秋の暮(秋のくれ)3     134句

鷄のゆかへ上りぬ秋のくれ    正岡子規

作品
作者
掲載誌
掲載年月
騎馬戦の大将泣けり秋の暮 高橋スミ子 万象 200601
目の前を烏の歩く秋の暮 中谷葉留 風土 200601
鯉の背の水にとけ入る秋の暮 中元英雄 河鹿 200602
車ごと嫁いで行きぬ秋の暮 大森慶子 母衣 200602
石塊の畑打ち音や秋の暮 鎌須賀礼子 万象 200602
補聴器の耳になじまず秋の暮 斉藤陽子 雨月 200602
社務所には人影もなし秋の暮 三輪慶子 ぐろっけ 200602
いたづらに大沓脱おほくつぬぎや秋の暮 久保田万太郎 春燈 200603
みえてゐて瀧のきこえず秋の暮 久保田万太郎 春燈 200603
馳けだして來て子のころぶ秋の暮 久保田万太郎 春燈 200603
廻らざる花時計見て秋の暮 阿部慧月 ホトトギス 200604
漂泊といふ語と秋の暮を愛す 成瀬櫻桃子 春燈 200604
離したくなき手ありけり秋の暮 ことり 六花 200605
秋の暮子規に語れる虚子の聲 瀧春一 常念 200606
わかし湯に膝つきあはせ秋の暮 瀧春一 常念 200606
鍛冶の火はむかしの赤さ秋の暮 鷹羽狩行 200610
畑にゐて夕餉に呼ばる秋の暮 谷榮子 雨月 200610
佛壇屋梯子してをり秋のくれ 伊藤白潮 200611
隠れ家は表曝しに秋の暮 能村研三 200611
石は石のことを思へり秋の暮 掛井広通 200611
風有情旧家跡地へ秋の暮 山川好美 春燈 200611
町の灯の偏り点る秋の暮 宮津昭彦 200611
都電まだ走る下町秋の暮 安陪青人 雨月 200611
天守閣上らぬままに秋の暮 芝尚子 あを 200611
立ち読みの背にある隙や秋の暮 能村研三 200612
雲の後わたしがいそぐ秋の暮 千田百里 200612
火はいつか燠のしづけさ秋の暮 大畑善昭 200612
印伝のさゐふをさがす秋の暮 水野恒彦 200612
来るといふ客来ずじまひ秋の暮 大橋敦子 雨月 200612
城跡に一人となんぬ秋の暮 安達風越 雨月 200612
とせの鍬にくさびや秋の暮 南うみを 風土 200612
音もなく一と日過ぎけり秋の暮 松崎牧子 200612
一艇の水尾湾を割る秋の暮 永井雪狼 200701
地獄谷へ人降りて行く秋の暮 山内なつみ 万象 200701
橋そこに厩橋口秋の暮 宮津昭彦 200701
笑ひ声近づき来たり秋の暮 筒井八重子 六花 200701
かくれんぼ鬼おきざりに秋の暮 足利ロ子 ぐろっけ 200702
シグナルの色鮮やかに秋の暮 山村修 酸漿 200702
秋の暮行けど行けども灯は遠し 松本文一郎 六花 200702
診察を目を閉ぢて待つ秋の暮 永田勇 六花 200702
山彦は山に残りぬ秋の暮  百瀬七生子 海光 200705
三田一丁目クスリ屋の角秋の暮 北川美美 200705
驛を出ていつもの道の秋の暮 瀧春一 200706
秋の暮相寄らざりし耳二つ 千田百里 200710
しほがまをほろほろこぼす秋の暮 水野恒彦 200711
駅ごとの灯の淡く濃く秋の暮 鷹羽狩行 200712
秋の暮ビリーバンバンロずさむ 鈴木阿久 200712
ベルリンの道に迷ひぬ秋の暮 遠藤逍遙子 風土 200712
嗅ぐためのマッチ擦りたる秋の暮 前川明子 200712
眉の月やさしく浮ぶ秋の暮 小泉和代 酸漿 200712
秋の暮芭蕉の句詠むブラジル医師 伊吹之博 京鹿子 200712
作るほど淋しき俳句秋の暮 貝森光洋 六花 200712
映画果てし人に蹤きゐる秋の暮 廣畑忠明 火星 200712
どの石も仏陀に見ゆる秋の暮 服部菰舟 雨月 200801
石は石の事を思へり秋の暮 掛井広通 200801
教会にバッハ響けり秋の暮 新倉舒子 200801
日本橋早やばや灯り秋の暮 大西八洲雄 万象 200801
尺八の音程外れ秋の暮 石川裕美 ぐろっけ 200801
ふり向いて人に手を振る秋の暮 鈴木多枝子 あを 200801
キャンパスの灯の煌々と秋の暮 寺本妙子 200802
カンバスの塗りのこしてや秋の暮 斎藤弘行 遠嶺 200802
秋の暮艀に熾す夕餉の火 近藤幸三郎 風土 200802
月に着く音を思へり秋の暮 掛井広通 200802
指笛のかすかに聞ゆ秋の暮れ 七種年男 200802
振り向けばのつと山ある秋の暮 戸栗末廣 火星 200802
電柱は背高ノッポ秋の暮 貝森光洋 六花 200802
看護婦に疲れ見えをる秋の暮 岡本眸 200802
病む人のかくも多きか秋の暮 岡本眸 200802
抽出に使はぬ鍵や秋の暮 上林孝子 200802
ティッシュひとつ貰ってしまう秋の暮 陽山道子 船団 200803
某の木が某の木を呼ぶ秋の暮 坪内稔典 稔典句集 200804
担送車の大きな足裏秋の暮 山尾玉藻 火星 200810
ロンドン塔に居つく烏や秋の暮 勝原文夫 ペン皿 200811
鳥羽行のひと駅ごとの秋の暮 鷹羽狩行 200811
草木の覚悟の色や秋の暮 武田漣 炎環 200811
千切れたる四手を拾うて秋の暮 朝妻力 雲の峰 200811
飽きもせず潮騒を聴く秋の暮 山田六甲 六花 200811
バスを待つ人と一緒に秋の暮 猪爪皆子 200812
一台に一座積まれし秋の暮 金原亭馬生 炎環 200812
ムーティ追ふオペラグラスや秋の暮 小梅順 炎環 200812
艶と寂秘して旅する秋の暮 薗田英治 遠嶺 200812
釣り人に迫りておりし秋の暮 岡野ひろ子 200812
遠くなる後ろ姿や秋の暮 滝沢伊代次 万象 200812
煮かへして眼鏡くもらす秋の暮 菊地光子 200812
生姜湯の生姜増やせり秋の暮 谷澤秀子 200901
蔵王堂の護摩火炎立てり秋の暮 小林成子 200901
頭漸く崩れはじめぬ秋の暮 瀧青佳 ホトトギス 200901
独り言部屋に溜れる秋の暮 宮野照子 馬醉木 200901
鯛の鯛ゆつくりさがす秋の暮 水野恒彦 200901
地に生えるものみな愛しや秋の暮 十川たかし 200901
なにもかもけむりとなりし秋の暮 榊原風伯 炎環 200901
常口を誰か来るらし秋の暮 鈴木とおる 風土 200901
法隆寺に電話鳴りをり秋の暮 浅田光代 風土 200901
秋の暮大和路線を遠回り 唐鎌光太郎 ぐろっけ 200901
野仏に一つ石積む秋の暮 佐藤眞隆 京鹿子 200901
忘れものが追ひかけてくる秋の暮 田村みどり 京鹿子 200901
意のままにならぬがこの世秋の暮 能勢栄子 200902
鐘撞きの手の震へゐる秋の暮 KOKlA 六花 200902
本買うて栞を挟む秋の暮 渡邉孝彦 やぶれ傘 200903
秋の暮星光年を動かざる 稲畑廣太郎 ホトトギス 200910
秋の暮この監督でええかいな 稲畑廣太郎 ホトトギス 200910
ごはんよの声のしさうな秋の暮 竹貫示虹 京鹿子 200909
海坂の色深めゐる秋の暮 大平和男 200911
聖堂にもの乞ふ声や秋の暮 秋田建三 200911
雑踏は孤独の集ひ秋の暮 中本吉信 200912
秋の暮何か忘れてゐる心地 副田氷見子 炎環 200912
からがねの阿吽の鶴も秋の暮 山田庫夫 炎環 200912
警察署あとの空地や秋の暮 乙訓淑子 炎環 200912
立飲みの店に灯が入り秋の暮 鈴木セツ 200912
二百年の柱受けとめ秋の暮 本多俊子 200912
もう会へぬ人に「またね」と秋の暮 北川英子 200912
人も風もわれを追ひ越す秋の暮 峰幸子 200912
タワーの灯旅愁のごとし秋の暮 安藤利恵 春燈 200912
秋の暮影が長さを競い合う 貝森光洋 六花 200912
十七の言の葉探す秋の暮 伊賀則夫 200912
帰り来ぬ猫を待ちわび秋の暮れ 北條清子 201001
何かしら人の恋しき秋の暮 鷲見多依子 201001
秋の暮耳札着けて牛戻る 和田森早苗 201001
自販機の硬貨の音や秋の暮 今井弘雄 春燈 201001
流木のうつすら白き秋の暮 岩木茂 風土 201001
遠ざかる舟逆光に秋の暮 中原敏雄 雨月 201001
色の名を子に教へをり秋の暮 斉藤裕子 あを 201001
放牧の牛にカリヨン秋の暮 富田範保 201001
藪透けに嵯峨の家並や秋の暮 清水侑久子 201002
早駕籠のゆきし街道秋の暮 山本典子 201002
鍵の鈴いつも身に鳴る秋の暮 小島芦男 ろんど 201002
さくを切る人に影ある秋の暮 國保八江 やぶれ傘 201002
秋のくれ坂が小坂を産みおとす 佐藤喜孝 あを 201002
石油積む貨物列車や秋の暮 鬼頭佳子 201003
経師屋を閉づ七代目秋の暮 宮野百合子 201003
どこへでも行けそで行けぬ秋の暮 阿部知代 201007
歩道橋渡る遍路や秋の暮 冨山俊雄 山居抄 201008
秋の暮てふ木星の舞台かな 稲畑廣太郎 ホトトギス 201009
秋の暮より明日へと繋ぐ旅 稲畑廣太郎 ホトトギス 201009
秋の暮→ 4      

2021年10月21日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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