秋の暮・秋のくれ 2     100句

切り捨てし胃の腑かわいや秋の暮    西東三鬼

作品
作者
掲載誌
掲載年月
どの部屋も時計のありて秋の暮 本橋墨子 200212
秋の暮我が身の棘として爪は 南洋子 対岸 200212
三夕の和歌も知らずに秋の暮 横林誠二 200301
ゴンドラのテノール響く秋の暮 宇田紀代 200301
船笛もなく島離る秋の暮 竹内喜代子 雨月 200301
秋の暮女がひとり通りけり 木下野生 200301
水門は一枚の鉄秋の暮 加古みちよ 冬菜畑 200301
秋の暮軒傾けて撥釣瓶 武司琴子 ぐろっけ 200301
川原にて何か焚きをり秋の暮 隈部郁子 200302
中腹に障子が二枚秋の暮 佐藤喜孝 青寫眞 200304
賽の目の一つは朱し秋の暮 佐藤喜孝 青寫眞 200304
秋の暮じふにひとへの芯棒は 佐藤喜孝 青寫眞 200304
秋のくれ十のあひだにかくれんぼ 佐藤喜孝 青寫眞 200304
小具足の頬当不気味秋の暮 佐藤輝子 200311
釣り船の湖に黙して秋の暮 滝本香世 百鳥 200311
燭点し闇深めたる秋の暮 宮本俊子 雨月 200311
人連れの犬とまた会ふ秋の暮 鷹羽狩行 200312
亡き夫を追ひて旅立つ秋の暮 松崎鉄之介 200312
谷戸なれば坂立てるなり秋の暮 宮津昭彦 200312
トンネルの灯の明るかる秋の暮 大橋敦子 雨月 200312
地図に無き山中を行く秋の暮 西村しげ子 雨月 200312
梱屋の交互につまれ秋の暮 吉成美代子 あを 200312
黄鐘おうしきの鐘撞くは秋の暮 朝妻力 雲の峰 200312
白波の埠頭を洗ふ秋の暮 谷ナミ子 200312
漂へる雲に残照秋のくれ 萩原記代 200312
しばらくを式服のまま秋の暮 岩上とし子 200401
仲見世の雑踏ぬける秋の暮 河原一夫 200401
大仏の肩のやさしき秋の暮 岡田万壽美 雲の峰 200401
死にたれば甲羅やはらか秋の暮 堀博子 火星 200401
白粥に胃の腑をなだめ秋の暮 阿久沢きく子 草の花 200401
鹿を呼ぶ声遠くなり秋の暮 潮崎政子 草の花 200401
後ろより音の追ひ来る秋の暮 福元なほ 草の花 200401
一つ買ひ一つ忘るゝ秋の暮 前迫寛子 河鹿 200402
まんばうにめくばせさるる秋の暮 藤井智恵子 百鳥 200402
いたづらに恋ふ里のあり秋の暮 朝倉富次 酸漿 200406
音もなく猫駆けぬける秋の暮 栢森定男 風よ 200407
惜命の振子の加速秋の暮 橘澄男 山景 200408
もどかしきスイッチバック秋の暮 橘澄男 山景 200408
子どもには子どもが見えて秋のくれ 八田木枯 夜さり 200409
秋のくれ途方に暮れしにはあらず 八田木枯 夜さり 200409
鳥たちや見せ場をつくる秋のくれ 八田木枯 夜さり 200409
秋の暮火星を少し遠ざけて 稲畑廣太郎 ホトトギス 200410
女出て石に水打つ秋の暮 岡本眸 200410
見尽くすに沼広すぎる秋の暮 岡本眸 200410
魚籠さげて踏切ぬらす秋の暮 鷹羽狩行 200411
鯉跳ねし水の匂ひや秋の暮 鷹羽狩行 200411
帰るべき家に灯点る秋の暮 北川英子 200411
鳥かごが鳥をさがして秋の暮 菅原健一 200411
峠越えて行けど寂しき秋の暮 八木葉子 酸漿 200411
駅前にそば屋ありけり秋の暮 木下野生 200411
壁に向けボール蹴る子や秋の暮 堀一郎 雲の峰 200411
秋の暮家路へ上り坂ひとつ 大橋敦子 雨月 200411
浅蜊い蜆い昭和は遠し秋のくれ 堀内一郎 あを 200411
意地張つて立飲み酒の秋の暮 芝生南天 河鹿 200412
梵鐘の鳴り新羅寺の秋の暮 木暮剛平 万象 200412
山容に火の性ありし秋の暮 能村研三 200412
握手して体温知りぬ秋の暮 坂ようこ 200412
何百の甕伏せてある秋の暮 水野彦 200412
切株のそばに切株秋の暮 木下野生 200412
秋の暮小指結びて指切りす 舩越美喜 京鹿子 200412
抓みたる泥鰌が哭けり秋の暮 戸栗末廣 火星 200412
居酒屋の火を熾しゐる秋の暮 中島瑞枝 百鳥 200412
一畳の積木の町も秋の暮 川瀬さとゑ 春耕 200412
ふりむけば妻は消えたる秋の暮 長志げを 遠嶺 200501
噴煙のかすかに匂ふ秋の暮 川野喜代子 雲の峰 200501
気移りのしるき猫抱く秋の暮 神谷信子 雲の峰 200501
時刻表操る一人旅秋の暮 井上雅晴 帆船 200501
六甲は連山である秋の暮 深澤鱶 火星 200501
乞食に煙草せびらる秋の暮 大堀鶴侶 雨月 200501
ロンドン塔王冠見ずに秋の暮 大堀鶴侶 雨月 200501
同じ坂くだり差のつく秋の暮れ 丸井巴水 京鹿子 200501
神職の木靴のかすか秋の暮 得田武市 河鹿 200502
大木のありて寺あり秋の暮 矢島久栄 200502
踏まれたる邪鬼が振り向く秋の暮 青山悠 200502
秋の暮山門に鍬忘れられ 武本節子 築港 200502
風甘し植物園の秋の暮 鳴海清美 六花 200502
群羊の丘に草食む秋の暮 近藤真夫 遠嶺 200502
散るといふ風情またよし秋の暮 古川洋三 遠嶺 200502
捨て猫の足にまつはる秋の暮 彩響子 200502
余部の列車を仰ぎ秋の暮 岸本久栄 雨月 200503
秋の暮そこひ癒えたる眼に蒼し 上崎暮潮 ホトトギス 200505
買ひ足しの菜を手掴みに秋の暮 岡本眸 200509
電柱のまづ暗くなる秋の暮 鷹羽狩行 200511
何ありて人群れてゐる秋の暮 宮津昭彦 200511
家毎の灯火の早し秋の暮 佐古寛一郎 築港 200511
せんべいに歯を食ひしばる秋の暮 堀内一郎 あを 200511
歳の差はずつとこのまま秋の暮 瀬下るか 200512
燃えながら草流れくる秋の暮 戸栗末廣 火星 200512
秋の暮海は沖より暮れて来し 塩川雄三 築港 200512
当てもなく飛火野歩く秋の暮 塩川雄三 築港 200512
大手術待つ間の長し秋の暮 市橋幸代 築港 200512
澄を汲む音のひびきて秋の暮 三反田輝夫 河鹿 200601
秋の暮れ恋のほかには不自由なし 尾堂Y 河鹿 200601
亡き義父に似てきし夫や秋の暮 三戸和子 四葩 200601
銀のスプーン黄味をおびをり秋の暮 太田佳代子 春燈 200601
島々も西へと瀬戸の秋の暮 鷹羽狩行 200601
古書店の照度は凛と秋の暮 能村研三 200601
二階まで何しに来たる秋の暮 宮原利代 ぐろっけ 200601
喪服着て落ち合ふ駅や秋の暮 出来由子 200601
野良猫に餌をやりゐる子秋の暮 若江千萱 雨月 200601
秋の暮 3→      

2021年10月20日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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