鮟 鱇 2          169句

鮟鱇のくちより見ゆるはらわたや   夏目成美

作品
作者
掲載誌
掲載年月
鮟鱇が鰭を広げて床の上 高橋将夫 星の渦 200507
吊るされて鮟鱇空を呑み込みぬ 岡本久一 200508
鮟鱇のたましひの肝掴み出す 中村龍徳 200511
鮟鱇の切りのこされし大顎 杉良介 200512
鮟鱇を捌く板前太鼓腹 佐々木利正 四葩 200601
鮟鱇を一番星の下に吊る 遠藤真砂明 200601
鮟鱇の貌に光明さしてきし 高橋将夫 200602
鮟鱇鍋無口親父の壮語かな 川端正紀 春潮 200602
鮟鱇の口のみ鉤にのこりけり 石川笙児 200602
鮟鱇も硬骨魚類吾も又 鈴木撫足 春燈 200603
鮟鱇もわが身の業も煮ゆるかな 久保田万太郎 春燈 200603
鮟鱇の置き直されし鮟鱇かな 山尾玉藻 火星 200603
鮟鱇のもういいかげん閉じぬ口 瀬下るか 200604
鮟鱇鍋からだほぐれて来たるかな 池田加代子 風土 200604
鮟鱇や脱がすごとくに皮取られ 寒河江桑弓 200606
鮟鱇の七つ道具を見せて切る 大久保白村 ホトトギス 200608
鮟鱇の心臓小さく肝太く 大久保白村 ホトトギス 200608
省略を尽くし鮟鱇なほ吊す 大久保白村 ホトトギス 200608
人垣の真ん中で割く大鮟鱇 遠藤真砂明 200702
鍋沸いて鮟鱇の肝移植さる 上野進 春燈 200702
鮟鱇を持ちて友来る誕生日 松崎鉄之介 200702
鮟鱇とねんごろにして十五年 高橋将夫 200702
鮟鱇になつてこの世の底にゐる 小澤克己 遠嶺 200702
鮟鱇の顎より見ゆるはたてかな 雨村敏子 200703
鮟鱇のしまりなき身の吾に似たる 玉置かよ子 雨月 200703
どこがどこやら鮟鱇の捌かれて 玉置かよ子 雨月 200703
鮟鱇の鍋をかこみし出会ひかな 荻野照 遠嶺 200703
俗界へ鮟鱇の肝つかみだす 上田敬 遠嶺 200703
鮟鱇を捌きし足どりで来たる 内山花葉 200704
鮟鱇をひと裂きあとはためらはず 館容子 200705
鮟鱇の皮口中で動き出す 秋千晴 200705
鮟鱇の風を呑むかに口大き 藤原たかを 馬醉木 200801
鮟鱇の削がれそがれて詩をなせり 藤原たかを 馬醉木 200801
鮟鱇を吊り下げ解く魚市場 中島玉五郎 200801
鮟鱇や風袋なんぼ引いてある 栗栖恵通子 200802
鮟鱇や腹探らるる検診日 貴志尚子 200802
鮟鱇をしやぶり尽くせる笑ひかな 栗栖恵通子 200803
食べ余す鮟鱇鍋の一人分 伊藤白潮 200803
家訓など一つも無くて鮟鱇鍋 遠藤和彦 遠嶺 200803
父の代の船釘太し鮟鱇吊る 遠藤真砂明 200803
真水あびせて鮟鱇の吊し切り 遠藤真砂明 200803
鮟鱇鍋に皆汗ばみて顔なごむ 高宮義治 200804
旅の夜の盃を交はして鮟鱇鍋 松隈絹子 遠嶺 200805
鮟鱇鍋ガスの炎の海の青 鈴木直充 素影 200811
鮟鱇の見目には罪のなかりけり 小泉貴弘 筑波の道 200811
海鳴りや大鮟鱇を核として 近藤喜子 200902
鮟鱇を吊る異次元を吊るやうに 松本圭司 200902
鮟鱇の身ぐるみはがれ吊し切り 吉沢陽子 200903
削ぎ残る骨一本や吊り鮟鱇 吉沢陽子 200903
鮟鱇の腹仰向けに売られけり 吉沢陽子 200903
鮟鱇の吊されし口地へ置かる 石寒太 炎環 200903
六角堂の海の荒びや鮟鱇鍋 鈴木陽子 炎環 200903
鮟鱇を吊つて市場のかがやきぬ 浅田光代 風土 200903
捨つる所なき鮟鱇の捨て台詞 河本由紀子 春燈 200903
車座の芯に煮えたつ鮟鱇鍋 藤岡紫水 京鹿子 200903
鮟鱇の吊しを睨む猫二匹 田中富雄 万象 200903
昼の部のはね新橋の鮟鱇鍋 今井松子 遠嶺 200904
鮟鱇の骨は魔除けよ海の家 中島陽華 200904
鮟鱇の悟り切つたる面構へ 山本浪子 風土 200904
鮟鱇の捌き残さる乱杙歯 山本ミツ子 六花 200904
大鮟鱇小あんかうも糶られをり 西山美枝子 酸漿 200904
鮟鱇の吊るされてゐる孤独かな 加藤季代 万象 200905
鮟鱇鍋出世に遠き顔並ぶ 木場田秀俊 200906
名は体を鮟鱇鍋の欺かず 丸井巴水 京鹿子 201001
少しかなしき鮟鱇の怒り貌 遠藤真砂明 201002
鮟鱇の着流しの皮剥がさるる 久染康子 201002
鮟鱇鍋歯応へのある一語かな 武藤嘉子 201002
紙鍋におどるは鮟鱇の肝らしき 中下澄江 201002
鮟鱇鍋ふつふつさらけ出す本音 吉田克美 ろんど 201002
潮騒を混ぜて鮟鱇鍋たぎる 石川寿夫 ろんど 201002
北窓のながめよき方鮟鱇鍋 高松由利子 火星 201002
糶の場に鮟鱇の箱すべりこむ 石原光徳 酸奬 201002
出刃を研ぐ大鮟鱇の吊しどき 遠藤真砂明 201003
鮟鱇鍋再会信じ別れけり 太田良一 末黒野 201003
鮟鱇鍋掬ひ事物の詳らか 吉田克美 ろんど 201003
鮟鱇鍋の仕度整へ娘の訪ひ来 久保晴子 雨月 200804
吊さねば海を吐くかも巨鮟鱇 松田都青 京鹿子 201004
歯切れよき女将の語り鮟鱇鍋 熊切光子 末黒野 201004
鮟鱇のてこでもといふ面構へ 柴田志津子 201005
鮟鱇をべつたべつたと積み上ぐる 吉村摂護 201005
鮟鱇のふてぶてしとも哀しとも 辻佳子 馬醉木 201103
鮟鱇の正体のなく吊られけり 大橋伊佐子 末黒野 201103
鮟鱇の歯ばかりとなり吊られをり 奥田順子 火星 201103
ひよつとこの面を外して鮟鱇鍋 延広禎一 201104
鮟鱇の口まで水を飲ませけり 苑実耶 201104
吊鮟鱇海に向きたる腹白し 宮内とし子 201104
神官のやうな板さん吊鮟鱇 宮内とし子 201105
はじめから鮟鱇はくたびれてをり 原友子 201105
朝市のぶつの鮟鱇買ひにけり 丑久保勲 やぶれ傘 201105
戒名など要らぬと鮟鱇鍋つつく 須山登 201201
復興の海鮟鱇の吊し切 木村茂登子 あを 201201
穏やかな友の健啖鮟鱇鍋 木村風師 馬醉木 201202
鮟鱇鍋鬼平を待つ今戸橋 上原重一 201202
放り込みし箱のかたちの大鮟鱇 山尾玉藻 火星 201202
歩こう会締めは鮟鱇鍋となり 辺田たか子 ろんど 201202
鮟鱇の七つ道具を食べ尽くし 岡野ひろ子 201203
鮟鱇の吊りあるうしろ脚通る 城孝子 火星 201203
鮟鱇の吊し切りされ咳もなし 肥田俊昭 末黒野 201203
波止めのいつか暮れたる鮟鱇鍋 根橋宏次 やぶれ傘 201203
鮟鱇の口がゆらりと魂を吐く 高橋将夫 201204
鮟鱇のよそゆき顔で売られけり 雨村敏子 201204
鮟鱇の地震の疵痕吊られけり 鴨下昭 201204
振舞ひの鮟鱇汁や腹に沁む 今泉あさ子 末黒野 201204
鮟鱇の貌の隅々まで哀感 貝森光洋 六花 201204
鮟鱇に箸うやうやし卒寿かな 伊藤希眸 京鹿子 201205
鮟鱇のひとかたまりのあやふやに 原友子 201302
鮟鱇を糶るあんかうの如き顔 常田創 201303
龍宮の衛士よ提灯鮟鱇は 近藤喜子 ミネルヴァの梟 201303
鮟鱇に海千のつらありにけり 宮崎高根 201304
鮟鱇の仏頂面のさらさるる 鈴木一三 末黒野 201304
へつつひに鮟鱇鍋を煮零せし 品川鈴子 ぐろっけ 201312
手土産は鮟鱇にして専女(とうめ)かな 竹内悦子 201402
鮟鱇のややこしき骨挵りけり 山尾玉藻 火星 201402
星辰もよみ鮟鱇の網下ろす 和田照海 京鹿子 201402
夜遊びの鮟鱇鍋となりにけり 竹内悦三 201403
有次を出て鮟鱇の眼かな 辻水音 201403
鮟鱇の糶られて物の言へぬ口 小田司 馬醉木 201403
あんかう鍋われに足りぬはコラーゲン 中井登喜子 201403
荒海も馳走のひとつ鮟鱇鍋 松井志津子 201403
鮟鱇鍋ツアーに混り小名浜へ 堺昌子 末黒野 201404
鮟鱇鍋眼鏡に湯気の目眩まし 亀卦川菊枝 末黒野 201404
吊したる鈎を遠目に鮟鱇鍋 林昭太郎 201405
家族みな予定なき日の鮟鱇鍋 井浦美佐子 201406
鮟鱇の肝まな板に置かれけり 大崎紀夫 やぶれ傘 201501
獄門のごと鮟鱇の貌置かる 竹内弘子 あを 201501
鮟鱇の貌は忘れて食べてをり 小林朱夏 201502
鮟鱇のぶら下がりゐる月の暈 戸栗末廣 201503
本懐か名折れ鮟鱇吊るさるる 高島正比古 京鹿子 201503
鮟鱇の笑ひつぱなしの切られやう 菊川俊朗 201503
鮟鱇や口上長き吊し切り 石黒興平 末黒野 201505
出向や鮟鱇鍋の溢るる具 佐渡谷秀一 対座 201505
遺伝子を一つ間違へ鮟鱇に 高橋将夫 201602
幸せは鮟鱇鍋の湯気の中 赤座典子 あを 201602
ひとみしり貌の鮟鱇吊るさるる 丸井巴水 京鹿子 201603
お迎えは明日かも知れぬ鮟鱇鍋 田中藤穂 あを 201603
吊鮟鱇大平洋の波の音 宮内とし子 201604
鮟鱇を吊るしてよりの思案かな 鈴木良戈 201604
鮟鱇の皮や一枚別世界 上野紫泉 京鹿子 201605
反抗期の君は海鼠か鮟鱇か 南北佳昭 船団 201612
鮟鱇のおはじき色の目玉かな 本間羊山 風土 201701
鮟鱇の従容として吊られけり 山本喜朗 雨月 201702
鮟鱇に生れしばかりに吊るさるる 岡田正義 雨月 201703
吊るされて鮟鱇睨む空の果て 石塚勝典 雨月 201703
鮟鱇裂く肝一升を抜き出せり 伊藤希眸 京鹿子 201703
鮟鱇の吊し切りなり肝二割 黒澤佳子 あを 201703
鮟鱇の面に似合はぬ美味さかな 呉秀文 春燈 201704
鮟鱇の箱の形にをさまりて 石黒興平 末黒野 201704
鮟鱇鍋湯気も気炎もあがりけり 芝田幸惠 末黒野 201704
吊さるる鮟鱇になし秘するもの 石田きよし 201704
日帰りの旅や鮟鱇鍋囲み 田中臥石 末黒野 201705
九十九里浜弧をゆるやかに鮟鱇鍋 窪みち子 201706
鮟鱇鍋肝を目敏く見つけをり 川上恵子 雨月 201802
にびいろの沖波はしる鮟鱇鍋 渡部良子 馬醉木 201802
鮟鱇鍋妻子ら遠くしたりけり 石川桂郎 風土 201802
無造作に禁酒を破り鮟鱇鍋 大島寛治 雨月 201803
鮟鱇を喰うて常陸の海荒るる 佐々木あつ子 やぶれ傘 201804
鮟鱇の死んでも水を打たれをり 山本則男 201806
鮟鱇のはらわたどつと辷り出る 角野良生 201806
ぶつ切るは安と康の字鮟鱇鍋 鈴鹿呂仁 京鹿子 201901
笑ふ他なき鮟鱇の笑ひけり 菊川俊朗 201902
吊さるる鮟鱇の腹ほたほたす 間島あきら 風土 201903
放下の他なき鮟鱇の吊られけり 藤原照子 201904
そだねーと鮟鱇鍋に決まりけり 釆野久美子 201904
鮟鱇を吊れば人間臭くなる 竹内悦子 喜悦 202002
鮟鱇の提灯恋に揺れにけり 高橋将夫 202002
無駄骨はなき鮟鱇の夢ごこち 丸井巴水 京鹿子 202003
昇進も昇給もなし鮟鱇鍋 堅山道助 風土 202011
一本の出刃鮟鱇の味を決め 稲畑廣太郎 ホトトギス 202012
百年の鮟鱇鍋屋てふ矜持 稲畑廣太郎 ホトトギス 202012
吊るされて鮟鱇腑分け始まりぬ 塚原紀代子 風土 202102
吊るさるる鮟鱇に児の後じさり 上村葉子 風土 202102
鮟鱇や値札貼らるる白き腹 西村洋平 春燈 202103
鮟鱇の水引き摺つて吊さるる 秋津令 202104
鮟鱇の削ぎに削がれてをりにけり 角野良生 202107
鮟鱇→1

 

2021年12月3日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。