炎天 2    200句

炎天を槍の如くに涼気過ぐ   飯田蛇笏

作品
作者
掲載誌
掲載年月
炎天の西より入る高野山 岡井省二 200112
炎天へ深い柄杓が立ててある 南村健治 船団 200112
炎天に妻の魂ただよえる 岩田ひろあき 船団 200201
炎天下ガラス一枚隔てたる 桜井ともや 六花 200202
炎天をふるさと便と正露丸 鶴濱節子 船団 200202
炎天にして墨壺の置かれあり 岸風三樓 200206
集ふことこの炎天の下にさへ 稲畑汀子 ホトトギス 200207
太陽を怖れ炎天怖れざる 稲畑汀子 ホトトギス 200207
若き日は二度と帰らず炎天下 稲畑汀子 ホトトギス 200207
炎天に放り出されし朝散歩 稲畑汀子 ホトトギス 200207
炎天を来て炎天をないがしろ 塩川雄三 築港 200207
炎天に立つ所得し師弟句碑 塩川雄三 築港 200207
黄鐘の鐘炎天にひゞきたる 桑田青虎 円虹 200208
炎天より戻りきゆつくと刃物研ぐ 川島真砂夫 200208
炎天におはぐろとんぼ迷ひ来し 中道錦子 200208
炎天や三里の灸の煙立つ 神蔵器 風土 200209
炎天を行くやわが影剥がしつつ 藤原たかを 馬醉木 200209
跨がりし馬上炎天どかとあり 西川織子 馬醉木 200209
炎天の真白きビルに見下ろさる 青池亘 百鳥 200209
炎天の奈良まち当てもなく歩く 塩川雄三 築港 200209
炎天や荷よりも重き影をつれ 吉原一暁 200209
炎天や金色となる風の道 高橋将夫 200209
炎天下のつぺらぼうとなり通る 朱間繭生 銀化 200209
炎天に農の一念草毟る 八木岡博江 酸漿 200209
炎天や大河の口に砲を据ゑ 松原ふみ子 200209
炎天の突端に佇ち青飛沫 小澤克己 遠嶺 200210
炎天の街の歪みに迷ひ込む 小澤克己 遠嶺 200210
炎天下青紫蘇の葉を噛みつ行く 神蔵器 風土 200210
炎天に荒刃研ぎ出す八ヶ岳 神蔵器 風土 200210
炎天を来てみづいろの無菌室 山路紀子 風土 200210
炎天に掘りゐし穴を埋め戻す 遠藤若狭男 200210
炎天の悪の華なり金閣寺 遠藤若狭男 200210
炎天や荷台にむすぶ赤き布 梅村達子 帆船 200210
真炎天泥炭燃えて煙幕めく 二宮きみ枝 200210
ガウディ家の炎天の土間ふと暗し 宇田紀代 200210
雲一つなき炎天の地に立てり 網野茂子 酸漿 200210
炎天下勝つも負くるも校歌かな 服部菰舟 雨月 200210
炎天や武蔵の遺墨遺品見て 河中透水 雨月 200210
炎天の寺炎天をまぬがれず 塩川雄三 築港 200210
炎天の原爆ドーム骨だらけ 塩川雄三 築港 200210
炎天下音立て歩く砂利の道 長石彰 築港 200210
炎天やぐにゆぐにゆ曲るフラミンゴ 出原博明 円虹 200210
炎天やもの食ふ音はきりんの子 出原博明 円虹 200210
炎天を歩く覚悟の旅であり 西美知子 円虹 200210
炎天を棒のごとくに歩きけり 西美知子 円虹 200210
わだかまり融けてしまひぬ炎天下 関洋子 200210
炎天を来て仰ぎたる合戦図 岡和絵 火星 200210
炎天の鴉は羽を落しけり 堀義志郎 火星 200210
炎天の一本道を影ひとつ 小林光美 春耕 200210
炎天に出る装身具みな外し 久保田曲布 ぐろっけ 200210
炎天に銀の鏡のすべり台 高橋大三 ぐろっけ 200210
炎天に下馬の立札猛々し 泉田秋硯 200211
炎天をゆく矍鑠の歩幅かな 山下青坡 200211
炎天を截りひらきたる羽音あり 千代田葛彦 馬醉木 200211
白炎天竹百幹の觸れ合はず 藤岡紫水 京鹿子 200211
炎天やバックミラーに歪む街 清水晃子 遠嶺 200211
炎天にひびく槌音風一陣 中薗道子 遠嶺 200211
炎天の影のそれぞれ動きをり 大東由美子 火星 200211
蟻の影ことごとく絶え炎天下 田中武彦 六花 200211
茅淳ノ海鋼びかりの炎天下 中島知恵子 雨月 200211
高級車並め炎天の精養軒 江木紀子 雨月 200211
炎天を来て沢音に近づけり 岡田房子 酸漿 200211
炎天の山門の幅くぐり出づ 渡邉友七 あを 200211
わが影の濃きに躓く炎天下 中島たまな 200211
炎天を来てまなうらを白くせり 菊池一枝 200211
炎天の真ン中に太陽のあり 粟津松彩子 ホトトギス 200212
炎天に疼いて来たる釣り心 河内童楽 六花 200212
炎天や鴉木つ端をふりまはし 高木美波 万象 200212
炎天秋風疊の上も山河なり 佐藤喜孝 あを 200303
炎天にかしづくごとく畑の婆 丁野弘 200307
青炎天正面にある姫路城 塩川雄三 築港 200308
炎天下釣りする人の動かざる 亀井香草 築港 200308
一瑕瑾なき炎天を讃美せり 斎藤道子 馬醉木 200309
炎天や僧形消えて道残り 鷹羽狩行 200309
炎天の芯の暗さやくすり噛む 神蔵器 風土 200309
炎天のそしらぬ顔の残りをり 宮川みね子 風土 200309
炎天の辻に真白き犬ねまる 渡辺政子 雲の峰 200309
炎天をゆきて古書肆の陰に入る 熊岡俊子 雨月 200309
炎天の船なき沖を眺めゐる 塩川雄三 築港 200309
炎天に並ぶ羅漢の石頭 笠間圭子 京鹿子 200309
炎天の雀ほそりて遠くとばず 吉弘恭子 あを 200309
大釜に湯の滾りゐる炎天下 根岸善雄 馬醉木 200310
炎天へ有線放送ゆうせん人の死を告ぐる 泉田秋硯 200310
炎天下波郷の墓に風添へて 工藤進 200310
炎天の波郷の墓の低きかな 石川笙児 200310
炎天を貼りつけてゐし潦 土屋酔月 火星 200310
炎天下人見知りする児に泣かれ 山本漾子 雨月 200310
野の涯を見据ゑ炎天行くばかり 下平しづ子 雨月 200310
ゆつくりと炎天になつてゆく時刻 高橋信佑 あを 200310
炎天を手拭ひとつ花を売る 鈴木多枝子 あを 200310
炎天の坂老体を振り絞る 鈴木多枝子 あを 200310
炎天や芯まで翳る憩ひせん 豊田都峰 京鹿子 200310
炎天の川窪ませて飛込めり 岡崎桂子 対岸 200310
お国替への玉串捧ぐ炎天下 萬条ハマヨ 帆船 200310
寺町の寺探しゐる炎天下 塩川雄三 築港 200310
火葬場を出て炎天に影もなし 榎本孤星 築港 200310
炎天の無煙火葬場荒涼と 榎本孤星 築港 200310
炎天の火葬相剋相容れず 榎本孤星 築港 200310
炎天下球追ふ人も見る人も 高木昌子 築港 200310
砂時計めく炎天の砂丘かな 広渡詩乃 200310
餌を咥へ炎天鴉鳴かずなる 品川鈴子 ぐろっけ 200310
炎天に練習船の出航す 八代嫋 ぐろっけ 200310
炎天や汲みて重たき神の水 桑島啓司 200311
炎天の大字小字よりメール 高橋道子 200311
炎天やリユツクはみだす高野槙 池田光子 風土 200311
いつよりか炎天怯む二と覚ゆ 坂井和子 酸漿 200311
炎天を来て公園の蛇口かな 長谷川守可 百鳥 200311
炎天や絞つたかたちのままのおれ 直江裕子 京鹿子 200311
炎天を刺身ぶら下げ夫戻る 二瓶洋子 六花 200311
炎天を怯ませてゐる赤子の声 白井墨絵 遠嶺 200311
炎天を駆けて光の筋となる 浜田はるみ 遠嶺 200311
火を焚いてゐる炎天の小漁港 高橋さえ子 200311
炎天に古稀矍鑠とゴルフかな 河本利一 200312
釣鐘のぶ厚き縁や炎天下 浅田光蛙 対岸 200312
只今只烏賊一杯の真炎天 岡井省二 省二全句集 200312
人の影もつともくらし炎天下 西川織子 馬醉木 200401
炎天や肩の力を抜けといふ 北嶋美都里 西の峰 200401
對岸の遙かの聲を炎天に 佐藤喜孝 あを 200402
炎天の馬が運べる畊運機 佐藤喜孝 あを 200402
炎天の萎縮してゐる影法師 橘沙希 月の雫 200404
シースルービル炎天に立つてゐる 森理和 あを 200407
炎天のエーデルワイス石に影 吉成美代子 あを 200407
炎天に立ちし柱の二、三本 宇都宮滴水 京鹿子 200408
炎天を自転車で来し人迎ふ 稲畑汀子 ホトトギス 200408
炎天の屋根シーサーの大目玉 馬場秀 万象 200408
炎天の朴の葉そよりとも揺れず 朝妻力 雲の峰 200408
炎天を眺めて膝の笑ひけり 藤田あけ烏 草の花 200408
炎天を自転車の来て去りてゆく 藤田あけ烏 草の花 200408
炎天に暖房が利き出す車 山田六甲 六花 200408
淺草に舟であがりぬ炎天下 佐藤喜孝 あを 200408
炎天下弁慶の像見得を切る 赤星惠子 あを 200408
炎天を来て人悼む酒呷る 久保一岩 京鹿子 200409
炎天に影持つものは影を持ち 塩川雄三 築港 200409
真炎天人倚らしむる松の影 宮津昭彦 200409
植ゑ替への葱の干さるる真炎天 望月喜好 200409
石一個断固と座り炎天下 貝森光大 六花 200409
炎天や老いて喪服を涼しげに 岩上とし子 200409
少女寂ぶ影炎天のはしにおき 彦坂範子 ぐろっけ 200409
炎天の色なきほのほ文を焼く 泉田秋硯 200410
炎天の予防接種に行くといふ 伊藤早苗 200410
炎天の窓を背に上司われを呼ぶ 木村みかん 200410
炎天のわが影われを蔑むか 荒木甫 200410
炎天に犀の鼓動を感じをり 水野恒彦 200410
炎天に買ひ来し水のちやぷちやぷす 加古みちよ 火星 200410
炎天へ無言の塔の林立す 小澤克己 遠嶺 200410
炎天やあなどりがたき狸坂 長志げを 遠嶺 200410
東京の街の黙すや炎天下 小阪喜美子 遠嶺 200410
炎天に真つ赤な路面電車行く 中嶋陽子 風土 200410
炎天や脚立の下の大薬缶 平田紀美子 風土 200410
炎天や一途に座る百度石 林裕子 風土 200410
炎天の牛舎の外に黒長靴 中嶋陽子 風土 200410
炎天下電線埋設工事中 平田紀美子 風土 200410
炎天や大桟橋に不死男句碑 布施まさ子 風土 200410
炎天より男が覗く小町井戸 中沢三省 風土 200410
炎天を来て提出の書類不備 鈴木庸子 風土 200410
電柱の影に先客真炎天 清水公治 200410
真炎天悟りきつたる顔になり 清水公治 200410
炎天や走れば乗れるバスの距離 高木嘉久 200410
炎天や棘の鋭き枝払ふ 矢崎すみ子 200410
衛兵の毛皮帽子よ炎天下 岡田房子 酸漿 200410
炎天の葱死んだふりして生きる 土肥屯蕪里 雲の峰 200410
炎天をやうやくバスに拾はれし 仲井義明 雲の峰 200410
誰もゐず炎天首にガーゼ巻く 石堂摩夜子 対岸 200410
即身仏観て炎天に目をつむる 室伏みどり 雨月 200410
炎天の宙に電工身を晒す 延江金児 築港 200410
炎天へ重き扉を押しにけり 吉田順子 帆船 200410
アスフアルト六十二度の炎天下 夏見信子 帆船 200410
炎天下潤してゆくシースルー 鳥川昌実 六花 200410
炎天や身巾二つの沈下橋 藤田あけ烏 草の花 200410
炎天や女男の瓦の静もれる 柴田孤岩 草の花 200410
自転車の相撲取ゆく炎天下 中島瑞枝 百鳥 200410
炎天を来し路地裏に赤子泣く 鈴木實 百鳥 200410
炎天を来て飴玉に労られ 鈴木多枝子 あを 200410
ライダーは死神を連れ炎天下 鎌倉喜久恵 あを 200410
炎天や子の反抗の幼くて 上薗シヅ子 河鹿 200411
炎天の何処へも寄らず還暦来 蒔元一草 河鹿 200411
炎天へ出でずと決めて深息す 田代ヨシ 河鹿 200411
炎天下モデルのやうに歩み来る 山中宏子 200411
炎天へ出づる覚悟の化粧かな 刈米育子 200411
挨拶の喪主の影なき炎天下 三村純也 ホトトギス 200411
炎天の橋によろめく山鴉 仲山秋岳 万象 200411
炎天に負けてはならぬ母達者 竹内美智代 酸漿 200411
炎天や少しつめたき耳の穴 谷口佳世子 200411
眞炎天鉛のやうな影踏みて 北川孝子 京鹿子 200411
炎天をこもり木石にもなれず 長沼三津夫 200411
炎天に鐘無き半鐘台聳ゆ 松井洋子 ぐろっけ 200411
炎天のこめかみきゆつと締まりけり 内藤ゑつ ゑつ 200411
間延びして鴉の鳴けり炎天下 前迫寛子 河鹿 200412
炎天下人は黙して去りゆけり 原田竜子 河鹿 200412
炎天を来て黒白の記憶のみ 岡本眸 200412
炎天下ウインドーには老い写る 小松サチコ ぐろっけ 200412
どうせ見るなら炎天のコロシアム 望月晴美 200501
白衿の白を盾とし炎天下 ほんだゆき 馬醉木 200501
炎天やぱらり立読む「バカの壁」 野村智恵子 八千草 200501
椰子の実を房ごと売れり炎天下 馬場秀 万象 200503
火の国の火の山の今炎天時 能村登四郎 200506
炎天下晴後曇一時雨 稲畑廣太郎 ホトトギス 200507
雨の江戸発ちて炎天下の尾張 稲畑廣太郎 ホトトギス 200507
炎天に出でて一人の影つくる 鷹羽狩行 200507
炎天や斧にて丸太真二つ 滝沢伊代次 万象 200507
炎天→ 3      

 

2021年7月3日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。