万 緑 9       220句

万緑やたんたんと鉄打ちやめず   茨木和生   木の国

作品
作者
掲載誌
掲載年月
万緑にくひ入る百八やぐらかな 鈴木庸子 風土 201208
万緑の中に親しむゴルフ仲 佐藤健伍 201208
露天湯の淵より立ちぬ万緑嶺 柴崎甲武信 春燈 201208
万緑の木洩れ日現ず金環蝕 柴崎甲武信 春燈 201208
万緑の底に鎮むやかづら橋 河崎國代 春燈 201208
一途にも似て万緑となり至る 田原陽子 201208
万緑を抱く一城の風とゐし 鈴鹿仁 京鹿子 201208
万緑やケーブル後ろ向きに発つ 藤田素子 火星 201208
万緑の樹々のそよぎを窓に見て 大橋敦子 雨月 201208
吊橋の揺れ万緑のゆらぐかな 宮平静子 雨月 201208
汽笛一声万緑抜けて迫りくる 木村茂登子 あを 201208
万緑やバスの往き来は週一度 坂根宏子 201209
万緑に神宿るらし自然林 山口キミコ 九十九島 201209
海に浮き万緑に浮き街神戸 古賀しぐれ ホトトギス 201209
万緑や山はますます丸くなり 佐々木薫 かさね 201209
万緑や鍬先の土踏みならす 鴨下昭 201209
万緑のスカイラインを疾走す 佐藤健伍 201209
万緑や少年直球投げ返す 深川敏子 春燈 201209
万緑や丹色薄るる仁王門 尾野奈津子 春燈 201209
万緑や湖一枚を埋め残し 藤原照子 201209
万緑に雨の重力加はれり 楠原幹子 201209
白神の万緑山中われは侏儒 大畑善昭 201209
万緑の奥へ奥へと吸はれゆく 山崎靖子 201209
坑道を出て万緑に浸りけり 原田達夫 201209
万緑の底に鎮もる山上湖 荒木甫 201209
万緑や光と風の織りなすアート 水谷直子 京鹿子 201209
万緑の明るさにゐてにぎり飯 佐々木紗知 京鹿子 201209
万緑や村の名多き吉野郡 尾崎みつ子 雨月 201209
万緑の彼方に恵那山を仰ぎけり 村上美智子 雨月 201209
万緑の喝采を浴ぶ朱鷺のひな 荒木稔 ぐろっけ 201209
万緑の山に続けり丹波道 中村吟子 ぐろっけ 201209
万緑の中を流るる川二つ 小寺ふく子 六花 201209
万緑の屋久島の香を吸ひ込めり 橋本修平 かさね 201210
万緑や流水岩に飛沫高し 坂上じゅん かさね 201210
山湖一枚万緑の平面図 古賀しぐれ ホトトギス 201210
万緑の山湖に浮べたき古城 古賀しぐれ ホトトギス 201210
万緑や古木を杖に野路辿る 田代貞枝 201210
萬緑を風の揺さぶる村社 安武晨子 201210
のどぼとけ収めし壺と萬緑へ 西村純太 201210
万緑と息をしてをる大地なり 中野京子 201210
万緑や一斉に立つ管楽器 林昭太郎 あまねく 201210
万緑へ入らんと息ととのへる 中村洋子 風土 201210
万緑の行けども尽きぬ奥出雲 来海雅子 201210
万緑に棚田のつづく峡の村 小寺ふく子 六花 201210
万緑やいまに剛毅の明治村 浅井青二 雨月 201210
万緑やネパールの塔聳えける 高橋照子 雨月 201210
万緑や丹波丹後のけぢめな 吉田節子 ホトトギス 201211
万緑の溶けて麓の池となる 大久保白村 ホトトギス 201211
万緑に雨脚太き丹後かな 大久保白村 ホトトギス 201211
万緑の上に空あり晴れてきし 今橋眞理子 ホトトギス 201211
万緑や屋上緑化に蝶の来し 長島清山 かさね 201211
万緑や遠き電車の消へて行き 長島清山 かさね 201211
万緑のトンネルぬけて何やある 松本アイ ぐろっけ 201211
黒潮を見る万緑の高みより 柴田佐知子 201211
万緑や間取り書きこむ方眼紙 佐藤弘香 ろんど 201302
万緑の壺中に一人入りにけり 神田恵琳 跫音 201303
万緑の中にホテルのシャンデリア 稲畑汀子 ホトトギス 201305
万緑の大方栃の占める庭 稲畑汀子 ホトトギス 201305
万緑を抜け来たる顔歯が笑ふ 野沢しの武 風土 201305
万緑の祓なりけり奥の院 山田六甲 六花 201306
万緑は宇宙の意志でありしかな 高橋将夫 如意宝珠 201306
万緑に磨きし銀のメダルかな 萩原すみ 春燈 201307
万緑をふるはせ白馬いななきぬ 長久保郁子 かさね 201307
万緑をぬけでて高層ビル並ぶ 長久保郁子 かさね 201307
万緑へ遠ざかりゆく赤ジャンパー 田中藤穂 あを 201307
万緑や朱を直染めの大極殿 小瀧洋子 ろんど 201309
しんしんと万緑にこゑあるごとし 岩岡中正 ホトトギス 201310
万緑や本殿までの五の鳥居 飯田美千子 201310
万緑のなかに埋もれ式内社 増田甚平 ろんど 201310
千石船を待ち最上川万緑裡 すずき巴里 ろんど 201310
万緑を断つ一瀑の響きなり 土屋草子 ろんど 201310
万緑の色の仕上げの雨ならむ 平野みち代 201310
万緑の底の瀬の音子らの声 森清堯 末黒野 201310
万緑や山に手をあて水を飲む 小林輝子 風土 201310
回天の島万緑にうづくまる 和田照海 京鹿子 201310
室生万緑五重の塔を抱擁す 室伏みどり 雨月 201310
わき水に水輪重なる万緑裡 吉弘恭子 あを 201310
万緑に俳諧の鬼ゐるは居るは 中村襄介 ホトトギス 201311
本番と大声響く万緑裡 土井久美子 201311
鳥を追ふ眼に万緑が濃く淡く 岩木茂 風土 201311
鯉はねて万緑の影くづしけり 加藤静江 末黒野 201311
睦みゐる知床の五湖万緑裡 土屋草子 ろんど 201311
万緑の底ひに小さく妻の墓 木村享史 ホトトギス 201312
万緑の中へと押すや車椅子 藤丸誠旨 春燈 201312
吊橋の架かるダム湖や万緑裡 宮原悦子 雨月 201312
万緑に座して真白きにぎり飯 生田作 風土 201401
万緑のくり貫かれたる湖明り 吉田政江 201401
能登はいま万緑海へなだれけり 佐久間由子 201401
万緑の光をにぎる赤ん坊 菊池和子 京鹿子 201401
万緑をさらひつ川の太りゆく 甕秀麿 201402
万緑や天満宮の牛しづか 石川かおり 福袋 201404
花終へてもう万緑の一部分 稲畑汀子 ホトトギス 201405
運転の感覚戻る万緑裡 稲畑廣太郎 ホトトギス 201406
大都会一歩入れば万緑に 稲畑廣太郎 ホトトギス 201406
山国の万緑都市の万緑裡 稲畑廣太郎 ホトトギス 201406
万緑を丸く仕上げて神の杜 稲畑廣太郎 ホトトギス 201406
万緑を水に映して湖の黙 稲畑廣太郎 ホトトギス 201406
万緑を背負ひ奇岩の現はるる 稲畑廣太郎 ホトトギス 201406
名古屋より一時間てふ万緑裡 稲畑廣太郎 ホトトギス 201406
万緑を抜け万緑の二百キロ 稲畑汀子 ホトトギス 201406
万緑の塊となる鎮守さま 布川直幸 201406
万緑に目覚む産まれてきしごとく 山田六甲 六花 201406
せせらぎの水が水追ふ万緑裡 辰巳あした 雨月 201406
神話あり国引の万緑の山 稲畑汀子 ホトトギス 201407
万緑や窓一枚の画布となり 荒井千瑳子 201407
万緑や切り火が人間ひとの火の始め 菅谷たけし 201407
万緑に鎌倉大仏応へをり 大日向幸江 あを 201407
万緑に押し潰されさうな社 稲畑廣太郎 ホトトギス 201407
濡れ色といふ万緑の館の庭 稲畑廣太郎 ホトトギス 201407
万緑や神在る山を主峰とす 高村令子 風土 201408
万緑や「才名千載留まらん」 林いづみ 風土 201408
万緑の底に真白きはぐれ球 峰幸子 201408
万緑の中や真紅の一両車 室井津与志 春燈 201408
万緑の中やトロッコ列車行く 山田愛子 201408
万緑の中に余生を委ねけり 中島玉五郎 201408
万緑の森に包容さるるかな 杉山瑞恵 雨月 201408
万緑に太陽の塔丈伸ばす 鈴鹿仁 京鹿子 201408
法灯を守る万緑の底の堂 久保田雪枝 雨月 201408
不動尊万緑を背に仁王立 辻香秀 201408
一湾に万緑の染む津軽かな 中島玉五郎 201408
鐘五つ撞き万緑へ男去る 大畑善昭 201409
万緑や廃工場の寂び姿 笹井康夫 201409
万緑や大空の青見え隠れ 水谷直子 京鹿子 201409
万緑や森を抜けきしサキソホン 岡田史女 末黒野 201409
万緑や瞬間移動するのは今 武智由紀子 201409
万緑や下校の子らの傘の花 中野京子 201409
万緑や鴎外邸の玻璃ゆがみ 原田しずえ 万象 201409
万緑やみんなでかぶるヘルメット すずき巴里 ろんど 201409
万緑やまなこ瞑れば田村麻呂 大畑善昭 201409
万緑へ寮歌放吟天城越え 柴崎甲武信 春燈 201409
万緑の夜の諍ひ上へ上へ 甕秀磨 201409
万緑の中やざぶざぶ銭洗ふ 山田春生 万象 201409
万緑の端に朽ちゐるクルス墓 河野亘子 馬醉木 201409
万緑の森を従へ古刹かな 大島みよし 201409
万緑の手前で降りて八王子 森岡正作 201409
万緑に抱かるる芭蕉句碑に触れ 大島みよし 201409
万緑に吸ひ込まれゆく魂あまた 岩月優美子 201409
養老の万緑を背に敦子句碑 大橋淳一 雨月 201410
万緑を確と抱きて萩城址 片岡久美子 201410
万緑の底ひに伊太利レストラン 宮内とし子 201410
万緑の静寂や雨の武家屋敷 今野明子 末黒野 201410
山寺や万緑の尾根雲のなか 清水量子 201410
万緑に入り万緑に迷ひけり 大橋伊佐子 末黒野 201411
万緑を縫ひゆく登山電車かな 石黒興平 末黒野 201411
万緑や息を合はせし太極拳 村田岳洋 ろんど 201411
万緑や神の巖の水掬ぶ 田中佐知子 風土 201411
新緑をゆき万緑の湖に着く 嶋田一歩 ホトトギス 201412
万緑や息を合はせて太極拳 村田岳洋 ろんど 201412
万緑の息吸ふ原子炉建屋かな 鴨下昭 201412
万緑の色を重ねて行くカーブ 稲畑汀子 ホトトギス 201506
日当りて万緑目覚めはじめけり 稲畑汀子 ホトトギス 201506
万緑を抜け万緑へ九十九折 稲畑汀子 ホトトギス 201506
万緑に吸ひ上げられてゆくダム湖 稲畑廣太郎 ホトトギス 201506
真夜中の道の足裏の夏落葉 藤井美晴 やぶれ傘 201507
吹かれ来てわが肩選ぶ夏落葉 白神知恵子 女坂 201508
手児奈井の謂れはるかに夏落葉 福島照子 京鹿子 201508
夏落葉人よりも濃き木の吐息 中山皓雪 201508
歩み止めフカフカフカの夏落葉 秋川泉 あを 201508
夏落葉弟二人在りしかど 井上信子 201509
a竹島を丸く仕上げて万緑裡 稲畑廣太郎 ホトトギス 201507
万緑の島に刺さりし橋の黙 稲畑廣太郎 ホトトギス 201507
万緑や庭の真中に椅子一つ 神蔵器 風土 201507
万緑や迸り出る山羊の乳 高橋たか子 馬醉木 201508
万緑の真つただ中や青邨碑 門間としゑ 末黒野 201508
一花見ずただ万緑のあるがのみ 藤岡紫水 京鹿子 201508
万緑を串刺しにせり新幹線 甕秀麿 201508
目つむれば風候見ひらけば万緑 千田百里 201508
万緑や師は二代目の晴をとこ 千田敬 201508
北上川万緑光りして明くる 杉本光祥 201508
北上川いま万緑の賛尽くす 杉本光祥 201508
万緑の真ん中にゐて不整脈 林昭太郎 201508
万緑や百歳若くなる心地 町山公孝 201508
万緑のトンネル抜けて浄土ヶ浜 松本秀子 201508
万緑裡あけぼの杉の亭亭と 山本喜朗 雨月 201508
万緑や花背美山も京のうち 山本喜朗 雨月 201508
万緑を抜けむらさきの灯明台 大坪景章 万象 201508
万緑や胸をひらきて深呼吸 卓田謙一 万象 201508
万緑を先づ差配せり葉桜は 熊川暁子 201508
万緑の揺るる光を背に乗する 竹中一花 201508
万緑や流るる川の底昏し 有松洋子 201508
万緑や血潮緑に変りつつ 田禎子 201508
神宮の万緑場外ホームラン ねじめ正一 船団 201508
万緑や石磴千の奥の院 鈴木漱玉 馬醉木 201509
万緑のなか六大の鼓動かな 岩月優美子 201509
万緑の山に抱かれ寺光る 竹中一花 201509
万緑に放してやりし子犬かな 中貞子 201509
ロープウエイ万緑を抜け空.をゆく 中田禎子 201509
万緑やキトラ古墳の天文図 高橋泰子 201509
万緑の中や濡れ葉のいろ濃かり 秋葉雅治 201509
万緑や雲を放さぬ十勝岳 上谷昌憲 201509
万緑叢中骨格太き支部揃ふ 久染康子 201509
万緑や水の豊かな国に住み 塩野谷慎吾 201509
万緑に溶け入る鐘の余韻かな 黒滝志麻子 末黒野 201509
万緑に苔むす屋根や見え隠れ 中村高也 末黒野 201509
万緑や麒麟高だか首伸ばし 大橋雅子 万象 201509
万緑や目に触るるもの皆いのち 新海英二 春燈 201509
万緑を左右に割つて瀧光る 池田高清 201509
野崎観音磴百段の万緑裡 大橋晄 雨月 201509
万緑の花背峠を幾曲り 大橋晄 雨月 201509
吊橋に一歩万緑傾ぎけり 樺山翠 雨月 201509
万緑を行く車椅子ありがたき 堀井英子 雨月 201509
万緑の中の万緑大欅 金森教子 雨月 201509
九頭竜の瀑川研ぎし万緑裡 米山のり子 馬醉木 201510
万緑や全身で聴くモダンジャズ 三屋英俊 万象 201510
万緑やいま攻め焚きの登り窯 林昭太郎 201510
万緑の底に鞍馬の九十九折 中島昌子 201510
万緑の底ひに沈み藁屋の灯 黒滝志麻子 末黒野 201510
万緑や大滑空の尾白鷲 東正則 末黒野 201510
多度万緑神の大滝深く抱き 室伏みどり 雨月 201510
万緑は速足忍び足様に 佐藤恭子 あを 201510
天に浮く水に浮く城万緑裡 古賀しぐれ ホトトギス 201511
万緑に日々呑まれゆく村一つ 塚越弥栄子 末黒野 201511
萬緑に入りて停まらぬ縄電車 久保東海司 風鈴 201512
降り足れる雨万緑を磨き上げ 山田夏子 雨月 201511
万緑に秩序与へて庭となす 立村霜衣 ホトトギス 201512
万緑や内側曇る哺乳罎 伊藤通明 201603
万緑の底ひにありぬたたら跡 升田ヤス子 六花 201605
万緑や鳴呼生きて来て良かったなあ 赤松赤彦 六花 201605
万緑を統べて明智の城小さし 稲畑廣太郎 ホトトギス 201606
丹波路の山並丸く万緑裡 稲畑廣太郎 ホトトギス 201606
水輪生る水面水輪と夏落葉 佐藤恭子 あを 201511
万緑 →10      

 

2021年7月5日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。