炎 天 3    200句

炎天へ打つて出るべく茶漬飯   川崎展宏   秋

作品
作者
掲載誌
掲載年月
炎天の一転風神雷神図 高橋将夫 星の渦 200507
炎天を来れば芭蕉の視線あり 稲畑廣太郎 ホトトギス 200508
炎天に涸れたる泪袋かな 成田昭男 200508
炎天に干鱈を売るも会津なる 松崎鉄之介 200508
炎天をゆく古墳山古墳道 塩川雄三 築港 200508
炎天下村内すべて牛の糞 長谷川きくの 築港 200508
炎天の砂より逃れ海に入る 伊藤とほ歩 ホトトギス 200509
炎天や地は静けさを極めたる 増田大 春燈 200509
炎天や救急警報にしひがし 藤田信義 春燈 200509
炎天をひたすら歩き会ひにゆく 長澤健子 酸漿 200509
炎天を來て苔臭き茶をすする 瀧春一 菜園 200509
しのび鳴く蟲炎天の野にひろく 瀧春一 菜園 200509
厚朴の葉のひまに炎天青くふかし 瀧春一 菜園 200509
炎天の孤松ぞやがて鳴りいづる 瀧春一 菜園 200509
青栗をゆする炎天のかぜ冷えぬ 瀧春一 菜園 200509
炎天や狭き巷に籠居する 寺門丈明 あを 200509
炎天のみどり濃き土手息苦し 早崎泰江 あを 200509
炎天へ出でむ発止と膝を搏ち 田中芳夫 200510
炎天に負けぬ化粧で畑仕事 杉本綾 200510
炎天にいよよ鋭きダヴイデの眼 岩月優美子 200510
炎天の砂州に烟のあがりをる 近藤きくえ 200510
舌の先乾かすやうに炎天下 瀬下るか 200510
炎天下命の綱の医師を訪ふ 谷寿枝 酸漿 200510
神殿の列柱に唸る炎天下 小峯雅子 酸漿 200510
炎天の岩に印せし登高距離 梅村五月 栴檀 200510
炎天の原爆ドームに空見上ぐ 藤原浩 栴檀 200510
炎天に被爆樹の葉の緑濃し 藤原浩 栴檀 200510
炎天を足音気にせぬ靴で訪ふ 松本鷹根 京鹿子 200510
炎天に触れむと石階千余段 山田暢子 風土 200510
炎天下米寿の歩みゆるぎなし 柳瀬都音子 築港 200510
ポストまで行かねばならぬ炎天下 上出曙美 築港 200510
炎天下聖句ひとつを持ち歩く 荒井千佐代 200510
炎天を来たりし母の寝息かな 高橋将夫 炎心 200510
我が訪はねば無縁墓かな炎天下 北川英子 200510
炎天の力点となる高気圧 齊藤實 200510
太陽のほか炎天になにもなし 土山栄 200510
炎天を何処に出でし留守電話 木村茂登子 あを 200510
湖見えてより炎天の道急ぐ 松村富子 200511
炎天下戻りし牛の大涎 一瀬昭子 馬酔木 200511
マンモス館出て炎天の暗さかな 長田等 200511
音絶ゆる一瞬のあり炎天下 岩崎眉乃 万象 200511
炎天の水の動きや大田螺 久保村淑子 万象 200511
炎天を来てコンビニに救はるる 清水ミツコ 200511
炎天下ひとりの黙をもち帰る 清水ミツコ 200511
炎天の糸杉並木聖地へと 佐山苑子 遠嶺 200511
遮断機が下りて炎天振りかぶる 村上和子 ぐろっけ 200511
炎天の渋谷の人波発酵す 奥田茶々 風土 200511
炎天を行くやひとすぢではなくも 豊田都峰 京鹿子 200511
近道を迷ひあぐねて炎天下 細川コマヱ 雨月 200511
炎天下泳ぐごと人来たりけり 染谷晴子 200511
炎天の遥けき橋の無音なる 早崎泰江 あを 200511
炎天や反りを強めて石の橋 原田町子 200512
炎天や烏鳴き問ひ鳴き答へ 村松紅花 ホトトギス 200512
炎天の塩噴いてゐる野球帽 吉田かずや 春燈 200512
日が昇り炎天の日の始まれり 小林幸子 酸漿 200512
炎天の羅漢みな泣き伏しにけり 河内桜人 京鹿子 200512
炎天にはりつく告知モノクローム 直江裕子 京鹿子 200512
炎天に追討ちかけし工事音 西島みね子 八千草 200601
稚児肩の強力さんや炎天下 和田照子 200602
炎天を来て天国と地獄絵見む 本多俊子 さくらの音 200605
炎天をとぶ白鷺の澄みとほり 瀧春一 常念 200606
邂逅やこの炎天を来ればなほ 稲畑廣太郎 ホトトギス 200607
炎天の去りゆく山の深さかな 稲畑廣太郎 ホトトギス 200607
炎天下働くは人のみにあらず 稲畑廣太郎 ホトトギス 200607
炎天や北半球といふ運命 稲畑廣太郎 ホトトギス 200607
炎天に水ぶつかけてやろかしら 稲畑廣太郎 ホトトギス 200608
炎天や古刹の庭の西遊記 廖運藩 春燈 200608
炎天を分けて太宰と林太郎 神蔵器 風土 200608
炎天を消して津軽の「雀こ」 神蔵器 風土 200608
炎天の屋根の二人に声も無し 谷榮子 雨月 200609
逝きし人に似しと目に追ふ炎天下 谷榮子 雨月 200609
呼び戻す吾子炎天を恐れては 谷榮子 雨月 200609
わが影と行くほかはなし炎天下 安武晨子 200609
炎天下字を書くときは口つむり 山田六甲 六花 200609
岸壁の藻の黝ぐろと炎天下 加瀬美代子 200609
校庭に球音高し炎天下 芝宮須磨子 あを 200609
炎天やフィルムを延べしごとき道 竹内弘子 あを 200609
炎天に捨てられし蛇ミイラ化す 泉田秋硯 200610
ハッスルの還暦球児炎天下 河本利一 200610
炎天下すこやかに児の育ちゆく 高橋将夫 200610
炎天下の婚に星型コニファーも 椿和枝 200610
ビル谷間炎天へ火を吐く壁画 吉岡一三 200610
彼の男手術こばみて炎天へ 前田貴美子 万象 200610
炎天下棒高とびの砂けむり 田村愛子 万象 200610
炎天下顔失ひてすれ違ふ 北川英子 200610
炎天と同色のビル落成す 上谷昌憲 200610
炎天下ガイドの口の早まりし 三村}子 酸漿 200610
炎天を行きて介護の日々偲ぶ 長澤健子 酸漿 200610
炎天へ着物で一歩踏み出せり 芝尚子 あを 200610
炎天をオランウータンの綱渡り 岡本敬子 万象 200611
炎天下大道芸の赤ふどし 佐藤哲 万象 200611
炎天を来て梵妻にもてなさる 今井松子 遠嶺 200611
炎天を来し老僧の黒衣かな 青木久子 遠嶺 200611
炎天を来て図書館の貝となる 青木久子 遠嶺 200611
炎天に昇天の魂かぎりなし 吉澤利治 遠嶺 200611
ちりちりと髪の燃えさう真炎天 万城希代子 200611
炎天を来て六道図てふものを 万城希代子 200611
炎天に何んの蔓やらからみたり 本多俊子 200611
炎天をてくてく歩くこと一里 瀬川公馨 200611
自動ドアー出て炎天に立ち竦む 植松未知男 200611
ドンキホーテの槍炎天に草田男忌 竪山道助 風土 200611
炎天を行く先のありしかと行く 青山丈 200611
炎天に鉦の余音や野辺送り 宮野素子 万象 200612
横向きし獅子の石像炎天下 濱上こういち 200612
淡墨の人魚の像や炎天下 中里カヨ 酸漿 200612
炎天の木陰に群れし尾長猿 小浦遊月 酸漿 200703
炎天へ船の中より傘さして 百瀬七生子 海光 200705
釣りし魚炎天を打つ響きあり 百瀬七生子 海光 200705
炎天の草生は秋のきりぎりす 瀧春一 200706
炎天を回すからくり時計かな 稲畑廣太郎 ホトトギス 200707
炎天の死者へみんなが目をつむる 竹貫示虹 京鹿子 200707
炎天を人に紛れるまで歩く 青山丈 200708
裾からげ大道芸人炎天下 奥田順子 火星 200709
炎天の河童の皿を裏返す 栗栖恵通子 200709
炎天下ど根性もて少年兵 徳永辰雄 春燈 200709
炎天の宿をたよりのまちおこし 能村研三 200709
若沖を見て炎天に切れ目なし 安居正浩 200709
繋がれし人乗せて行く炎天下 篠田純子 あを 200709
炎天の跳ね橋音もなく開く 泉田秋硯 200710
高層ビル炎天支え照り返す 後條さと子 200710
炎天を働き通す花時計 黒澤登美枝 200710
炎天を来てカツ丼の蓋をとる 小形さとる 200710
炎天に見栄も誇りもやかれたり 柴田靖子 200710
炎天の起重機ビルを食ひ尽くす 亀澤淑子 万象 200710
抉られし山炎天に臓腑見せ 桑島啓司 200710
幅二間くらやみ坂も真炎天 菅谷たけし 200710
アンカーに炎天の坂もう一つ 北川英子 200710
炎天にとつて返して涼気過ぐ 神蔵器 風土 200710
炎天に背を屈みゐる農夫かな 奥山絢子 風土 200710
炎天の地球廻して観覧車 あさなが捷 200710
岡持の行く炎天の老松町 藤田素子 火星 200710
炎天に老人かざすスポーッ紙 弓場赤松 ぐろっけ 200710
炎天を朴歯の下駄でのし歩き 弓場赤松 ぐろっけ 200710
道を問ふ人見あたらず炎天下 片野美代子 酸漿 200710
炎天下竜神太鼓地に響く 井上幸子 酸漿 200710
炎天下六打の鐘にこころ足る 角直指 京鹿子 200710
炎天の極楽橋を渡りきる 角直指 京鹿子 200710
炎天下背筋の伸びた老紳士 伊吹之博 京鹿子 200710
炎天を鴉は黒に徹し飛ぶ 川崎良平 雨月 200710
炎天の一点景としてポスト 定梶じょう あを 200710
炎天下経を唱へて歩みけり 篠田純子 あを 200710
太子様のお笠も杖も炎天下 芝宮須磨子 あを 200710
玉音放送意味分らずに炎天下 鈴木多枝子 あを 200710
炎天の電柱鴉不在なり 早崎泰江 あを 200710
炎天ヘドア開け放ち牧師館 清水幸治 200711
炎天へ自虐の一歩踏み出せり 勝見玲子 200711
炎天の青田はむしろ暗いもの 金井充 百日紅 200711
炎天を来て入る岡本太郎館 田村すゝむ 風土 200711
炎天にぶつかつてゆく波の音 松井ふみ 風土 200711
炎天へ車より足下ろしけり 根岸善行 風土 200711
炎天に嬉嬉と愛車を改造す 大西洵子 遠嶺 200711
覆ふものなく大仏は炎天下 小林朱夏 200711
炎天に工事騒音絶食中 山田をがたま 京鹿子 200711
炎天の御手洗作法なき子らに 大井邦子 ぐろっけ 200711
数式の不意に解けたる炎天下 本谷英基 馬醉木 200711
電柱の直立といふ炎天下 長沼三津夫 200711
炎天の屋根石すこし動きけり 岬雪夫 200712
炎天を予約の医者へ急ぎ行く 原田敦子 酸漿 200712
お忘れなくスポーツドリンク青炎天 丸山冬鳳 京鹿子 200712
首都炎天戦終りし日のごとく 真保喜代子 200712
炎天を来て聖堂の小暗さに 佐土井智津子 ホトトギス 200801
炎天のドラムステツクよく弾む 平佐和子 京鹿子 200801
炎天の右翼よ我が師を悼め 阿部知代 200801
左義長の炎天をも突き上げり 中島玉五郎 200803
炎天をちょろりとなめて青蜥蜴 坪内稔典 稔典句集U 200804
炎天や蔵ヘランプをとりに行く 坪内稔典 稔典句集U 200804
炎天へ足垂れている黄金蜘蛛 坪内稔典 稔典句集U 200804
炎天のわれも一樹となっている 坪内稔典 稔典句集U 200804
今は昔の炎天牛窓本蓮寺 坪内稔典 稔典句集U 200804
炎天に山あり山の名を知らず 坪内稔典 稔典句集U 200804
炎天を来てかたばみの花へまず 坪内稔典 稔典句集U 200804
炎天やぐちゃっと河馬がおりまして 坪内稔典 稔典句集U 200804
炎天の男錨の匂いして 坪内稔典 稔典句集U 200804
肉弾という肉があり炎天なり 谷山花猿 頂点 200806
棒もつて炎天へ飛び上りたる 滝沢伊代次 万象 200807
炎天の言葉継ぎゆく石畳 渡邉友七 あを 200807
炎天や四股名を刻む力石 小林朱夏 200808
炎天に圧されて影の縮みけり あさなが捷 200808
輪切りして曝す「回天」炎天に 藤田宏 長城 200808
象老いて炎天に波打つてをり 藤田宏 長城 200808
忍者風のUVカット炎天下 桂敦子 200809
炎天にコーラ売る児の歯の白し 神原徳茂 遠嶺 200809
黒を着て行かねばならぬ真炎天 北川英子 200809
水分の補給忘れず炎天下 渡辺安酔 200809
炎天下ビート弾けるジャズ祭 中村悦子 200809
何見むと炎天に立つ軍馬像 藤田宏 200809
炎天の辨當の蓋カバ啼けり 佐藤喜孝 あを 200809
炎天を来て吊鐘がしんとある 定梶じょう あを 200809
炎天に働く人の尊しや 長崎桂子 あを 200809
炎天に槌や鉋の音高し 石脇みはる 200810
炎天の鏡に影のなかりけり 雨村敏子 200810
炎天の京にお帰り囃子かな 竹中一花 200810
炎天や商店街の時計塔 米山喜久子 200810
炎天や戦前戦後耐へて生き 池田光子 200810
炎天に明治の単線走りをり 池田光子 200810
いつぱいのコーヒー炎天をきて長居 岡野ひろ子 200810
歩くほかなく歩きをり炎天下 浅井敦子 万象 200810
一本の芯の高層炎天下 古屋元 200810
炎天→4      

 

2021年7月5日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。