晩 秋 1    210句

晩秋や何におどろく屋ねの鷄    蕪村

作品
作者
掲載誌
掲載年月
北京晩秋白い煉瓦が運ばるる 奥田甲子男 海程 199810
掴み描きして晩秋の山河かな 小澤克己 遠嶺 199812
シャム猫を抱き禮拝堂晩秋 藤田守啓 船団 199903
晩秋を取り浅さるる夢殿よ 津田このみ 船団 199903
晩秋の掌にころばせて柚子胡椒 早乙女健 199904
晩秋の大きな人と乗り合わす 星野早苗 船団 199906
円形の中の晩秋華やげり 橋場千舟 船団 199912
晩秋の歩けるとこまで歩いてく 津田このみ 月ひとしずく 199912
晩秋や犬のひっぱる方向へ 津田このみ 月ひとしずく 199912
晩秋の手ぶらで人に会いにゆく 津田このみ 月ひとしずく 199912
晩秋の膝の裏側よく伸ばし 津田このみ 月ひとしずく 199912
晩秋の爪ピンク嫌赤も嫌 津田このみ 月ひとしずく 199912
晩秋のあまりに白き土踏まず 津田このみ 月ひとしずく 199912
詩に飢ゑし身や晩秋のシャワー浴ぶ 小澤克己 遠嶺 200001
晩秋のバス停ひとり影長し 山西みち子 火星 200002
晩秋の平戸の海の明の星 高橋ふじ 酸漿 200002
晩秋の大雨が囲む庵かな 小澤克己 遠嶺 200002
たてがみに応仁の風吹く晩秋 塩見恵介 虹の種 200005
洪庵の塾晩秋へ窓を開け 中林明美 ヒッポ千番地 200010
晩秋へ向き変える椅子およそ百 中林明美 ヒッポ千番地 200010
晩秋の季語あれこれと句繕ひ 桑垣信子 いろり 200012
湘南晩秋黒蜜豆は昔の味 大島竜子 200101
晩秋や土間の箒の新しき 町野昭人 遠嶺 200102
晩秋や一夜の風の恐しき 町野昭人 遠嶺 200102
飛ぶ鳩の胸光りたり晩秋 金子皆子 海程 200102
夫さざめいて囲まれいるか晩秋の隠岐 金子皆子 海程 200102
晩秋の旅の切符の二枚あり 鶴濱節子 船団 200103
パチンコのパの字が消えて晩秋よ 秋山深雪 船団 200105
晩秋の首かさねをる千羽鶴 大倉郁子 船団 200108
晩秋の路地肉じゃがの香と思ふ 山口マサエ 雲の峰 200112
晩秋やよりどころなき硬き椅子 保坂加津夫 いろり 200112
晩秋の人影もなきすべり台 林田加杜子 いろり 200112
晩秋の鶏小舎に脚二本づつ 浜口高子 火星 200201
晩秋の山から聞こゆ工事音 小林あつ子 火星 200201
晩秋や丈なす草を踏みしむる 永田あき 酸漿 200201
森静寂して晩秋の都市空間 小澤克己 遠嶺 200201
晩秋の一事を終へて落着きぬ 福井鳳水 円虹 200202
晩秋の灯下小暗し竹人形 伊藤マサ子 ぐろっけ 200204
晩秋の街路樹の色なほ青し 東芳子 酸漿 200209
晩秋の水面にゆるる空がある 三枝きぬ子 帆船 200212
晩秋の日差しに土佐の尾長鶏 竪ヤエ子 雲の峰 200212
川底に溜まるほかなし晩秋は 山野みどり 銀化 200212
晩秋の日ざしあかるき朱雀門 瀬戸悠 風土 200301
晩秋オペラ赤堤灯に囲まるる 高田令子 200302
晩秋のことばふりまく雑木林 山元志津香 八千草 200305
旅疲れ消え晩秋の旅仕度 稲畑汀子 ホトトギス 200310
晩秋やジェッディン・ディディン夜の怒濤 山田六甲 六花 200310
晩秋の書架に大学百年史 上原カツミ 帆船 200401
絵具溶く水晩秋の川に汲む 清水明子 遠嶺 200401
晩秋の背うつせる三面鏡 早崎泰江 あを 200401
晩秋の畑に西瓜のころがれり 金川眞里子 百鳥 200402
播州路越ゆ晩秋の備かな 中田征二 ぐろっけ 200402
夜は殊に伊賀の晩秋てふ黙に 稲岡長 ホトトギス 200403
晩秋や死語となりしかカーキ色 四戸和彦 八千草 200405
晩秋や老僧と話す歳となり 小田切陽子 帆船 200411
晩秋の雲の移り気峰かくす 宇都宮滴水 京鹿子 200411
晩秋の波打つ風の容かな 北嶋美都里 200412
我れながら日ごと野山へ晩秋蝶 丸山佳子 京鹿子 200412
晩秋の復員車より見し被爆街 奥村鷹尾 京鹿子 200412
晩秋の象舎に止まる傘の列 前阪洋子 春耕 200412
晩秋の塩して捨つる欠け茶碗 川瀬さとゑ 春耕 200412
晩秋の神輿練りゆく太子道 中川晴美 春耕 200412
晩秋に繋がれてゐる神の巌 中尾公彦 200501
晩秋や魔の手のごとく山の影 太田寛郎 200502
晩秋や墓群を日の移りつつ 木内憲子 200502
いいことのありさう晩秋の街角に 瀬下るか 200502
晩秋のステンドグラスの陽に祈り 東紀子 200503
昏れなづむ野に晩秋の息づかひ 青野れい子 200503
晩秋や兩掌に挾む犬の貌 瀧春一 菜園 200509
晩秋の水嵩に船戦きぬ 稲畑廣太郎 ホトトギス 200511
晩秋や埴輪のをとこ鷹留めて 深澤鱶 火星 200512
白きもの干し並べけり晩秋 定梶じょう あを 200512
晩秋の白雲映し鍬洗ふ 芝生南天 河鹿 200601
水いつもいのちを洗ふ晩秋 天野きく江 200601
晩秋のうなづき返す力かな 堀木基之 百鳥 200601
晩秋の磁力真つ直ぐ大提灯 齊藤實 200601
晩秋や日矢の差込む古館 三反田輝夫 河鹿 200602
晩秋の森へ入らむと身を正す 斉藤阿津子 百鳥 200602
樹木みな安らぎ色の里晩秋 宮澤さくら 遠嶺 200602
晩秋の日を掴みては軍鶏歩く 鈴木厚子 栴檀 200602
カルデラ湖晩秋の樹々ラッパ呑み 山元志津香 八千草 200604
晩秋やまひるを霧らふ槻並木 瀧春一 常念 200606
晩秋の指それぞれに重さ持つ 宇都宮滴水 京鹿子 200609
晩秋やテレピンにほふ帆布捨つ 竹内弘子 あを 200612
太夫墓へ晩秋蝶の舞ひ確か 浜田栄子 京鹿子 200701
晩秋や黄金いろどる散歩道 牧原佳代子 酸漿 200701
片雲に即き晩秋の羈旅にあり 川口襄 遠嶺 200702
晩秋の浜少年と犬駈くる 三崎由紀子 遠嶺 200702
瞑りてゐる晩秋の孔雀かな 小山徳夫 遠嶺 200702
晩秋の休み田に子等遊びをり 佐原正子 六花 200702
晩秋の比叡七彩を傾ける 荻野千枝 京鹿子 200704
晩秋の愛宕真紅に染まり昏る 荻野千枝 京鹿子 200704
淋しめばひたひたと晩秋の海 稲岡長 ホトトギス 200705
多摩晩秋瀟洒になじむ美術館 大城重子 八千草 200705
晩秋のおちかた遺跡狩人画 林日圓 京鹿子 200711
晩秋や夜汽車ランプの通過駅 金澤明子 200801
晩秋や野生馬の眼に愁ひある 岩月優美子 200801
晩秋の夕日に竹生島ちくぶシルエット 中川すみ子 200802
晩秋の森駆け抜くる男声 高村洋子 遠嶺 200802
晩秋の宇宙劇場地球星 田中敬 200803
晩秋の生駒連山朱に沈む 奥村鷹尾 京鹿子 200803
晩秋の木が木を呼んでいるような 坪内稔典 稔典句集 200804
晩秋の館に入れば木の玩具 邑橋節夫 菊揃へ 200806
晩秋の落日鉄の匂せり 永峰久比古 馬醉木 200812
晩秋の風鐸光る朱雀門 笠井清佑 200901
晩秋や虚構に遊ぶペンの先 岩月優美子 200901
晩秋の荼毘所に母の車椅子 安永圭子 風土 200901
小雨なか何さがしゐる晩秋蝶 丸山佳子 京鹿子 200901
晩秋の窓辺に独りドビッシー 白髭美佐子 200902
晩秋や有酸素体操ぼてりぼたり 伊藤希眸 京鹿子 200902
晩秋の苦しきほどに青き沼 前川明子 200902
晩秋の佐渡うつすらと明けにけり 北川とも子 ぐろっけ 200902
なだらかに晩秋の空暮れにけり ことり 六花 200911
晩秋や日向にゆるむ水車音 布川直幸 200912
晩秋の鴉を意識して通る 吉成美代子 あを 200912
晩秋の燈の千段稲荷山 松田和子 201001
晩秋の旅の大仏わらび餅 福島せいぎ 万象 201001
分度器といふ晩秋を測るもの 定梶じょう あを 201001
晩秋の瀬戸の海峡一跨ぎ 赤木和代 201001
晩秋の川の底ゆく鮭の群 柴田鏡子 201001
風夕べ晩秋の気の濃くなりし 青木 201001
晩秋の杉山の道下りけり 天野美登里 やぶれ傘 201001
晩秋のカフェで聞きをりモダンジャズ 坂根宏子 201002
晩秋のハイビスカスや奄美島 難波篤直 201002
晩秋のさざ波尖る大井川 後藤那生 ろんど 201002
ひたひたとただ晩秋の古道かな 山田禮子 遠嶺 201002
晩秋や浜の小草に沈む蝶 大坪景章 万象 201002
晩秋の堀にゆらめく天守閣 原桂子 201002
晩秋や河口に灯りひとつづつ 内藤恵子 万象 201003
晩秋や刻きざみ果つ砂時計 小山繁子 春燈 201101
晩秋ヘスーパーひたち十一号 根岸善行 風土 201101
遊亀の絵に遇ふ晩秋の美術館 西村雪園 風土 201101
晩秋の川の中まで山来る 長憲一 201101
晩秋や秩父の蕎麦の腰強し 長谷川惇子 末黒野 201102
晩秋の嵯峨野人気の人力俥 井口淳子 201103
故郷の晩秋きりつと立ちてをり 星原悦子 201110
晩秋の利休鼠の波荒るる 吉田政江 201112
晩秋や世界遺産の塔寂びて 伊東和子 201201
晩秋の向かうは未来大入日 柳川晋 201201
晩秋や古書店まつりオムライス 石田康明 春燈 201201
ユトリロの世界に入りぬパリ晩秋 北村梢 京鹿子 201201
山駈け降りる晩秋の跫音かな 北川英子 201201
晩秋や遠くの人と長話 芝宮須磨子 あを 201112
晩秋やガードの下にジャズ流れ 山田正子 201202
猿の腰掛晩秋の沼みるために 伊藤希眸 京鹿子 201202
晩秋や水音に耳聡くゐる 佐々木紗知 京鹿子 201202
晩秋のしづかに混める美術館 川下明子 雨月 201202
晩秋を近江の人と酌みにけり 山西商平 ホトトギス 201203
晩秋の寝釈迦の雲の動きけり 青山正生 201203
晩秋の子ども手をあげ道を来る 木村和也 船団 201212
初冬とも晩秋とも見え柘榴の木 中山純子 万象 201212
晩秋の潮待ち港常夜燈 片岡久美子 201301
晩秋や艫綱軋む船溜り 妹尾貞雪 春燈 201301
晩秋の風竹林に遊びをり 城戸緑 末黒野 201301
鳥の群れ晩秋平野南下せり 池田光子 201301
晩秋を燈して燈す母の家 深澤鱶 火星 201302
晩秋の波の穂立ちぬ九十九里 高橋定峰 末黒野 201302
晩秋や漫ろ歩きのペアルック 占部美弥子 末黒野 201302
晩秋といふ東京はこんな色 橋本くに彦 ホトトギス 201303
晩秋や茶トラの猫の仔も茶トラ 田中一美 ろんど 201303
晩秋の高渡る風鯖街道 北川英子 201312
晩秋の彼の世此の世のあはひかな 須賀敏子 あを 201312
晩秋や内陣へ足畏れなく 塩貝朱千 京鹿子 201312
伎樂面もの知りがほに奈良晩秋 塩貝朱千 京鹿子 201401
明け暮れに海見て恙無き晩秋 荒井千佐代 201401
晩秋や片目のライト走り過ぐ 中堀倫子 201402
津波碑を訪ふ晩秋の海の音 田中臥石 末黒野 201402
晩秋の快速電車で揺れてます 陽山道子 船団 201403
晩秋の絵本のバスがことことり 陽山道子 船団 201403
晩秋の但馬街道歩くべし 陽山道子 船団 201403
晩秋のほかなにもなき驛に降り 佐藤喜孝 あを 201411
晩秋や袋を下げて道にゐる 佐藤喜孝 あを 201411
晩秋てふ大いなる翳北の國 佐藤喜孝 あを 201411
晩秋の午後のコーヒー甘くせり 大日向幸江 あを 201412
もう城はないけどお城晩秋へ つじあきこ 201412
晩秋や机の上の砂時計 永岡享子 京鹿子 201501
眼つむりて晩秋の鳥語聴く 水野恒彦 201501
晩秋の岩牡蠣を食ぶ銚子港 田中臥石 末黒野 201501
晩秋や昭和を語るクラス会 久保田優子 末黒野 201501
晩秋とふ静けさにあり鳰の湖 武生喜玖乃 雨月 201501
晩秋の壁にボールを一人つ子 園部早智子 ろんど 201501
晩秋の赤き三日月南西に 小巻若菜 やぶれ傘 201502
晩秋の似合ふ館の薄灯り 松田和子 201502
晩秋の庭掃く柿の木の下も 小林愛子 万象 201502
晩秋の廃窯の奥明るくて 當間シズ 万象 201502
晩秋の鞘堂ぬける風の音 佐瀬晶子 ろんど 201502
晩秋や使ひ古せし鍬と鎌 久世孝雄 やぶれ傘 201502
晩秋や日のあるうちに目のさむる 佐藤喜孝 あを 201502
晩秋の風高原のけもの道 西川みほ 末黒野 201503
こんにゃくのふるえ止まらず晩秋 鶴濱節子 船団 201505
晩秋のうなじくすぐる二枚舌 陽山道子 船団 201505
その創を見たしと言へず去る晩秋 松田都青 京鹿子 201512
晴れ渡る宙晩秋の水たまり 岩月優美子 201512
晩秋の好日賜ひ誕生日 落合絹代 風土 201512
江ノ電に乗る晩秋の海を見に 遠藤逍遙子 風土 201512
晩秋や空は早や月育て初め 遠藤逍遙子 風土 201512
二兎を追ひ今晩秋の岬かな 竪山道助 風土 201512
晩秋や音の無い夜の空気圧 森理和 あを 201601
晩秋や車まばらな駐車場 久世孝雄 やぶれ傘 201602
晩秋の色漂はす湖の色 久保田雪枝 雨月 201602
俎板の窪む晩秋メモ残し 伊藤希眸 京鹿子 201603
晩秋の萩の夜明けの遅くとも 稲畑汀子 ホトトギス 201610
怪我癒えてはや晩秋の旅二三 稲畑汀子 ホトトギス 201610
晩秋 →2      

 

2021年10月29日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。