秋めく 1     200句

秋めくと下駄履き出づる駒場駅    石田波郷

作品
作者
掲載誌
掲載年月
秋めくやワイングラスを合はすとき 山田弘子 春節 199503
隅田川渡る風より秋めきぬ 浅利恵子 円虹 199911
飛行機の上行く雲も秋めきぬ 浅利恵子 円虹 199911
ひとつの忌こころに雲の秋めきぬ 萩原記代 199912
洋上に確と秋めく風を見し 稲畑廣太郎 廣太郎句集 199912
気にかかる仕事終へきて秋めきぬ 稲畑汀子 ホトトギス 200008
秋めくや仕事は山と組まれをり 稲畑廣太郎 ホトトギス 200008
秋めくといふ言の葉に励まされ 稲畑廣太郎 ホトトギス 200008
秋めくや錠ぴんとあく旅鞄 杉貞介 200008
秋めくや遠嶺にかかる雲の色 池尻足穂 俳句通信 200010
秋めくやなぜて机に節二つ 神蔵器 風土 200010
旅宿の足裏秋めく莚廊 黒坂紫陽子 馬醉木 200011
秋めくや昏るる暗さに水流れ 大野英美 風土 200011
秋めくや風滑べり来る湖の音 内藤紀子 遠嶺 200011
秋めくと樅の大樹の方へ行く 村越化石 200011
秋めくはまだ先雨を待つ心 稲畑汀子 ホトトギス 200108
秋めく日待てぬ仕事の動き出す 稲畑汀子 ホトトギス 200108
甦る気力秋めく日も近し 稲畑汀子 ホトトギス 200108
稿債も旅も秋めく心あり 稲畑汀子 ホトトギス 200108
秋めくや東部病院休診日 熊谷みどり いろり 200110
眠りへの扉一気に秋めきぬ 山下由理子 200111
秋めくや潟風湿める八一歌碑 岡村文彦 春耕 200111
秋めくと思ふいつとき息つめて 岡本眸 200112
秋めくや虚子の弔句を拾ひ読み 吉村ひさ志 ホトトギス 200202
扇風機秋めく風にたぢろぎぬ 宮原みさを 花月亭 200208
野の草を活けてたちまち秋めきぬ 稲畑汀子 ホトトギス 200209
秋めきて金魚の尾鰭ゆつたりと 早崎泰江 あを 200210
秋めくやくり返し読む師の句集 内山恵子 遠嶺 200211
蓋つきのポケツトの服秋めきぬ 柿沼盟子 風土 200211
雲母坂あたりのことに秋めきて 福井鳳水 円虹 200211
めくる書の小さき風も秋めきぬ 坂本俊子 200211
秋めくや李朝の白磁床に置き 大橋克巳 雲の峰 200211
秋めきて何か急かるる思ひせり 山荘慶子 あを 200211
秋めくや藻屑ただよふ波頭 鎌倉ひろし 百鳥 200212
秋めきし夏草今年の戦了ゆ 佐藤喜孝 青寫眞 200304
心切りかへて秋めく札幌に 稲畑汀子 ホトトギス 200308
ただ空気旨し秋めく札幌に 稲畑汀子 ホトトギス 200308
秋めくや今日より句帳新しく 稲畑汀子 ホトトギス 200308
秋めくや雨に土壘の土流れ 岡本眸 200309
秋めくや墳の辺に売るきじ車 十河波津 200310
母の里すでに秋めく草の色 鈴木清子 遠嶺 200311
山深く秋めく里の地酒かな 田中清子 遠嶺 200312
養老山脈秋めく美女のねむるごと 長崎桂子 あを 200312
秋めくや岩に砕ける波頭 鈴木美江 雲の峰 200410
秋めくや開きて閉づる時刻表 田中藤穂 あを 200410
戻り来し部屋の秋めく暗さかな 岡本眸 200410
秋めくや竹の髪結ふ竹人形 遠野萌 200411
昨日より秋めくものに風の音 小林リン 春燈 200411
秋めくと珊瑚の紅を身に飾り 落合絹代 風土 200411
六本木銀座の人や秋めく日 堀内一郎 あを 200411
秋めくや人饒舌に純情に 堀内一郎 あを 200411
雑木山秋めく色を見せにけり 長沼紫紅 200411
秋めくや青春賛歌口笛に 村瀬八千代 遠嶺 200412
秋めくや湾の筏に人の影 酒井十八歩 草の花 200412
足裏ふと深夜の畳秋めくや 藤谷いきお 200505
この雨の秋めくことのたちまちに 稲畑汀子 ホトトギス 200508
週末の旅路秋めく仕度かな 稲畑汀子 ホトトギス 200508
岳麓の秋めく荘を去り難く 稲畑汀子 ホトトギス 200508
帝國ホテルに疊の有無を秋めきぬ 佐藤喜孝 あを 200509
秋めくやハンカチの木の葉ずれ音 神蔵器 風土 200510
秋めくや野に一と筋の忘れ水 外川玲子 風土 200510
秋めくや媼の声に張りの見ゆ 上薗シヅ子 河鹿 200510
わが旅路一歩一景秋めきぬ 中村春宵子 春燈 200511
秋めくや日の斑の遊ぶ石畳 栗原公子 200511
秋めくやタイルのまもる正方形 林昭太郎 200511
ひとところ秋めく雲と思ひけり 伊藤一枝 酸漿 200511
洛北に木の芽煮買へば秋めきぬ 河合佳代子 栴檀 200511
栃大樹葉擦れの音も秋めきぬ 石垣幸子 雨月 200511
秋めくやタオルばかりを干しゐたる 高木嘉久 200512
秋めくと朝のコーヒー熱くしぬ 田所洋子 雨月 200512
秋めくや小賢しかりき鶏の雛 田中峰雪 雨月 200512
比叡愛宕すでに秋めく万歩計 舩越美喜 京鹿子 200512
秋めくや傘に受けたる雨の音 鳴海清美 六花 200512
秋めくやルーブル展の裸婦の肩 杉山哲也 馬醉木 200601
メドセージの花に秋めくフェンス越し 西島みね子 八千草 200601
夕ぐれて秋めく風や歩をゆるめ 丹羽敦子 酸漿 200601
あかつきは秋めく雲の通る富士 木村享史 ホトトギス 200603
齢はや古稀すぎ日毎秋めく雲 市場基巳 200603
心もち秋めく朝であることを 稲畑汀子 ホトトギス 200608
襟元を風のさらりと秋めきぬ 滝沢伊代次 万象 200608
秋めくや犬が人曳き散歩する 安部里子 あを 200611
秋めくと百歳の母よりの文 松原智津子 万象 200612
秋めくや高原にのむハーブテイ 菊池ふじ子 馬醉木 200612
有閑や爪切る時の秋めきて 瀬下るか 200612
撫でて過ぐ秋めく風や草の丈 齋部千里 ぐろっけ 200612
山門に佇てば秋めく風少し 稲畑廣太郎 ホトトギス 200708
朝の間の秋めく風に誘はれて 稲畑汀子 ホトトギス 200708
沖雲のすでに秋めく大門かな 笹村政子 六花 200710
秋めくや茶房に隣り和菓子店 池田好 200712
高空に棚引く雲や秋めける 飛高隆夫 万象 200712
ポイ捨ての煙草が増えて秋めきて 小林清之介 風土 200712
秋めくや窓を洩るる灯ピアノの音 鎌田篤 雨月 200712
秋めくやことに野菊の墓あたり 河内桜人 京鹿子 200801
カーテンの揺れて家中秋めきぬ 石川叔子 200801
秋めくと仰ぐ往き来の空の色 染谷晴子 200801
照り返す軒の波紋の秋めける 山田六甲 六花 200809
秋めくや魚料る手に夕日射し 岡本眸 200809
秋めくや時刻表より早いバス 五十嵐章子 200810
吹く風のすでに秋めく峡の鳥 酒井秀穂 炎環 200810
秋めくと背筋をすくと伸ばしけり 前川干恵子 雨月 200810
秋めいてつぶやき聞ゆ兵馬俑 安部里子 あを 200810
雨霽れて朝の光の秋めきぬ 山岸邦 200811
秋めくや女子高生の読む多喜二 飯塚惠美子 炎環 200811
秋めくや牛が連れ鳴く崖の下 舛田初恵 酸漿 200811
沖の灯も日記書く灯も秋めきぬ 清水明子 遠嶺 200812
夕光の雨の足跡秋めける 中野京子 200812
秋めきしお大師さまの一ト日かな 落合由季女 雨月 200812
秋めくや舌の体操らりるれろ 鈴木とおる 風土 200812
歩みゆく影に秋めく気配かな 白石正躬 やぶれ傘 200901
秋めくや一笠一蓑の旅に出む 小山徳夫 遠嶺 200902
秋めいてゐるのは君の頭だけ 稲畑廣太郎 ホトトギス 200908
秋めくと思へば都心それなりに 稲畑廣太郎 ホトトギス 200908
鳥高く人間疾く秋めける 稲畑廣太郎 ホトトギス 200908
富士よりの風は都心に秋めける 稲畑廣太郎 ホトトギス 200908
髪の毛の量秋めいてきたりけり 稲畑廣太郎 ホトトギス 200908
秋めくといふも朝の間だけのこと 稲畑汀子 ホトトギス 200908
秋めくや旅の用意は簡単に 稲畑汀子 ホトトギス 200908
癒えられし人に秋めく日となりぬ 稲畑汀子 ホトトギス 200908
忌日来ることたちまちに秋めきぬ 稲畑汀子 ホトトギス 200909
秋めくや塀の真下に猫落ちる 竹内弘子 あを 200909
秋めきて焼き鳥の香の親しかり 松嶋一洋 200910
秋めくや豆腐の角の切り立つて 神蔵器 風土 200910
鱒二書の厄除詩集秋めけり 石寒太 炎環 200910
秋めくやゴーギャン展の古稀の客 宝田俊幸 200910
秋めきし木造校舎チロル風 坂根宏子 200911
秋めきて旨き空気や棚田径 三川美代子 200911
秋めくや金子兜太の尿瓶に名 石寒太 炎環 200911
磯遊びの影の重なり秋めきぬ 楢崎京 炎環 200911
龍之介の「鼻」の豆本秋めけり 田村葉 炎環 200911
秋めくや出土の欠片いのちもつ 小林共代 風土 200911
秋めくや草の秀いつもどれか揺れ 井上春子 春燈 200911
秋めくや子連れ野猿と出会ふ道 太田具隆 春燈 200911
杖音も風音もけふ秋めける 助口弘子 火星 200911
秋めくや供華の竜胆女郎花 林佳枝 酸漿 200911
言海のずしりと重し秋めきぬ 田中藤穂 あを 200911
秋めくやカッパドキアの奇岩群 坂根宏子 200912
空の青秋めく朝を谷川岳に 白石正躬 やぶれ傘 200912
逸早くつるぼの咲きて秋めきぬ 長井恵子 末黒野 200912
秋めくと水際の草の葉擦れかな 山崎幸夫 末黒野 200912
高窓の風秋めくや受診待つ 渡邊友七 あを 200912
秋めくや朝の鎧戸開く音も 青木勝子 201001
軒下に吹きくる風も秋めきぬ 滝沢伊代次 万象 201008
秋めくや路地に箒をつかふたび 福間節子 201011
秋めくやボートが一つ裏がへり 浜口高子 火星 201011
秋めくや素足に馴染む布草履 青木政江 酸漿 201011
秋めきて戸外の試歩を再開す 山田をがたま 京鹿子 201012
トンネルを抜ければ故郷秋めける 谷口俊郎 201101
一雨に秋めく風の生れけり 稲畑廣太郎 ホトトギス 201108
三沢川秋めく音色ありにけり 稲畑廣太郎 ホトトギス 201108
柔らかに多摩の稜線秋めける 稲畑廣太郎 ホトトギス 201108
太陽の輪郭茫と秋めける 稲畑廣太郎 ホトトギス 201108
秋めくや回る展望台の視野 稲畑廣太郎 ホトトギス 201108
秋めくやワインを少し重口に 稲畑廣太郎 ホトトギス 201108
喫煙所紫煙秋めく風に溶け 稲畑廣太郎 ホトトギス 201108
秋めくといふ言の葉の虚ろかな 稲畑廣太郎 ホトトギス 201108
秋めくといへば気配のありにけり 稲畑汀子 ホトトギス 201108
きざはしを上り秋めく風纏ふ 稲畑汀子 ホトトギス 201108
玻璃越に見る限り庭秋めきぬ 稲畑汀子 ホトトギス 201108
秋めくや通路といふは素気なし 柴田佐知子 201111
黙祷の一分風は秋めいて 怱那みさ子 やぶれ傘 201111
姥連れ立ち親鸞展へ秋めける 東野鈴子 雨月 201111
秋めくや発ちゆく水の草がくれ 豊田都峰 京鹿子 201112
湖風のはや秋めきて浮御堂 中原敏雄 雨月 201112
米寿なほ凛々の秋めでたけれ 出口貴美子 雨月 201112
秋めくや虚子・秋櫻子踏みし道 佐藤喜仙 かさね 201201
秋めくと思ふに間あることも又 稲畑汀子 ホトトギス 201208
一人住む時間やりくり秋めきぬ 稲畑汀子 ホトトギス 201208
秋めくとつぶやく夜空仰ぎけり 稲畑汀子 ホトトギス 201208
秋めく日期待の朝とならざりし 稲畑汀子 ホトトギス 201208
秋めくや小倉の山の風ふけば 伊東和子 201211
秋めくや取り箸青き普茶料理 田中浅子 201211
舟着きのきしむ音さへ秋めける 手島靖一 馬醉木 201211
仏壇のマッチ擦る音秋めきぬ 柴田久子 風土 201211
ちぎれ雲飛び秋めきぬ葛飾野 河口仁志 201211
組まれたる脚白々と秋めけり 石田きよし 201111
秋めくや身辺整理始めねば 川上恵子 雨月 201211
だんだらに秋めきてをり夕焼雲 築城百々平 馬醉木 201212
夏雲のやうではあるが秋めいて 根橋宏次 やぶれ傘 201212
奥山のこの大木の秋めける 白石正躬 やぶれ傘 201212
秋めくやほのと白檀香る間に 植村よし子 雨月 201212
名刹の砂紋の襞や秋めきて 乗光雅子 雨月 201212
雲流れ流れ秋めく空残る 今橋眞理子 ホトトギス 201301
路地曲り秋めく風とすれ違ふ 今橋眞理子 ホトトギス 201301
白雲の放てる風や秋めきし 山田閨子 ホトトギス 201301
傷癒えよ癒えよ秋めく日も近く 稲畑汀子 ホトトギス 201308
秋めくや地産野菜の種類増え 森下康子 201311
秋めくや体慣らしの書肆巡り 林紀夫 春燈 201311
常備薬とふ赤きひとつぶ秋めきし 五十嵐章子 201311
秋めくや湖上に増ゆる漁舟 石川叔子 201311
秋めきて買ふ七宝のイヤリング 石垣幸子 雨月 201311
秋めくや芝一杯のテラス席 松田和子 201312
雑踏に秋めくものを探しけり 小泉三枝 春燈 201312
二度三度秋めく風を深く吸ふ 小倉正穂 末黒野 201312
秋めくや雑木林の木々の影 小野寺節子 風土 201312
秋めくや立てて置かるる米袋 柿沼盟子 風土 201312
秋めきて神への草鞋編み始む 丸井巴水 京鹿子 201312

 手押車で

廊下四廻り風の秋めく朝なりし

折橋綾子 201312
雨止みし浦や秋めく暮しの灯 水田壽子 雨月 201312
淵抜けて秋めく水となりにけり 生田作 風土 201401
蟻地獄秋めくようにくぼみけり こうのこうき ろんど 201402
秋めく→2      

 

2021年8月30日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。