2023年5月16日

跣・裸足    113句

跣・裸足   はだし

作品
作者
掲載誌
掲載年月
真裸足といふ語のありし川千鳥 小林鱒一 天牛 199904
海に向く跣足の指に力あり 上柿照代 馬醉木 199911
震災忌五歳の吾の跣足かな 松崎鉄之介 199912
素跣もて波の言葉を聴く渚 長山あや 円虹 200009
地獄絵の前の裸足となりにけり 彌榮浩樹 銀化 200010
木下闇むかし祷りは跣足もて 岡本眸 200010
島の子の裸足で拾ふこぼれ雑魚 荒川香代 200010
合宿所の跣に馴れて打ち解け合ふ 細井隆子 200011
斑猫が飛んでイエスの跣かな 男波弘志 200011
謹みて跣足で登る廟の段 大井邦子 ぐろっけ 200109
奇人伝畳になじむ裸足かな 伊藤格 200112
神の湯の裸足に熱し湯殿山 黒坂紫陽子 馬醉木 200210
ふざけをる庭の芸妓は足袋跣足 常坂幸次郎 帆船 200210
素跣子に南極からの季節風 久保田鼓笛 京鹿子 200210
風紋を崩す跣足の十文半 小林玲子 ぐろっけ 200210
跣足には熱き川原河童の忌 佐藤佐代子 200310
跣の子泣きに行くのは母の膝 瀬口ゆみ子 ぐろっけ 200310
埒もなく浴後はなやぐ素跣かな 岡本眸 200311
跣足の子に付きて二階へ手で上る 三井孝子 六花 200311
跣の子スタートライン熱くして 今村文江 帆船 200311
寺院までパゴダ迄佛まで裸足 佐藤喜孝 あを 200312
採りしもの海へ返しに跣足の子 古井公代 ぐろっけ 200312
朝の素足ゆふべの跣パゴダの上 佐藤喜孝 あを 200401
たれかれもほとけかはづも裸足かな 佐藤喜孝 あを 200402
タナカ塗るきれいなおでこ裸足の子 佐藤喜孝 あを 200404
こそばゆし跣足で巡る砂利回廊 小松誠一 200408
園児等の大地の恵み跣足かな 大貫和夫 帆船 200409
魚提げて白砂まみれの跣足かな 望月周 百鳥 200409
旅の荷をどさりと下し跣かな 直江由季子 万象 200409
組体操の跣一気に崩れけり 中嶋陽子 風土 200410
良寛の海へ下り佇つ跣足の子 中沢三省 風土 200410
九十九里裸足に地温ありにけり 工藤進 200410
畦道を跣足通学疎開の日 奥田弦鬼 風土 200410
靴高く放り跣足の二人かな 山本浪子 風土 200410
褐色の径を跣足の僧の列 馬場秀 万象 200503
蒲公英を摘んで裸足の少女かな 高木武人 百鳥 200505
天高し跣で踏める土を恋ふ 木村茂登子 あを 200511
裸足にて日本海まで砂のなか 吉永寿美子 四葩 200512
仕事了へ漢の白き跣足かな 工藤ミネ子 風土 200601
月そぞろ猫もわたしも跣にて 田村みどり 京鹿子 200602
磐座へ跣参りや七五三 酒井忠正 百鳥 200603
鬼いつも跣で逃げて春の月 柴田佐知子 200605
炎ゆる畦乙女の跣足滴りゆく 瀧春一 瓦礫 200606
凋んだ乳房へ跣足の子もう大き過ぎる 瀧春一 瓦礫 200606
校庭に異国の一人裸足なる 荻野嘉代子 春燈 200608
雪空に裸足の嬰児母つよし 真木早苗 八千草 200608
篝火の爆ぜて仕丁は皆裸足 佐藤秀 春燈 200609
町中に比叡の湧水跣足の子 浅田光代 風土 200610
地獄絵を見上ぐる子らの跣足かな 西山春文 200612
クローバに裸足となりし背広かな 山尾玉藻 火星 200704
下駄履いてみねばと世に言ふ跣足かな 鈴木榮子 春燈 200710
どうしても跣で触れてみたき湖 柳川晋 200711
棘ささる大きな跣足裏返す 湯川雅 ホトトギス 200711
ウロス島瞳輝く子ら裸足 須賀敏子 あを 200807
乳母車時折裸足跳ねてをり 赤座典子 あを 200807
谷川を蹴つて佳人の裸足かな 新井田晃 遠嶺 200809
網繕ふ跣足の指を使ひつつ 笹村政子 六花 200810
波際を走る跣足の白さかな 落合裕子 万象 200810
船端に裸足をかけて読む潮目 河崎尚子 火星 200908
三人の二人に見ゆる跣足の児 高田令子 200909
ためらひつ裸足下りくる箱階段 奥田順子 火星 200909
竹踏みの老一念の裸足かな 藤井圀彦 200910
尊徳像残る分校跣足の子 中村勝行 200911
鶏の蹴爪に追はれ裸足かな 鈴木多枝子 あを柳 201005
海神を祀りし禰宜の跣かな 柴田久子 風土 201009
子の跣太平洋へまつしぐら 柴田久子 風土 201009
疎開先裸足で通学したことも 田代貞枝 201010
裾乱し乱さず木偶の跣かな 堀江恵子 201010
砂浜は裸足がよろしふるさとは 辰巳あした 雨月 201011
芝を刈る裸足に測る刈り加減 笠井清佑 201108
馬場砂を駆ける女の跣かな 前田美恵子 201108
夫いまも跣足が好きで下駄が好き 直江裕子 京鹿子 201110
人体図を見てゐる跣足の妊婦 有松洋子 201110
靴脱ぎて裸足の五指のじやんけんぽ 加藤峰子 201110
裸足でゆくがよい痛みは嘘だ ことり 六花 201111
渚までかけつこをする跣足かな 菅澤陽子 春燈 201111
清流に大きく歪む跣足かな 木暮陶句郎 ホトトギス 201201
壮年のピカソ跣のダンスかな 谷岡尚美 201206
ぺんぺん草菩薩の跣開くあひ 宮口文泰 万象 201207
渚ゆく裸足のあとの続きをり 北崎展江 くりから 201209
喜々として跣足になりて瀬に降りて 稲岡長 ホトトギス 201210
法帖を伏せて立ちたる跣足かな 坂口夫佐子 火星 201210
水かけあふ声や小川の跣の子 南奉栄蓮 風土 201211
ふたりして跣足になりぬ汀かな 小島昭夫 春燈 201212
いつの間に跣足となつてゐし家居 稲畑汀子 ホトトギス 201305
誰彼と跣足に馴染み石の床 卯辰美苗 万象 201306
魚を干す梯子の媼の跣足かな 熊丸淑子 馬醉木 201307
湯上りの風のかよへる跣足かな 藤生不二男 六花 201309
小指だけ爪の伸びたる跣かな 小山陽子 やぶれ傘 201311
バリ島の子らは裸足や泉の辺 伊藤純子 201408
空襲の雨を呼びたる跣かな 阪本哲弘 201410
おいたして裸足で逃げる内弁慶 秋田典子 六花 201410
大いなる跣足投げ出すヨガマット 中居由美 船団 201502
汀走る跣の五指を全開す 岩下芳子 201508
うさぎ波子もその嫁も裸足好き 高橋道子 201508
引き潮の砂に裸足を沈めけり 天野美登里 やぶれ傘 201510
四百年てふ階を踏む素跣 山田佳乃 ホトトギス 201601
余寒なほ跣詣のためらひも 竹内喜代子 雨月 201607
槙の空裸足詣りのひと巡り 能村研三 201608
うぐひすや跣足踏み出す一遍像 大坪景章 椿垣 201612
観音の裸足の半歩さくらいろ 丸井巴水 京鹿子 201706
屋上の人工芝に子等裸足 赤座典子 あを 201709
切々と跣足十趾の祷りかな 細川洋子 201710
涅槃西風跣の一遍駆け出すか 大沢美智子 201805
ガンダーラ仏胡坐跣におはしけり 篠田純子 201909
をさなごの跣が走る盆の寺 谷口摩耶 201910
イエス抱き跣足のマリア走りけり 成瀬櫻桃子 春燈 202001
しづかなる寒行僧の徒跣足 能村研三 202002
跣になりラジオの電源を入れる 林田麻裕 202009
軽々と水溜り跳ぶ跣の子 田中嘉信 春燈 202009
砂浜を裸足で行けるところまで 安藤久美子 やぶれ傘 202208
根橋宏次 やぶれ傘 202209
階段を拭き上げ跣足よろこばす 森田節子 風土 202210

 

2023年5月15日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。2023年5月16日 などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。