晩 夏 7  110句

闇よりも山大いなる晩夏かな    飯田龍太

作品
作者
掲載誌
掲載年月
下町に響くエンジン音晩夏 稲畑廣太郎 ホトトギス 201808
晩夏とは指切りをして別れる日 粟津さくら 201809
草庵のひかへ目な空嵯峨晩夏 鈴鹿呂仁 京鹿子 201810
晩夏影伸ばし尽くして夕散歩 松本鷹根 京鹿子 201810
走り根の瘤のいろいろ晩夏光 高橋あさの 201810
海に向く輸出車の列晩夏光 宮内とし子 201810
懐かしのジャズ流れ来て山晩夏 福岡かがり 雨月 201810
夫の忌の家族寄り添ふ晩夏かな 秋友昌子 雨月 201810
「海行かば」海に鎮もる晩夏かな 河本由紀子 春燈 201810
踏みしむる草の香深き晩夏かな 横山さくら 春燈 201810
雑草の仄かな吐息晩夏光 中里よし子 春燈 201810
晩夏光井戸に放ちし声返る 阪倉孝子 201811
大樹の影長々として晩夏かな 大橋晄 雨月 201811
住職は新田氏の裔寺晩夏 山本漾子 雨月 201811
堰越ゆる水音の綴る晩夏の詩 山中志津子 京鹿子 201811
足裏より砂崩れゆく晩夏かな 片山煕子 京鹿子 201811
思ひ出に折り目をつける晩夏かな 西村白杼 京鹿子 201811
歩きスマホ同士ぶつかる晩夏かな 橘正義 春燈 201811
万年筆ぽとりと落とす晩夏かな 加藤良子 春燈 201811
父に似て晩夏の肩の弟よ 陽山道子 船団 201812
石碑睨め大和うた誦し晩夏かな 赤松赤彦 六花 201812
水源の湖畔のホテル晩夏光 山中志津子 京鹿子 201812
モナリザの少し横向く晩夏かな 鈴木みのり 201812
夕爾忌の海の青さや晩夏光 山下健治 春燈 201812
晩夏光コトコト走る一輌車 上野紫泉 京鹿子 201901
赭の火星晩夏の闇を深めたり 伊藤昌枝 201904
体調をいとふ晩夏でありしかな 稲畑汀子 ホトトギス 201908
故郷へ晩夏へ鉄路伸びゆけり 稲畑廣太郎 ホトトギス 201908
晩夏光運河一本鋼めく 小林陽子 201909
呼吸のレッスン晩夏のリビングに はしもと風里 201910
軒深く晩夏愛しむ浮御堂 松本鷹根 京鹿子 201910
廃止されし青函航路海晩夏 福岡かがり 雨月 201910
晩夏光木の灯台に添うて立つ 松本鷹根 京鹿子 201910
巻貝の一つ動くや晩夏光 江見巌 六花 201910
風神雷神晩夏の廊下なりやまず おーたえつこ 201910
知覧晩夏母へ残せし歌一首 栗山恵子 雨月 201911
牛舎へと影の列なす晩夏かな 小形博子 201911
杉戸絵にうすくれなゐの晩夏光 栗坪和子 201911
大勝や帰校の列に晩夏光 大塚たきよ 201911
逆光の黒い立像晩夏かな 出利葉孝 201911
海綿に吸い込まれたる晩夏光 加藤みき 201911
晩夏光真水のやうな胡弓の音 栗坪和子 201911
踏切の供花目にしむや晩夏光 夏生一暁 馬醉木 201911
雨風に土の臭ひの村晩夏 福井ひでとし 雨月 201911
晩夏の庭ちちのにおいの淡く濃く 松井季湖 201912
埴生の宿晩夏の窓を開け放ち 波戸辺のばら 201912
草原より手紙一通晩夏光 山田まさ子 船団 201912
麿崖仏晩夏の日の色風の色 陽山道子 船団 201912
壁打ちに余念無き子よ晩夏光 土谷倫 船団 201912
赤いボタン堤に拾ふ晩夏かな 土谷倫 船団 201912
砂浜の深き轍や晩夏光 小形博子 201912
出港の白き客船晩夏光 田中嘉信 春燈 201912
このまんま消えたき日あり晩夏光 平野多聞 201912
柿の実の色づき初むる晩夏かな 竹村淳 201912
記憶ゆれ晩夏晩年ガラス玉 陽山道子 船団 201912
残りたる骨董茣蓙にある晩夏 滝本憲宏 雨月 201912
墨堤の漕の石碑や晩夏光 塩見治郎 雨月 201912
樹に草に晩夏のだるい風の音 三椚敦 201912
火の国に牛のかたまる晩夏かな 高倉和子 202002
海猫鳴いて晩夏の風を誘へり 稲畑廣太郎 ホトトギス 202008
拷問のやうな気温の晩夏かな 稲畑廣太郎 ホトトギス 202008
晩夏てふ言の葉に騙されてをり 稲畑廣太郎 ホトトギス 202008
知床の孤独なる鹿晩夏光 森清信子 露の堂 202008
初恋のあとの幾つか海晩夏 井上菜摘子 京鹿子 202009
空耳の滝音の絶ゆ嵯峨晩夏 鈴鹿呂仁 京鹿子 202010
鶴髪の晩夏の景として籠る 千田百里 202010
建て売りの明かりがともる晩夏かな 秋川泉 あを 202010
三和土もう晩夏の匂い金盥 仁上博恵 202011
暮れ残る空に晩夏の詩情あり 寺田すず江 202011
旅鞄使ふあてなき晩夏かな 荒井慈 春燈 202011
からめ手も瀬音風音嵯峨晩夏 塩貝朱千 京鹿子 202011
羽いちまい野鳥の森の晩夏光 鷺山珀眉 京鹿子 202011
靴底の砂をこぼして風晩夏 佐藤千恵 京鹿子 202011
砂浜の深き轍や晩夏光 小形博子 201911
ふるさとの想いは消えず雲晩夏 都築繁子 202011
水槽の水替へてゐる晩夏かな 住田千代子 六花 202012
はや晩夏体調元に戻さねば 稲畑汀子 ホトトギス 202108
体調を調へゆかん晩夏なる 稲畑汀子 ホトトギス 202108
坦々と生きゆく日々とある晩夏 稲畑汀子 ホトトギス 202108
二十三区同じ闇夜を持ち晩夏 鈴鹿呂仁 京鹿子 202109
鴉入れ杜は晩夏を引き締める 松本鷹根 京鹿子 202109
晩夏光結び目美しき舫ひ綱 能村研三 202110
晩夏光顔失ひてすれ違ふ 森岡正作 202110
遊びづる風に縋りてゐる晩夏 栗原公子 202110
勝ち牛の島蹴り上げて隠岐晩夏 七種年男 202110
島の坂みな直線や晩夏光 七種年男 202110
オルゴール緩ぶ窓辺や晩夏光 金光浩彰 202110
閉館の延長晩夏の掲示板 落合絹代 風土 202110
空洞木の白き膚や晩夏光 小原芙美子 風土 202110
解けゆく風の結び目嵯峨晩夏 鈴鹿呂仁 京鹿子 202110
日に三度仕事のやうに食べ晩夏 森なほ子 あを 202110
五輪旗を仕舞ふ若きら晩夏光 安立公彦 春燈 202110
ワクチンの微熱のほてり晩夏光 荒井ハルエ 春燈 202110
片雲の去り夕爾忌の晩夏光 宮崎洋 春燈 202110
八ヶ岳仰ぐ湖畔の晩夏かな 小林紫乃 春燈 202110
鳴き砂の浜に寄する波晩夏光 西本花音 春燈 202110
走り根に足すくはれぬ晩夏光 岡田史女 末黒野 202111
白帆行く江の島沖や晩夏光 高木邦雄 末黒野 202111
晩夏光怒濤に晒す胸の内 長尾タイ 末黒野 202111
伐採のテープ巻く樹や晩夏光 杉山弥生 末黒野 202111
しみじみと古希に杯挙ぐ晩夏光 佐藤勝代 末黒野 202111
片耳にマスクを垂らす晩夏かな 鈴木直充 春燈 202111
跳躍や晩夏の鯉の放下とも 奥田筆子 京鹿子 202111
樽たたき晩夏やジャズとハイボール 小島正士 京鹿子 202111
雲晩夏観客なしの甲子園 都築繁子 202112
寂しさも友としたればもう晩夏 瀬戸美文 202112
肉焼けば晩夏に響く戦闘機 伊藤鴉 末黒野 202112
岩肌に鎖錆び付く晩夏かな 住田千代子 六花 202112
引き波に転がる石や晩夏光 秋津令 202112
棚を解くごとく晩夏の橋渡る 湯川雅 ホトトギス 202201
靴底の砂をこぼしぬ風晩夏 佐藤千恵 京鹿子 202201
晩夏→ 1

 

2022年8月6日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。

 
2022年8月6日