大 寒 1     100句

大寒の埃の如く人死ぬる   高浜虚子   五百五十句

作品
作者
掲載誌
掲載年月
大寒や去るもの昭和もそのひとつ 豊田都峰 山の唄 198100
大寒の栗毛の中に眠る犬 山田禮子 きらら 199400
大寒の止まり木にある招猫 山田禮子 きらら 199600
大寒となれば和尚のこと憶ふ 古田考鵬 雨月 199805
大寒の風諾ひて街角に 稲畑汀子 ホトトギス 199901
大寒の朝の天気図見て出掛け 稲畑汀子 ホトトギス 199901
大寒の日より展けてゆく未来 稲畑汀子 ホトトギス 199901

 悼 石倉啓補様

大寒の日も越え来しに惜しまるる

稲畑汀子 ホトトギス 199901
大寒の胸こそ熱き血の器 馬場駿吉 夢中夢 199901
犬吠えてゐる大寒の一軒家 小川匠太郎 199902
大寒や山葵きかせてあられ蕎麦 水原春郎 馬醉木 199903

 高橋逸郎句集『寒蜆』序句

大寒や逸るを押さへ蜆舟

鷹羽狩行 199903
風に鳴る大寒の川旱の田 藤原たかを 馬醉木 199904
大寒の空より鉄の火花かな 中谷まもる 火星 199904
大寒の大き机にはべりけり 長尾康子 風土 199904
大寒の星をひとつと鎌の月 酒井章鬼 風土 199904
大寒や言葉か細く父座して 三澤福泉 俳句通信 199904
大寒の何か音する杉林 北吉裕子 俳句通信 199904
音重くたて大寒の雉一羽 北吉裕子 俳句通信 199904
大寒や昏れては小声よく通り 若菜純子 199904
大寒の一湖の空の濁りなし 小澤克己 遠嶺 199905
大寒や佐渡より一夜干の魚 野口光江 遠嶺 199905
大寒を眠りあかして猫の夢 菊川貞夫 海程 199905
大寒の担架巻きをり消防署 戸田喜久子 199905
バナナ色の肌大寒と勝負する 児玉硝子 ヒッポ千番地 199905
大寒にさからはず生き足病めり 宍戸富美子 馬醉木 199906
大寒の海が潮引く力出す 岡本眸 199906
大寒の猫は月でもあるそうな 入江一月 船団 199907
大寒や僧のまあるい嘘に酔ふ 中村浩治 京鹿子 199907
大寒や相づち大きい接骨師 金子里美 船団 199908
大寒の舌のか細き矮鶏の鬨 丸山海道 海道全句集 199910
大寒の身軽に集ふ会となる 稲畑汀子 ホトトギス 200001
大寒にしては身軽に集ふ庭 稲畑汀子 ホトトギス 200001
大寒を過ぎて油断をしてをりぬ 稲畑廣太郎 ホトトギス 200001
大寒や突如柱の割れる音 土肥屯蕪里 俳句通信 200002
大寒や柱時計のぐわらんぢやらん 山田六甲 六花 200003
大寒の入口に葱横たはる 神蔵器 風土 200003
大寒といふに羅漢はみな薄着 保坂加津夫 いろり 200003
大寒やただ動かしてみる小指 村越化石 200003
大寒の葬の列に立ちつづけ 谷榮子 雨月 200003
大寒や歳時記になほ死語のこり 大津留いほり 200003
大寒の己れへかける一語かな 岡本眸 200003
大寒の雲千切れ飛ぶ男山 朝妻力 雲の峰 200003
大寒の夜もふつふつと仕込蔵 朝妻力 雲の峰 200003
大寒のころがつてゐるだんご虫 酒井多加子 雲の峰 200003
大寒の水なき川や鳩群れて 志水千代子 雲の峰 200003
大寒や姉の忌明けの灯をともす 志水芳秀 雲の峰 200003
大寒の杉山影を正しけり 辻のぶ子 雲の峰 200003
大寒の独りの夜のひとり言 辻のぶ子 雲の峰 200003
大寒の竹の打ち合ふ嵯峨野かな 伊藤重美 雲の峰 200003
大寒のほろほろ鳥の羽根拾ふ 岩崎皓子 雲の峰 200003
大寒や吹く牛乳に膜生れて 小田悦子 雲の峰 200003
大寒や稚きくきくと乳を呑み 宇利和代 雲の峰 200003
大寒の雲睨みゐる見張猿 中村克久 雲の峰 200003
天窓を開け大寒の湯葉づくり 菅野谷孜子 ぐろっけ 200003
定まりぬ大寒の月天心に 禅京子 風土 200004
大寒や青き真竹を真つ二つ 児玉輝代 200004
街透けるまで大寒の深かりき 小林あや子 200004
大寒やこころの揺れを貰ひけり 松沢久子 いろり 200004
大寒や地下出てかぶるビルの影 櫨木優子 200005
大寒の薔薇や孤立する方位 田中亜美 海程 200005
大寒の明けや亀甲竹の艶 河野絹子 200005
大寒の風研ぐばかり火焔土器 玉川悠 遠嶺 200005
大寒や獣医の庭の供養塔 玉川悠 遠嶺 200005
大寒や腓返りに夜々覚めて 落合由季女 雨月 200005
大寒の闇に捨て石が利いている 浜芳女 海程 200006
大寒のキャラバンサライ燃えはじむ 入江一月 船団 200006
大寒や黒のボタンに灯が映る 中原幸子 遠くの山 200010
大寒の父の手紙の箇条書き 小嶋洋子 200101
大寒や歪みがちなる不昧の書 石橋翠 いろり 200102
大寒にめげずに生きて老うばかり 保坂さよ いろり 200102
かたぶきて大寒の皿沈みゆく 正木光子 いろり 200102
大寒の梁くろぐろと母住まふ 朝妻力 俳句通信 200102
大寒の巣屑はりつく楡の空 朝妻力 俳句通信 200102
また一人来て大寒の水を汲む 朝妻力 俳句通信 200102
大寒や流るるものは湯気をあげ 鷹羽狩行 200103
大寒や糸の絡みしミシン針 吉川智子 200103
大寒を迎へ撃つごと欅聳つ 神蔵器 風土 200103
切株に坐し大寒を見送れり 神蔵器 風土 200103
ひとり描きをり大寒の中之島 大橋宵火 雨月 200103
大寒を越えて生き抜く力欲し 若江千萱 雨月 200103
大寒の鍵穴に飛ぶ静電気 三代川次郎 俳句通信 200103
大寒の日を寄せつけぬ岩襖 三代川次郎 俳句通信 200103
大寒や閻魔の剣は鈍色に 春田淳子 俳句通信 200103
大寒の崩れ土塀を猫が越す 木村てる代 俳句通信 200103
鉄砧に大寒の闇降り来たり 加藤いろは 200103
大寒の闇深くして通夜灯し 松本米子 あを 200103
大寒やかゆきところに届かぬ手 松沢久子 いろり 200104
大寒や空蒼ざめて星ひとつ 高畑信子 遠嶺 200104
大寒や老いて汚るることなかれ 和田あきを 風土 200104
大寒の榧の樹ことに山の昼 岡井省二 200104
大寒の海より明けし馬の鼻 雨村敏子 200104
大寒や芭蕉の幹に水流る 雨村敏子 200104
大寒の日溜りに置く乳母車 石井平八郎 雨月 200104

 眼疾の為急遽入院手術

大寒の真只中に入院す

安陪青人 雨月 200104
大寒の八ヶ岳大いなる裾拡ぐ 前川みどり 春耕 200104
張り強き屋根大寒の能楽堂 小澤克己 遠嶺 200105
大寒の空韻かせて薪を割る 小澤克己 遠嶺 200105
大寒やグラスの脚にふたり棲む 奥田筆子 京鹿子 200106
大寒の光を跳ねて鹿駆くる 岸本久栄 雨月 200106
大寒→ 2      

 

2021年1月20日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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