 神蔵器 風土 199907
薄暑かな背の打診に椅子廻す 倉田岩魚男 199907
音長き貨車過ぎし夜の薄暑かな 工藤義夫 馬醉木 199908
押入の片側は闇薄暑かな 竹内悦子 199908
洗ふほど身にそふ木綿夕薄暑 勝田公子 199908
掌の中の電話に答ふ夕薄暑 頓所友枝 199908
集合の二三人待つ薄暑かな 原山幸子 199908
旅装解く宿に薄暑の来てをりぬ 岩田沙悟浄 円虹 199908
自転車の帰りは重く坂薄暑 安田悦子 円虹 199908
園薄暑孔雀は長き尾羽を曳き 和田敏子 雨月 199908
ちらかりし机辺薄暑となりにけり 水田清子 199908
庭木いま混沌として夕薄暑 横田元子 199908
若いねと世辞にほださる薄暑かな 大平保子 いろり 199908
薄暑なり何度も破く手紙かな 桑原敏枝 いろり 199908
稗飯を売りて峠の茶屋薄暑 北吉裕子 俳句通信 199908
おむすびの指にはりつく薄暑かな 田中美幸 199909
フルートが心外な音出し薄暑 木戸渥子 京鹿子 199909
懸命といふ語に遠し夕薄暑 木戸渥子 京鹿子 199909
薄暑なりまぶしきものを遠ざけて 木戸渥子 京鹿子 199909
回送の電車が来たる薄暑かな 横倉由紀 船団 199909
薄暑の夜白蛇衣ずれ京劇舞 嘉悦洋子 ぐろっけ 199909
薄暑の夜ジャズの谷間にしゃがんでいる 吉川真実 海程 199910
薄暑の夜追慕にたたむ黒き服 宇田篤子 京鹿子 199910
信号を犬渡りくる薄暑かな 寺坂近子 風土 199911
夕薄暑サランラップをピンと張る 小枝恵美子 ポケット 199911
薄暑さへ心地よかりし龍野かな 稲畑汀子 ホトトギス 200005
一枚を脱ぎて薄暑を脱ぎにけり 稲畑汀子 ホトトギス 200005
出掛けねば薄暑というてゐるうちに 稲畑汀子 ホトトギス 200005
海へ出て薄暑の路地の尽きにけり 稲畑汀子 ホトトギス 200005
登るだけ下りる薄暑の山路急 稲畑汀子 ホトトギス 200005
夕風にをさまつてゐし薄暑かな 稲畑汀子 ホトトギス 200005
祝ぎの座に阪神負けを知る薄暑 稲畑廣太郎 ホトトギス 200005
OLを大胆にせし薄暑かな 稲畑廣太郎 ホトトギス 200005
靄掛かるより丸の内薄暑かな 稲畑廣太郎 ホトトギス 200005
降る筈の雨降らずして薄暑かな 能村登四郎 200006
瓶の尻もつて注ぐドイツワイン薄暑 山田六甲 六花 200006
薄暑の夜臍のあたりを平泳ぎ 小倉喜郎 船団 200006
不機嫌な猫や薄暑の次郎館 田村すゝむ 風土 200007
支那町に迷ひ入りたる薄暑かな 瀬戸悠 風土 200007
大阪の薄暑にはかに忌日来る 山田弘子 円虹 200007
眠り薬残りゐる身の薄暑かな 大橋敦子 雨月 200007
遠くより寄せて薄暑を運ぶ波 能村登四郎 200007
魚の目を削つてをりぬ夕薄暑 都筑智子 200007
何となく髪掻き上ぐる夕薄暑 桑久保奈美子 酸漿 200007
似合ふ服なかなか無くて薄暑かな 大平保子 いろり 200007
餌を欲る鳩の来てゐし駅薄暑 棚山波朗 春耕 200007
がまぐちの銭かきまはす薄暑かな 那須淳男 馬醉木 200008
買物に両手塞がる薄暑かな 内田雅子 馬醉木 200008
鍛冶守る幣の煤けし薄暑かな 池森昭子 馬醉木 200008
箔屋町息つめてゐる薄暑かな 小林和子 風土 200008
町薄暑牛馬飲水桶渇く 高橋花仙 風土 200008
待ち合はす駅の柱の薄暑かな 川崎妙子 風土 200008
少女像下に薄暑の汗を拭く 武井美代子 風土 200008
絹糸に縒りありにける薄暑かな 栗栖恵通子 200008
句作りの言葉貧しき薄暑かな 桑原敏枝 いろり 200008
笛をふく薄暑夕ベの眉ぐもり 船越美喜 京鹿子 200008
街薄暑モードさがしの筒眼鏡 大村美知子 京鹿子 200008
子の家の犬に哭かるる夕薄暑 勝又寿ゞ子 200008
道々も訪ねし寺も薄暑光 大堀鶴侶 雨月 200008
薄暑光薬草園の再会に 三橋早苗 ぐろっけ 200008
首みな宙見る木偶の倉薄暑 長谷川翠 馬醉木 200009
薄暑なる街横顔の過ぐばかり 田中英子 火星 200009
みごもりて薄暑の海の漂色 藤井みち子 200009
縄文の洞窟跡や島薄暑 小野誠一 春耕 200009
薄暑の友ジャズの谷間にしゃがんでいる 吉川真実 海程 200009
陸橋に揺れめまひほど夕薄暑 内田美紗 船団 200009
明石原人薄暑のおのころ島往き来 金子兜太 海程 200010
二枚目の衣はもう脱げず薄暑歩す 嶋田摩耶子 ホトトギス 200011
水に逆立つものを見て薄暑かな 橘場千舟 船団 200011
爬虫の色放つビル群薄暑来 葉月ひさ子 船団 200011
地下街をぬけて新宿薄暑かな 島田和子 風土 200101
子規の咳玻璃戸に残る薄暑かな 佐々木峻 船団 200101
夕薄暑固き背鰭の魚を切る 渡部ひとみ 船団 200102
旅仲間まだ一人来ぬ駅薄暑 細川和子 ぐろっけ 200102
渋滞を一途に脱けて来し薄暑 稲畑汀子 ホトトギス 200105
登り来し薄暑を消して山の風 稲畑汀子 ホトトギス 200105
心地よきとも薄暑とも思ふ日よ 稲畑汀子 ホトトギス 200105
船降りて薄暑の大地踏みしめる 稲畑汀子 ホトトギス 200105
板の間に米つぶ二三踏む薄暑 竹内弘子 あを 200106
一閃にコピー機作動する薄暑 竹内弘子 あを 200106
裏山に腐葉土にほふ寺薄暑 唐沢静男 春耕 200107
薄暑 2→      

 

2021年5月10日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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