晩 夏 2             100句

水脈しるく曳きて晩夏のひかりとす    藤田湘子

作品
作者
掲載誌
掲載年月
鹹水の沈澱甕に晩夏光 西野愁草子 200111
苦汁みな晩夏の海へ返しけり 西野愁草子 200111
日照雨して高野は晩夏なりしかな 村田明子 円虹 200111
海底を歩いてゆけり晩夏の馬 木曽岳風子 六花 200111
包丁の沈める水の晩夏かな 須山つとむ 船団 200111
晩夏光寝釈迦に辞書の添い寝せる 澁谷道 海程 200112
晩夏の川でとつぜん哲学的になった 斎藤白砂 海程 200112
まじめ人間赤子真中晩夏かな 佐藤紀生子 海程 200112
全速の馬うすく晩夏のえんぴつ 塩野谷仁 海程 200112
砂鉄のごとく晩夏の子供あつまりぬ 守谷茂泰 海程 200112
シャガールの青の晩夏も終りけり 粟津松彩子 ホトトギス 200201
寺町に添う廓町晩夏光 朝日彩湖 船団 200201
晩夏とは宴の後の風の音 朝日彩湖 船団 200201
山頂の晩夏を投函十二枚 鶴濱節子 船団 200202
健康な顔の揃へる晩夏かな 稲畑汀子 ホトトギス 200207
流れ藻の緑ひとすぢ晩夏はや 長沼三津夫 200209
猫抱く女をり路地の晩夏光 小澤克己 遠嶺 200210
インド洋晩夏の大き日が沈む 三村武子 酸漿 200210
読みかけの本を積み上げ晩夏かな 田中子 円虹 200210
薄紙の指に吸ひつく晩夏光 水野恒彦 200210
谷津八幡裏道なりき晩夏光 醍醐季世女 200210
晩夏光人の生毛の黄金いろ 加藤みき 200210
鳥群れて諍ひはなし晩夏光 土肥屯蕪里 雲の峰 200210
デジマノキてふを見上ぐる晩夏かな 長山野菊 雲の峰 200210
経厨子の重みを回す晩夏かな 谷野由紀子 雲の峰 200210
海に向く鎮魂の碑や晩夏光 小田悦子 雲の峰 200210
吊り橋が川を跨いでゐる晩夏 宮京子 銀化 200210
人のみな背を向けてゆく晩夏かな 平野隆志 銀化 200210
晩夏はや蛇籠の草のほつれかな 加瀬美代子 200210
学力の伸びを約せる晩夏塾 鈴木てるみ ぐろっけ 200210
晩夏光杭のあたりのたゆたひに 豊田都峰 京鹿子 200211
鳩時計狂ひはじめてより晩夏 和田照海 京鹿子 200211
晩夏光おちよくつてゐる蔓の先 沼田巴字 京鹿子 200211
棒杉の幹くろぐろと晩夏かな 門脇明子 200211
一鳥の翔ちたる梢の晩夏光 小山徳夫 遠嶺 200211
兄継ぎし父の墨壺晩夏光 小宮山勇 遠嶺 200211
晩夏かな杜の鳥来る船着場 大曽根育代 遠嶺 200211
里山の道開かれし晩夏光 西澤ひで子 遠嶺 200211
どの顔もヴァカンス疲れ街晩夏 河野万里子 円虹 200211
鳴き砂を踏みて晩夏の声ときく 進峰月 円虹 200211
包丁と砥石痩せあふ晩夏かな うまきいつこ 200211
大土間の窪みの数に晩夏光 深川知子 雲の峰 200211
影を生みつぎて晩夏の水すまし 高橋さえ子 200211
草木より人衰ふる晩夏かな 宮尾直美 200211
沖に差す日矢一条の晩夏光 松村富子 200212
これほどに更地の狭し晩夏光 岡谷栄子 200212
炎熱に焦げゐてたしかなる晩夏 稲岡長 ホトトギス 200212
風立ちて灯ともし頃の街晩夏 長山あや ホトトギス 200212
秘境へとトロッコ列車旅晩夏 道給一恵 遠嶺 200212
晩夏かな蓼科山に山の影 吉弘恭子 あを 200212
鉄塔の山を踏まへし晩夏光 元山富代 200212
シャガールの青に晩夏の太陽黄 粟津松彩子 ホトトギス 200301
ビタミンの糖衣重たき晩夏かな 浦川聡子 水の宅急便 200305
木曾谷の川の音色も晩夏なる 吉村春風子 遠嶺 200306
旅に組む画架や晩夏の上高地 塩路隆子 花衣 200307
旅晩夏雨に齟齬ありたることも 稲畑汀子 ホトトギス 200308
しのび寄る気配晩夏の朝かな 稲畑汀子 ホトトギス 200308
緑茶濃く絞る晩夏の逢魔(おうま)どき 朝妻力 雲の峯 200308
人逝きて海を見てゐる晩夏かな 大橋敦子 雨月 200309
夜っぴいて朱を入れている晩夏の影 松山律子 六花 200309
抽斗にモナリザのある晩夏光 堀内一郎 あを 200309
篤農と言はれし兄や晩夏光 斉藤静枝 あを 200309
旅仕度そこそこに発つ晩夏かな 山田景司 遠嶺 200310
晩夏にて何の穴かと跳んでみる 水野恒彦 200310
パン釜の火入れ式なる晩夏かな 中島陽華 200310
晩夏光笛も高音に里神楽 井上玉枝 酸漿 200310
ひたすらに晩夏の駅に子を待てり 永田あき 酸漿 200310
信綱の文机の艶晩夏光 江頭文子 雨月 200310
鍛冶小屋の火床ほどに晩夏の匂ひかな 渡辺政子 雲の峰 200310
伝ふべき戦史は重し島晩夏 山田弘子 円虹 200310
晩夏光置き去りにした物がある 篠田純子 あを 200310
いまいちど墨の手洗ふ晩夏かな 宮川みね子 風土 200310
異国語の弱きさだめや晩夏光 井上良久子 帆船 200310
雨すぢのすでに晩夏の砂けむり 長沼三津夫 200310
裏山に風の来てゐる晩夏かな 松岡映子 帆船 200311
晩夏光もとの位置へと戻りたる 天野きく江 200311
探鳥の一行に蹤き森晩夏 溝内健乃 雨月 200311
坪庭の木々のまとへる晩夏光 溝内健乃 雨月 200311
おや指が大地をあゆむ晩夏かな 佐藤喜孝 あを 200311
山裾に牛のはりつく晩夏かな 遠野萌 200311
街角のブリキ人形晩夏光 三崎由紀子 遠嶺 200311
出航や晩夏の沖の雲われて 成川和子 200311
雲に憂さ預けて下る山晩夏 田所洋子 雨月 200312
ココナッツゼリーの揺れる晩夏かな 林裕美子 六花 200312
散髪の待つ間の長き晩夏かな 井口秋雲 草の花 200401
晩夏とは風の晩夏のしらかんば 山元志津香 八千草 200402
晩夏光能登の浜塩かがやけり 中野一灯 八千草 200402
晩夏光万媚の面よぎりたる 高橋将夫 200408
晩夏光なにに急くともなき焦り 橘澄男 山景 200408
森は風湛へ晩夏の美術館 宮崎すみ 対岸 200409
鏡台の紅の槌せたる晩夏かな 竹内美登里 京鹿子 200409
友葬りひとり晩夏の野を戻る 谷榮子 雨月 200409
晩夏光甕棺うちに残る朱ヶ 佐渡谷秀一 春燈 200410
晩夏光波に融けては打ち返る 天野きく江 200410
砂こぼれ易き手の平晩夏光 近藤喜子 200410
川底の砂に日流す晩夏かな 神蔵器 風土 200410
干網に菱の殻付く晩夏かな 辻恵美子 栴檀 200410
晩夏光鳩の骸の羽拡ぐ 辻恵美子 栴檀 200410
玻璃破片散りて晩夏の交差点 坂ようこ 200410
晩夏かな森の中よりジャズ流れ 高橋照子 雨月 200410
晩夏 3→      

 

2021年7月21日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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