盆の月 2     210句

盆の月遥けきことは子にも云わず    松村蒼石

作品
作者
掲載誌
掲載年月
盆の月舞ひ納めたる獅子頭 山下良江 万象 200412
戦前派戦中派老い盆の月 吉田多美 京鹿子 200412
禅寺の柱まあるく盆の月 向後良子 八千草 200502
岳麓に見し盆の月満ちてをり 稲畑汀子 ホトトギス 200508
盆の月満ちくる頃の旅仕度 稲畑汀子 ホトトギス 200508
街に出て用のもろもろ盆の月 伊藤白潮 200509
盆の月掲げて丸く吉備の山 渡邉友七 あを 200510
魂還る妻とシャンソン盆月夜 金子輝 春燈 200510
盆の月犬の飯粒乾きをり 万城希代子 200511
家族みなふるさと出でず盆の月 前原早智子 春燈 200511
ふるさとは羽の北はづれ盆の月 工藤ミネ子 風土 200511
盆の月長生きをして悔もなし 大西正栄 雨月 200511
盆の月享年十九の兵なりき 清原彰子 河鹿 200512
盆の月雲払ひつつ覗きけり 小林幸子 酸漿 200512
盆の月九十九の谷の底照らす 松村多美 四葩 200601
湖の水減らず殖えずに盆の月 神蔵器 風土 200610
母が来て飯に酢を打つ盆の月 杉浦典子 火星 200611
弥太郎のゐさうな里の盆の月 外川玲子 風土 200611
遥かなる人への想ひ盆の月 田中峰雪 雨月 200611
盆の月子等遠くなるばかりなり 松林順子 雨月 200611
かくれんぼじいじ健闘盆の月 東亜未 あを 200611
城山へ人流れゆく盆の月 今井松子 遠嶺 200612
事故多き新聞記事や盆の月 山田怜子 遠嶺 200612
盆の月そっと閻魔をのぞく窓 角谷美恵子 ぐろっけ 200612
読みかへす兄の遺稿や盆の月 中條今日子 万象 200701
老といふ坂上りつつ盆の月 上崎暮潮 ホトトギス 200704
都心閑散盆の月皓々と 稲畑廣太郎 ホトトギス 200708
盆の月寂しさを知る遠き灯よ 鴨下昭 200710
盆の月仰臥の胸を照らしけり 瀬戸悠 風土 200711
胸中の山河照らせり盆の月 瀬戸悠 風土 200711
昭和史を生きて仰ぎぬ盆の月 中沢三省 風土 200711
母の座の畳擦れゐて盆の月 柴田佐知子 200711
砂文字に深き影あり盆の月 加藤みき 200711
青々の句碑を尋ねて盆の月 赤松丹山 雨月 200711
貴船路の夜のしづもりに盆の月 水野節子 雨月 200711
古城めく渚のホテル盆の月 峰尾秀之 200712
盆の月よければ少し淋しかり 稲岡長 ホトトギス 200712
山の端の赤く大きな盆の月 小松惠子 200712
喪帰りの十四齢の盆の月 三橋泥太 遠嶺 200712
父母を知る人減りぬ盆の月 近藤てるよ 酸漿 200712
欠けてゆく明るさも又盆の月 稲畑汀子 ホトトギス 200808
盆の月満つるに余る夜の帳 稲畑汀子 ホトトギス 200808
昼は空渡りをるらん盆の月 稲畑汀子 ホトトギス 200808
遍照のひとときありぬ盆の月 鷹羽狩行 200809
軒先に懸り初めたる盆の月 山田六甲 六花 200809
死す人のカルテ綴じけり盆の月 四條進 200810
亡き人の後に坐り盆の月 鈴木とおる 風土 200810
盆の月父母よ麻子よ寧かれと 大橋敦子 雨月 200810
盆の月皮膚の再生ひたに祈ぎ 大橋敦子 雨月 200810
泣きたくて泣砂踏むや盆の月 博多永楽 雨月 200810
ひとり居の窓に煌々盆の月 松元末則 酸漿 200810
雨雲のはなれてゆけり盆の月 貴志尚子 200811
逝きし友偲ぶ今宵の盆の月 塩野きみ 遠嶺 200811
生き過ぎし思ひ深めて盆の月 高橋照子 雨月 200811
四世代守れる宿や盆の月 水谷芳子 雨月 200811
川に田に祖霊の声や盆の月 武政礼子 雨月 200811
帰省子と墓参の山路盆の月 阿部悦子 酸漿 200811
盆の月無二の指針を失へり 山崎靖子 200811
枷の無きこのむなしさや盆の月 田原陽子 200811
やみくもに忙しく過ごす盆の月 勝又窓秋 200811
山のもの刻めり盆の月のぼる 杉浦典子 火星 200811
腹這ひの畳の白し盆の月 蘭定かず子 火星 200811
ぽつねんと上座に居られ盆の月 山田美恵子 火星 200811
手拍子に呉越同舟盆の月 天野みゆき 風土 200811
盆の月浮かべ一葉のミントティー 北島和奘 風土 200811
盆の月上げて故山のなつかしき 稲岡長 ホトトギス 200812
ふるさとの絆確む盆の月 石塚ゆみ子 遠嶺 200812
盆の月兎さんまだ居れますか 長崎桂子 あを 200810
ビル住みの吾にもある空盆の月 嶋田摩耶子 ホトトギス 200901
盆の月育ちて欠けて旅長し 嶋田摩耶子 ホトトギス 200901
残生は俳句一本盆の月  上崎暮潮 ホトトギス 200902
蝕果てて赤く満ちたり盆の月 岡田満壽美 夢のごとしと 200904
満ちゆける空に道あり盆の月 稲畑汀子 ホトトギス 200908
一天の星を呑み込み盆の月 稲畑汀子 ホトトギス 200908
盆の月住所わづかな住所録 柳生千枝子 火星 200910
人去りてうしほ匂へり盆の月 沖倉好秋 酸漿 200910
灯を消せば忽と入りくる盆の月 中野あぐり 春燈 200911
娘は耳順吾は米寿の盆の月 細川コマヱ 雨月 200911
住み馴るる当地が故山盆の月 奈辺慶子 雨月 200911
盆の月揚げて幕開く村芝居 五ケ瀬川流一 六花 200911
盆の月輪廻転生てふ言葉 日山輝喜 200912
不揃ひの卓の花閉づ盆の月 高梨美佐子 遠嶺 200912
実父母の逝きて八十年盆の月 小川玉泉 末黒野 200912
うす雲の逃げ足はやし盆の月 松本三千夫 末黒野 200912
仮住の夜々育ちゆく盆の月 今井千鶴子 ホトトギス 201001
だれかれの笑顔さながら盆の月 大野崇文 201001
枝折戸を最後に閉めて盆の月 永田圭子 ろんど 201001
七日月満つれば盆の月といふ 稲畑汀子 ホトトギス 201008
移りゆく四季よ時代よ盆の月 稲畑廣太郎 ホトトギス 201008
振り返りつつ西へ行く盆の月 鷹羽狩行 201009
亡き夫の遺影ほほえむ盆の月 筏愛子 201010
老僧の拝みにけりな盆の月 古田考鵬 雨月 201010
人心地せり山の端に盆の月 増田一代 201011
墨絵めく`庭前の松盆の月 小川玉泉 末黒野 201011
牛小屋の牛の流し眼盆の月 城孝子 火星 201011
石段に座ればぬくし盆の月 藤田素子 火星 201011
すべて遠くて切絵めく盆の月 風間史子 201011
盆の月悪声ながらと音頭取り 竹下昭子 ぐろっけ 201011
盆の月少し濁りて情あり 稲岡長 ホトトギス 201012
檻の鳥獣に盆の月明り 大野崇文 201012
盆の月空家となりし庭照らす 遠山のり子 201012
年重ね恋ふ故郷の盆の月 城戸緑 末黒野 201012
母逝きて丹波が遠し盆の月 服部郁史 京鹿子 201012
寂莫の広がる庭よ盆の月 服部郁史 京鹿子 201012
ふるさととなりし疎開地盆の月 垣岡暎子 火星 201012
声明や雲のほぐるる盆の月 竹田ひろ子 ろんど 201012
夫逝きて吾もまた病む盆の月 宮原悦子 雨月 201012
つらつらと思ふことあり盆の月 鈴木一広 201102
棄てて来し故郷おもへり盆の月 成瀬櫻桃子 俳句選集 201105
満ちゆけば盆の月とて仰がるる 稲畑汀子 ホトトギス 201108
牛に声かけて鎖しけり盆の月 蘭定かず子 火星 201108
道に沿ふ山水迅し盆の月 稲畑汀子 ホトトギス 201109
盆の月八尾は小さき町なりし 稲畑汀子 ホトトギス 201109
盆の月いづこへ失せし地震の街 見田英子 春燈 201109
立てかけしままの梯子や盆の月 神蔵器 風土 201110
人の世に近道ありや盆の月 中沢三省 風土 201110
如何ばかり「仮設舎」に見る盆の月 石田康明 春燈 201110
お伽噺に祖母の膝あり盆の月 茂木なつ 春燈 201110
想定外のひとりとなれり盆の月 平野加代子 春燈 201111
まつすぐに延びる我が影盆の月 高田令子 201111
國原に出で潤みけり盆の月 深澤鱶 火星 201111
夜毎聞く宇宙の話盆の月 仙石君子 雨月 201111
ふるさとに久々仰ぐ盆の月 近藤豊子 雨月 201111
相見ねばうからも遠し盆の月 博多永楽 雨月 201111
語りたきときも一人や盆の月 博多永楽 雨月 201111
父母眠る山に上りて盆の月 塩見治郎 雨月 201111
母といふよるべ失ひ盆の月 城戸ひろみ 雨月 201111
被災地は父母の生国盆の月 小野寺節子 風土 201111
巨船めく病院照らす盆の月 中沢三省 風土 201111
盆の月仏へ窓を開けにけり 内藤庫江 末黒野 201112
養鶏の廃業決めて盆の月 高木篤子 ぐろっけ 201112
ふり返る日々なつかしき盆の月 稻畑汀子 ホトトギス 201206
稿債を一つ済ませし盆の月 稲畑汀子 ホトトギス 201208
目に見えず地球は動く盆の月 竹貫示虹 京鹿子 201208
稿債を一つ済ませし盆の月 稲畑汀子 ホトトギス 201208
嫂亡くて兄の見てをり盆の月 北崎展江 くりから 201209
馬子唄の追分にをり盆の月 北崎展江 くりから 201209
八穀の供へ早々盆の月 中島玉五郎 201209
何もかも包む歳月盆の月 中嶋昌子 春燈 201210
ふるさとに子も父母も無し盆の月 見田英子 春燈 201210
自づから手を合はせをり盆の月 小川玉泉 末黒野 201211
松の葉に雫とどまる盆の月 戸栗末廣 201211
遠き日の自裁の友よ盆の月 酒井秀郎 返り花 201211
川波のハミングにのる盆の月 河村啓花 ろんど 201211
どの家も開け放たれし盆の月 田中文治 火星 201211
逝きし皆笑まふビデオや盆の月 荒井千瑳子 201211
労りの言葉を選ぶ盆の月 宮内とし子 201211
子に伝へたきあれこれや盆の月 佐々木みどり 馬醉木 201211
盆の月考によく似る夫と子と 市村明代 馬醉木 201211
盆の月ビルの間より浮かびけり 和田勝信 かさね 201211
樹の幹の無常を照らす盆の月 布川直幸 201212
大寺の更けてしづまる盆の月 安原葉 ホトトギス 201301
癒ゆる目処もう無き妻と盆の月 木村享史 ホトトギス 201302
盆の月声の記憶のつまびらか 今井肖子 ホトトギス 201302
盆の月仰ぎ樹々の香濃かりけり 副島いみ子 ホトトギス 201303
邂逅のひと日賑はふ盆の月 斉藤マキ子 末黒野 201304
盆の月ひかりを雲にわかちけり 久保田万太郎 春燈 201305
奥飛騨の石置き屋根に盆の月 宮内とし子 201310
天仰ぎ父呼ぶ幼な盆の月 中里よし子 春燈 201310
風そよと竹の葉擦れや盆の月 茂木なつ 春燈 201310
思ふことやがてわが身や盆の月 安立公彦 春燈 201310
黄昏の銀座界隈盆の月 森下康子 201310
人ら去り櫓の空に盆の月 塩見英子 雨月 201311
うからみな疎遠となりて盆の月 中原敏雄 雨月 201311
海底の声の数だけ盆の月 山崎青史 ろんど 201311
逢ふための渡り廊下や盆の月 佐藤弘香 ろんど 201311
白道を煌煌照らす盆の月 伊藤マサ子 ぐろっけ 201311
生家とは疾うに無きもの盆の月 松田明子 201311
「存外に」といふ口癖盆の月 服部早苗 201311
生涯をこつこつ生きて盆の月 犬塚芳子 201311
光年の中の瞬の身盆の月 水野恒彦 201311
仕舞湯に隣の湯音盆の月 山田美恵子 火星 201311
河原石踏みゆく音や盆の月 山田美恵子 火星 201311
道義なきこの世を照らす盆の月 鴨下昭 201311
ひぐらしの声の奥より盆の月 岩木茂 風土 201311
夜神楽に降臨と見る盆の月 橋本靖子 201311
逆縁の喪心曳きて盆の月 村上光子 馬醉木 201311
炭坑節は遠き唄とも盆の月 荒木稔 ぐろっけ 201312
子はあてになるかならぬか盆の月 荒木治代 ぐろっけ 201312
川端を着流しでゆく盆の月 伊藤希眸 京鹿子 201312
貰ひ湯の昔ありけり盆の月 田中佐知子 風土 201312
鈴(りん)の音に孤を深めをり盆の月 川村亘子 末黒野 201312
夫の忌を修する故郷盆の月 波多野孝枝 末黒野 201312
盆の月膝に赤子や死者を抱き 田岡千章 201402
満ちゆくは心添ひゆく盆の月 稲畑汀子 ホトトギス 201408
演目は四谷怪談盆の月 稲畑汀子 ホトトギス 201408
近いうち逢へさうな人盆の月 故竹貫示虹 京鹿子 201408
祖霊座し昔を語れ盆の月 田中藤穂 あを 201409
照る日くもる日子と七十年盆の月 茂木なつ 春燈 201409
疊に手ついて支へる盆の月 佐藤喜孝 あを 201409
二円切手のうさぎ見上ぐる盆の月 廣瀬克子 春燈 201410
盆の月生家の跡の駐車場 青柳雅子 春燈 201411
逆縁の形見分けとは盆の月 臼杵游児 春燈 201411
盆の月身の内にある消せぬこと 江島照美 201411
遺影にも月日重なり盆の月 三木千代 201411
透明感百の夫なり盆の月 木多芙美子 春燈 201411
十年を経て親となり盆の月 高野春子 京鹿子 201411
生き過ぎし思ひ深まり盆の月 高橋照子 雨月 201411
父の遠忌修して仰ぐ盆の月 阪上多恵子 雨月 201411
面影を引き寄せたくて盆の月 上村富美子 雨月 201411
父母なくて生家はるかに盆の月 秋友昌子 雨月 201411
盆の月壺中の天へ行きしまま 北村淳子 ろんど 201412
水打つてかはせみ盆の月を上ぐ 神蔵器 風土 201412
ふる里の瓦うつくし盆の月 長山あや ホトトギス 201412
会へば又姉妹に戻り盆の月 湖東紀子 ホトトギス 201501
盆の月受話器しづかに置かれけり 相沢文子 ホトトギス 201501
生涯に昭和は重し盆の月 隅田恵子 雨月 201501
父はまだ母呼びにこず盆の月 高橋将夫 201504
盆の月泪の色でありにけり 稲畑廣太郎 ホトトギス 201508
盆の月→ 3      

 

2015年8月25日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。

 
16/08/27 2016年8月27日 2016年8月27日