晩夏 4  139句

闇よりも山大いなる晩夏かな    飯田龍太

作品
作者
掲載誌
掲載年月
皆一つ齢を重ねてゐし晩夏 稲畑汀子 ホトトギス 200908
切替へて晩夏の旅の帰路となる 稲畑汀子 ホトトギス 200908
次々とこなす予定も晩夏かな 稲畑汀子 ホトトギス 200908
工房にとどく晩夏の濤の音 星井千恵子 遠嶺 200908
クレーの小鳥逆さに止まる晩夏かな 櫻井白扇 春燈 200908
はや晩夏一篇の詩を唱さばや 安立公彦 春燈 200909
飛火野の雨に脛ぬれ晩夏なる 山尾玉藻 火星 200909
皇帝ダリア並びそびゆる晩夏光 阿部ひろし 酸漿 200909
晩夏光積木のやうなTVビル 千田百里 200909
透けるもの侘しく見ゆる晩夏なり 柿本麗子 200909
一人歩きしたき汀や晩夏光 柿本麗子 200909
岬端に濤砕けをり晩夏光 川崎利子 200910
細江けふ晩夏の潮濃く匂ふ 南光翠峰 馬醉木 200910
手のひらに約束記す晩夏光 高橋泰子 200910
裕次郎聞いて一日の晩夏かな 鈴木セツ 200910
城に入れば城の匂ひの晩夏かな 前原早智子 春燈 200910
自販機の音なく灯る晩夏かな 増田守 炎環 200910
天明の墓石の傾ぐ晩夏光 伊藤季実 炎環 200910
餌に入れる薬一錠晩夏かな 峰村浅葱 炎環 200910
手を上げて別る晩夏の改札口 田中藤穂 あを 200910
駅ビルの影の鋭角晩夏光 安本恵子 200911
北浜にバブルはじけしまま晩夏 竹内悦子 200911
赤いくつの銅像に添ふ晩夏光 須田千鶴子 炎環 200911
化野に揺れる千灯晩夏かな 和田照子 200911
草深く晩夏の蝶の睦みをり 清海信子 末黒野 200911
海境の渦巻いてゐる晩夏かな 寺田すず江 200911
空つぽの魚籠や晩夏の雲迅し 遠藤和彦 遠嶺 200911
今ここにゐさう晩夏の遺作展 遠藤和彦 遠嶺 200911
雲浮いて駿馬散らしの牧晩夏 遠藤和彦 遠嶺 200911
楽隊の御披露目の列晩夏光 木村眞樹子 遠嶺 200911
消防車机上にまろぶ晩夏かな 中村嵐楓子 春燈 200911
西空へ白雲ながれゆく晩夏 武藤嘉子 200911
退院の髭残したる晩夏光 相良牧人 200911
散策をするは我のみ森晩夏 山本漾子 雨月 200911
つり革が顔のまん前晩夏光 垣岡暎子 火星 200911
病室の窓いつぱいの晩夏光 小林恭子 200912
歓声の芯に晩夏の決勝戦 長谷川智弥子 炎環 200912
レフテイのひつぱりだこの晩夏なり 瀬川公馨 200912
晩夏まだ乳房は風を見てゐない 直江裕子 京鹿子 200912
カレーライス箸で片寄す晩夏光 代田青鳥 風土 200912
友だちがいない晩夏のバイオリン 坪内稔典 船団 200912
ファスナーがバカになったりして晩夏 火箱湖歩 船団 200912
釉薬の瓶に晩夏の光溜め 火箱湖歩 船団 200912
大皿の散らばるパセリ晩夏の夜 陽山道子 船団 200912
うつろひの日日を語るや風晩夏 宮崎正 ホトトギス 201001
晩夏なり水のきらめく里ごころ 吉岡知香 京鹿子 201001
晩夏光昼夜の睡の母とゐて 金子つとむ ろんど 201001
百年の歴史の母校浜晩夏 青木陽子 酸漿 201003
歩荷ゆく肩に晩夏を食ひ込ませ 布川直幸 201006
『罪と罰』にセロフアンの箱晩夏の家 阿部知代 201007
波のあと穴の息する晩夏かな 竹貫示虹 京鹿子 201007
吹つ切れてよりの晩夏でありにけり 稲畑廣太郎 ホトトギス 201008
別々に帰る砂浜晩夏光 高橋泰子 201009
サザンの桑田聞く美容院晩夏 赤座典子 あを 201009
海浜線窓全開や晩夏光 市ヶ谷洋子 馬醉木 201010
生きてゐるものに重たき晩夏光 近藤喜子 201010
波晩夏ますほの小貝手にとりて 久保田雪枝 雨月 201010
晩夏光賢治推敲おびただし 成宮紀代子 201010
街晩夏焙じ茶の香につきあたり 定梶じょう あを 201010
見送りて子の箸しまふ晩夏かな 安本恵子 201011
白波の岩食む月日晩夏光 久保久子 春燈 201011
灯台を晩夏の雲の去りがてに 松本三千夫 末黒野 201011
ジーンズの破れ撫でゐる晩夏かな 七田文子 201011
野仏はどこか欠けをり晩夏光 杉浦典子 火星 201011
晩夏なる熊笹鎌にあらがへり 玉田瑞穂 万象 201011
老杉の走り根あらは晩夏光 大竹淑子 風土 201011
遠き帆にこころたゆたふ晩夏光 林いづみ 風土 201011
指紋うすれ晩夏の素手が重くなる 柴田朱美 京鹿子 201011
風紋に風の貌あり晩夏光 柴田朱美 京鹿子 201011
墓石にも晩夏のうしろ姿あり 柴田朱美 京鹿子 201011
戦跡に晩夏の雨が狂ひけり 柴田朱美 京鹿子 201011
蝶番錆びて晩夏の納屋傾ぐ 柴田朱美 京鹿子 201011
落蝉をあちこちに見る晩夏かな 上原光代 酸漿 201011
朝夕の祈り届かぬ晩夏かな 井上幸子 酸漿 201011
舎利殿の柿葺き映ゆ晩夏光 大西よしき ろんど 201011
晩夏光返して神の鏡かな 上田明子 雨月 201011
晩夏光薪の香れる休み窯 塩見英子 雨月 201011
木々の葉の色を仕上げて晩夏かな 橋本くに彦 ホトトギス 201012
名苑の水も錆びゐる晩夏かな 橋本くに彦 ホトトギス 201012
取引先の蔭に他社品晩夏光 乾有杏 201012
退職の報また届く晩夏かな 野田美子 201012
飛騨連峰指呼にゴンドラ晩夏光 北尾章郎 201012
日時計は針を尽くせぬ晩夏かな 伊藤紫水 風土 201012
鍬に石当たる音して晩夏かな 久世孝雄 やぶれ傘 201012
ハモニカは鋼の匂ひ晩夏光 岡佳代子 201101
晩夏かなふじつぼ洗ふ忘れ波 松本文一郎 六花 201101
下町の足音晩夏近づけて 稲畑廣太郎 ホトトギス 201107
学校の灯の消えマンションの灯の晩夏 大橋敦子 雨月 201107
シャンデリア揺れて華やぐ晩夏かな 稲畑汀子 ホトトギス 201108
旅終へてくつろぐ晩夏シャンデリア 稲畑汀子 ホトトギス 201108
肝吸の苦みほどよき晩夏かな 山田六甲 六花 201109
映画ポスターびっしりの駅晩夏光 片岡久美子 201110
白き石拾ひ晩夏の梓川 鈴木照子 201110
若人の抱負眩しや晩夏光 川崎利子 201110
末席に掛けし教会晩夏かな 奥田茶々 風土 201110
男同士で零戦に会ふ晩夏 鴨下昭 201110
一戸失せ三戸建ちたる晩夏光 宮内とし子 201110
蔓の先晩夏の風に縋りをり 佐野ときは 201110
赤帽の男が一人晩夏光 犬塚芳子 201110
酒蔵の影の濃くある晩夏かな 川端俊雄 火星 201110
肉食べて血を汚しゐる晩夏かな 生田高子 春燈 201110
サロンパスの匂ひ漂ふ晩夏かな 野崎昭子 春燈 201110
晩夏光御影の墓石照り返す 本多遊方 春燈 201110
篁を透きくる風も晩夏かな 藤原若菜 春燈 201110
水切りの石を選ばん晩夏光 須賀敏子 あを 201110
中之島一雨ありて晩夏光 大橋晄 雨月 201110
晩夏光離島航路の水脈を引く 碇天牛 雨月 201110
父に無き八十年を生き晩夏 塩路五郎 201111
海橋へ尾燈つらなる晩夏かな 渡邉千枝子 馬醉木 201111
縄文の遺跡乾ぶる晩夏光 佐々木良玄 春燈 201111
黒猫の青目さゆるや晩夏光 矢田有年 春燈 201111
鳩の足真つ赤晩夏のアスファルト 倉持梨恵 201111
寄せ返す晩夏の波や師は遠し 田原陽子 201111
あるだけの川風の来よ山晩夏 江澤弘子 201111
ぼふぼふと鴿くぐもる晩夏かな 中島芳郎 201111
晩夏だるし失せもの失せしままにして 柴田朱美 京鹿子 201111
はらからの綻び縫つている晩夏 柴田朱美 京鹿子 201111
空瓶の百本積まれたる晩夏 柴田朱美 京鹿子 201111
また一軒店を閉めたる晩夏光 柴田朱美 京鹿子 201111
組み替へてゐる間に逃げる晩夏光 柴田朱美 京鹿子 201111
月逝きぬ晩夏草原黒々と あかさか鷹乃 ろんど 201111
晩夏光積み上げられし古瓦 久世孝雄 やぶれ傘 201111
子規虚子の帰郷の海よ晩夏光 片山喜久子 雨月 201111
山鳩のくっくくっくと晩夏かな 笹倉さえみ 雨月 201111
高層の窓拭く人に晩夏光 笹倉さえみ 雨月 201111
白雲の湧きては消ゆる森晩夏 田所洋子 雨月 201111
刻かけてガラス器磨く晩夏かな 田所洋子 雨月 201111
廃校にオルガンの鳴る晩夏かな 塩見治郎 雨月 201111
叡山へ続く浦道湖晩夏  黒川悦子 ホトトギス 201112
首伸ばしキリン見てゐる晩夏かな 苑実耶 201112
翌檜の大樹晩夏の陰をなす 藤井美晴 やぶれ傘 201112
理科室のくちびる赤し晩夏光 小堀寛 京鹿子 201112
スカイツリージャックと豆の木めき晩夏 能美昌二郎 201112
蝋燭の高野晩夏の闇照らす 近藤紀子 201112
雨意兆す風の匂へる晩夏かな 波多野孝枝 末黒野 201201
ころがって晩夏の錨みたい、やつ 坪内稔典 船団 201201
プーシキンのピストル壁に晩夏光 須賀充子 パミール越え 201206
湖中句碑晩夏の風に磨かれて 稲畑廣太郎 ホトトギス 201207
湖よりの風の及びて街晩夏 稲畑廣太郎 ホトトギス 201207
晩夏→ 5      

 

2021年7月24日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。