秋彼岸 1     315句

さびしさは秋の彼岸のみづすまし   飯田龍太   読本・歳時記

作品
作者
掲載誌
掲載年月
前書他
秋彼岸佛に見ゆる畦の鷺 丸山佳子 京鹿子 199811  
貝殻を積み上げ秋の彼岸かな 今木偉郎 199910  
漬物に宗家本家や秋彼岸 辻のぶ子 俳句通信 199910  
水の香もなき雨の降る秋彼岸 武岡東西 俳句通信 199910  
秋彼岸今年はおはぎ作らずに 熊谷みどり いろり 199910  
秋彼岸名前も知らぬ墓古りて 林田加杜子 いろり 199910  
いさかひし日もあり夫の秋彼岸 清水かつ 酸漿 199911  
道おのづ日向へ向ふ秋彼岸 村越化石 199911  
石文の一つを訪ね秋彼岸 村越化石 199911  
秋彼岸なにを食みてもまだ喪中 丸山佳子 京鹿子 199911  
秋彼岸雲にも花をもたせやり 中村堯子 銀化 199911  
泥つけて母の下駄あり秋彼岸 中田ゑみこ 馬醉木 199912  
樹の匂ひ水のにほひや秋彼岸 松岡隆子 199912  
父祖の地を訪ひたることも秋彼岸 稲畑廣太郎 廣太郎句集 199912  
ぴちぴちと猫が水飲む秋彼岸 松永典子 船団 199912  
年金を貰わず生きて秋彼岸 松沢久子 いろり 200001  
秋彼岸手桶の黴のなつかしき 尾上有紀子 わがまま 200002  
鯨にも河馬にも秋の彼岸かな 三神あすか ヒッポ千番地 200005  
客人は田原坂より秋彼岸 小田道知 円虹 200011  
秋彼岸母は上へと帰りたり 桑原敏枝 いろり 200011  
我あるは先祖のおかげ秋彼岸 茂木とみ いろり 200011  
秋彼岸沖は平らをとりもどし 佐藤博美 200012  
虚子遺墨たづさへ来たり秋彼岸 山田弘子 円虹 200012  
雑貨屋に僧侶もをりぬ秋彼岸 秋山義彦 酸漿 200012  
黙々と寺坂登る秋彼岸 笠原フミ 酸漿 200012  
秋彼岸明の大雨あがりけり 笠原フミ 酸漿 200012  
秋彼岸瀬戸大橋を遠く見て 谷野由紀子 俳句通信 200012  
秋彼岸夫の生家へひとり来て 密門令子 雨月 200012  
秋彼岸一本の木を日の辷る 和田瑞子 銀化 200012  
夫病めり一人詣での秋彼岸 二瓶洋子 六花 200101  
復旧にむける作業や秋彼岸 桑垣信子 いろり 200101  
山よりも山のきは澄む秋彼岸 中本憲巳 200111  
友亡夫の墓洗ひたる秋彼岸 浅井千鶴子 いろり 200111  
秋彼岸亡き母のこと呼んでみる 桑原敏枝 いろり 200111  
僧侶等の面差しやさし秋彼岸 芝宮須磨子 あを 200111  
林火忌に詣りしにすぐ秋彼岸 松崎鉄之介 200111  
秋彼岸片白草の白青む 松崎鉄之介 200111  
のびやかに絹曇かかる秋彼岸 金子つとむ 俳句通信 200111  
箱書きの震へ文字みる秋彼岸 旦昭三 俳句通信 200111  
秋彼岸半旗かかげし領事館 旦昭三 俳句通信 200111  
閻魔のやつとこで抜歯の秋彼岸 品川鈴子 ぐろっけ 200111  
秋彼岸天気図に渦遠ざけて 長谷川鉄夫 200112  
杖音と杖音出会ひ秋彼岸 村越化石 200112  
秋彼岸矢切の風に吹かれ佇つ 柴田久子 風土 200112  
開きたるままの鋏や秋彼岸 小山森生 200112  
師をおくる喪服となりし秋彼岸 北嶋美都里 200112  
門司港のバナナ倉庫の秋彼岸 深澤鱶 火星 200112  
文殊さんへ道草したり秋彼岸 米澤光子 火星 200112  
こまやかな秋の彼岸の波の音 池内けい吾 春耕 200112  
師の句碑の照りまさりけり秋彼岸 小澤克己 遠嶺 200112  
いちもんじせせりが供花に秋彼岸 倭文ヒサ子 酸漿 200201  
握りよきステッキ秋の彼岸かな 二瓶洋子 六花 200201  
ビル群をみおろし法話秋彼岸 恒成久美子 ぐろっけ 200201  
京言葉僧と交わして秋彼岸 秋田直己 ぐろっけ 200201  
天竺に渡らせたまふ秋彼岸 谷村幸子 200202  
壺に満たす秋の彼岸の高野槙 高橋さえ子 200202  
出来たての句集を供へ秋彼岸 桑坦信子 いろり 200203  
切れ目なく降る雨秋の彼岸入 門伝史会 風土 200204  
降り出して雨はや四日秋彼岸 門伝史会 風土 200204  
庭師入る今年も秋の彼岸のころ 門伝史会 風土 200204  
秋彼岸子規を語りて尽きざりし 稲畑汀子 ホトトギス 200209  
子規の心虚子の心や秋彼岸 稲畑汀子 ホトトギス 200209  
長編の紙反つて来る秋彼岸 山田六甲 六花 200210  
秋彼岸見え隠れする墓の蝶 皆川盤水 春耕 200210  
藪雨を墓にて聞けり秋彼岸 皆川盤水 春耕 200210  
秋彼岸のぞきからくり今昔 牧弓人 築港 200211  
集ひては記憶を繋ぐ秋彼岸 北川英子 200211  
夫婦して秋の彼岸の仏かな 大橋敦子 雨月 200211 宵火氏追悼
一燭に後の彼岸の夷塚 小林輝子 風土 200212  
鮒の口水面に揃ふ秋彼岸 生田恵美子 風土 200212  
遺影とはほほゑむものか秋彼岸 長志げを 遠嶺 200212  
秋彼岸の入や菩提の種蒔かな 古田考鵬 雨月 200212  
河越えて一と日遊びぬ秋彼岸 本橋墨子 200212  
抱きたる卒塔婆の軽し秋彼岸 長田秋男 酸漿 200311  
何処にも母の影あり秋彼岸 長澤健子 酸漿 200311  
タクシーに金の折鶴秋彼岸 滝本香世 百鳥 200311  
秋彼岸どう言ふわけかほつとせり 丸山佳子 京鹿子 200311  
ほのぼのと汐木の煙秋彼岸 木下節子 雲の峰 200311  
幾人を送りて秋の彼岸かな 若山実 雲の峰 200311  
二上山の入日壮絶秋彼岸 細井才司 200312  
誰彼と亡き人偲ぶ秋彼岸 森田セツ子 築港 200312  
墓地にする交通整理秋彼岸 野澤あき 火星 200312  
秋彼岸立つ這ふ草もそれなりに 丸山佳子 京鹿子 200312  
秋彼岸煮しめの味見乞ふ手と手 杉山喜代子 帆船 200312  
秋彼岸一葉井戸に手を洗ふ 鈴木とおる 風土 200312  
秋彼岸雲の中にて揺られをる 高橋将夫 200312  
秋彼岸何の鳥より鵜は淋し 黒田咲子 200312  
遠き樹のゆれをる秋の彼岸かな 生方ふよう 200312  
秋彼岸喜寿になりても本家の嫁 高倉恵美子 200312  
浦波の少し高めや秋彼岸 田中矢水 遠嶺 200401  
主なき下駄揃へあり秋彼岸 北嶋美都里 西の峰 200401  
秋彼岸雀斑ふやし生きてます 山元志津香 八千草 200403  
生かされて川音ひしと秋彼岸 和田美代子 八千草 200403  
秋彼岸沖ゆく船に速度見ゆ 林昭太郎 200411  
敷居にも座布団並べ秋彼岸 杉江茂義 雲の峰 200411  
供華に紅一つ加へる秋彼岸 土肥屯蕪里 雲の峰 200411  
秋彼岸殉国の碑へ畑のもの 植村よし子 雨月 200411  
秋彼岸仏に仕へ女衆 植村よし子 雨月 200411  
水槽の高脚蟹に秋彼岸 林彌生 草の花 200411  
秋彼岸雲の流るる父の墓 徳田正樹 河鹿 200412  
一枚の戸籍謄本秋彼岸 谷村幸子 200412  
雨傘を杖に日傘に秋彼岸 江崎成則 200412  
千規の墓波山の墓も秋彼岸 中村洋子 風土 200412  
秋彼岸仙台虫喰声清し 菊池ゆう子 200412  
現世は彼は誰時ぞ秋彼岸 山の狸 六花 200412  
戻りたる家の暗さも秋彼岸 岡本眸 200412  
蛸壺のひびも乾きて秋彼岸 中村房江 六花 200501  
信太来て狐嫁入る秋彼岸 中村房江 六花 200501  
起したる畝すぐ乾く秋彼岸 戸栗末廣 火星 200501  
わかち食ぶ人参飯や秋彼岸 鵜飼正子 栴檀 200501  
秋彼岸一滴文庫遺し逝き 池田倶子 雨月 200501  
秋彼岸雲の流るる志士の墓 徳田正樹 河鹿 200502  
秋彼岸鴉霊園飛び交えり 藤田京子 ぐろっけ 200502  
水門へ日の漣や秋彼岸 佐藤佐代子 200502  
未練とも折り合いをつけ秋彼岸 松井和恵 八千草 200503  
秋彼岸供花無き墓に手を合わす 清水さだひこ 200505  
愚を諭す僧の説法秋彼岸 鈴木恭子 200505  
里帰り米持たされる秋彼岸 中島英子 八千草 200508  
透けるまで海老干されあり秋彼岸 松たかし 火星 200511  
兄弟の疎遠となつて秋彼岸 塩川雄三 築港 200511  
夫に逢ふさみしき気負ひ秋彼岸 服部幸 200511  
南多摩字多摩村の秋彼岸 安部里子 あを 200511  
秋彼岸ひととき子供らと集ふ 芝宮須磨子 あを 200511  
武骨なる父の手紙よ秋彼岸 松山正江 河鹿 200512  
ショベルカー掬ふがらくた秋彼岸 松本桂子 200512  
秋彼岸送れば日暮そこにあり 三浦カヨ子 酸漿 200512  
揚舟に錆の匂へる秋彼岸 後藤和朗 栴檀 200512  
秋彼岸抑留の日々ありしとは 明石文子 ぐろっけ 200512  
伽羅香は母への手向秋彼岸 西口万佐子 200512  
海豚シヨー喝采を浴び秋彼岸 沼口蓬風 河鹿 200601  
庭咲きの花を手向けて秋彼岸 山田治美 四葩 200601  
石撫でてこれも佛か秋彼岸 三浦澄江 ぐろっけ 200601  
雀斑を母に受けつぎ秋彼岸 水野範子 ぐろっけ 200601  
南無秋の彼岸の夕日沈みけり 兼子栄子 酸漿 200601  
秋彼岸平癒祈願の旅となり 次井義泰 200602  
秋彼岸地獄谷で茹でし玉子喰む 山元志津香 八千草 200603  
秋彼岸供へて不味き物はなし 小林朱夏 200610  
老いてみな小さくなりぬ秋彼岸 田中藤穂 あを 200611  
秋彼岸夢のつづきは見たくない 芝宮須磨子 あを 200611  
くさびらの省二の碑かな秋彼岸 黒田咲子 200612  
秋彼岸プラチナ色の股で行け 小形さとる 200612  
やうやくに秋の彼岸の写経かな 古田考鵬 雨月 200612  
秋彼岸古刹に五色幡ゆるる 川崎良平 雨月 200612  
妻の墓に先客のあり秋彼岸 鈴木とおる 風土 200612  
一舟の沖を過ぎゆく秋彼岸 小泉万里子 200612  
秋彼岸墓を身近に移さむか 鈴木榮子 春燈 200701  
秋彼岸老いて友みな足隔て 大槻光枝 京鹿子 200701  
鳶の輪のむすびてはとく秋彼岸 武藤ともお 京鹿子 200702  
秋彼岸過ぎこんにやくの酢味噌和 野沢しの武 風土 200703  
牡丹餅を上戸も一つ秋彼岸 藤原りくを 八千草 200703  
ふるさとは山に隠れて秋彼岸 堀内一郎 あを 200709  
もういいかい秋の彼岸の日が沈む 竹貫示虹 京鹿子 200710  
秋彼岸こちらの岸へ風そよぐ 池部久子 酸漿 200711  
秋彼岸池の形を歩きけり 青山丈 200711  
唱名があの世この世を秋彼岸 芝宮須磨子 あを 200711  
ゆく水にしばし沿ひゆき秋彼岸 小澤純子 200712  
秋彼岸豹紋蝶の庭に舞ふ 松崎鉄之介 200712  
線香作り秋の彼岸を前にして 乃美隆子 200712

お寺で線

香を作る

鶏の遠出してをり秋彼岸 代田青鳥 風土 200712  
秋彼岸上野の杜に絵本市 代田青鳥 風土 200712  
海と地のもの炊き合はす秋彼岸 田村園子 200712  
草々の高さ極めて秋彼岸 橋本くに彦 ホトトギス 200801  
安達太良の風透き通る秋彼岸 橋本くに彦 ホトトギス 200801  
雲ひとつだに無き里の秋彼岸 橋本くに彦 ホトトギス 200801  
言わずして伝うは数多秋彼岸 網野月を 200801  
無為の為やひたすら祈る秋彼岸 網野月を 200801  
秋彼岸鏡の吾に母の影 網野月を 200801  
林間の水音しんと秋彼岸 高橋さえ子 200802  
竹藪の揉み出す風や秋彼岸 鈴木直充 素影 200811  
秋彼岸酒饅頭の匂ひかな 大島翠木 200811  
秋彼岸米寿の姉の文貰ふ 村越化石 200811  
「あたしたちも直きね」と媼秋彼岸 林翔 200811  
皿小鉢ふれ合ふ音や秋彼岸 青山正生 200812  
落雁の粉こぼしけり秋彼岸 宇都宮敦子 200812  
父母の地の遠きに詣で秋彼岸 竹内悦子 200812  
あつぱれな死に方ありし秋彼岸 新井如月 炎環 200812  
道一つ違へし記憶秋彼岸 吉沢陽子 200812  
楢山の明るき後の彼岸かな 小形さとる 200812  
秋彼岸蛇の抜け殻吹かれをり 中山純子 万象 200812  
松籟の大谷本廟秋彼岸 川崎良平 雨月 200812  
纜の地にとぐろなす秋彼岸 浜福恵 風土 200812  
境内の混みゐて静か秋彼岸 関口道代 200901  
川海老の腸透きとほる秋彼岸 北島和奘 風土 200901  
秋彼岸寺へ土産の般若湯 瀬島洒望 やぶれ傘 200901  
秋彼岸供花の賑ふ無縁塚 橋本美代 やぶれ傘 200901  
庭師入り秋の彼岸のせはしなし 野沢しの武 風土 200907  
いづこまで付き来る野犬秋彼岸 宇都宮滴水 京鹿子 200908  
好物のサーターアンダギィ秋彼岸 楢崎京 炎環 200911  
川尻に蛇籠のかわく秋彼岸 井原美鳥 200911  
秋彼岸入谷に残る鰹節屋 赤座典子 あを 200911  
駄菓子屋に姥一団や秋彼岸 城台洋子 馬醉木 200912  
今見しは抜けゆく魄か秋彼岸 上野昌子 春燈 200912  
宇宙飛行秋の彼岸は見えますか 伊藤希眸 京鹿子 200912  
荒野にて祖先を祀る秋彼岸 伊吹之博 京鹿子 200912  
秋彼岸蕎麦屋で頼む玉子焼 本島むつみ ろんど 200912  
洋花の濃き色ばかり秋彼岸 中田のぶ子 ろんど 200912  
回廊へ靴音澄める秋彼岸 加古みちよ 火星 200912  
掘り置きし馬鈴薯芽吹く秋彼岸 長田秋男 酸漿 200912  
偲びつつ友垣集ふ秋彼岸 渡辺裕子 酸漿 200912  
供へものついばみ空へ秋彼岸 池崎るり子 六花 200912  
川下の入日のほてり秋彼岸 岡田のり子 200912  
秋彼岸父の齢となりにけり 佐野功 遠嶺 201001  
秋彼岸大谷廟に妻を訪ひ 廣瀬義一 雨月 201001  
秋彼岸卒塔婆の墨匂ひをり 平居澪子 六花 201001  
秋彼岸隣の墓に新塔婆 瀬島洒望 やぶれ傘 201001  
秋彼岸句会鞄に数珠ひそめ 品川鈴子 ぐろっけ 201009  
秋彼岸墓に近況語りかけ 中島玉五郎 201010  
秋彼岸節水身に着く島暮らし 高橋泰子 201010  
立板に水の月日や秋彼岸 丸山佳子 京鹿子 201010  
秋彼岸父母と義妹を惟みて 大橋敦子 雨月 201011  
父逝きてより四十年秋彼岸 大橋敦子 雨月 201011  
秋彼岸無口に探す常財布 岡佳代子 201012  
花の香の木造車両秋彼岸 浅木ノヱ 春燈 201012  
きのふよりけふ海荒るる秋彼岸 田中臥石 末黒野 201012  
賑やかに一族集う秋彼岸 内山タエ 末黒野 201012  
行き逢ひの空といひけり秋彼岸 大竹淑子 風土 201012  
卯辰山こよなく晴れて秋彼岸 中山純子 万象 201012  
ねんごろに仏壇拭ふ秋彼岸 福島悠紀 ぐろっけ 201012  
母の書を仏間に飾る秋彼岸 兼子栄子 酸漿 201012  
相唱ふ秋彼岸会の読経かな 井上幸子 酸漿 201012  
やうやくに彼岸花咲き秋となる 小浦榮子 酸漿 201012  
鮮やかな海鞘のししむら秋彼岸 瀬川公馨 201101  
獅子の雲羊の雲や秋彼岸 荻野加壽子 万象 201101  
秋彼岸やうやく待ちし風もらふ 池田光子 201101  
井戸ポンプ楽しんでゐる秋彼岸 秋千晴 201101  
山鳩の声透き通る秋彼岸 谷泰子 ぐろっけ 201101  
秋彼岸偲ぶ思ひの灯を点す 小滝奈津江 酸漿 201107  
御萩はや小さき指跡秋彼岸 布川直幸 201109  
手児奈井戸みんなで覗く秋彼岸 大西八洲雄 万象 201110  
鉄橋の消えたる音や秋彼岸 江見巌 六花 201110  
山門と影をたしかに秋彼岸 中山純子 万象 201111  
本因坊の墓前に碁石秋彼岸 五十嵐勉 201112  
穏やかな川の流れや秋彼岸 秦和子 201112  
野仏の化粧へる紅や秋彼岸 田中浅子 201112  
夕光に葉蘭のさやぐ秋彼岸 篠原幸子 春燈 201112  
言ひ訳を子に打ち消さる秋彼岸 伊吹之博 京鹿子 201112  
三文経誦しをり秋の彼岸僧 田中臥石 末黒野 201112  
墓石をもとへ戻して秋彼岸 男澤榮男 末黒野 201112  
秋彼岸我に遺れる母の癖 柳生千枝子 火星 201112  
蹼の乾いてをりぬ秋彼岸 笹村政子 六花 201112  
姑言ひしことをしみじみ秋彼岸 堀田こう 雨月 201112  
あちこちにきな粉こぼして秋彼岸 中山純子 万象 201112  
炉を均らし秋の彼岸を迎へたる 原田しずえ 万象 201201  
鯉はみな口開けしまま秋彼岸 赤松郁代 万象 201201  
父と母墓所異にして秋彼岸 向江醇子 ぐろっけ 201201  
秋彼岸午後からは供花買ひにゆく 天野美登里 やぶれ傘 201202  
秋彼岸線香香る矢倉墓 大川暉美 末黒野 201204  
蜘蛛の巣のちぢみて秋の彼岸かな 山田六甲 六花 201210  
酢に咽せて涙ひとつぶ秋彼岸 竹内弘子 あを 201210  
蜘蛛は巣をすぼめて秋の彼岸かな 山田六甲 六花 201211  
再訪を心に決めし秋彼岸 赤座典子 あを 201211  
酒注ぐ秋の彼岸の墓へかな 田中臥石 末黒野 201211  
川しもに海の魚飛ぶ秋彼岸 大島翠木 201211  
秋彼岸過ぎるやブーツの女の子 佐藤喜仙 かさね 201212  
行きずりの目礼かはす秋彼岸 生方義紹 春燈 201212  
もの言はぬ笑顔や秋の彼岸寺 西川春子 春燈 201212  
地も天も屏風返しの秋彼岸 菅谷たけし 201212  
風呂敷のはんなり解くる秋彼岸 森岡正作 201212  
秋彼岸邂逅の名の弁当屋 森さち子 201212  
遠いくさ昨日のごとし秋彼岸 中山純子 万象 201212  
秋彼岸へ大音声の寿量品 大坪景章 万象 201212  
骸骨に追ひかけられし秋彼岸 福島せいぎ 万象 201212  
黄泉路急く柱のあまた秋彼岸 鴨下昭 201301  
昨日冷房今日暖房の秋彼岸 松林道 ろんど 201301  
如来像の両手がサイン秋彼岸 平田恵美子 ぐろっけ 201301  
秋彼岸過ぎ蝉のこゑはたと止み 小林美登里 かさね 201303  
大楠に囲まれゐたる秋彼岸 山田六甲 六花 201310  
直系が集ひ経読む秋彼岸 森下康子 201311  
大楠の上を過ぎ行く秋彼岸 山田六甲 六花 201311  
秋彼岸老いては声をはばからず 柴田佐知子 201311  
秋彼岸真白き石を拾ひけり 犬塚李里子 201311  
秋彼岸此岸世界図かまびすし 鈴木セツ 201311  
モノクロの軍服写真秋彼岸 宮田香 201311  
兄弟の白髪の揃ふ秋彼岸 塩田博久 風土 201312  
貴船川に浸すくるぶし秋彼岸 浜口高子 火星 201312  
絵天井寂し大寺秋彼岸 磯野しをり 雨月 201312  
秋彼岸低きガードをくぐりけり 小林成子 火星 201312  
秋彼岸人のぬくもりのこる椅子 村上倫子 201312  
末弟に訃報つづけり秋彼岸 明石文子 ぐろっけ 201312  
墓守の律儀さ嬉し秋彼岸 伊藤憲子 201312  
夫の二十五回忌胸に秋彼岸 磯野しをり 雨月 201312  
バス停にとしより並ぶ秋彼岸 山本草風 かさね 201312  
ふるさとの日向大きく秋彼岸 内藤静 風土 201312  
極楽はあるかと訊かれ秋彼岸 福島せいぎ 万象 201401  
秋彼岸法話の席の座敷椅子 鈴木芙蓉 末黒野 201401  
秋彼岸四隅の乾く四手網 荒井千佐代 201401  
ウクレレのことばきらきら秋彼岸 中島陽華 201402  
秋彼岸四隅の乾く四手網 荒井千佐代 201402  
少年兵の兄生きてゐる秋彼岸 鴨下昭 201403  
秋彼岸本家分家の向き違へ 篠田純子 あを 201409  
秋彼岸実家の寺は苦手です 篠田純子 あを 201409  
秋彼岸母に供へる栗しぐれ 赤座典子 あを 201409  
亡き人の思ひ出たぐる秋彼岸 山荘慶子 あを 201409  
鷺二羽はねぢれの位置に秋彼岸 篠田純子 あを 201409  
井戸ポンプの錆びは金色秋彼岸 篠田純子 あを 201409  
もう聞けぬ戦の話秋彼岸 篠田純子 あを 201409  
般若心経のテープ今様秋彼岸 森下康子 201411  
羽織るものむらさきが好き秋彼岸 茂木なつ 春燈 201411  
秋彼岸地図を片手に僧一人 大場光よし 風土 201411  
秋彼岸鳳凰堂の弥陀の印 山口キミコ 201412  
秋彼岸寺へ近道畦を行く 国包澄子 201412  
をちこちに声する墓所や秋彼岸 田中淺子 201412  
戒名を覚えぬままに秋彼岸 伊庭玲子 201412  
穏やかに感謝の一日秋彼岸 都留百太郎 末黒野 201412  
君行けり秋の彼岸を待ちかねて 大坪景章 万象 201412

山口耕堂さん

逝く

秋彼岸一日待たで逝かれけり 小林愛子 万象 201412 悼山口耕堂氏
露にさへ躓く秋の彼岸かな 岩木茂 風土 201412  
独り言夫に聞かれし秋彼岸 生田恵美子 風土 201412  
墓石に弟の名や秋彼岸 久保田優子 末黒野 201501  
西方に白虹立てり秋彼岸 森和子 万象 201501  
しろがねの薔薇のブローチ秋彼岸 中島陽華 201501  
生命線長くて-不安秋彼岸 下平誠子 ろんど 201501  
灯しみのしみじみ白し秋彼岸 佐藤凉宇子 ろんど 201501  
秋彼岸幼き僧を連れ来たる 苑実耶 201502  
秋彼岸故郷の山へ深呼吸 及川照子 末黒野 201502  
帚目に残るぬくもり秋彼岸 鴨下昭 201502 秋彼岸 →2

 

2019年9月21日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。