8   100句

汗かいて器量よしなり撰鉱婦   池内たけし   たけし句集

作品
作者
掲載誌
掲載年月
どつと出て汗に音なきひとりかな 岡本眸 200808
汗のシャツ脱ぎて余命を伸ばしけり 松嶋一洋 200809
汗しとど予定通りの農作業 渡辺安酔 200809
会場の熱気汗かき汗が引き 高木智 京鹿子 200809
新発意の脱げはせぬかの汗手貫 井田実代子 雨月 200809
汗手貫左右の違ひのありやなし 井田実代子 雨月 200809
逝く母の末期の汗を妻と拭く 上坂渥子 雨月 200809
汗ひくや古墳の丘を渡る風 青木政江 酸漿 200809

 英連邦戦没軍人墓地

汗しゆけば詞それぞれ俘虜の墓

藤田宏 200809
詫ぶる子の首筋の汗拭ひやる 久布白文子 馬醉木 200810
人形かとまがふ衛兵玉の汗 近藤きくえ 200810
悟るとも悟らざるとも汗遍路 三橋泥太 遠嶺 200810
鍬先の汗のしづくが畝立てる 渡辺安酔 200810
晩鐘を聞きつつ戻る汗の顔 渡辺安酔 200810
北京いま汗と涙の光る日々 岡野ひろ子 200810
汗ばみて予後の経過を看に行く日 高木智 京鹿子 200810
クレパスに汗を塗り込め日記帳 野崎タミ子 炎環 200810
ぶつつかりくる汗くさき子のつむり 杉浦典子 火星 200810
登り来し汗真言を唱へけり 大山文子 火星 200810
くわんおんに妻となりたる人の汗 大山文子 火星 200810
汗なみだ被爆を語る人の居て 綿谷美那 雨月 200810
一筋の涙は汗にまぎれしや 綿谷美那 雨月 200810
四阿に憩ひともあれ汗拭ふ 西本輝子 雨月 200810
汗流しあひて絆を深めたる 久保田雪枝 雨月 200810
風通る茶室に坐して汗を羞づ 中原敏雄 雨月 200810
事足りる一坪畑に汗流す 名取すみ子 酸漿 200810
月島や汗を拭ひつもんじや焼 青木政江 酸漿 200810
雨の中戻りしごとき汗の子よ 苑実耶 200810
汗の手を交して駅に別れけり 樋口みのぶ 200810
喧嘩する劇団員の玉の汗 瀬下るか 200810
眼鏡から汗の流るる調教師 瀬下るか 200810
友が身を案じつ旧友ともと汗流す 岩本紀子 200810
汗のまま小林秀雄の評論集 荒井和昭 200810
言葉より雄弁となる父の汗 志野蕗子 200811
やつと振り向いてくれたる汗の顔 湯川雅 ホトトギス 200811
湯の宿に登山の汗を流しけり 渡辺安酔 200811
銀山の汗の味知る間歩の道 四條進 200811
言ひ訳の通らぬ汗となりにけり 柴田佐知子 200811
失敗を隠し通して汗を拭く あさなが捷 200811
寝起きの子泣きてなほさら汗みどろ あさなが捷 200811
除湿器の水わが汗も含みけり 有馬克代 200811
爺が岳の雪形たしか汗拭ふ 萩原渓人 やぶれ傘 200811
汗の子が三人居候一人 山田弘子 ホトトギス 200812
引越荷汗もろともに運び込む 山田弘子 ホトトギス 200812
汗拭いて妥協許さぬ設計士 山田弘子 ホトトギス 200812
急かされて阿呆も汗かく夏永し 宇都宮滴水 京鹿子 200812
きらめくは鬼剣舞を了へし汗 柴崎英子 200901
採用面接採用側に座し汗す 荒井千佐代 200901
癒ゆる望み暑に堪ふる汗はなつかしや 瀧春一 深林 200901
汗の身に泌みる素朴な湯の濁り 瀧春一 深林 200901
膳拵への母は肋に汗溜めて 瀧春一 深林 200901
飯啖ふ親子汗の胸板相対す 瀧春一 深林 200901
けふも勤め吊革の環のぬるりと汗 瀧春一 深林 200901
凛漓たる汗の一灯忌なりけり 瀧春一 深林 200901
滝しぶき浴びつつ汗の引きにけり 山嵜ヤス子 酸漿 200903
銛の舞男らの汗黒光り 品川鈴子 龍宮の客 200904
めまひせし第一席の君の汗 稲畑廣太郎 ホトトギス 200906
汗たらし子の飯を焚く竃かな 滝沢伊代次 万象 200906
結局は汗の目覚めとなりにけり 稲畑汀子 ホトトギス 200907
本当の汗の笑顔を見逃さず 稲畑汀子 ホトトギス 200907
汗見せぬことに徹して立つ舞台 稲畑汀子 ホトトギス 200907
汗の顔よりこぼれたる話かな 稲畑汀子 ホトトギス 200907
汗ぬぐふことくり返す旅話 稲畑汀子 ホトトギス 200907
旅話少し大きく汗ぬぐふ 稲畑汀子 ホトトギス 200907
汗拭いて今口も過ぎたる思ひかな 稲畑汀子 ホトトギス 200907
美しと見し働ける汗の顔 稲畑汀子 ホトトギス 200907
汗引きてよりその話聞くことに 稲畑汀子 ホトトギス 200907
汗引いてゆく標高となるリフト 稲畑廣太郎 ホトトギス 200907
東京の汗を忘れてゐる泊り 稲畑廣太郎 ホトトギス 200907
汗攫ふ北の大地の風に会ふ 稲畑廣太郎 ホトトギス 200907
阿修羅像見て汗ばむ人の修羅の渦 千田敬 200907
早朝の汗拭ひつつ胡瓜もぐ 山田六甲 六花 200907
波音や髪の汗ばむ夜の褥 ことり 六花 200907
ゴヤを先づ見て汗入るる石館 泉田秋硯 200908
迫りくる締切時間汗しとど 稲畑汀子 ホトトギス 200908
綱引きの汗の膕揃ふなり 大畑善昭 200908
汗の筋剥げ白塗りの吸血鬼 品川鈴子 ぐろっけ 200908
汗の児のねだり上手や母若し 宇都宮滴水 京鹿子 200908
かの資料いやこの文献を汗の額 小澤克己 遠嶺 200909
初宮の嬰を抱きて汗しとど 山口キミコ 200909
鳶職の筋骨汗に光りけり 北尾章郎 200909
太鼓打つたびに飛び散る玉の汗 富田範保 200909
汗まみれ風待つのみのひと休み 森美代子 200909
生涯は一度切りよ汗の腕 坂本俊子 200909
引力に逆らはず逆立ちの汗 七種年男 200909
龍門の仏を仰ぐ汗の背 中山皓雪 200909
三歳児脱皮のごとく汗のシャツ 黒澤登美枝 200909
ないはともあれ汗拭いてからのこと 芝尚子 あを 200909
汗の引く山の高さとなって来し 鈴木多枝子 あを 200909
鍬打つて朝日に汗をしたたらす 南うみを 風土 200909
零す汗噴く汗最古の鉄橋に 甲州千草 200909
憧れてならぬ物見て汗冷ゆる 丸山佳子 京鹿子 200909
良い汗を拭かせて貰ひ山下る 丸山佳子 京鹿子 200909
汗の子に古手拭の軟らかく 須賀敏子 あを 200909
楽の音を抱くごと汗の指揮者かな 新堀満寿美 末黒野 200910
黙々と鍬ふる夫や汗滂沱 大川暉美 末黒野 200910
駄駄こぬる幼涙と玉の汗 木村弓子 末黒野 200910
良き汗や残り二丁の善光寺 梅田武 末黒野 200910
畑仕事雨に会うたるごとき汗 能勢栄子 200910
汗滲む人の行き交う神楽坂 土井くみこ 200910
汗 →9      

 

2021年7月8日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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