月 光 6  91句

月光にいのち死にゆくひとと寝る   橋本多佳子   海燕

作品
作者
掲載誌
掲載年月
能面の月光宿す白さかな 和田華凛 ホトトギス 201802
月光に座し脈打たぬ身となりぬ 柴田佐知子 201803
扉を洩るる月光馬の立ち眠る 深川淑枝 201804
月光のあふれる閨の考妣かな 阪野基道 船団 201805
月光浴び縄文からの夜を漉く 阪野基道 船団 201805
月光に濡れて玉子をぽこと産む 火箱ひろ 船団 201806
月光が踊り場に待つ奈良ホテル 千田百里 201811
にぎり飯月光に置く葬の家 中島陽華 201811
月光のとどく机に海がある たかはしすなお 201812
月光の苔を照らしてをりにける 田中美惠子 201812
槐と大書して月光に晒さるる 雨村敏子 201812
月光や母の手擦れの羅紗鋏 斉藤玲子 馬醉木 201812
月光は母へ逢ひゆく道標 村田あを衣 京鹿子 201812
月光に思はず躓きかけにけり 廣畑育子 六花 201812
満月光浴びうつくしく老いてゆこ はしもと風里 201901
カーテンを透く月光に目覚めけり 川井さち子 風土 201901
月光にすつくと立ちて黒き猫 川井さち子 風土 201901
月光に磨かれてゐるレールかな 内山照久 201901
月光やものの影みな立ち上がる 田中とし江 201902
鼬がはこぶ月光とこむら返り 奥田筆子 京鹿子 201902
一筋の月光さして夜行バス 竹内文夫 やぶれ傘 201902
月光と浸れり除夜の露天風呂 土井三乙 風土 201903
月光や寡黙な夫のゐるやうな 石橋幾代 201904
青き月光致死量の母の愛 天谷翔子 201905
月光の届かぬ夜の花明り 和田華凛 ホトトギス 201908
月光を重しとゆるる葦の先 ほんだゆき 馬醉木 201910
月光が降る曼陀羅となりて降る 増成栗人 201910
月光を独り占めせり夜のプール 藤田美耶子 201911
月光や父ありし日の笙の音 吉田順子 201911
養鱒場月光しづかに渡りゐる 西村梛子 馬醉木 201911
月光のプリズムになる杉木立 秋川泉 あを 201912
月光を返し獣の目のあまた 柴田佐知子 201912
遠い日の詩集の匂い月光は 火箱ひろ 201912
月光を来る太宰治の下駄の音 波戸辺のばら 201912
両腕を抱く月光の冷たさに 高橋まき子 風土 201912
月光の紅葉明かりの中にゐる 三椚敦 201912
月光を焦がれて飽いて実むらさき 三椚敦 201912
月光や秘仏あらはになり給ふ 平居澪子 六花 202001
月光を返してゐたる城の壁 永田万年青 六花 202001
月光の重さを計る弥次郎兵衛 佐々木よし子 202001
月光や水をのせたる漆盆 雨村敏子 202001
月光は高きところにいつもあり 中杉隆世 ホトトギス 202001
月光に電波時計の狂ひ初む 藤田美耶子 202002
月光や古墳の壁画濡れてをる 橋本順子 202002
月光の重みに朴は葉を落す 藤岡紫水 京鹿子 202002
ボンネットに月光にじむ時雨あと 辻由紀 雨月 202003
月光のかきわけてゐる竜の玉 中村重幸 202003
月光や鴉呑みたる神の杜 岩永みはる 追伸 202003
鼓打つたび月光の震へけり 山本則男 202003
月光に坐してこの世を遠くせり 柴田佐知子 202003
アカペラの月光たりし十三夜 松尾龍之介 202006
月光にくまなく晒す洗ひ筆 能村研三 202011
月光や瓦葺きなる舟長屋 田中佐知子 風土 202011
月光や切箔散れるごとき湾 高久正 202012
月光に合はす身裡の周波数 河崎裕二 202012
灯を消して閨に月光ほしいまま 大坂正 末黒野 202012
月光の届かぬ傷の深さかな 直江裕子 京鹿子 202101
月光を攪拌したる波淡し 木村あさ子 202101
寂寞とそそぐ月光西行碑 長尾タイ 末黒野 202102
月光を浴びて身体の透けてゆく 山内碧 202102
月光にさらされてゐる無人駅 小林朱夏 202102
口笛に月光の窓開きけり 永淵惠子 202105
月光にたましひ削る思ひかな 神蔵器 風土 202106
ひんやりと月光白く闇あをく 今井肖子 ホトトギス 202111
月光や一億年の呼気吸気 太田良一 末黒野 202111
朝露に日光夜露には月光 高橋将夫 202111
灯を消して浴ぶる月光長湯して 菅野日出子 末黒野 202112
満月光この平等や村百戸 高村令子 風土 202112
一と粒と涙は数へ月光下 高村令子 風土 202112
ひとひらの月光拾ふ首餌り 石原孝人 京鹿子 202112
月光の鍵盤の上滑りゆく 橋本順子 202112
月光の森閑たるや車椅子 阪倉孝子 202112
月光やけものの裔の糸切歯 河寄祐二 202112
月光の波動身内に届きたる 大川ゆかり 202201
月光をふはり纏ひて家路かな 市川夏子 末黒野 202201
うつすらと月光纏ふ娘の帰宅 佐藤千恵 京鹿子 202201
月光ゲの神木の瘤獣めく 竹内久子 京鹿子 202201
ありつたけの月光の降り源義忌 佐藤あさ子 202201
流木にいま月光の届きたる 和田華凛 ホトトギス 202202
月光や蛇を眠らす天守台 田中春江 末黒野 202204
月光のキンキンと鳴る寒さかな 磯崎啓三 風土 202205
水仙の叢に月光幻想へ 江口九星 202206
月光に浮く大藤の翼かな 平松うさぎ 202207
月光の艶を貰うて青林檎 甲州千草 202211
月光と水琴窟の密語かな 千田百里 202211
ほろ酔の歩や月光に裁かれて 千田百里 202212
月光を十指にまとひ鶴を折る 塩貝朱千 京鹿子 202212
月光に溺れて月下美人かな 升田ヤス子 六花 202212
月光や川に朽ちたる舫ひ舟 岡野里子 末黒野 202301
月光に陰影生まれたる都会 湖東紀子 ホトトギス 202302
寒月光青春浪費したる日の 千田百里 202302
月光 →1

 

2023年10月2日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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