晩 夏 3         160句

晩夏光バットの函に詩を誌す    中村草田男

作品
作者
掲載誌
掲載年月
北斎の男波女波や晩夏光 細井紫幸 草の花 200410
深爪や晩夏の湖畔にて痛む 定梶じょう あを 200410
物刻む音の響くや晩夏光 高橋瑛子 河鹿 200411
晩夏光沼面に翅音こぼしけり 山田禮子 遠嶺 200411
ひた向きに生きてこの道晩夏光 永田歌子 遠嶺 200411
さりさりと晩夏の氷河貸靴に 深野敦子 200411
群鳩のしばし輪を描く晩夏かな 青山悠 200411
おとろへし足にはじまる晩夏かな 土屋酔月 火星 200411
磯笛の波間に消ゆる晩夏かな 渡辺政子 雲の峰 200411
人と船影濃き波止場晩夏光 河合佳代子 栴檀 200411
杉の秀に晩夏の赤き月のぼる 江崎成則 栴檀 200411
撃たれたる鳩うつぶせる晩夏かな 清水雅子 栴檀 200411
今にして思ひ出すひと晩夏光 射場智也 六花 200411
晩夏光山なみをゆく雲の影 西屋敷峰水 河鹿 200412
晩夏の帆夕日を背負ひ戻りけり 谷口文子 京鹿子 200412
だぶだぶのピエロのズボン晩夏光 立石萌木 雨月 200412
長椅子に晩夏の風を一人占む 山口トシ 酸漿 200412
らくがきのやうに水鳥沼晩夏 坂本敏子 京鹿子 200501
髪切つて晩夏の光肩にのす 堀本祐子 遠嶺 200506
アスファルト晩夏の風に蕩けをり 稲畑廣太郎 ホトトギス 200508
船音の晩夏の風に吸はれゆく 稲畑廣太郎 ホトトギス 200508
波といふ晩夏の白さありにけり 稲畑廣太郎 ホトトギス 200508
人恋うて沖を見てゐる晩夏かな 大嶋洋子 春燈 200508
晩夏光水位下がりし神田川 中島英子 八千草 200508
注射に慣れ血液採らるに馴れ晩夏 大橋敦子 雨月 200509
なにか縫ふ母に灯点くる晩夏かな 仲村青彦 200509
晩夏かな雲追ふ雲の影淡し 小澤克己 遠嶺 200510
鳥海の笠雲脱げり晩夏光 鈴木栄子 酸漿 200510
喪主といふ重き枷負ひ晩夏かな 高橋照子 雨月 200510
晩夏光纏ひて女水を呑む 尾堂Y 河鹿 200510
晩夏はや日照雨に潮の照り翳り 長沼三津夫 200510
礁一つひとつ句碑めく晩夏光 長沼三津夫 200510
白長須くぢら打上げらる晩夏 竹内弘子 あを 200510
最北の晩夏の潮に手を浸す 名取袿子 200511
ショーウィンドーの紫づくめ晩夏光 荒井慈 春燈 200511
晩夏佳し教会の鐘鳴りわたり 柳生千枝子 火星 200511
晩夏の宵頬をかすめる蜘蛛の糸 浜口高子 火星 200511
死者を訪ひ病むを慰めはや晩夏 冨岡夜詩彦 200511
画架低く据ゑて晩夏の運河べり 坂ようこ 200511
アコーディオン晩夏の夜気を震はせて 工藤進 200511
採尿の尿透き通る晩夏光 八木柊一郎 ぐろっけ 200511
遠き日の街並消ゆる晩夏かな 北島上巳 酸漿 200511
流木の重なり乾く晩夏かな 宮尾直美 200511
蓮の池晩夏の鬱の溜りをり 田中藤穂 あを 200511
ユトリロの白の壁なる晩夏かな 北島上已 酸漿 200512
晩夏光きらら岳とふ空を占め 浅井青二 雨月 200512
宿問屋奥行きに晩夏光ためて 豊田都峰 京鹿子 200512
ひとひらの羽毛降りくる晩夏かな 山路紀子 風土 200512
晩夏かな蛇の骸に藻のからみ 清水雅子 栴檀 200512
黒牛の繋がれてあり晩夏の木 八木柊一郎 ぐろっけ 200512
沼たたく驟雨見てをる晩夏かな 上林孝子 200512
晩夏その畑の燻火煙吹く 丸山冬鳳 京鹿子 200601
襞深く晩夏の雪を抱く穂高 藤浦昭代 ホトトギス 200602
白雲や水平線に晩夏の帆 戸村よねこ 遠き海 200602
棟の上に晩夏の燕首振るのみ 瀧春一 常念 200606
晩夏てふ天帝の悪足掻きかな 稲畑廣太郎 ホトトギス 200608
ビル風の向き変りたる晩夏かな 稲畑廣太郎 ホトトギス 200608
アスファルト濡れて落着く街晩夏 稲畑廣太郎 ホトトギス 200608
男らにかなしみ動く晩夏かな 水野恒彦 200609
高床の画室に届く晩夏光 能村研三 200609
晩夏光敗者の直す靴の紐 赤座典子 あを 200609
晩夏光がれ場に足音突き立てて 丹羽啓子 馬醉木 200610
湧水を掬び晩夏の旅をはる 丹羽啓子 馬醉木 200610
椅子に凭るブロンズ少女晩夏光 市川玲子 春燈 200610
水底の砂の流れを見て晩夏 能村研三 200610
葬り来て晩夏の畑を耕せり 谷榮子 雨月 200610
流木のなかば埋れて晩夏なる 豊田都峰 京鹿子 200610
また石に座して晩夏の水ほとり 豊田都峰 京鹿子 200610
晩夏泊つ船名未知の文字印し 定梶じょう あを 200610
口遊ぶ出船の歌や晩夏光 浜田南風 200611
まつさらな闇にランプの点く晩夏 松田都青 京鹿子 200611
足元を波の崩せる晩夏かな 若井新一 200611
空深く風のながるる晩夏かな 山本多津子 200611
筆圧の凹凸著し晩夏光 篠藤千佳子 200611
晩夏かな海の匂ひの膝抱きて 堀本祐子 遠嶺 200611
晩夏光負うてぬかづくひとりかな 堀本祐子 遠嶺 200611
つまづいて粗草あらぐさつかむ晩夏かな 本多俊子 200611
奥会津の屋根の鋭角晩夏光 緑川啓子 馬醉木 200611
帰宅すも迎ふる人のなき晩夏 大橋晄 雨月 200611
湿原に白樺白き晩夏なり 竹内志げ子 酸漿 200611
駅晩夏児のごと数ふ通過貨車 池田裕恒 200611
早退けの校庭よぎり晩夏かな 佐藤喜孝 あを 200611
落日へ出漁の船能登晩夏 河島瑞子 万象 200612
湖晩夏別かれの影を記憶する 松本鷹根 京鹿子 200612
大鍋の底の焦げつく晩夏かな 湯浅夏以 遠嶺 200612
東京の晩夏を喰べてゐる麟麟 湯浅夏以 遠嶺 200612
耳遠くいよよ無口となる晩夏 滝川あい子 雨月 200612
町晩夏決闘の猫振りむけり 前田貴美子 万象 200701
大川に晩夏の歪みありにけり 稲畑廣太郎 ホトトギス 200708
入れかはり午後の客待つ晩夏かな 稲畑汀子 ホトトギス 200708
欠席の多き晩夏の会となる 稲畑汀子 ホトトギス 200708
鞄より鞄を出して晩夏かな 能村研三 200708
晩夏光桜古木のねばり腰 高橋将夫 200709
晩夏光手首に疲れ溜めてをり 伊藤白潮 200709
うねりから波立ち上がる晩夏かな 高橋将夫 200710
唐津焼の大皿小皿晩夏光 加藤みき 200710
沖波のかすかに錆びてゐる晩夏 近藤喜子 200710
船宿の裏の潮退く晩夏かな 菅谷たけし 200710
廃船の鉄錆匂ふ晩夏かな 堀口希望 200710
小舟漕ぐピアスの男晩夏光 大森春子 200710
貝殻を波残しゆく晩夏光 荒井書子 馬醉木 200710
一会とて数珠を手にする晩夏光 長沼三津夫 200710
葉騒また羽音めきたる晩夏かな 木内憲子 200710
城濠の日向さみしき晩夏かな 加瀬美代子 200710
アイガーの壁に魅入るも晩夏かな 関根洋子 風土 200711
一人占むエルムの森の晩夏光 落合絹代 風土 200711
学校の裏のため池晩夏光 保田英太郎 風土 200711
目つむれば辞世を思ふ晩夏なり 高木智 京鹿子 200711
地球儀に戦ふ国を指す晩夏 近藤きくえ 200711
被爆の石粛然と坐す晩夏かな 大橋晄 雨月 200711
浜晩夏少年独り海見をり 森脇貞子 雨月 200711
しみじみと妣の遺書読む晩夏かな 村上美智子 雨月 200711
引潮の礁千畳晩夏光 山本康 200711
スリ硝子越しにやはらぐ晩夏光 丹生をだまき 京鹿子 200712
青勝ちに動く晩夏の万華鏡 千原叡子 ホトトギス 200801
ねつとりと晩夏の海へ隅田川 橋本くに彦 ホトトギス 200801
頬杖の二人、三人晩夏光 坪内稔典 稔典句集U 200804
恋人も河馬も晩夏の腰おろし 坪内稔典 稔典句集U 200804
木から木へ少年わたり晩夏光 坪内稔典 稔典句集U 200804
東京の晩夏を食べてゐる麒麟 湯浅夏以 樹も鳥も 200806
うしろより呼ばれ晩夏の人となる 宇都宮滴水 京鹿子 200807
仕残せし仕事に向かふ晩夏かな 稲畑汀子 ホトトギス 200808
酒に酔ひ夢には酔へず晩夏光 高橋将夫 200808
食欲の湧く日湧かぬ日雲晩夏 伊藤白潮 200809
水脈つづく晩夏の港遠くする 鈴鹿仁 京鹿子 200809
鴉にも独り言ある晩夏かな 村越化石 200809
煌々と灯れる船も晩夏かな 高倉和子 200809
置きざりの椅子一つある晩夏光 野口風子 200809
晩夏光いにしへよりの石の街 小澤克己 遠嶺 200810
下校児の帽子の染みや晩夏光 安田久太朗 遠嶺 200810
晩夏光ありて八十路の鎌使ひ 佐藤健伍 200810
海峡を照らす晩夏の月青し 中村悦子 200810
水に浮くもの寄りやすし晩夏光 林昭太郎 200810
砂防杭なかば埋もれ晩夏なる 豊田都峰 京鹿子 200810
ひきぎはの渚泡だち晩夏なる 豊田都峰 京鹿子 200810
山守の岩から岩へ跳ぶ晩夏 緒方輝 炎環 200810
物音のひとつなき里晩夏なり 松元末則 酸漿 200810
竹林の無音時積む古寺晩夏 勝原文夫 ペン皿 200811
千貫神輿の台輪四尺晩夏光 後藤眞由美 春燈 200811
風紋の踵に崩れ晩夏なる 和田照子 200811
草食みて鬣なびく晩夏かな 若井新一 200811
少年像の遠きまなざし晩夏かな 熊野和子 炎環 200811
駈け来たる子の肩ぽんと晩夏光 三井つう 炎環 200811
桐の木の蒼然として晩夏かな 水野恒彦 200811
貝殻に貝殼盛られ晩夏光 小山徳夫 遠嶺 200811
壊さるる家を見てゐる晩夏かな 東良子 遠嶺 200811
色あせし買物籠も晩夏かな 秋千晴 200811
浜に座す若き二人に晩夏光 鈴木愛子 ぐろっけ 200811
晩夏光天上にまた教へ乞ふ 田原陽子 200811
路地裏に晩夏の夕日すべり込む 外川玲子 風土 200811
風のふと身に添ふ夕べ晩夏なる 長山あや ホトトギス 200812
ペガサスの雲よ星よと晩夏の夜 岩垣子鹿 ホトトギス 200812
ほつとして少しさびしき晩夏かな 大久保康子 200812
眠薬を怖さをたのむ晩夏光 宇都宮滴水 京鹿子 200812
翻車魚の眼の動く晩夏かな 本多俊子 200812
前を行く人の背にある晩夏かな 岩岡中正 ホトトギス 200901
あるときは鳥になりたき晩夏かな 岩岡中正 ホトトギス 200901
ああ晩夏犀が卵を産んでいる 坪内稔典 船団 200901
きりぎりす晩夏の地平炎え旺り 瀧春一 深林 200901
晩夏高原明るく暗く雲流る 瀧春一 深林 200901
晩夏→ 4      

 

2021年7月22日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。