万 緑 10       200句

作品
作者
掲載誌
掲載年月
灯台の白万緑を司る 稲畑廣太郎 ホトトギス 201607
万緑の傾れ落ちたる日本海 稲畑廣太郎 ホトトギス 201607
万緑叢中風の音(ね)とみづの音 久染康子 201607
万緑や水音近き美術館 中嶋陽子 風土 201607
万緑や秘仏には厨子狭からむ 宮井知英 201607
万緑の天の真名井を掬びけり 秋津令 201607
万緑やみどり黄みどり深みどり 七郎衛椚吉保 あを 201607
万緑の一本一本や顔の有り 七郎衛椚吉保 あを 201607
万緑や一歩踏み出す観世音 高橋たか子 馬醉木 201608
万緑へ少年騎手の弾む鞭 板坂良子 馬醉木 201608
雨上がり万緑となる御所の森 杉本薬王子 風土 201608
万緑をかづき木地師の轆轤鉋 森屋慶基 風土 201608
万緑へ打ち込む真田陣太鼓 鈴木庸子 風土 201608
万緑や住めば都の大藁屋 藤岡紫水 京鹿子 201608
美術館四囲に万緑迫り来る 服部珠子 雨月 201608
万緑の闇ゆたかなる水の音 伊藤朝海 201608
万緑の鳥居の奥の冥さかな 加藤みき 201608
万緑や大盛ぶつかけ玉子飯 甕秀麿 201609
万緑に城門白く佇ちゐたり 福田周草 風土 201609
万緑の椎の根方の老夫婦 大坪景章 万象 201609
万緑の真ん真ん中に馬磨く 原田しずえ 万象 201609
万緑や馬塞(ませ)ぞれぞれの熱気満つ 原田しずえ 万象 201609
万緑や深く息して生きのびん 山田春生 万象 201609
万緑の風参道を浄めたる 山本とく江 万象 201609
万緑を叩き豪雨の通りすぐ 見目トキ子 万象 201609
万緑の中の稜線色違ふ 森岡正作 201609
万緑のなか高らかに呱々の声 林昭太郎 201609
万緑に溺れぬやうに試歩はじめ 鈴木良戈 201609
立山の万緑海になだれけり 坂本徹 201609
万緑ヘクレー射撃のこだませり 黒滝志麻子 末黒野 201609
万緑を揺すり七半突き抜けぬ 太田良一 末黒野 201609
万緑の隅に腰かけにぎり飯 太田良一 末黒野 201609
万緑に湯煙ひかる地獄かな 都留百太郎 末黒野 201609
万緑や一段ごとに渓の声 中村弘 末黒野 201609
万緑や水面に映る空青し 安野眞澄 201609
万緑の山二つ越へ戻りたる 山田佳子 201609
万緑を飛び出すジエットコースター 斉藤マキ子 末黒野 201610
万緑に埋もる古刹や朝の鐘 小山ほ子 末黒野 201610
万緑の富良野彩る花の帯 中谷未知 末黒野 201610
萬緑の谷を起点に町開く 古川夏子 201610
万緑や谺は四方を憚らず 田岡千章 201610
万緑の中に天突く杉の鉾 瀬戸峰子 春燈 201610
小豆島とは万緑のひとしづく 藤井啓子 ホトトギス 201611
小さくとも確かな歩み万緑に 今橋眞理子 ホトトギス 201611
萬緑や水玉青き無量光 熊川暁子 201611
万緑や堰かれし水に魚跳ねる 亀井福恵 京鹿子 201701
中国語万緑の杜震はせて 稲畑廣太郎 ホトトギス 201706
一瀑をかけて万緑引き緊まる 藤岡紫水 京鹿子 201707
万緑の閑谷深し楷の首座 鈴鹿呂仁 京鹿子 201707
万緑をはみ出して咲く一花かな 稲畑廣太郎 ホトトギス 201707
ビル街の真ん中といふ万緑裡 稲畑廣太郎 ホトトギス 201707
万緑の一点となる鳩魂碑 能村研三 201707
万緑や外濠淀む武者返し 渡辺輝子 201707
山頂や万緑三百六十度 岡崎伸 201707
渓音を抱き万緑膨らめり 茂呂昇平 201707
万緑の瀬しぶきかはし舟下る 杉本光祥 201708
万緑を来て山頂の磁石盤 栗原公子 201708
萬緑に車の往来人気無し 長崎桂子 あを 201707
萬緑や甍黒青ねずみ色 長崎桂子 あを 201707
万緑を動かしてゐるブルドーザー 柴山久子 風土 201708
万緑と太郎の赤といづれ勁き 赤石梨花 風土 201708
万緑や大和三山卑弥呼ゐて 中田禎子 201708
万緑の上へと集ふ白き雲 有松洋子 201708
万緑やマリアの如く赤子抱く 犬塚李里子 201708
萬緑の広場に屋台組み上がる 高田令子 201708
万緑を映して池の膨らみぬ 中村弘 万象 201708
万緑や紅一点の大鳥居 延川五十昭 六花 201708
万緑の中に鎮まる大文字 延川五十昭 六花 201708
万緑に溺るる記憶掬ひけり 三上程子 春燈 201708
万緑や若き日われに風の棲み 中村嵐楓子 春燈 201708
万緑に友の背中が吸い込まれ 波戸辺のばら 201709
万緑に太陽の塔浮き上がる 鈴木みのり 201709
万緑の大窓透き通るゼリー つじあきこ 201709
万緑やその日の内に献体へ 稗田夏子 201709
万緑や謳ふがごとく古墳群 吉田葎 201708
万緑や花嫁の父腕をくむ 高橋和女 風紋 201709
万緑に覆はれゐたる国境 笹村政子 六花 201709
万緑や人も獣も水を恋ひ 笹村政子 六花 201709
万緑や沢のぼりゆく青大将 藤生不二男 六花 201709
万緑や大甕に水満たされて 藤生不二男 六花 201709
万緑や錠の下りたる映画館 藤生不二男 六花 201709
万緑の中の昼餉を交換す 永田万年青 六花 201709
万緑の洩れ日の中を坂下る 永田万年青 六花 201709
万緑のあはひポプラの絮降れる 升田ヤス子 六花 201709
万緑に包まれてゐるひとりかな 住田千代子 六花 201709
万緑に運ばれし鳶声ひとつ 谷口一献 六花 201709
万緑の中や畦塗る水の音 善野烺〓 六花 201709
万緑や五体投地の袈裟赤し 恒川清爾 万象 201709
万緑の鎌倉五山建長寺 岡尚 風土 201709
万緑へ神鶏の声遥かなり 中嶋陽子 風土 201709
万緑や目印のなき曲り角 楠原幹子 201709
万緑や古代を語る石の形 宮内とし子 201709
佇みて万緑といふ無音界 栗原公子 201709
万緑の中や流離の心秘め 松本三千夫 末黒野 201709
万緑の底のみづうみ雲一朶 森清信子 末黒野 201709
万緑や中天統ぶる鳶の舞 安斎久英 末黒野 201709
万緑やくの字への字に男坂 安斎久英 末黒野 201709
万緑や乾ききつたる細小川 岡野里子 末黒野 201709
万緑に黙す古刹や池澱み 松橋輝子 末黒野 201709
万緑やぽつんとありぬ新開地 原田達夫 201709
万緑や種子は氷河期経たりけり 甕秀麿 201709
落差即ち滝となり万緑裡 佐藤淑子 雨月 201709
万緑や水攻めの城沈みゆく 山本喜朗 雨月 201709
万緑を映し魁夷の山湖あり 熊岡俊子 雨月 201709
万緑のもりあがりくる無縁坂 服部早苗 201709
万緑や縄文土器のなは模様 米田紀子 201710
貸切りの足湯万緑ほしいまま 佐藤玲子 春燈 201709
釣舟の水脈万緑の色にかな 鎌田光恵 201710
万緑にまぎれ哲学の道と言ふ 石田阿畏子 馬醉木 201710
万緑の吊橋渡る背負籠 吉永すみれ 風土 201710
万緑の巳の日揃うて神詣 石田康明 春燈 201710
朱の社拍手雨後の万緑へ 松本鷹根 京鹿子 201710
伝兵衛の窓万緑へ開け放つ 山下良江 万象 201710
隧道を抜け万緑に染まりけり 中村千久 万象 201710
万緑や風吹き抜くる能舞台 横川良子 万象 201710
万緑に沈む落人村十戸 佐藤貞子 雨月 201710
万緑や山家の宿の深庇 加藤静江 末黒野 201710
万緑の懐ふかき故郷かな 原和三 末黒野 201710
万緑をさざなみとして広げけり 伴明子 ホトトギス 201711
山裾の湖万緑の海めきて 岡野里子 末黒野 201711
万緑や多摩川古墳黙深き 加藤静江 末黒野 201711
万緑の風も浴びゐる露天の湯 森山暁湖 万象 201712
万緑の霊気漂ふ毘沙門堂 森山暁湖 万象 201712
万緑や茅葺の駅ひとつ置き 平沢恵子 春燈 201712
万緑に染まり山彦かへり来る 栗原公子 201801
万緑の一樹一樹にある未来 稲畑汀子 ホトトギス 201803
咲き終るもの万緑の庭となる 稲畑汀子 ホトトギス 201805
万緑を抜け来し風に包まるる 稲畑汀子 ホトトギス 201805
河川敷てふ万緑の一部分 稲畑廣太郎 ホトトギス 201806
大都市の底の底なる万緑裡 稲畑廣太郎 ホトトギス 201806
万緑に圧し潰されるかに城址 稲畑廣太郎 ホトトギス 201807
万緑や傷つきやすきオゾン層 高橋将夫 201808
万緑やぽつねんとある喫茶店 前田美恵子 201808
大空や万緑写す池の面 古賀恵子 201808
万緑をくぐりてきたる風の味 時澤藍 201808
万緑や潮風わたる吉田邸 松山三千江 春燈 201808
万緑に跳ねて鯨のモニュメント 佐々木よし子 201808
万緑とつりあふ錘なかりけり 鷺山珀眉 京鹿子 201808
万緑やハットトリック決めし孫 増谷とし子 京鹿子 201808
万緑に映ゆ丹の鳥居弁天宮 服部珠子 雨月 201808
永らへてこの万緑の中に棲み 服部珠子 雨月 201808
万緑やぐづる児あやす母若き 池谷鹿次 末黒野 201808
声あげて生きとし生けるもの万緑 水野恒彦 201809
万緑や朝風の音水の音 安野眞澄 201809
空白を埋む万緑をぬけて来て 井尻妙子 京鹿子 201809
万緑の中の瀬音や午後三時 藤波松山 京鹿子 201809
万緑や峡に凛たる庁舎ビル 室井津与志 春燈 201809
万緑の上野の山で解散す 佐藤玲子 春燈 201809
万緑に宇宙遊泳ペアリフト 七郎衛門吉保 あを 201808
萬緑や飛行機雲はゆるぎなし 長崎桂子 あを 201808
万緑やわたしは私抜け出して 山田くみこ 201809
万緑や終着駅の車止め 中西恒弘 201810
万緑の底に祀られ水の神 阪上多恵子 雨月 201810
万緑の窓全開に明日退院 吉田万喜子 雨月 201810
不動なる万緑の水河馬の水 古賀しぐれ ホトトギス 201810
万緑の川とし夜も眠らざる 岩岡中正 ホトトギス 201810
万緑の山河を善くも哭かしたな 石田康明 春燈 201810
万緑に沈む湖遊覧船 森清信子 末黒野 201810
万緑の暗き静寂や切通し 加藤静江 末黒野 201810
万緑の岬を遠く難破船 南北佳昭 船団 201811
万緑や一樹千年てふいのち 水田むつみ ホトトギス 201811
万緑のダム万緑へ放水す 角野良生 201811
万緑やこの身一つを解き放つ 藤田美耶子 201811
万緑や形見の中に臍の緒も 大西乃子 201812
万緑やこめかみに来る脈の音 大西乃子 201812
万緑を歩いてゐても偲ぶ人 木村享史 ホトトギス 201901
老生きてをり万緑に力得て 木村享史 ホトトギス 201901
万緑や一刀彫りの龍のひげ 石原孝人 京鹿子 201901
万緑を容れて姿見耀ひぬ 上野紫泉 京鹿子 201901
万緑のどの道行くも我が道に 中川のぼる 201902
万緑の濃淡歴史ある庭に 稲畑汀子 ホトトギス 201905
万緑の中に小さく下り立ちぬ 稲畑汀子 ホトトギス 201905
万緑の蝦夷の大地へ降り立ちし 稲畑汀子 ホトトギス 201905
迎へられたる万緑を洗ふ雨 稲畑汀子 ホトトギス 201905
万緑や車の前に親子熊 工藤ミネ子 風土 201905
万緑を抜けて万緑つゞら折り 稲畑汀子 ホトトギス 201906
万緑を越え万緑を越え西へ 稲畑廣太郎 ホトトギス 201906
回りつつ地球青から万緑へ 稲畑廣太郎 ホトトギス 201906
万緑を抜け花嫁は馬車で着く 稲畑廣太郎 ホトトギス 201906
万緑の公園真中に無季の句碑 樺山翠 雨月 201907
万緑や谿深く来て海苔むすび 北川孝子 京鹿子 201907
万緑や雨しとしとと土匂ふ 植木戴子 201908
万緑や谷を流るる瀬音かな 大塚たきよ 201908
万緑に佇み男充電中 森岡正作 201908
万緑や槍句碑はいま国府守り 千田百里 201908
万緑や入母屋破風の屋根力 甲州千草 201908
万緑や森に木の椅子木の机 五十畑悦雄 201908
万緑や天へ反りたる檜皮葺 田中佐知子 風土 201908
万緑や改元月の葉山訪ふ 門伝史会 風土 201908
万緑に呑まれ出口を見失ふ 片桐紀美子 風土 201908
万緑や「語部の鐘」引けば鳴る 池田光子 風土 201908
万緑や足元に寄る散歩犬 黒坂紫陽子 馬醉木 201909
万緑へ鐘の音広ぐ深大寺 高木邦雄 末黒野 201909
万緑や老いのこころの騒ぎをり 今村千年 末黒野 201909
万緑や硫黄の匂ふ強羅駅 池谷鹿次 末黒野 201909
結界の先は万緑苔の磴 横路尚子 末黒野 201909
万緑やこのもかのもへ試歩の妻 小林文良 春燈 201909
万緑の山野ゆたかや魁夷の青 浅田セツ子 春燈 201909
万緑を映して揺るぎなき湖面 石川笙児 201909
万緑→ 11      

 

2021年7月5日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。