原 爆 2     160句

原爆許すまじ蟹かつかつと瓦礫あゆむ    金子兜太

作品
作者
掲載誌
掲載年月
高く盛る仏の飯や原爆忌
遊橋恵美子
風土
200311
原爆忌静かに強き手話の声
柳沢典子
酸漿
200311
原爆忌ひたすら石でゐる小石
秋岡朝子
200311
鍬置きて一人黙祷原爆忌
松永晃芳
百鳥
200311
犠牲となられし先師原爆忌
古田考鵬
雨月
200311
赤の広場訪ふや奇しくも原爆忌
堀田清江
雨月
200311
折鶴を未だに折れず原爆忌
青山丈
200311
薬代の釣銭奉じ原爆忌
武司琴子
ぐろっけ
200311
裏庭に黒き羽落つ原爆忌
伊藤マサ子
ぐろっけ
200311
如己堂を打ちに打つ雨原爆忌
山陰石楠
200312
冬日満つステンドグラスに原爆図
伊藤白潮
200402
供華絶えぬ原爆慰霊碑に舞ふ小雪
清水和子
酸漿
200404
原爆の想ひ出白き雲の峰
栢森定男
風よ
200407
原爆忌幾十万の無辜の民
栢森定男
風よ
200407
原爆忌前の静けさありにけり
稲畑廣太郎
ホトトギス
200408
半世紀語り継がれて原爆忌
稲畑汀子
ホトトギス
200408
その未明焼かれし我が家原爆忌
稲畑汀子
ホトトギス
200408
原爆忌何時かは忘れられるのか
松山律子
六花
200408
音立てて石が水吸ふ原爆忌
中尾杏子
200409
透明な翅に影あり原爆忌
林昭太郎
200409
原爆描く丸木美術館出て暑し
鈴木石花
風土
200409
水撒きし後は無言に原爆忌
立石ただし
京鹿子
200409
祷る手の震へ止まざり原爆忌
立石ただし
京鹿子
200409
原爆忌今もいまはの泉湧き
服部菰舟
雨月
200409
六日晴れ原爆五十九回忌
神蔵器
風土
200410
言葉だけ生き残りしや原爆忌
菅原健一
200410
銀紙の皺の陰影原爆忌
深出稚敏
200410
原爆の日厨に立ちて黙祷す
福澤乙
酸漿
200410
敏子姉の在さぬ広島原爆忌
高橋照子
雨月
200410
帰らざりし初恋の人原爆忌
矢野律子
200410
五才の児が弟世話す原爆忌
山本とみを
200410
鳩の餌をつかみ翔つ鳶原爆忌
荒井千佐代
200410
おんおんと鴉水浴び原爆忌
田中藤穂
あを
200410
原爆の日のかげろひに黙祷す
早崎泰江
あを
200410
めぐりきて長き祈りや原爆忌
松山佐治彦
河鹿
200411
記憶には一望焼土原爆忌
泉田秋硯
200411
きのこ雲記憶に失せず原爆忌
藤田かもめ
200411
くろがねの大河のくねる原爆忌
藤井明子
馬醉木
200411
ひまはりも頭を垂るる原爆忌
一瀬昭子
馬醉木
200411
みどり児にこぶしが二つ原爆忌
戸田円三
200411
原爆忌足指一本づつ洗ふ
谷田部栄
万象
200411
山法師の実の赤らめる原爆忌
川越昭子
万象
200411
原爆忌隣へ玉子借りに行く
齋藤厚子
200411
一滴を硯におとす原爆忌
松崎雨休
風土
200411
降らずみの雲の流るる原爆忌
村井美意子
草の花
200411
蛇口よりぽたりと水の原爆忌
大木雄一
草の花
200411
喉上げて鶏が水呑む原爆忌
河西みつる
草の花
200411
原爆忌五十九年に機長死す
山の狸
六花
200411
十字架を背負へるは神原爆忌
田中武彦
六花
200412
原爆忌太りすぎたる鳩の群
福山至遊
200501
原爆ドーム冬日のひたに暖むる
密門令子
雨月
200502
原爆ドームに来て綿虫のつまづける
密門令子
雨月
200502
原爆忌おのおの水を持ち歩く
堀内一郎
あを
200508
山頂に雲湧き長崎原爆忌
徳田正樹
河鹿
200509
ボタン押すくらしに狎れし原爆忌
増田大
春燈
200509
自販機のコーラどすんと原爆忌
増田大
春燈
200509
大揺れに市電原爆日を奔る
羽田岳水
馬醉木
200510
原爆忌煮物ばかりでごめんなさい
戸田和子
200510
炎天の原爆ドームに空見上ぐ
藤原浩
栴檀
200510
二十世紀に生れ合せて原爆忌
大橋麻沙子
雨月
200510
日向水両手に掬ふ原爆忌
神蔵器
風土
200510
原爆忌万象灼くる静けさに
塩田博久
風土
200510
原爆忌沈む日輪拝みけり
沼口蓬風
河鹿
200510
原爆忌平和巡礼の鐘ひびく
芝生南天
河鹿
200510
原爆忌掃除機止めて黙祷す
山本よしを
築港
200510
原爆忌自動車停めて黙祷す
山本よしを
築港
200510
鎮魂の一色となる原爆忌
稲木款冬子
築港
200510
原爆も地震も恐し日の盛
早崎泰江
あを
200510
よろずひと罪隠し持つ原爆忌
達山丁字
200511
生き延びて早も傘寿や原爆忌
辰巳比呂史
200511
かくれみのの花は実となり原爆忌
中道錦子
200511
きざはしの影のいのちの原爆忌
西村純
200511
原爆忌変らぬものに蝉の穴
万城希代子
200511
洗濯挟みぽろぽろ崩る原爆忌
荒井慈
春燈
200511
抜く釘の自ら曲る原爆忌
齋藤厚子
200511
地球儀の赤き日本や原爆忌
野澤あき
火星
200511
一杯の水いとほしむ原爆忌
与川やよい
遠嶺
200511
脚湯には爺婆もいる原爆忌
三橋早苗
ぐろっけ
200511
原爆忌水ふんだんに足洗ふ
安田とし子
ぐろっけ
200511
焦げ臭き地に伏し寝たる原爆忌
伊藤公女
ぐろっけ
200511
居酒屋の壁にゲルニカ原爆忌
柿澤喜三郎
百鳥
200511
川を見て眼の奥痛む原爆忌
和田珠
栴檀
200511
核廃絶に市長の決意原爆忌
北村香朗
京鹿子
200511
美味き水飲めるしあはせ原爆忌
北村香朗
京鹿子
200511
原爆忌雨の降らうが降るまいが
藤丹青
ホトトギス
200512
空は青雲は白なり原爆忌
藤丹青
ホトトギス
200512
原爆忌川は朝より流れをり
藤丹青
ホトトギス
200512
黙祷に雲は崩れて原爆忌
宮森毅
六花
200512
冴ゆる空原爆ドームに鳩遊ぶ
仲村洋子
百鳥
200603
原爆の地より紙雛送りきし
大西八洲雄
万象
200605
原爆忌固くなりたる足の爪
中田みなみ
200609
原爆の日の焼するめ反りすぎる
鈴鹿仁
京鹿子
200609
一握の砂の記憶や原爆忌
苑田ひろまさ
200610
胸のここに涙たまりをり原爆忌
鎌倉喜久恵
あを
200610
千羽鶴次の世代へ原爆忌
目黒慧
遠嶺
200611
甲子園に静寂しじま一分原爆忌
山田智子
200612
かたちあるもの影生みて原爆忌
田口紅子
200612
人はなほ火をもてあそび原爆忌
林光興
200612
礫積む原爆ドーム鶲来て
黒坂紫陽子
馬醉木
200701
むき出しの原爆ドーム日短
黒坂紫陽子
馬醉木
200701
原爆忌原爆ドーム黙つづく
立石萌木
雨月
200701
てのひらに折鶴一羽原爆忌
浜田栄子
京鹿子
200701
消しゴムや消してはならぬ原爆忌
中村星児
八千草
200702
焼失のわが家もこの日原爆忌
稲畑汀子
ホトトギス
200708
蝲蛄を釣つてゐる子や原爆忌
滝沢伊代次
万象
200708
原爆忌近づく朱き花咲けば
岸風三樓
200708
入院は僧の付添原爆忌
東亜未
あを
200708
石榴くわつと割れて原爆ゆるすまじ
上原重一
200709
一雨来一雨去りて原爆忌
貴志桂
200709
舟蟲の影もて走る原爆忌
中田みなみ
200709
原爆忌水の音聴く牛久沼
鴨下昭
200710
飛行雲エノラ・ゲイかや原爆忌
四條進
200710
果てしなくつづく青空原爆忌
瀬戸悠
風土
200710
油蝉読経に和せり原爆忌
阿部悦子
酸漿
200710
パンの耳食べゐて気づく原爆の日
鈴木多枝子
あを
200710
窓越しの景色の歪み原爆忌
福場朋子
200711
二万発の核残る世や原爆忌
木暮剛平
万象
200711
日傘より足出て歩く原爆忌
樋口みのぶ
200711
原爆忌次の世もその次の世も
川崎光一郎
京鹿子
200711
原爆の日一本の棒喉にあり
鎌倉喜久恵
あを
200711
原爆忌橋の全長灼けてをり
真保喜代子
200712
原爆忌舗装いちまい下は土
鳳蛮華
200712
原爆忌みどりごの五指確かむる
大川ゆかり
炎帝
200804
脱衣所に砂の散らばる原爆忌
大川ゆかり
炎帝
200804
原爆の火を灯籠に朝桜
内田郁代
万象
200807
水を飲む夢より覚めて原爆忌
杉良介
200808
原爆の語りべ手炉に手を翳し
荒井千佐代
200806
茱萸の実の乾涸らびてをり原爆忌
ことり
六花
200808
肉厚の果実集めて原爆忌
ことり
六花
200808
原爆忌念珠の切れて珠(たま)こぼさず
鷹羽狩行
200809
原爆の石に手を置く青嵐
鈴木智
200809
水風呂に首まで浸かり原爆忌
築城百々平
馬醉木
200810
原爆忌ねむごろに水打ちにけり
築城百々平
馬醉木
200810
原爆に星霜に堪へ黴の梁
築城百々平
馬醉木
200810
原爆忌上野の森へ思ひ馳す
池田光子
200810
原爆忌底なき闇にねまりをり
森岡正作
200810
バーベルを下ろすに力原爆忌
林昭太郎
200810
いちじく食ふ原爆の火の匂ひして
神蔵器
風土
200810
行進に落伍者続く原爆忌
中原吟子
雨月
200810
噴水は天まで原爆慰霊祭
中嶋昌子
春燈
200811
原爆の阿修羅忘れず敗戦忌
泉田秋硯
200811
ペットボトル街に溢れて原爆忌
北川キヨ子
200811
夾竹桃赤く淋しい原爆忌
池田光子
200811
原爆忌赤きペンキのなぐり書き
栗栖恵通子
200811
かの時の兄は十八原爆忌
高垣和恵
雨月
200811
ある晴れた日を待ち原爆投下かな
犬丸勝子
200811
箱植の稲に水たす原爆忌
井口初江
酸漿
200811
青過ぎる空に眩みぬ原爆忌
伊藤早苗
200811
遠い日のオカッパに風原爆忌
青山正生
200811
原爆忌朝から狂ふスケジュール
猪爪皆子
200811
しろがねの雨粒見ゆる原爆忌
宮川みね子
風土
200811
砂浜の砂に身を埋め原爆忌
平井澪子
六花
200811
白髪に重ね来し年原爆忌
山根正巳
ホトトギス
200812
大あくびして生きてゐる原爆忌
伊藤希眸
京鹿子
200812
原爆記念日黒き憤怒を嚥みくだす
瀧春一
深林
200901
原爆記念日空の奥がの蒼くつめたし
瀧春一
深林
200901
原爆記念日罪無き者一人もある無し
瀧春一
深林
200901
原爆の地より形代雛とどく
大西八洲雄
万象
200905
また一つ加齢原爆忌も吾も
野沢しの武
風土
200905
風花に原爆ドームかくれなし
竹下陶子
ホトトギス
200906
原爆→3      

 

2021年8月6日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。