秋めく 2     200句

秋めくと下駄履き出づる駒場駅    石田波郷

作品
作者
掲載誌
掲載年月
忌日来ることたちまちに秋めきぬ 稲畑汀子 ホトトギス 200909
秋めくや塀の真下に猫落ちる 竹内弘子 あを 200910
秋めくや豆腐の角の切り立つて 神蔵器 風土 200910
秋めくやゴーギャン展の古稀の客 宝田俊幸 200910
秋めきて焼き鳥の香の親しかり 松嶋一洋 200910
鱒二書の厄除詩集秋めけり 石寒太 炎環 200910
杖音も風音もけふ秋めける 助口弘子 火星 200911
龍之介の「鼻」の豆本秋めけり 田村葉 炎環 200911
秋めくや草の秀いつもどれか揺れ 井上春子 春燈 200911
秋めきて旨き空気や棚田径 三川美代子 200911
秋めくや出土の欠片いのちもつ 小林共代 風土 200911
秋めくや子連れ野猿と出会ふ道 太田具隆 春燈 200911
秋めくや金子兜太の尿瓶に名 石寒太 炎環 200911
秋めくや供華の竜胆女郎花 林佳枝 酸漿 200911
秋めきし木造校舎チロル風 坂根宏子 200911
磯遊びの影の重なり秋めきぬ 楢崎京 炎環 200911
空の青秋めく朝を谷川岳に 白石正躬 やぶれ傘 200912
秋めくやカッパドキアの奇岩群 坂根宏子 200912
秋めくと水際の草の葉擦れかな 山崎幸夫 末黒野 200912
高窓の風秋めくや受診待つ 渡邊友七 あを 200912
逸早くつるぼの咲きて秋めきぬ 長井恵子 末黒野 200912
秋めくや朝の鎧戸開く音も 青木勝子 201001
軒下に吹きくる風も秋めきぬ 滝沢伊代次 万象 201008
秋めくや路地に箒をつかふたび 福間節子 201011
秋めくや素足に馴染む布草履 青木政江 酸漿 201011
秋めくやボートが一つ裏がへり 浜口高子 火星 201011
秋めきて戸外の試歩を再開す 山田をがたま 京鹿子 201012
トンネルを抜ければ故郷秋めける 谷口俊郎 201101
太陽の輪郭茫と秋めける 稲畑廣太郎 ホトトギス 201108
喫煙所紫煙秋めく風に溶け 稲畑廣太郎 ホトトギス 201108
きざはしを上り秋めく風纏ふ 稲畑汀子 ホトトギス 201108
柔らかに多摩の稜線秋めける 稲畑廣太郎 ホトトギス 201108
秋めくや回る展望台の視野 稲畑廣太郎 ホトトギス 201108
秋めくやワインを少し重口に 稲畑廣太郎 ホトトギス 201108
秋めくといへば気配のありにけり 稲畑汀子 ホトトギス 201108
秋めくといふ言の葉の虚ろかな 稲畑廣太郎 ホトトギス 201108
玻璃越に見る限り庭秋めきぬ 稲畑汀子 ホトトギス 201108
三沢川秋めく音色ありにけり 稲畑廣太郎 ホトトギス 201108
一雨に秋めく風の生れけり 稲畑廣太郎 ホトトギス 201108
組まれたる脚白々と秋めけり 石田きよし 201111
秋めくや通路といふは素気なし 柴田佐知子 201111
黙祷の一分風は秋めいて 怱那みさ子 やぶれ傘 201111
姥連れ立ち親鸞展へ秋めける 東野鈴子 雨月 201111
米寿なほ凛々の秋めでたけれ 出口貴美子 雨月 201112
秋めくや発ちゆく水の草がくれ 豊田都峰 京鹿子 201112
湖風のはや秋めきて浮御堂 中原敏雄 雨月 201112
秋めくや虚子・秋櫻子踏みし道 佐藤喜仙 かさね 201201
秋めく日期待の朝とならざりし 稲畑汀子 ホトトギス 201208
秋めくと思ふに間あることも又 稲畑汀子 ホトトギス 201208
秋めくとつぶやく夜空仰ぎけり 稲畑汀子 ホトトギス 201208
一人住む時間やりくり秋めきぬ 稲畑汀子 ホトトギス 201208
舟着きのきしむ音さへ秋めける 手島靖一 馬醉木 201211
秋めくや身辺整理始めねば 川上恵子 雨月 201211
秋めくや小倉の山の風吹けば 伊東和子 201211
秋めくや取り箸青き普茶料理 田中浅子 201211
仏壇のマッチ擦る音秋めきぬ 柴田久子 風土 201211
名刹の砂紋の襞や秋めきて 乗光雅子 雨月 201212
秋めくやほのと白檀香る間に 植村よし子 雨月 201212
だんだらに秋めきてをり夕焼雲 築城百々平 馬醉木 201212
夏雲のやうではあるが秋めいて 根橋宏次 やぶれ傘 201212
奥山のこの大木の秋めける 白石正躬 やぶれ傘 201212
雲流れ流れ秋めく空残る 今橋眞理子 ホトトギス 201301
路地曲り秋めく風とすれ違ふ 今橋眞理子 ホトトギス 201301
白雲の放てる風や秋めきし 山田閨子 ホトトギス 201301
傷癒えよ癒えよ秋めく日も近く 稲畑汀子 ホトトギス 201308
常備薬とふ赤きひとつぶ秋めきし 五十嵐章子 201311
秋めくや地産野菜の種類増え 森下康子 201311
秋めくや体慣らしの書肆巡り 林紀夫 春燈 201311
秋めくや湖上に増ゆる漁舟 石川叔子 201311
秋めきて買ふ七宝のイヤリング 石垣幸子 雨月 201311
雨止みし浦や秋めく暮しの灯 水田壽子 雨月 201312
秋めきて神への草鞋編み始む 丸井巴水 京鹿子 201312
廊下四廻り風の秋めく朝なりし 折橋綾子 201312
秋めくや立てて置かるる米袋 柿沼盟子 風土 201312
秋めくや芝一杯のテラス席 松田和子 201312
秋めくや雑木林の木々の影 小野寺節子 風土 201312
雑踏に秋めくものを探しけり 小泉三枝 春燈 201312
二度三度秋めく風を深く吸ふ 小倉正穂 末黒野 201312
淵抜けて秋めく水となりにけり 生田作 風土 201401
秋めける日射しの移る古畳 小野寺節子 風土 201401
蟻地獄秋めくようにくぼみけり こうのこうき ろんど 201402
秋めくや白兎海岸赤き波 赤松赤彦 六花 201411
秋めくや関守石の縄目濃く 早川俊久 馬醉木 201412
愛宕山に浮雲一つ秋めきぬ 森脇貞子 雨月 201412
梓川左岸の樹々の秋めける 平居澪子 六花 201412
庭師来て秋めく風を残し去る 稲畑汀子 ホトトギス 201508
秋めくやこれよりの日々心して 稲畑汀子 ホトトギス 201508
旅人の秋めく祝ぎのよそほひに 稲畑汀子 ホトトギス 201508
スケジュール通り秋めく日々なれば 稲畑汀子 ホトトギス 201508
虚子館の次の計画秋めきぬ 稲畑汀子 ホトトギス 201508
吊橋の一陣の風秋めける 宮内とし子 201510
秋めくや所在無き日の芥川賞 和田政子 201510
暮れる湖鷺の孤立の秋めけり 松本鷹根 京鹿子 201511
姫路城のそびらの雲も秋めけり 落合絹代 風土 201511
秋めくや鈴蘭の実のいよよ濃し 後藤マッエ 201511
散髪を終へて地上へ秋めきぬ 太田良一 末黒野 201511
いづくよりの風とも分かず秋めける 大橋晄 雨月 201511
秋めくや人見送りし夜の駅 栗原公子 201511
秋めくや岩肌白き島祠 小林和世 201511
秋めきて抹茶の泡のきめ細か 安藤久美子 やぶれ傘 201512
大門をくぐりて空の秋めける 今橋眞理子 ホトトギス 201601
大寺のタワーの空も秋めきぬ 今橋眞理子 ホトトギス 201601
秋めくや廊下にはきと庭木影 江木紀子 雨月 201512
秋めくや受験期の娘の束ね髪 布川孝子 京鹿子 201601
烏瓜句座の空気の秋めきて 遠藤逍遙子 風土 201602
一雨に嵐に日本秋めける 稲畑廣太郎 ホトトギス 201608
秋めくや何を言はれようとワイン 稲畑廣太郎 ホトトギス 201608
秋めくと思ふ目ざめと気づきけり 稲畑汀子 ホトトギス 201608
秋めくと気づきたるより心添ふ 稲畑汀子 ホトトギス 201608
昼灯す秋めく集ひとはなりぬ 稲畑汀子 ホトトギス 201608
昨日より今を秋めく心あり 稲畑汀子 ホトトギス 201608
明日雨の予報秋めくみちのくへ 稲畑汀子 ホトトギス 201608
上京は今週二回秋めける 稲畑汀子 ホトトギス 201608
秋めくや風に湧きたつ旅ごころ コ田千鶴子 馬醉木 201609
日本海色深き紺秋めきぬ 稲畑汀子 ホトトギス 201610
港町海の色より秋めけり 横田初美 春燈 201610
京老舗のれんの藍も秋めけり 大湊栄子 春燈 201610
馬下駄の秋めく湿り躙り口 鈴鹿呂仁 京鹿子 201610
酒の字やちやうちんすでに秋めきぬ 鈴鹿仁 京鹿子 201610
秋めくや何か出来さうな気のして 小川流子 201611
一苑の木洩れ日粗く秋めける 浅井青二 雨月 201611
秋めくや芯まで乾く柔道着 佐藤保子 馬酔木 201611
秋めくや奥へ奥へとローカル線 篠藤千佳子 201612
秋めきし草濡れている余情かな 北川孝子 京鹿子 201612
秋めける浜にざらざら虚貝 安藤久美子 やぶれ傘 201612
街路樹の風のさやぎや秋めきぬ 鍋島武彦 末黒野 201612
垣越しに秋めく言葉交しをり 邑田のり子 末黒野 201612
雨一夜過ぎて秋めく京の朝 安原葉 ホトトギス 201701
寺町の夕風はたと秋めける 今橋眞理子 ホトトギス 201701
秋めきし川夕映えの余情かな 北川孝子 京鹿子 201701
秋めきて働き者の顔となり 濱上こういち 201701
秋めくや納屋の奥まで日の射して 樋口みのぶ 201702
刻々と遅々と秋めく日はそこに 稲畑汀子 ホトトギス 201708
何よりも秋めく旅でありしこと 稲畑汀子 ホトトギス 201708
秋めくやオリンピックは四年先 稲畑汀子 ホトトギス 201708
又逢へて秋めく心寄せ合へる 稲畑汀子 ホトトギス 201709
秋めくや煮魚に木の落し蓋 菊地光子 201710
秋めくと立ち読み学生増えにけり 鈴木良戈 201711
秋めくや運河に波の立ちやすく 鈴木良戈 201711
濡るるほど緊まる浜砂秋めけり 加藤峰子 201711
秋めくや河原の石の白極め 松本三千夫 末黒野 201711
草原をならし吹く風秋めきぬ 黒滝志麻子 末黒野 201711
阿夫利嶺へたな引く雲や秋めきて 今村千年 末黒野 201711
秋めくや頬に指おく半跏像 秋山信行 やぶれ傘 201710
秋めきて埴輪大きく息を吸ふ 西村滋子 京鹿子 201801
秋めくや床板きしむ美術館 飛高隆夫 万象 201801
秋めくや酔ふほどに口数の減り 谷口一献 六花 201712
一と雨に秋めく朝となつてをり 稲畑汀子 ホトトギス 201808
雨止めば秋めく心消えはじむ 稲畑汀子 ホトトギス 201808
みちのくへ秋めく心置いて来し 稲畑汀子 ホトトギス 201808
秋めくや余裕の心生れつつ 稲畑汀子 ホトトギス 201808
秋めくといふ日待たるる旅心 稲畑汀子 ホトトギス 201808
雨もまた秋めく心いざなへる 稲畑汀子 ホトトギス 201808
病む友に秋めく日々を祈りつつ 稲畑汀子 ホトトギス 201808
フェラーリのエンジン音も秋めける 稲畑廣太郎 ホトトギス 201808
秋めくや山小屋に見る薄明り 大日向幸江 あを 201809
秋めくや授業中かも廃校舎 定梶じょう あを 201811
雲一朶姿秋めく露座仏 大西武士 春燈 201811
秋めくやひとり寺苑にたたずめば 城戸ひろみ 雨月 201811
草の根の透きて秋めく木曽河畔 浅井青二 雨月 201811
秋めきて命の息吹どこそこに 柴田靖子 201811
秋めくや埴輪の目から光漏る 中西厚子 201812
夕べ来し池の松影秋めきぬ 善野行 六花 201812
草々の秋めく音となりにけり 橋本くに彦 ホトトギス 201901
風と抜ける上野の森の秋めいて 大山夏子 201904
神宮の杜に鳴くもの秋めける 稲畑廣太郎 ホトトギス 201908
三箇月ぶりの散髪秋めける 稲畑廣太郎 ホトトギス 201908
丸の内ビルの底より秋めける 稲畑廣太郎 ホトトギス 201908
秋めきて帽子を少し重くして 七郎衛門吉保 あを 201910
秋めくや関西弁上手いおうむ 谷口一献 六花 201910
秋めくや益々澄める空の色 大橋晄 雨月 201910
秋めいてめりはりのなき日の過ぎぬ 谷口一献 六花 201910
秋めくや小さき花は小さく咲き 菅谷たけし 201911
秋めくや音なき音の山の音 小島昭夫 春燈 201911
庭を掃く隣の音も秋めきぬ 出牛進 201911
秋めくや身辺整理よぎる日々 笹倉さえみ 雨月 201911
手に受けし水道の水秋めける 小島良子 201912
横道に逸れて秋めく川岸へ 中原敏雄 雨月 201912
太陽の輪郭仄と秋めける 稲畑廣太郎 ホトトギス 202008
旅終へてなほ秋めく日待つ心 稲畑汀子 ホトトギス 202008
秋めく→3      

 

2021年9月4日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。