炎 天 5    200句

炎天、子のいまはの水をさがしにゆく   松尾あつゆき   長崎

作品
作者
掲載誌
掲載年月
炎天に音の消されしひるひなか 早崎泰江 あを 201110
炎天をヘルパーの押す車椅子 芝宮須磨子 あを 201110
真炎天齢の順に間引かれさう 田中貞雄 ろんど 201110
炎天は群青極め草田男忌 室伏みどり 雨月 201110
大仏の掌大き炎天下 椋本一子 雨月 201110
球場の砂持ち帰る炎天下 椋本一子 雨月 201110
炎天に夫は農夫のボランティア 池田加寿子 201111
手裏剣を投げる眼差し炎天下 長濱順子 201111
炎天を喜ぶ洗濯もの干して 嶋田摩耶子 ホトトギス 201111
炎天にかかる鉄橋川遊び 服部早苗 201111
炎天を行くや聖書の他持たず 海老根武夫 201111
炎天を前傾姿勢で急く農婦 羽賀恭子 201111
炎天や微妙にずれる句読点 佐々木紗知 京鹿子 201111
庭の苔黒くかたまる炎天下 中尾廣美 ぐろっけ 201111
後ろ髪ゴムで結びて炎天下 岡田香緒里 やぶれ傘 201111
炎天の皿をひからせ皿廻し 大崎紀夫 やぶれ傘 201111
炎天に鍔広帽の裸婦の像 大島英昭 やぶれ傘 201111
炎天や海一枚の布となり 平居澪子 六花 201111
炎天や五階へとどかぬ木々の影 荒木甫 201111
炎天を来てお絞りの熱きこと 田原陽子 201111
葉脈の息づきけはし炎天下 藤兼静子 201111
炎天を来しそれぞれの顔をして 高森弘 201111
踏み出せし一歩にくらみ炎天下 岡崎伸 遠眼鏡 201203
炎天の埃洗へば白髪ふゆ 皆川白陀 末黒野句集 201203
己が影見つめて歩く炎天下 須賀充子 パミール越え 201206
炎天に威を崩さざる天守かな 稲畑廣太郎 ホトトギス 201207
車降り立ち炎天につかまりぬ 稻畑汀子 ホトトギス 201207
オペラ座の放射路迷ふ炎天下 塩路隆子 201209
炎天の黒衣の母に子のすがる 米田文彦 かさね 201209
炎天下額拭ひて草むしる 青木英林 かさね 201209
炎天をまつかな顔で会ひにくる だいじみどり 201209
炎天の中を総身の息づかひ 鈴木セツ 201209
炎天を行く誰もがユダの裔 水野恒彦 201209
炎天の己が影踏みこころ急く 安立公彦 春燈 201209
炎天や我が身を脱けてゆく何か 藤原若菜 春燈 201209
蓋開けてマンホールあり炎天下 北崎展江 くりから 201209
炎天下無機物になり済ましゐる 篠田純子 あを 201209
炎天の明石漁港や船の錆び 岡野安雅 かさね 201210
炎天に決意の固き散歩かな 山本達人 かさね 201210
炎天をまた影持たぬ人が行く 高橋将夫 201210
炎天や両の眼のずり落つる 近藤喜子 201210
炎天に数多く建つ道祖神 北村香朗 京鹿子 201210
炎天に百千の鋲清洲橋 林昭太郎 あまねく 201210
紙コップ握りつぶして炎天へ 林昭太郎 あまねく 201210
炎天の雲の若さや草田男忌 松本三千夫 末黒野 201210
炎天や働いてきて美味き飯 渡辺安酔 201210
五輪凱旋パレードや炎天下 渡辺安酔 201210
目の届くかぎり雲なき炎天下 渡辺安酔 201210
炎天を行く地下足袋の黒光り 宮崎きみ枝 201210
炎天へ髪ととのへて討つて出づ 神蔵器 風土 201210
炎天の影を小さく歩きけり 中村洋子 風土 201210
炎天へ原発ドーム白光す 南うみを 風土 201210
炎天や一歩すすめば一歩過去 中村恭子 201210
ぼろぼろのジーンズ干され炎天下 齋藤厚子 201210
炎天の別れなりけり肯へず 川端俊雄 火星 201210
八十の大志いだきて炎天へ 山田春生 万象 201210
蜂が蜘蛛曳摺りゐたる炎天下 伊川玉子 万象 201210
炎天を来て山門の風の贅 堀田こう 雨月 201210
電柱工事ゴンドラ動く炎天下 早崎泰江 あを 201210
サッカークラブ午前も午後も炎天下 塩路遼 201211
道路工事のオーライの笛炎天下 菅野蒔子 末黒野 201211
口開けて鴉居並ぶ炎天下 今野明子 末黒野 201211
一呼吸置き炎天へ踏み出せり 松下信了 万象 201211
炎天をさらりと来たる薬売 大村かし子 万象 201211
炎天や舗装仕立の黒びかり 大村かし子 万象 201211
炎天に完全停止の風と居る 松田都青 京鹿子 201211
草田男に永遠の炎天忌の今日も 室伏みどり 雨月 201211
炎天の蒸気機関車大汽笛 板倉眞知子 ぐろっけ 201211
一呼吸して歩き出す炎天下 久布白文子 馬醉木 201212
猛禽の眼もて監督炎天に 梁瀬照恵 ぐろっけ 201212
炎天に躓く映画館を出て 高瀬博子 六花 201212
炎天の坂道を来て次の坂 高橋将夫 如意宝珠 201306
炎天下無心に走る球児かな 中川清子 璦別冊 201408
炎天を横切つてゆく救急車 鴨下昭 201408
草田男の沖登四郎の沖真炎天 能村研三 201409
炎天に踏み出づ己が影睨み 鎌田篤 雨月 201409
炎天を少し窺ひすぐ降参 北川英子 201409
風を跳び炎天を蹴るソーラン祭 佐瀬晶子 ろんど 201409
炎天をものかは蝶の戯むるる 早崎泰江 あを 201409
炎天の広野を歩む女一人 岡崎禎子 201409
炎天に舞納めたる揚羽の死 碇天牛 雨月 201409
丹田に力を込むる炎天下 中村ふく子 201410
水揚げのポンプの唸る炎天下 仁平則子 201410
炎天の下を山風来たりけり 白石正躬 やぶれ傘 201410
炎天下人も鴉も痩せにけり 駒井でる太 馬醉木 201410
目測のわづかに狂ふ炎天下 小松誠一 201410
微動だもなき衛兵や炎天下 碇天牛 雨月 201410
炎天下まぼろしの志士駆くる影 片岡久美子 201410
参道はどこも真つ直ぐ炎天下 高橋将夫 201410
炎天下杭一本の男振り 藤岡紫水 京鹿子 201410
炎天や穂孕みの田を満水に 荻龍雲 201410
炎天や我が影踏みて坂下る 吉田きみえ 末黒野 201410
炎天の炙り出したるビルの影 神戸やすを 201410
炎天に更なる火焔溶鉱炉 碇天牛 雨月 201410
炎天に光る山家の黒瓦 志方章子 六花 201410
炎天に怯みてゐたる物の影 岩月優美子 201410
一球に集ふ衆目炎天下 小松誠一 201410
右左違ふ顔して炎天下 今瀬一博 201410
炎天や近くて遠きマーケット 森清堯 末黒野 201411
炎天の底に真水のやうに座す 宮坂恒子 201411
炎天や赤子を庇ふごとく父 樋口みのぶ 201411
炎天に大道芸の火を噴けり 福島せいぎ 万象 201411
炎天より垂るる鉄鎖の端つかむ 山田春生 万象 201411
炎天に浮かぶ先生のにが笑ひ 藤兼静子 201411
飛ぶの字の何処が飛ぶのか炎天下 松田都青 京鹿子 201411
炎天の衛兵の黙忠烈祠 布川孝子 京鹿子 201411
砂浜に火を焚くサーファー炎天下 遠藤逍遙子 風土 201411
炎天下ベルリンの壁寺に立つ 平居澪子 六花 201411
炎天に哀叫カンムリエボシドリ 後藤眞由美 春燈 201412
炎天や舟子同士の棹捌き 来海雅子 201412
炎天や片手でつぶす紙コップ 菊地光子 201507
炎天のコート勝者の安堵顔 赤座典子 あを 201507
炎天を待たず逝きけり好敵手 安居正浩 201508
炎天へ気丈な影を連れて出る 小松誠一 201508
炎天へ無防備のまま挑みけり 小松誠一 201508
炎天のファウルチップに度胆抜く ねじめ正一 船団 201508
炎天をゆく足ばやの黒衣かな 井上石動 あを 201508
一糸乱れぬ炎天の杉襖 高橋あさの 201509
5回目で沈む水切り炎天下 小松誠一 201509
南口出て炎天の丸の内 廣瀬雅男 やぶれ傘 201509
雲水のさつさつ歩く炎天下 白石正躬 やぶれ傘 201509
炎天の皿ひかりけり皿廻し 大崎紀夫 虻の昼 201510
炎天のひと影淡きともおもふ 島田万紀子 馬醉木 201510
雲水の棒のごと立つ炎天下 矢野百合子 201510
炎天の南大門に人少な 落合絹代 風土 201510
炎天や電柱の世はまだ続く 竪山道助 風土 201510
炎天の中行く報道写真展 中嶋陽子 風土 201510
炎天や口に炎を吐く大道芸 奥田茶々 風土 201510
真炎天勝者敗者の影分かつ 菅谷たけし 201510
炎天を戻りてはづす装身具 宮内とし子 201510
黙祷や一人ひとりの真炎天 上谷昌憲 201510
炎天を来て言行の整はず 吉田政江 201510
炎天に力の入る杖の音 中谷富子 201510
炎天や島の離さぬ雲一朶 松本三千夫 末黒野 201510
炎天を抜け来し蹠ほてるかな 岡田史女 末黒野 201510
狛犬の阿吽も喘ぐ炎天下 塩川君子 末黒野 201510
炎天の雀静かに水を呑む 荒井和昭 201510
怯ゆる目満つ炎天の家畜市 原田達夫 箱火鉢 201511
ショートする思考回路や炎天下 黒澤登美枝 201510
真炎天来し方の道一途なり 北川孝子 京鹿子 201511
炎天をどこまでいけば許される 直江裕子 京鹿子 201511
炎天の死角尾のあるもの動く 直江裕子 京鹿子 201511
炎天を肩で押しゆく影法師 中島悠美子 京鹿子 201511
炎天や百人番所の長廂 中嶋陽子 風土 201511
炎天を来て心搏を確かむる 石黒興平 末黒野 201511
もたさるる携帯傘や炎天下 山咲和雄 末黒野 201511
炎天やうなりの荒き救急車 小野弘正 末黒野 201511
炎天や不動の釣師影持たず 今野明子 末黒野 201511
炎天を来て硬骨の人惜しむ 江澤弘子 201511
炎天下大樹といふは閑かなり 竹内タカミ 201511
炎天のほか空港に何もなし 井上浩一郎 ホトトギス 201512
炎天にじゆわつと誰もゐなくなる 直江裕子 京鹿子 201512
吊橋のどこを歩くも炎天下 松田明子 201512
炎天の大輪の薔薇棘隠し 谷貝美世 末黒野 201512
をんをんと雲ひとつなき炎天下 畑佳与 京鹿子 201601
まぼろしは何炎天の石舞台 水野恒彦 201608
訳あり甚平炎天に吊るし売り 笹村恵美子 201609
石伐りのたがね谺す炎天下 栗山よし子 馬醉木 201610
炎天や井戸を祓ひて家を閉づ 山内碧 201610
炎天や行くといふのに来るといふ 熊川暁子 201610
家族一人預け炎天帰りけり 岡田桃子 201610
炎天下自販機の前で飲むコーヒー 野中圭子 京鹿子 201610
炎天や獅子像吠ゆる日本橋 福岡かがり 雨月 201610
炎天や卒塔婆の文字真新し 久留島規子 万象 201610
炎天に立ち向ふ者のみならず 和田華凛 ホトトギス 201611
原爆の慰霊碑に立つ炎天下 大石よし子 雨月 201611
炎天の釣り人の影流されし 岡山敦子 京鹿子 201611
炎天を届きし文を読む三度 高橋道子 201611
炎天に立ち向ふかの靴の音 箕輪カオル 201611
炎天や己も遺失物のごと 田中とし江 201611
炎天や引き潮の磯匂ひ立つ 濱谷和代 万象 201611
炎天を百年の槙怯まざる 芝田幸惠 末黒野 201611
炎天や岐阜城めざすロープウェー 佐藤康子 末黒野 201611
炎天や帽子を深くいざ出陣 岡山敦子 京鹿子 201612
炎天を来て検診の血を抜かる 金子正道 京鹿子 201612
瓦礫みな祈る形に炎天下 岩岡中正 ホトトギス 201612
炎天下赤信号の長きこと 増田みな子 やぶれ傘 201612
飛行機雲炎天の瀬を上りゆく 七種年男 輪中の空 201612
炎天の塊として歩くかな 岩岡中正 ホトトギス 201701
炎天のみな波打つてゐるごとし 岩岡中正 ホトトギス 201701
炎天の赤信号や死者渡る 曽根富久恵 201612
鴉たたかふ炎天の声あげて 岩岡中正 ホトトギス 201702
炎天を来て先づ尿を採られけり 中川句寿夫 ここのもん 201705
炎天を無駄足踏んで帰りけり 中川句寿夫 ここのもん 201705
炎天の石に忘れて花鋏 大嶋洋子 春燈 201708
炎天を切り裂きブルーインパルス 鈴木みのり 201709
炎天のおでこの広い自由人 稗田夏子 201709
炎天を四角に畳み切手貼る 平野多聞 201709
炎天のバス停前に保育園 瀬島酒望 やぶれ傘 201708
炎天を西郷どんのやうに行く 森岡正作 201709
炎天や近道出来ぬ大手町 宮内とし子 201709
電線の影のみが影真炎天 林昭太 201709
深呼吸ひとつしてより炎天へ 頓所友枝 201709
起重機の起重機を吊る真炎天 藤代康明 201709
炎天や鉄塔つづく避雷針 中江月鈴子 201709
土砂降りの雨炎天を崩しけり 中江月鈴子 201709
炎天や蜆蝶閑かに交はりぬ 須賀敏子 あを 201709
炎天やせっせと剥がす屋根瓦 赤座典子 あを 201709
炎天を舞ふ一点の黒き蝶 安立公彦 春燈 201709
炎天寺らしくなりたる暑さかな 近藤牧男 春燈 201709
炎天 →6      

 

2021年7月9日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。