麦秋 8

児の本にふえし漢字や麦の秋    木下夕爾

作品
作者
掲載誌
掲載年月
前書その他
背の高き子が麦秋の中を行く
西川五郎
馬醉木
200408
水煙の童児笛吹く麦の秋
羽田岳水
馬醉木
200408
太陽の歓喜が聞ゆ麦の秋
平子公一
馬醉木
200408
麦秋やわたつみ渡る風の色
谷村幸子
200408
子を抱きて羅漢傾く麦の秋
石田野武男
万象
200408
麦秋や体内時計狂ひたる
大山文子
火星
200408
麦秋の波しづかなり夫婦岩
城孝子
火星
200408
麦秋の風筋にある母の腰
山田美恵子
火星
200408
日は西に出雲街道麦の秋
潮伸子
風土
200408
例幣使街道下る麦の秋
森田節子
風土
200408
麦秋やロバの匂ひの石畳
田中重子
雲の峰
200408
ゆきゆくに湖国麦秋ありにけり
茂里正治
200408
明日あると思うて眠る麦の秋
河西みつる
草の花
200408
麦秋の塵のおきたる置き薬
河西みつる
草の花
200408
焼酎の銘柄に酔ふ麦の秋
中谷喜美子
六花
200408
田の神に目礼をして麦の秋
古木正行
河鹿
200408
麦秋の火のあそびゐる外かまど
酒本八重
200408
麦秋や血流止まるほど眠り
内山花葉
200408
麦秋の夕日大きく海へ落つ
長野純顕
対岸
200408
かつて麦秋今工場と煙突と
彦坂範子
ぐろっけ
200408
麦秋をゆく麦秋の髪の色
彦坂範子
ぐろっけ
200408
麦の秋風のおりなす日の光芒
彦坂範子
ぐろっけ
200408
麦秋は見納めとかや家並寄す
鈴木愛子
ぐろっけ
200408
ハスキーな汽笛一声麦の秋
阪本哲弘
200409
麦秋や旧道をゆく路線バス
谷内順子
200409
耳たぶにガラス玉揺れ麦の秋
中山純子
万象
200409
麦の秋のどの渇きに戻りたる
中山純子
万象
200409
麦秋や水を掛けつつ石を切る
増田幸子
万象
200409
麦秋や胸の高さにひろがる香
今川千鶴子
春燈
200409
麦秋や沖よりみゆる石切場
飯塚ゑ子
火星
200409
水軍の榮えし島も麥の秋
遠藤逍遙子
風土
200409
霧吹きて休ます衣裳麦の秋
柿沼盟子
風土
200409
麦の秋絵本の活字大きくて
中村雅樹
百鳥
200409
麦秋や遠くに見ゆる風見鶏
杉江美枝
百鳥
200409
麦秋の中に立つ影父らしき
的池遙
百鳥
200409
駒繋錆つき町並み麦の秋
梅村五月
栴檀
200409
麦の秋小ぶりの杉玉吊さるる
梅村五月
栴檀
200409
麦秋の風の真ン中胸熱し
後藤和朗
栴檀
200409
上棟の鑿音ひびく麦の秋
池田鶴月
栴檀
200409
目鼻大き志功の女麦の秋
岡淑子
雨月
200409
麦秋や暁の坐禅に連座せる
竹内喜代子
雨月
200409
広大な干拓の村麦の秋
川瀬信子
築港
200409
麦秋やわが産土の佐賀平野
中島伊智子
酸漿
200409
麦秋の風に亜麻鷺吹かれをり
中島伊智子
酸漿
200409
抽斗にヨードチンキや麦の秋
平万紀子
200409
顔を出すだけで半日麦の秋
青山丈
200409
耳遠くなりたる顔や麦の秋
鈴木多枝子
あを
200409
麦秋や金の絨緞ゆさゆさと
鈴木多枝子
あを
200409
麥秋は鳥のはらわたまで達す
八田木枯
夜さり
200409
落ちのびてゆく麥秋に布吹かれ
八田木枯
夜さり
200409
黒潮に張出す岬麦の秋
山田弘子
ホトトギス
200410
大鉢の半乾きなる麦の秋
佐藤忍
万象
200410
麦の秋夫の口座を消しにゆく
齋藤宣子
帆船
200410
売れ残る子犬が二匹麦の秋
高倉恵美子
200410
保育所を円く残して麦の秋
佐藤哲
万象
200411
古里に来て麦秋の人となる
渡邉友七
あを
200411
麦秋や群るる羊の背番号
堀内千鶴子
帆船
200501
風を呼ぶ畦の直線麦の秋
相川秀子
帆船
200504
悉く麦秋を統べ句碑生る
稲畑廣太郎
ホトトギス
200505
黒田充女様句碑除幕祝句
抜けて行く麦秋の野をまつ直に
稲畑汀子
ホトトギス
200505
一枚の麦秋の野に降り立ちし
稲畑汀子
ホトトギス
200505
麦秋の野の果つところ海展け
稲畑汀子
ホトトギス
200505
畦みちをふさぐ赤ん坊麦の秋
鷹羽狩行
200505
麦秋の一枚の風渡りけり
稲畑汀子
ホトトギス
200506
麦秋の只中を来る割烹着
山尾玉藻
火星
200506
麦秋や畳に母のベッド跡
山尾玉藻
火星
200506
麦秋の目を見て固き握手かな
能村研三
200506
出されたるものを羽織るや麦の秋
小島輝和
帆船
200506
碑も墓も石なり麦の秋
山田六甲
六花
200506
文鳥忌
赤んぼに首なめられて麦の秋
中村房枝
六花
200506
麦秋や貼られて紙のひらひらと
木下野生
200507
麦秋や人呼ぶ声の一度きり
木下野生
200507
麦の秋尽きることなき孫自慢
辻田忠俊
築港
200507
使ひ切る洗濯挟み麦の秋
渡部節郎
200507
麦秋や櫓音を遠く野菊の碑
峰幸子
200507
麦秋や特急切符は空の色
豊田都峰
京鹿子
200507
自転車のペダルゆつくり麦の秋
早崎泰江
あを
200507
理科室の兎逃げ出す麦の秋
神宮きよい
馬醉木
200508
麦秋やひかりを返す入間川
大嶋洋子
春燈
200508
軍隊行李は夫の青春麦の秋
市川玲子
春燈
200508
鄙住み碧水深し麦の秋
林雪江
春燈
200508
麦秋の十八界の空喨喨
西村純
200508
麦秋や納屋に眠れるトラクター
藤井圀彦
200508
麦秋や客三人の真岡線
大坪景章
万象
200508
麦秋や竜笛にある七つ穴
水野あき子
遠嶺
200508
土偶でくの眼の小さきくらやみ麦の秋
横松しげる
遠嶺
200508
船室の花籠ゆるる麦の秋
飯塚ゑ子
火星
200508
地のつづく限り日が射し麦の秋
遠藤真砂明
200508
横長に使ふ葉書や麦の秋
高木嘉久
200508
ハモニカに鉄の味する麦の秋
林昭太郎
200508
学校の隣は役場麦の秋
松澤秀昭
200508
麦秋や刀工の地の碑にまみゆ
村田さだ子
酸漿
200508
ゴッホの絵の麦秋の風ウェーブなす
安田繁子
200508
麦秋や苦楽分け合ふ老夫婦
村上和子
ぐろっけ
200508
わたましの柳行李や麦の秋
東野鈴子
雨月
200508
麦の秋母校は生徒少なくて
森田久枝
築港
200508
麦の秋引越し荷物に鍬と鋤
徳丸峻二
風土
200508
カーナビに従ふ運転麦の秋
鈴木石花
風土
200508
峠より広がる伊予は麦の秋
筒井八重子
六花
200508
麦秋の黄の外灯に及びけり
長沼三津失
200508
麦秋や婚の荷のゆく村はづれ
有島夛美
河鹿
200509
道草を覚えはじめし麦の秋
浜上貴久子
河鹿
200509
飢ゑしるき少年の日々麦の秋
藤原たかを
馬醉木
200509
麦秋や遊びごころに陶焼きて
大見川久代
馬醉木
200509
馬跳びの馬一列に麦の秋
猪俣洋子
200509
手をつなぎ行く園児らに麦の秋
森野俊子
遠嶺
200509
少年の嘘育ちゆく麦の秋
林昭太郎
200509
早起きの雀日に日に麦の秋
中山純子
万象
200509
地平までミレーの村の麦の秋
木暮剛平
万象
200509
街道や「塩釜」頬張る麦の秋
舘泰生
風土
200509
七十のデルデスデムデン麦の秋
竪山道助
風土
200509
三つ建つ博物館や麦の秋
井上あい
風土
200509
飛鳥山
麦の秋わけても父の生地かな
片山タケ子
200509
式場へバス借り切つて麦の秋
岩永恵子
百鳥
200509
読み返す昔の手紙麦の秋
石川英利
百鳥
200509
少年のバイク一列麦の秋
高木武人
百鳥
200509
麦秋や貨物列車は止まらない
小山國雄
百鳥
200509
近江路を北へ麦秋深くなる
樺山翠
雨月
200509
六世紀の円墳囲み麦の秋
葛馬房夫
雨月
200509
麦の秋移動パン屋の焼くにほひ
東野鈴子
雨月
200509
喫泉にまなこを濡らし麦の秋
片山喜久子
雨月
200509
麦秋や塾の帰りをたむろして
江崎成則
栴檀
200509
振り向けばいま来し道が麦の秋
大城まつ子
200509
麦秋の単線鉄路跨ぎをり
佐々木幸
200509
山里の豊かな麦の秋見つゝ
松尾緑富
ホトトギス
200510
麦秋や石屋に並ぶ聖観音
藤江朋子
万象
200510
裏筑波
集落の屋根みな赤し麦の秋
小林眞彦
遠嶺
200510
河口とはふくるるところ麦の秋
沼田巴字
京鹿子
200510
麦秋や上の匂ひの貨市の過ぎ
長井順子
200510
しつかりと電柱立てり麦の秋
長井順子
200510
寅さんの柴又を発つ麦の秋
松本文一郎
六花
200511
鳥形の雲を浮かべて麦の秋
松本文一郎
六花
200511
宮無住集ひは寺に麦の秋
中原吟子
雨月
200601
門前にシユークリーム屋麦の秋
奥田弦鬼
風土
200601
母への文妹への文麦の秋
奥田弦鬼
風土
200601
空に出て金蠅美しき麦の秋
戸栗末廣
火星
200603
麥秋のわびしさも好しささげ摘む
瀧春一
常念
200606
小説など書きたきこころ麥の秋
瀧春一
常念
200606

05/05/30 作成

11/05/30 追加

俳誌のサロンの歳時記